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京都府住宅審議会基本政策部会(第3回)開催結果

1 日時

令和2年12月4日(金曜日)午後1時から3時20分まで

2 場所

ZoomによるWeb会議

3 出席者

委員 : 8名(欠席1名)

傍聴者 : なし

報道関係者 : 2名

その他 : 事務局

4 議事概要

(1) [報告事項] 前回の部会における委員御意見等について

事務局から資料1及び資料2により説明

(2) [審議事項] ア これまでの御意見を踏まえた施策の方向性について

事務局から資料3により説明 

(3) [審議事項] イ 住宅政策のあり方について(「子育て支援、住宅セーフティネット、高齢化社会への対応」の視点から)

 事務局から資料4から資料6により説明

 

<議事について> 

  • 資料1及び資料2についての主な質問・意見

・ 「新婚世帯スタートアップ支援事業」(p.4上段)に関して、相談件数が分かれば、資料に付記いただきたい。「大山崎町における建築年次別持ち家」(p.6上段)に関して、大山崎町では相対的に建築年次が古い持ち家が多いとのことだが、近年の高齢者向け設備はリフォーム等で整備が可能であるため、「高齢者等のための設備のある住宅」割合が低い理由には必ずしも当てはまらないのではないか。
→ 建築年次別の住宅割合は、様々調査した結果の中から、参考になると考えて御提示したものである。御指摘のとおり、必ずしも直接的な理由であるとは考えていない。
・ 「大山崎町における人口移動」(p.6下段)に関して、大山崎町で生産年齢人口が増加している理由として考えられることはあるか。
・ 大山崎町で近年、新駅とインターチェンジが開業したことが影響しているのではないか。同町の円明寺団地は昭和50年頃に整備された団地であり、建物は古いが賃料が安いという事情がある。新駅開設に伴い、当該団地に若年世帯が多数移住し、また、分譲建売も数多く建設されたと聞いている。

・ 「高齢者世帯の住宅・住環境に対する不満(京都府)」(p.5下段)に関して、持ち家で不満が高いのは、バリアフリーの未整備や断熱性の不足でないかと推察するが、もう少し不満の内容を深堀りすることは可能か。
→ 本資料は住宅・居住環境に対する総合的な満足度を示したものであるが、不満の内容別に再集計の上、次回以降に提示することとしたい。なお、サンプル数が少ないため、統計的な信頼性が低くなってしまう点は御理解いただきたい。

・ 「介護予防安心住まい推進事業」(p.7)の府担当課は高齢者支援課となっているが、市町村においても、同様に高齢福祉担当課が窓口となっているのか。そうであれば、住宅部局・福祉部局の連携がどの程度図られているのかが気になる。本事業を上手く活用することで、住宅に対する投資を促進する効果が期待され、高齢者に対して、住宅状況の改善に貯蓄等を活用するように促す取組も重要である。また、従来は借家における不満率が高かったが、今回示された統計結果では持ち家における不満が高いという結果であり、持ち家の居住者が住宅の改修等を行えるようにインセンティブを与えていくことが重要であると感じた。
→ 同事業は、市町村においても高齢福祉担当課が窓口である。市町村における住宅部局・福祉部局の連携状況について、実態は把握できていないが、府においてもこれまで以上に福祉部局との連携を強めるとともに、そのことを通じて、市町村においても連携強化が図られるように働きかけていきたい。

 

  • 資料3についての主な質問・意見

・ 「子育て支援」に関する施策の方向性(案)に、「共同住宅の共用スペースが、子育て世帯を地域ぐるみでサポートできる場となるような空間形成の推進」を記載されたことは素晴らしい。また、ストック有効活用の観点から、居住者のライフステージに応じて柔軟に平面計画を変更しながら住み続けることを可能とし、新たなニーズにも柔軟に対応するという考え方は、方向性(案)の中に何らかの形で追加していただきたい。ライフステージに応じたハードウェアとしてのより柔軟な工夫が、結果として良好なストックの形成に繋がっていくと考えられる。また、「高齢化社会への対応」における「災害や火災への不満解消への取組」は、通常の災害・火災対策のみでなく、高齢者の身体的な特性を考慮した取組が重要である点を強調していただきたい。

