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京都府住宅審議会基本政策部会(第4回)開催結果

1 日時

令和2年12月25日(金曜日)午後1時から3時まで

2 場所

ZoomによるWeb会議

3 出席者

委員 : 7名 うち代理出席1名(欠席2名)

傍聴者 : なし

報道関係者 : 2名

その他 : 事務局

4 議事概要

(1) [報告事項] 前回の部会における委員御意見等について

事務局から、資料1及び資料2により説明

(2) [審議事項] ア これまでの御意見を踏まえた施策の方向性について

事務局から、資料3により説明 

(3) [審議事項] イ 住宅政策のあり方について(「災害対策等の推進」及び「住情報・住教育」の視点から)

 事務局から、資料4から資料6により説明

 

<議事について> 

  • 資料1から資料2-1についての主な質問・意見

・ 「2 高齢者世帯の住宅・居住環境に関する不満(京都府)」(p.5~7)について、長屋において延焼リスクが高いことは理解できるが、戸建についても「延焼のしにくさ」に対する不満率が高いことの理由が気になっている。同様に、木造や民間賃貸住宅でも不満率が高くなっており、これはむしろ、どのような場所に立地しているかという環境の方が大きく影響していると思われる。周辺の立地環境を考慮して分析を加えると、より分かり易くなると思われるため、そのようなデータがあれば提示いただきたい。

・ 「5 二地域居住(デュアルライフ)の状況」(p.10)について、関西2府1県のうち京都府が最も実施率が高いことが示されているが、この背景には、どのようなことがあるのか。
→ 出典が民間調査結果であり、詳細まで掘り下げできていないので、可能な範囲で確認したい。
・ 京都市が含まれていることが大きいのではないかと思うが、新型コロナウイルスの影響による状況の変化が不明なところもあるので、もし追加的な情報があれば提示いただきたい。
 

  • 資料3についての主な質問・意見

・ 「空き家の発生防止に向けた取組」の「仮に空き家となってしまっても、周辺への悪影響防止のための見守りなどの方策検討」との記載は、一般的に空き家になっているかどうかを行政がすぐには把握できないこともあり、非常に重要だと考える。しかしながら、具体的な取組として何をすればよいかが難しいところであり、今回は方向性について整理したということでよいと思うが、何か考えがあればお聞きしたい。
→ 市町村との連携が重要であると考えている。現時点で直接的な話はできていないが、その方向で今後検討してまいりたい。
・ 市町村も勿論だが、地域住民との連携も非常に重要である。

・ 「空き家の発生防止に向けた取組」として「府民等に向けた啓発」と書かれているが、ここには「関係機関との連携」や「市町村との連携」という言葉があったほうがよい。資料2-1の兵庫県が作成した空き家関連パンフレットの「Ⅵ 頼ろう。」において、司法書士や不動産鑑定士、市町村の空き家バンクなどの相談先が記載されていて、空き家の管理者が連絡しやすいようになっている。府だけで全て対応できることではないので、関係機関との連携についても記載いただきたい。
・ 「高齢化社会への対応」や「ストック・空き家」について、前回の部会では相談窓口の充実に関する意見を挙げたところだが、NPOという言葉が出てこない。従来であれば行政が担っていた役割をNPOが担っている状況は様々あり、NPOとの連携にも目を向けた記載としていただきたい。
→ 御指摘のとおり、府や市町村だけでなく、関係機関やNPOなど、様々なプレイヤーとのネットワークを強化することや、協力を得るという視点は、これまで以上に重要になってきているため、これらの点も記載してまいりたい。
・ 機能に着目するのか、組織の形態に着目するのかによって、表現の仕方はいろいろあると思うが、関係組織・団体との連携について書き込んでいただきたい。

・ 「高齢化社会への対応」について、「高齢者の身体的な特性を考慮した」という部分は大変よいと思うが、それ以外にソフト面の意味でも、高齢者や障害者が孤立しないような住宅の在り方を検討していただきたい。

 

