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京都府住宅審議会基本政策部会(第6回)開催結果

1 日時

令和3年2月26日(金曜日)午前10時から12時まで

2 場所

ZoomによるWeb会議

3 出席者

委員 : 7名 うち代理出席1名(欠席2名し)

傍聴者 : なし

報道関係者 : 1名

その他 : 事務局

4 議事概要

(1) 今後の審議会スケジュールについて

事務局から、資料1により説明し、次回審議会で諮ることが承認された。

(2) [報告事項] 前回の部会における委員御意見等について

事務局から、資料2、3により説明

(3) [審議事項] ア これまでの御意見を踏まえた施策の方向性について

事務局から、資料4により説明 

(4) [審議事項] イ 中間とりまとめ(素案)について

 事務局から、資料5、6により説明

 

<議事について> 

  • 資料2及び資料3についての主な質問・意見

特になし

 

  • 資料4についての主な質問・意見

・ 「子育て支援」の「御意見を踏まえた施策の方向性(案)」中、「親世帯との同居・近居の推進」の削除について、前回部会における「『親との同居・近居』は子育て支援施策としての有効性や新規性に疑問がある」との意見を踏まえたものであり、私も新規性には疑問があると思うが、有効性はあるのではないか。
「推進」ではなく、「親世帯との同居・近居に対する支援」といった形で残していただきたい。その根拠として、不動産取引の現場では、子どもを持つ女性が仕事をする上で、近くに親が居住しているという理由で賃貸住宅を選択するケースは多い。分譲や土地売買に関しても、親の家に隣接する土地が売りに出されたら住みたいといったニーズがある。これらのニーズに対する不動産取得税の軽減や借入金の優遇措置といった支援策は府でも設けていると思うが、そのような支援策は引き続きあるとよい。もちろん、親に頼れない方は多くおられるわけで、彼らを応援する施策として、今回追記された「夫婦間での協力や子育て世帯を孤立させないための地域交流」には新規性という観点からも非常に意味があると思う。
→ 前回部会における御意見は「近居はともかくとしても、同居は疑問である」という内容であった。現在は、子育てを家族の中だけでなく地域全体で支援するという方向性であることを踏まえ、同居についての記載は削除したが、近居は残している。近居に関しては、府営住宅でも近居募集を試みる等の取組を行っており、特に同居の文言のみを削除したものである。
・ 広めの住宅を賃借する人の中には親世帯と同居するケースもあり、敢えて記載を削除する必要があるのかと感じる。
・ 同居・近居ともに住宅市場の中でのニーズは現実にあるが、これを公的な仕組みとして支援すべきかが論点である。同居を含めてより促進すべきなのか、敢えて同居の促進に言及しなくてもよいのかという議論である。
同居・近居の問題はここでは子育ての話として議論になっているが、元々は親の介護のための対策という文脈の中で出てきたもの。公的な支援については様々な議論があり、必ずしも同居の促進がプラスに働かず、逆に様々な問題を引き起こすことに繋がっているという意見もある。公的に支援する場合の対象、ニーズの有無、有効性の有無はそれぞれ異なる議論であり、誤解のない表現をしなければならない。
・ 「親世帯との同居・近居の推進」との記載は削除せず、これらの選択肢も大切にしていただきたい。実際に、親世帯からの支援を受けている家庭も多いと思われる。親世帯の介護の観点からも、近距離に居住していることは重要であり、選択肢としては残しておく必要がある。同居・近居を望まない方も重要視する方もどちらもいるので、多様性という意味では、これらの選択肢があることを尊重する体制が重要である。
・ 公的支援に関して、例えば、家族資源のない方こそが問題であり、家族資源のある方だけに公的支援を手厚くすることは優先順位として不適切という考え方がある。それも含めて上手く記載しなければ誤解を生じるので、文章は様々な観点から精査をしなければならない。多様な選択肢が示された上で、行政の施策についても様々な観点からバランスが取れているという記述が必要である。
・ 府内の複数の市町村では、子育て支援として近居・隣居施策を行っている。住宅金融支援機構はこれと提携し、フラット35の金利を下げる取組を行っている。子育て支援におけるひとつの選択肢として、特に近居・隣居は既に取り組んでいる市町村もあるため、表現方法はお任せするが、何らかの形で残しておいた方がよい。
・ 子育て支援としての同居・近居推進施策の効果について、大阪府内の市町村を対象に調査したことがある。市町村の担当者は、支援があるか否かに関わらず、親の近くに居住したい方はそうしており、施策効果と捉えられるか、という点では疑問がある。また、親資源を持つ方は所得階層が相対に高い場合が多く、そのような方に公的資源を与えることは公平性の観点から如何なものかという意見もあった。選択肢を多く設けることには賛成だが、親という支援資源を持たずに困っている方も数多くいる中、親資源がある方だけをサポートすることがバランスとしてどうなのかと思う。また、親が子どもの面倒を見たあと、親の老後には子が面倒を見ることを促す社会的メッセージともなり、社会の中で支援していくという方向性とはずれている。個人の選択としてはよいが、公的なサポートを入れることには違和感がある。
・ どのように表現すればよいかが難しいが、家族資源のない方に対する支援が損なわれてしまいがちになることも記述しながら、多様な選択肢の実現を目指した記述とする必要がある。
市場の環境整備と言った方がよいかもしれない。つまり、ニーズはあるが市場の中で実現できないという状況が現実にあり、そこをマッチングするような施策として、例えば、広い賃貸住宅に対するニーズへの対策として市場の環境整備を行うという考え方も重要である。委員各位の意見が対立しているわけではなく、様々な配慮が必要であるということであり、それをまとめて表現を検討することとしたい。

