トップページ > 子育て・健康・福祉 > 子育て・青少年 > 青年海外緑と文化の大使レポート(グアテマラ)

ここから本文です。

青年海外緑と文化の大使レポート(グアテマラ)

N・A(出身:京都市) 平成20年度第4次隊 グアテマラ(職種:村落開発普及員)

3月末にグアテマラに到着して以来、約5か月がたちました。

初めの1か月はアンティグアという世界遺産の街で語学研修でした。この街は京都と同じくグアテマラの古都として栄えています(地震により現在の首都へと遷都されました)。とはいっても、スペインからの入植者によって築かれた街ですので建物や通りなど街並みはヨーロッパの田舎町といった感じです。それを中南米らしくカラフルな色(パステルカラーが中心)で各建物を塗ってあり、独特の雰囲気が漂っています。ヨーロッパやアメリカからの観光客も多く、永住している外国人も多いので生活水準や物価も高く、他のグアテマラの街とは全く違います。治安も比較的よく快適に過ごすことができましたが、英語も街中で飛び交い、本当にグアテマラに来たという実感を得ることはできませんでした。


アンティグア市内

こちらでの生活が始まって一番びっくりしたことが、トイレの使用法です。水洗ではあるのですが、配管や水量などにまだ問題があるようで使用したトイレットペーパーは流さずにゴミ箱へ捨てないといけないということです。無意識にしていた行動ですので慣れるまでに少し時間が必要でした。また地震が多い国なので地中にガス管などはなく、現在でもすべてプロパンガスです。その為お湯の出るシャワーはホテルぐらいで、各家庭では現在でも水かまたは電気の簡易シャワーです。

食事は比較的日本人に合う味付だと思います。煮込み料理が昔からの郷土料理でペピアンというゴマを使ったものは全国的に有名です。日本のものと若干味が違いますが、醤油は普通に売られ使用されています。聞いていたより野菜もよく食べお米もよく食べます。しかし彼らはお米をチャーハンのようにしておかずの1品として食べるのでどうしても炭水化物が多くなりがちです。主食はトルティーヤというトウモロコシの粉で練った生地をうすくのばし焼いたものです。中華料理とイタリアンはとても浸透しており、家庭でもパスタやトマトソース、チャオミンというあんかけ麺はとてもポピュラーです。気になることは脂分よりも糖分で必ずご飯と一緒にレフレスコという冷たいジュースのようなものを飲みます。また炭酸飲料の摂取も多く、栄養面に偏りがあります。


いろいろな種類の煮込み料理

私たちが到着した3月末から4月頭にかけ“セマナサンタ”というキリスト教のお祭りがありました。イエスキリストの磔刑から復活までのシーンを物語ったもので、祇園祭の山鉾のような大きなアンダというものが街中を練り歩きます。その通り道に花びらや色づけをしたおがくずでアルフォンブラ(じゅうたん)をつくります。私も家族と4つも作り、一度は深夜3時までその通過を待たなければいけませんでした。でもとても良い思い出になったと思います。


(左から)プロセシオンとアンダ(約2週間続きます)、家族と作ったアルフォンブラ

4月の末から任地であるトトニカパンという西部高原地帯へ移動しました。トトニカパン市の市役所での勤務です。ここは標高が2500メートルあり日差しは強いですが気温は低く特に朝晩はよく冷えます。比較的雨が多く緑に覆われた地域です。活動で回る村には3000メートルを超えるところがあり、さすがに酸素が薄くゆっくり歩かないと立ちくらみや頭痛を感じます。こちらでは季節は2つ、夏と冬しかありません。またその基準は日本とは全く異なり戸惑いを感じることがあります。同じ北半球にあるため、基本的に季節の移り変わりは日本と同じです。ただこちらでは雨期は冬、乾季は夏と呼び気温とは全く関係していません。そのため5月から10月頃までは雨期のため冬、11月から4月頃までは乾期のため夏です。しかし一番寒いのはやはり12月から2月までです。ここはキチェ語を話すインディヘナの人が多い地域で、民族衣装を着た女性も多くアンティグアとは違い外国人もほぼいません。