  • 資料4から資料6についての主な質問・意見 
・ 「洪水浸水想定区域と人口集中地区の関係(京都府)」(p.36)は、現象としては、人口集中地区が災害リスクの高い地域にまで拡大しているということだと考えられる。これまで、人口が少なかった時代には、危険な場所にわざわざ居住する必要がなかったところ、近年、建設技術の進歩や、リスクの高い地域では土地が安いこともあり、人口の集中する地域が、よりリスクの高い地域にまで広がってしまっているものと考えられる。その意味で、新たな住宅の建設に当たっては注意が必要であることを示す根拠にはなっている。
 また、「1 最近の災害による住家被害状況(京都府)」の表(p.39)には、被害の程度に応じた住棟の数値が挙げられているが、分かる範囲で、建物の構造や種別に応じた数値が見えてくると、より対象を絞った施策に結び付けられると思うので、検討いただきたい。
 また、「2 土砂災害警戒区域等の分布状況(京都府)」(p.40)について、土砂災害警戒区域等は、必ずしも土砂災害が発生する危険性が高いかどうかによらず、土砂災害発生の結果、人家に影響が及ぶかどうかを基準に指定されている。これも水害と同様、居住地が拡大したことで、これまでは人が住んでいないがゆえに土砂災害が発生しても被害が生じなかった場所にまで居住者が増加しているものであり、このような現象が、北部を中心に進行しているという解釈であると考えられる。

・ 「1 最近の災害による住家被害状況(京都府)」(p.38~39)について、実は京都府は他府県に比べると比較的被害が少ない。例えば、平成30年7月豪雨であれば、京都府では全壊18棟、半壊50棟となっているが、全国では全壊約6,700棟、半壊約11,000棟もの被害が生じている。このときは京都府ではそれほど大きな被害はなかったが、いつ何時、大きな被害があるか分からないと認識した方がよい。その上で、発災後における住宅再建には、通常は融資を受ける場合が多く、住宅金融支援機構でも災害復興住宅融資という制度を設けている。このような融資制度の提供に当たっては、府が民間金融機関との連携体制を平時からしっかりと整えておくことが重要であるので、計画に記載いただきたい。
 また、災害発生時の初動について、マニュアルを整備するとともに日頃から訓練を行っておくことが必要である。大阪府では、平成30年大阪府北部地震を受けて、発災時における関係団体との連携に関するマニュアルを作成されているので、必要であれば参考に提供する。

・ 大阪府北部地震の際、罹災証明のための住家被害認定の支援に参加した。そのときに感じたこととして、同じ場所に立地する住宅であっても被害状況には差がある。これは当然、住宅の耐震性に起因するものであるが、耐震性能の不十分な住宅には、高齢者等の要支援者が居住している場合が多い。このような方が住宅を改修する金銭的インセンティブや、公営住宅等に居住誘導する道筋を考えなければならない。例えば、サポカー減税の制度では、サポートの付いていない自動車を運転している高齢者に対して、インセンティブを高めて乗換えを促進している。このように、特定の方に対する働きかけとして、居住地が災害リスクの高い地域に該当することの宣伝と、住替えに繋げるための仕組みが必要である。

