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京都府住宅審議会基本政策部会(第1回)開催結果

1 日時

令和2年10月2日(金曜日)午後1時から3時まで

2 場所

ホテルルビノ京都堀川 2階 ひえい

3 出席者

委員 : 8名 うち代理出席1名(欠席1名)

傍聴者 : なし

報道関係者 : 2名

その他 : 事務局

4 議事概要

 (1) 部会長選出について

髙田光雄委員が部会長に互選された。

(2) 部会長職務代理者の指名について

檜谷美恵子委員が部会長職務代理者に指名された。

(3) 京都府住宅審議会基本政策部会運営要綱について

事務局から資料3により説明した要綱(案)について、承認された。

(4) 京都府の住宅を取り巻く状況について 

事務局から資料4により説明

(5) 部会における今後の検討テーマについて

事務局から資料5により説明

(6) 当面の部会スケジュールについて

事務所から資料6により説明したスケジュール(案)について、承認された。 

<議事について> 

  • 資料4についての主な質問・意見

 ・「5.家族類型別世帯割合」において、単独世帯の増加が特徴的に表れているが、例えば、単独世帯かつ高齢者世帯などの内訳が分かればお示しいただきたい。そのような特徴的な層に対してどのようにサポートしていくかということが課題となる。

→ 次回以降の部会においてお示ししたい。

 

 ・「4.他府県との転入転出状況」に転入人口の減少が表れているが、その要因はどのような点にあると考えるか。
・また、「16.住居費支出割合の推移」についても、所得別などのより詳細なデータがあると、ターゲットとなる層と必要なサポートが明確になる。
・「17.住宅【持ち家】に対する増改築の実施率」によると増改築の実施率は上昇しているが、バリアフリー改修に結びついていないのは何故か。 

→ お尋ねの件について、分析を進めてまいりたい。

 

 ・「13.住宅数、空き家率等の推移」において、府の空き家率が平成25年よりも減少し、全国平均を下回っていることが示されているが、その要因を分析いただきたい。
・また、「24.建築年次別マンション数(参考:全国)」及び「25.敷地規模別マンション数(参考:全国)」について、京都府又は京都市におけるデータがあるとよい。

 → 空き家率の減少は、京都市域における二次的空き家及び賃貸用空き家の減少が主因となっている。住宅総数の増加に比して居住世帯あり住宅数の増加が大きいため、賃貸用空き家が当該居住世帯の受け皿となったことが推測される。また、マンションについては、今後の個別テーマの議論の際、より詳細なデータをお示ししたい。

 

 ・「31.住宅に対する総合評価【持ち家】」及び「32.住宅に対する総合評価【借家】」と「33.住まいにおいて重要と思う項目」について、どのような項目に不満があり、当該不満を住宅施策によって改善可能か否か、ターゲットを明確にするため、これらの関連性を分析いただきたい。

→ 住宅に対する評価について、今後最新のデータによりお示ししてまいりたい。

 

・住生活総合調査は意識調査であるため、全国動向との相対的な比較など、調査の特性を踏まえた分析結果を提示いただきたい。

 

 ・ 「34.最近の災害発生状況と被害の内容」について、今後地球温暖化の進行で災害の危険性は増加が想定される一方、ハザードマップの危険エリアに立地する住宅をエリア外に移転させることは現時点で困難であり、将来的にどこまでの範囲をターゲットに政策誘導していくのか、考え方をお示しいただきたい。

 → 近年水害は激甚化の傾向にあり、今後10年間で最大降雨量及び被害が増加するとの研究予測も存在する。しかしながら、当該予測をすべて取り入れた場合、過去の水害対策に対して二重三重の投資を行うこととなってしまうため、基本的にはこれまでの治水対策を進めていくという流れにある。ただし、国土交通省で新たに「流域治水」という考え方があり、河川だけでなく農業用ため池や各家庭における雨水タンクも活用しながら、「貯める」と「流す」を組み合わせた治水を目指すものである。このように、従来どおりの治水方法に補完的な対策を講じることが、現在の治水の基本的な方針である。

 

 ・新型コロナウイルスの影響により、個室を望む生活スタイルの増加など、室利用のあり方そのものが変化してきており、どのような間取りでどのような仕事に就いているかというデータがもしあれば、お示しいただきたい。

 → 住宅の間取りと職業との関係を示すデータは入手困難であると思われるが、適当なものがあればお示ししたい。

 

 ・「34.最近の災害発生状況と被害の内容」について、住宅の浸水状況と建築年との関係は重要な指標になると考えられる。すなわち、古い集落では、比較的洪水被害を受けていない傾向があり、これは、様々な経験に基づいて安全な土地に人々が暮らしてきた結果であると考えられる。このように地域の知恵を活用していくことも重要な減災対策となるので、可能な範囲で、浸水被害を受けた建物の属性が分かれば地域に即した水害対策を検討しやすくなる。