特にこれといった産業もなく小規模農業で生計を立てている家族がほとんどで貧困の多い地域です。その為お父さんが首都で働いていたり、アメリカに出稼ぎへ行っている家庭も多いです。市内の生活は比較的安定していますがインフラが遅れており、村々の生活水準は低くガス・水道がない家も多いです。その為、薪の需要はまだまだ高く地域の森林破壊につながっており最近は市も植林活動を行っています。また水は市内も含めまだまだ不安定で、水道があっても午前中しか出ないことがほとんどです。その為大半の家では水をためるタンクがあり、午後や夜はそこの水を使います。金銭的に大きなタンクが買えない家もあるため現在も公共のピラと呼ばれる洗濯をするところや各自が樽を持って水をくむことができる場所が街中にあります。上水だけでなく下水もまだまだ遅れており、畑に汚水が流れ込んでいるところも多々あります。また未舗装の道も多く、国や市の公共の交通機関がないため、小型トラックの荷台やミニバンなどの個人で行っているサービスでの移動が基本となり、時刻表などないため村々への移動は大変です。

こちらは首都やアンティグアよりも寒いため、トルティージャよりタマリートという同じ生地をトウモロコシの葉などで包み蒸したものが主食となります。農家が多いため市場でも野菜や果物が安く売っており、個人的にとても気に入っています。肉は高価で鶏肉中心で魚はほぼ無いですが、なぜかほとんどの人はエビが好きで、エビを海沿いの街から市場に売りに来る人が結構います。ただエビを魚と同じと思っている人がほとんどで、コレステロールの摂取が高いように思います。この町の郷土料理はトビックというポトフを少し辛くしたようなもので野菜たっぷりで温まるのでおいしいです。昔は手とタマリートで食べていたそうです。アトールという小麦粉やトウモロコシの粉、お米、ソラマメを煮込み甘くしたどろっとした飲み物があったまるため、レファクシオンという軽食によく飲まれます。こちらの人は本当によく間食をします。炭水化物と砂糖が多いため太っている人が多いです。子供にも栄養失調による発育不良が多いですが、食べ物が不足しているというより、大人の知識不足による栄養バランスの悪さによるものです。その為、体重身長は標準でも脳発達の悪い子供が多く、栄養失調と診断されています。タンパク質やビタミンが不足しており背は低く太っている人が多いです。またアメリカなどからの影響もあり最近ではファーストフードやスナック菓子・炭酸飲料があふれかえっています。グアテマラの抱えている問題の一つでもあり、今後の活動で栄養面なども取り扱っていきたいと思っています。


(左から)昔ながらの焼き物の調理器具、伝統的なお祝い用のアトール、トビック

生活面で一番苦労しているのは、ノミ・ダニによるものです。日本での生活ではほぼ考えることのなかったものですが、村へ移動するミクロ(ミニバンのバス)の中や、市場の日など村々から出てきた人からノミやダニがついてきます。こちらの人は免疫があるのか刺されても数時間でかゆみもおさまるようですが、私たちは少なくとも1週間はかゆく、赤くはれ芯があり固く、水ぶくれができることもあります。蚊と違い見つけて殺すのが難しく、一度付くと洗濯しても残っていて再度刺されることも多々あります。刺されるときは一度に5個ぐらいは刺されるので3日ぐらいはかゆくて夜も眠れません。これは全隊員が一番苦労していることだと思います。痕はくすんだように半年は残り、虫よけも使ってますが、2年間このペースで使って大丈夫かと不安にもなります。


ノミに刺された後

トトニカパンの気に入っているところは、グアテマラではめずらしく治安が比較的よいことです。銃などもなく、主要幹線道路から外れているため外からの人も少なく、みんなが知り合いといった感じの町です。リラックスして生活できるのが何よりのしあわせだと思います。日本の治安の良さを改めて感じさせられました。特に特産のないトトニカパンで唯一有名なのがパンです。薪を使ったかまどで焼くので、とても美味しいです。右上の写真ですが、この前見つけたパンです。見た目はあんパンそっくり。しかし味は全く違います。パンはほんのり甘いですが周りの白い粉は砂糖ではなく小麦粉で、シェカというこちらの一般的なパンです。そのなかにフリホールという小豆に煮た豆を塩辛く炊いたものが入ってます。フリホールはこちらの一般的な食べ物で粒のままでも、潰してソースのようにも食べます。見た目は小豆そっくりですが、味は違います。あんパンと思って食べるとがっかりしますが、これはこれで食べてると癖になる味です。


フリホールいりのシェカ(パン)

任地について4か月がたとうとしています。大きなプロジェクトが2つ入っており、活動は思った以上に忙しく毎日がバタバタと過ぎていっています。徐々にこちらの生活や習慣にもなれてきております。今後はもう少し時間の使い方を考え、プロジェクト以外のことにも取り組んでいきたいと思っています。

お問い合わせ

健康福祉部こども・子育て総合支援室(青少年係)

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4792

kodomo@pref.kyoto.lg.jp