・ 災害の危険性が高い地域における居住者の移転については、補助など様々な検討をされているところであるが、特に既存不適格の住宅に対してどう処置するかが問題である。
資料では「13.土砂災害警戒区域内の支援」(p.49)が挙げられているが、例えば、移転を勧告するには都道府県知事の指定が必要になるなど、かなり高いレベルでの移転しか支援の対象にならない。それよりも、もう少し緩やかに移転を促すような制度ができないかと考えている。もう少し広範囲に移転を促すような制度づくりが、どこまで進んでいるのか教えていただきたい。
→ 「13.土砂災害警戒区域内の支援」(p.49)は、御指摘のとおり、ハードルが高い支援制度となっており、なかなか実績が上がっていない。これに対してどの程度の対策が進んでいるのか、現時点では掴んでいないので、担当課を含めて確認の上で改めて回答したい。
・ 災害対策を考える上で、住宅政策には大きく2つの柱がある。1つは危険な場所には新たに住宅を建てさせず、なるべく居住させないような誘導を行っていくという点と、もう1つは既に居住している場合に、住宅の補強や移転を促すという点である。補強については一定の実績が上がってきているが、移転についてはなかなか上手くいっていない。これは、額が非常に大きいことと、移転に際しての様々なプラスアルファの要望が加わってくるために補助対象の線引きが難しいことが要因として挙げられ、結果として最低限の補助率となってしまい、利用実績が上がらないという悪循環に陥っている。移転の促進にはどの自治体も苦戦しており、京都府で先進的な取組としてアイデアが出せるとよい。
 また、1つめの「居住させないような誘導」についてであるが、宅建取引業者に対して特定災害危険情報の把握を義務付けていることは重要な取組であるが、この中には大規模盛土造成地も含まれるのか。
→ 確認の上、改めて回答する。
・ 都市計画の領域になるが、居住地の選定や移転などの住む場所に対する対策、現在存在している建物への対策、発災後の復興に関する対策、これら相互の関係が問われている。この点を整理して、最終的な提言に持っていきたいと考えている。
また、異なる観点からの情報が、全体としてどのようにつながっているのかが、特にエンドユーザーの立場では分からないということが背景にあると思われる。次のテーマである「住情報の提供・住教育」と重なる部分として、災害に対する情報についても、最終的にはとりまとめの中で扱い、提言に繋げていきたい。

・ (公財)住宅リフォーム・紛争処理センターのホームページには、相談内容及びそれに対する回答等が丁寧に情報提供されているが、それ以上に相談件数が増加していることは、何となく不思議な感覚がする。もし理由が分かれば教えていただきたい。
→ 要因は掴めていないが、相談件数が年々増加している理由のひとつには、住宅ストックそのものの高経年化に伴い、リフォーム件数が増加していることが考えられる。
・ リフォームで使用年数の長くなった住宅は問題が起きやすくなるということか。それとも、住宅そのものが高機能化というか、素人には分かりにくいところがあって、判断に迷う場面が増加しているということか。
→ リフォーム件数の増加に伴い、トラブル等が生じるケースも増加するのではないかという趣旨の推測であり、御指摘のような内容までの分析はできていない。
・ もう少し資料収集をしていただきたい。
・ 相談件数が増加している背景には、住宅に対する関心が高まっていることもあるのではないかと相談会等を通じて感じている。例えば、建築確認申請件数と相談件数の関連を調査すると、相談者の割合がどの程度増加しているのかが分かるかのではないか。以前に比べると、防災意識や住宅の安全性に対する関心は高まっているように感じる。いま、京安心すまいセンターのチラシが手元にあるが、このような啓蒙が広がった結果ではないかと思う。

・ 「すまいスクール」(p.50)の開催回数が減少しているが、これは十分に普及が進んだことによるものか、開催方法が効率化されたことによるものか、理由が分かれば教えていただきたい。
→ 京都市の事業であるため、同市に確認したい。
・ 京都市の場合は、京安心すまいセンターや京都市景観・まちづくりセンターによって住情報の提供ができているが、他の地域では情報提供の仕組みが整備されていない。京都府としては府域全体での対策を講じる必要があるが、とは言え各市町村に情報センターを設置するわけにもいかないだろうと思う。実際の施設や窓口があるに越したことはないが、それ以外の方法で住教育や居住支援の活動を進める方法を考えなければ、委員のみなさんが言われているようなことの実現は難しい。そのようなことに関しても、アイデアがあれば是非提示いただきたい。

・ エンドユーザーの動向として、実際に家を建てる方は、住宅設備(キッチン、風呂場の乾燥機等)ばかりに着目する傾向があるが、着目すべき点はそれだけでないことを啓蒙していただきたい。不動産事業者や建売事業者は、躯体の重要性ではなく床暖房やミストシャワーなど住宅設備ばかりを宣伝しているケースもある。災害が頻発化している今、行政には、住宅は躯体が重要である旨を啓蒙チラシの配布等を通じて、住教育として意識の改革を進めていただきたい。
・ 本部会には不動産事業者が参画していないので、意見交換等ができないが、委員が以前から主張されているように、行政でできない部分は、様々な事業者にその役割を担ってもらうという提案もある。不動産事業者に様々な情報提供をしていただく仕組みが構築できないかということも検討いただきたい。