 → 浸水状況と建築年との関連性を示すデータは、行政ではおそらく保有していないのが実情である。

 

 ・簡単な方法としては、明治期における地図とハザードマップとを重ね合わせることが考えられる。建築年と浸水区域との関係性が分布によって顕著に確認できるため、そのような分析ができないか。

 

 ・「27.民間賃貸住宅の規模別住宅戸数」において、延べ面積29平方メートル以下の住戸が約半数にも及ぶことが示されているが、年代別、特に高齢者の住宅規模を示すデータがあるとよい。また、今後の高齢者増加の受け皿となる住宅が必要

 

 ・東京都の住宅問題に関する資料で85歳以上という年齢区分が設けられていたり、地域におけるまちづくりの中心的役割を前期高齢者が担っていたりする状況がある。前期高齢者と後期高齢者では住まいの事情は異なると思われ、分類の際に検討されたい。
・また、新型コロナウイルス感染拡大により最も居住に問題が出たのは、共同住宅に住む子育て世帯であると言われている。ステイホームの間、住宅に留まること自体が脅かされ、実態として住み替えが多数行われたと聞いている。少子化問題とも関連して、子どもを育てる環境が不安定であると感じており、子どもの生活環境についても、可能な限り様々な視点から分析いただきたい。

 

 ・「20.所有関係別最低居住面積水準未満世帯数」について、民営借家(非木造)における最低居住面積水準未満の割合が非常に高くなっているが、居住者が学生の場合と子育て世帯等の場合とを分けて議論する必要がある。住まい方は多様化してきており、シェアハウスなど、専用部分が狭くとも共用空間を豊かに持とうとする人々もいる。狭くとも豊かな生活を実現している人々を、最低居住面積水準未満の世帯数から除外する検討方法もあるのではないか。

 

・新型コロナウイルスの影響により、テレワークを含めて働き方の変化が加速しており、職住関係は今後の住まい方に関する大きな論点となってくる。働く場所と住む場所の関係についても、データで議論できる点はデータを捕捉するとともに、地理的な情報は可能な限り地図情報によりお示しいただきたい。


・「4.他府県との転入転出状況」について、住宅の所有関係との関係性を示すデータが入手可能であれば、次回以降の部会で提示いただきたい。

 

 

  • 資料5についての主な質問・意見

 ・「WITHコロナ・POSTコロナ社会への対応」はどの分野にも深く関連する内容のため、独立したテーマとして議論した場合、他の項目に適切に波及するのかという懸念がある。 
例えば、災害対策の分野では、コロナ禍の状況において避難所の収容人員数は1月3日程度まで減少する一方、住宅自体に問題がなくとも、インフラ(電気・水道・情報)の被災により避難所に避難しなければならなくなる場合も多い。したがって個々の住宅の防災機能を高めると同時に、在宅避難に対する支援が重要である。
また、上京区では、地域の寺・神社を支援物資の中継地点とし、蝋燭を照明として活用したり、乾物の多いお供え物を非常食として供給する取組が検討されるなど、京都の特性を活かした防災拠点により、地域資源を活かした在宅避難への支援を構築することができる。このように、「WITHコロナ・POSTコロナ社会への対応」は他分野との関連が深いため、整理の仕方を含めて考えていく必要がある。

→ 御指摘のとおり、「WITHコロナ・POSTコロナ社会への対応」は分野横断的な問題であるので、整理の方法については、本部会でも御議論いただきながら検討してまいりたい。

 

 ・子育て支援について、市町村ごとの合計特殊出生率や施策の実施状況を次回の部会においてお示しいただきたい。

 

 ・災害対策について、資料によると、甚大な住家被害があったとされる平成30年でも、京都府ではほとんどの住家被害は一部損壊に留まっており、全壊家屋は24棟である。近年の例では、平成28年の熊本地震で全壊家屋は約8,600戸、平成30年7月豪雨で中国地方において全壊家屋は約6,700戸と、全国的に大規模な災害が多発している状況である。論点、課題としても「防災・減災」、「災害時の備え」があげられているが、「被災者の住宅復旧支援」も重要であると考える。被災者の住宅復旧支援については、住まいの自立再建を補助金や金融支援により手助けすることが必要であり、住宅金融支援機構では、大規模な災害の際には、災害復興住宅融資について民間金融機関に受付窓口の協力をいただいているが、発災時における民間金融機関の迅速な御協力を得るには相当な苦労をしているのが現状である。民間金融機関に対して、行政としても平時から被災者支援への理解・準備の啓発に取り組むとともに、災害時における金融機関との連携について計画に位置付けるよう議論をお願いしたい。

・災害のみならず、日常においても金融機関との連携、さらには地域の不動産事業者との連携についても、具体的な施策として検討いただきたい。ただ災害復旧をテーマにすることは、連携を議論する上でのきっかけとしてはよいと考える。金融機関及び不動産事業者との連携について、計画に位置付けていただきたい。