・ 「子育て支援」の方向性(案)に挙げられている「自宅での育児時間が増加した親を支援(負担軽減)する住宅・住環境の検討」や、「高齢化社会への対応」の方向性(案)に挙げられている「新型コロナの影響も踏まえ、高齢者が快適に住まうための新技術導入の検討」とは、具体的にはどのような内容か。
→ 前者は、例えば、子どものいる部屋で在宅勤務をしなければならないという課題への対応が、住宅施策の一つとして挙げられる。後者は、リモートによる在宅診察・見守り等の活用に関する御意見を踏まえて記載したものである。
・ 在宅勤務のスペース確保については、住戸内のみでなく、住棟内の共用スペースで確保していく考え方も必要である。また、リモート診療等のサービスを導入する前段階のステップとして、IT化に対応した住戸側の受け皿をどのように整備していくかという視点まで議論すると、より具体的な内容となるのではないか。

・ 「住宅セーフティネット」における住宅確保要配慮者の対象を明確にしていただきたい。また、「住宅セーフティネット」と「高齢化社会への対応」は、重複する部分が多く、どう整理すべきかと感じる。
→ 住宅確保要配慮者は法令において定義されており、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯等が含まれる。御指摘のとおり、「高齢化社会への対応」と重複する部分もあるが、住宅確保という側面では「住宅セーフティネット」の施策、手すり等の設備の導入という側面では「高齢化社会への対応」の施策に分類されるものと考える。記載の仕方について、引き続き検討してまいりたい。
・ 住宅確保要配慮者については、その属性のほかに、どのような点で配慮が必要かという点も記載されるとよい。

・ 資料で提示されている「活用可能な民間賃貸住宅ストック」(p.5上段)を踏まえて、公営住宅やセーフティネット住宅の具体的な供給戸数の計画も作成されると理解してよいか。
→ 住生活基本計画に併せて住宅セーフティネット法に基づく賃貸住宅供給促進計画を策定する予定としており、同計画には、御指摘のような具体的な供給目標を定めることとなる。

 

・資料4から資料6についての主な質問・意見

・ 資料3の「現状」欄と、資料4以降で提示された内容が対応していない。特に、「地域特性」の「現状」欄には、現状というよりも目標が記載されている。この点を整合し、目標実現に向けての課題を明示していただけると議論がしやすい。

・ 本日のテーマである「既存住宅ストック・空き家」と「地域特性の発揮」は、本日の議論における御意見を踏まえて、次回に整理したものを提示するという流れとなる。したがって、本日のテーマに関して、施策提案に結び付くような御意見や、必要な資料について御発言いただけると有難い。
・ 資料3の「ストック・空き家」の「現状」欄に記載のある「マンションにおける管理組合の担い手不足・管理不全」が、どの程度深刻であるかを示すデータがあるとよい。同様に、「地域特性」の「現状」欄にある「半農半X」や「二地域居住」といったキーワードを説明するようなデータを示していただきたい。
→ データを探して、御説明できるものがあれば次回お示ししたい。

・ 空き家の活用による移住促進に関する取組が紹介されている(p.29下段)が、空き家対策については、今ある空き家を活用するという観点も大事だが、それに加えて将来的に空き家を増やさないという対策、今住んでおられる方が空き家の発生を予防するための施策も必要と考える。そのための啓蒙・啓発活動の例として、兵庫県では「空き家発生予防のための23箇条」というパンフレットを作成している。
このパンフレットでは、空き家になると、「資産価値が損なわれます」とか、「他人に迷惑かけます」、あるいは「相続でもめますよ」など、分かりやすく説明し、最後に空き家に関する専門機関等の問い合わせ先を掲載して、県として空き家発生を予防するための啓蒙活動を行っている。
このような取組を京都府では考え、又は実施しているか確認したい。
→ 空き家の発生予防に関する取組は、知る限りあまり対応できていない状況である。御意見を参考にさせていただきたい。

・ 上記のような観点で施策の検討を進めるとともに、追加的な資料があれば、次回以降に紹介いただきたい。

・ 卒業生から空き家の清掃を実施する会社を設立したという話を聞いた。管理不十分な空き家をどのように見守っていくか、腐朽・破損させないような対策をどのように講じていくかという視点も必要である。