・ 耐震シェルター設置の補助件数(p.45)について、耐震シェルターは1件あたりのコストが安く人命を守るものとして有効とされているが、補助実績件数が非常に少なく、かつ減少している理由が分かれば教えていただきたい。
→ 担当課においても件数が伸びないことを懸念している。その理由としては、まだあまり周知されていないためではないかと考えており、もっと宣伝に注力していきたいと考えているようである。
・ 有効な施策があるにもかかわらず、あまり周知されていないために実行できていないのは非常に勿体なく、お金を掛けずに人命保護を実現する有効な手段として、施策の実績や手続の簡易さなど、できるところは積極的にアピールをしていただきたい。
・ 実施しているがあまり周知されていないという状況は、冒頭に説明のあった「新婚世帯スタートアップ支援事業」(p.1 No.1.)にもまさに当てはまる。これは様々なところで表れる問題であり、情報伝達の対象と手段について再検討する必要がある。どのような媒体でどのような内容を伝えれば必要な人に必要な情報が伝わるのかという観点で、情報伝達の仕組みについて再検討していただきたい。新型コロナウイルス感染症拡大に伴って、データ化された情報伝達という意味では、様々な試みがなされ、可能性が拡大したと感じている。それも含めて情報伝達について検討していただき、できるだけ前向きな着地点を見出せるとよい。

・ 「16.京都府住宅供給公社への住宅相談業務委託」(p.50)について、例えば、これまでに議論されている子育て支援や災害対策、エンドユーザーに向けた情報発信等、各種の情報を京都府住宅供給公社の住宅相談窓口に集約するという方法も案としてあるのではないかと考える。
→ 御指摘の点を含め、行政による情報発信の工夫をさらに図っていく必要があり、今後の施策展開の在り方を検討してまいりたい。
・ 京都府住宅供給公社は組織としては大きくないため、現行の体制で住情報の発信を推進するのは難しいと考えている。もし、京都府が、住宅供給公社の組織を住情報施策の推進に向けて積極的に使っていく考えであれば、組織自体の強化について検討が必要である。行政が直接的に住情報の提供を行うよりは、他の主体に委ねる方が上手くいく可能性もあり、住宅供給公社に限らず、その体制づくりについて検討いただきたい。

・ 住教育に関して、学校教育の場で、住まいに関する出張講座等を開催されている(p.50)とのことだが、子どもたちが住宅の在り方を議論するのはなかなか難しいのではないかと思う。一方、家庭に持ち帰って現在の家庭の住環境を議論することや、独り暮らしを始める年齢になった子どもや学生が、自分たちが住環境を選ぶときにどのような対応が必要か考えることなど、少し広げていくと、先程の御意見の中にあったような、的外れな情報に惑わされるような事態も減っていくのではないかと考える。
・ 税理士会では、会員から講師を募って京都市立の小学校で租税教育を実施している。住教育に関しても、小学校の頃から住宅に関する話をしていれば、住宅設備に目が眩むようなことにはならないのではないかと思う。京都府や京都市の公立小学校で、そのような枠を設けていただければ、例えば、不動産鑑定士協会等でも協力できるのではないかと思う。
・ 小学校、中学校、高等学校それぞれで実験的には行われているが、府の施策としては全体に及んでいない状況であると思う。建築士会を通じて様々な住教育に関わっているが、高校生は自身の問題として身近に住まいの問題が分かる一方、小中学生は自分の問題として捉えることは難しい。学年別の住教育の在り方をうまく検討する必要があり、各段階に応じて教育の内容や意味も変わってくると思うので、この点を含めて検討いただきたい。
 

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