 

 ・「子育てしやすい住宅・居住環境」の「居住環境」とは、具体的にはどのようなイメージで記載しているのか。収納の多さ、住宅の広さ等の専用部分に関する要素を指すのか、それともコミュニティ支援等のソフト面を指すのか。収納が多くなるほど相対的に居住スペースは狭くなり、「収納の多さ」と「住宅の広さ」とは通常相反するため、どちらを重視するのか明確にした方がよい。

 → 「居住環境」は、コミュニティ支援等の観点も含む広い概念として記載している。また資料4の「33.住まいにおいて重要と思う項目」の凡例に示すように、住宅単体や住戸内でなく、周辺状況や敷地状況に関する項目を「居住環境」として分類している。

 

 ・「入居の円滑化」とはどのようなイメージで記載しているのか。

→ 子育て世帯が望む住宅の供給や、入居を支援する施策をイメージして記載したものである。

 

 ・「災害対策等の推進」における「市町村との連携」という記載は、市町村地域防災計画との整合等を意図したものか。
・御理解のとおりだと思われるが、市町村による地域防災計画の策定が義務付けられており、府はその調整等を担っているため、御指摘の点は重要である。

 

 ・資料4の「18.増改築の内容【持ち家】」で「窓・壁等の断熱・結露防止工事」が4%のみに留まっているように、省エネルギーに対する意識・関心が低い。例えば、ヒートショックによる心疾患での死亡者数は癌による死亡者数よりもはるかに多く、血圧の急変動による浴室内での溺死は交通事故による死者数の約2倍にも及ぶとのデータがある。このような健康問題との関連の中で、意識向上を図る必要があると考えており、幅の広い議論を加えていただきたい。さらに省エネだけでなく再生可能エネルギーについても併せて考えていただきたい。
・また、「WITHコロナ・POSTコロナ社会への対応」について、最近では、換気基準の見直しやエントランス周辺を陰圧に保つことで住戸内へのウイルスの流入防止、陰圧室を感染者の隔離用に設える等、「住居内の様々な性能」の議論がなされており、今後の課題として論点に加えていただきたい。

 

 ・資料全般について、和暦のみでの表記は分かりにくいため、西暦も併記するようにしていただきたい。

 

 ・大多数の人は市場取引により住宅を取得しており、消費者が正しい選択行動をするための情報提供・意識の啓発が中核となるため、「住情報の提供・住教育」はすべてのテーマに関わる課題であると考える。
・また、健康的な住まいを望んでいても実現できない方々へのサポートを検討する必要がある。例えば、子育て世帯であれば、子どもは自分で環境を選べず、親の経済状態によっては狭い住宅に住まざるを得ないケースがある。家賃補助など財政的課題はあるものの、経済的事情により希望する住宅に入居できない方々を支援する仕組を検討していく必要がある。
・子どもが安心して遊べる環境について、地域子育てひろば等の取組がなされているところであるが、住宅施策としても、共同住宅の共用空間(集会場等)に対するサポートを積極的に推進していくことが必要である。

 

 ・全体的に、公営住宅に関する論点が少ないと感じる。京都府では槇島大川原団地のように子育て支援を重視した公営住宅整備も行われており、このような取組を推進していくことも必要である。
・「WITHコロナ・POSTコロナ社会への対応」についても、公営住宅でインターネット環境がなく、子どもの学習に不安を抱えるケースもある。公営住宅において、集会所へのインターネット環境の整備や、宅配ボックスの設置なども検討していく余地があるのではないか。

 

 ・コロナ禍における家庭内での子育てに関しては、身体的健康だけでなく精神的ストレスとの関係も指摘されているところであるが、この問題は、住宅の計画で対応するには限界があるため、情報的な支援や地域社会での支援を検討していく必要がある。

 

 ・子育て支援について、2人目以降の子どもを持つことへの育児不安が少子化の一因と指摘されているが、より深刻な問題は、子どもを持ちたくても持つことができない世代の存在であり、未婚者も含めた若い世代への住宅に関する支援が不足している点を以前から主張している。資料5に「20・30代の約65%が親と同居・近居の意向あり」と示されているが、これは、若い世代が独立して住居を持てないことの表れである。
 一方、既に子育てされている世帯に対しては、育児不安を解消するための地域・コミュニティによるソフト・環境面での支援が重要であり、子どもを持てない世帯への支援とは分けて考える必要がある。支援を必要とする方々の多様性に目を向けて、対策を検討願いたい。

 

 ・地域防災計画については、新型コロナウイルスの影響を受けて避難計画や防災計画を変更する動きがあると思われるが、府内市町村で先進的に計画の変更を進めている事例があれば、次回以降の部会で情報提供いただきたい。

 

5 配付資料

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