・ 資料に記載のある「京都で『夢実現』住まいづくり事業」は初めて聞いた事業である一方、「空き家バンク」は府内市町村の取組としてもよく耳にする言葉であるが、資料には記載がない。空き家バンクの実施主体や、各種事業との連携状況がよくわからない。
また、資料3に「福祉施策に至らない段階で気軽に住情報が入手できる相談窓口が身近に必要」という意見を記載いただいたが、情報に関しては、必要とされる方と民間の賃貸事業者との間でのマッチングができていないという状況から、空き家に関しても駆け込み窓口を充実できるようなシステムが必要である。民間の不動産事業者は、家賃3~4万円程度の物件を仲介しても収益が少ないため注力しないという背景もある。
→ 空き家バンクは主に市町村の取組であるが、「京都で『夢実現』住まいづくり事業」との連携が可能か検討し、空き家バンクの取組が有効に機能するように府としての支援を検討してまいりたい。

・マンション管理の関係(p.37下段)であるが、マンション管理適正化法が改正され、各市はマンション管理適正化推進計画を主体的に策定することが必要になってくる。おそらく京都市ではマンション管理に関する意識も高く、対応も考えていると思うが、他の市ではそこまでの余裕がない状況の可能性もある。このため、京都府からしっかり各市をサポートしないと円滑に進まないような状況になる恐れもある。府は各市の状況をつかんでいるか。
→ 現時点で法改正を受けた各市の動向は把握できていないが、他府県の状況も踏まえながら、各市の計画策定に対する支援を検討してまいりたい。
・他府県の例でも、各市の担当者を集めて会議を行ったが、従来から取り組んでいる一部の市以外は、どのように進めていけば良いのか戸惑っている状況のようである。やはりそこは府県の方で引っ張っていかないと法改正の趣旨が「絵に描いた餅」になってしまう恐れもあるので、しっかりと準備をお願いしたい。
マンション管理適正化推進計画の策定主体は、市域においては市になるが、マンション管理の問題に関しては予算、人員も十分ではないところもあると思われるので、府からのアドバイスが必要と考える。
・マンション管理対策については、これまで府においても、ほとんど蓄積がない状況の中で、具体的な府の役割として何をなすべきか。例えば、府のネットワークを利用し、経験のある団体・組織を通じて支援するような方法を採らなければ、各市の側としても受け止めにくいのではないか。
・京都市であればノウハウの蓄積もあり、既にこの問題に一定に取り組まれているので、それを他の市に展開することを府が支援していくことも考えられる。住宅金融支援機構としても、近畿2府4県の地方公共団体とのつながりがあり、マンション管理に関するノウハウの蓄積もあるので、京都府が市を集めて会議を行う際など、協力させていただきたい。

・ 「次世代下宿『京都ソリデール』事業」(p.40下段)に関して、新型コロナウイルスの影響により、高齢者と若者の同居については複雑な状況にある。同事業の今後の展望は如何か。
→ 現在、事業者において、新型コロナ対策に配慮しながら、できる限り従来どおりのマッチングを進めている状況である。引き続き、新型コロナ対策を徹底しながら、住まい方の選択肢の一つとして定着するようにサポートをしてまいりたい。また、同事業が恒久的な取組となるように、事業者による自立運営に向けた仕組の検討を現在進めているところである。

・ 「八幡市男山団地における地域と一体となった団地の再生」や「堀川団地における伝統産業の振興と商店街活性化が一体となった団地の再生」(p.41,42)といった先進的な事例が紹介されているが、これらは、現状では、ある種の特殊解となってしまっている。今後も同様に再生が必要な団地の発生が予想されるので、これらの再生事業を通じて得たノウハウを施策化し、汎用化できるような取組を進めていけるとよい。

・ 「地域特性の発揮」のテーマは、市町村に対する支援と非常に関連が深い。京都府は北部から南部まで地域性が非常に異なるため、最終的にはこの点を踏まえて施策の提案をしなければ、京都市中心の議論になりがちであると思う。地域特性に関するテーマについては、資料収集や各市町村からの意見聴取をしながら、何をどのように支援すれば各市町村における住宅施策が前進するのかを議論しなければならない。京都府では、地域型の住宅施策の推進に係る一定の蓄積はあるが、府及び市町村の関係を維持しながら推進することが難しいと思う。このため、モデル的に実施する方向で考えざるを得ないが、どこがモデルとなるかも現時点では見えにくい。いろいろな地域の特性を把握した上で、継続的に議論していきたい。

・ 「既存住宅ストック・空き家」のテーマは、国全体の施策の中でも大きな課題として位置付けられており、本日の時間内では議論が尽きないと思われるが、改めて資料を確認いただき、お気づきの点や施策提案に結び付く御意見があれば、おってお知らせいただきたい。

 

5 配付資料

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