・ 「災害対策」に関して、これまでの議論を受けて「<宅地の安全性>」として危険性の高い場所に新築させない工夫と、既に住んでしまった人に対する住み替えの推進という2つの項目が挙がっているが、住み替えが完了するまでの間のフォローも必要である。「住み替え制度の活用促進に向けた検討」に加えて、「地域コミュニティの移転を含めた事前復興計画の検討」といった内容も入れておく必要がある。移転が完了する前に災害が起こった場合、拙速な復興によって劣悪な環境になってしまうおそれがある。東日本大震災から10年が経過し、団地等のコミュニティ崩壊の問題が明確になってきている。新築させないことと移転をさせることの間として、その過程で災害が起こってしまう可能性を考慮し、「地域コミュニティの移転を含めた事前復興計画の検討」という項目も入れていただければ、隙がないと考える。
→ 御提案を踏まえて追記する。

・ 本日の意見を事務局で反映・修正したものは次回の審議会本会で報告することになるが、その前にもう一度部会で確認することはできないので、部会長の方で修正案について確認・検討した上で、各委員の皆様には、審議会本会の場で御意見をいただくようにしたい。

 

  • 資料5及び資料6についての主な質問・意見 
・ 事務局から、欠席委員から事前に提出された意見を報告
- 直近・緊急の課題に応えるべき施策と中長期的な課題に対して方向性を見据える施策の色分け・整理が必要である。
- 施策の推進に当たっては関係部署・関係者等との調整が必要であり、今後の調整・連絡やステークホルダーとの意見交換等に関してもイメージを示されたい。
- 「(6) 脱炭素社会を見据えた環境・エネルギー問題への対応」にも「断熱・気密の向上」について記載されたい。

・ 資料5の「2.住宅政策の方向性と施策の推進について」は資料4の概要を抽出したものであると思うが、資料4の「委員の主な御意見等」と「御意見を踏まえた施策の方向性(案)」のうち、前者が中心に記載されており、後者は反映しないという理解でよいか。資料5の2.の位置付けについて補足いただきたい。
→ 中間とりまとめへの反映は、御指摘のとおり、資料4の「委員の主な御意見等」を中心にまとめているが、項目分け等の整理の仕方は「御意見を踏まえた施策の方向性(案)」から引用している。また、中間とりまとめは、最終的には住宅審議会の答申としてとりまとめられることになるため「主な御意見等」を中心とし、「施策の方向性(案)」は、住生活基本計画の本文に反映する内容であると考えている。
・ 意見と施策の方向性はセットで議論しているので、一部「施策の方向性(案)」もフィードバックする形で中間とりまとめを記載していただきたい。「施策の方向性(案)」の方で議論したため、「主な御意見等」からは逸脱している点が散見されるので、「主な御意見等」を中心に拾い上げる方向性はよいと思うが、「施策の方向性(案)」の要素も一部フィードバックする形でまとめていただきたい。一歩戻ったような感じに見えてしまったので、上記の点を配慮いただきたい。

・ 「社会全体での結婚から子育てまでの切れ目のない支援」(p.14)とは、子育て完了までの切れ目のない支援という理解でよいか。どこまでの期間なのか不明なので、必要であれば修正いただきたい。
→ 御指摘のとおり、子育て完了までの期間と考えており、修正する。

・ 前回答申からの引用として、「地域特性を活かした持続可能で魅力あるまちづくり」、「景観や建築文化などの京都の特性を活かした施策の展開や取組支援」、「地域全体の役割分担の中で防災拠点化」といった点を記載いただいたことは大変有難い。「(7) 頻発・激甚化する災害への備え」(p.16)には、前述した「地域コミュニティの移転を含めた事前復興計画を検討するべき」等の記述を是非追記いただきたい。
→ 御意見を踏まえ、追記する。

・ これまでの部会で議論してきた点を中心に、最終的な答申に向けてどのような内容を盛り込むべきかを審議いただくことが中間とりまとめの役割であると思うが、最終的には「主な御意見等」と「施策の方向性(案)」を重ね合わせて記載しなければ読み手側が理解できないとも思う。最終的な答申に向けては、この点を配慮した書き方が必要である。次回の審議会までに全体を整理することは時間的に難しいと思うので、上記の点を本部会で議論したことを議事録に留めておき、最終的な答申では全体として整合性のある構成にするということで如何か。
・ 中間とりまとめは、今後の施策や方策に繋げるための接着剤というか、頭出しが一つの役目であると思う。「答申にこう記載してあるからこの政策に繋がっている」と示すためにも、頭出しで数が足りない状態はまずいと思うので、この点を念頭において一度整理いただきたい。
・ 項目立てについても、最終の答申の際は、もう少し再編しなければならない部分が出てくるのではないか。例えば、「WITHコロナ・POSTコロナ社会への対応」を表題にして議論することは現在だから説得力があるが、10年後に見たときには「何だこれは」ということになる。議論を踏まえて出てきた具体的な内容(例えば、身近な生活環境の重視、デジタル化の推進等)が重要であり、中身の話を中心にまとめておかなければならない。「WITHコロナ・POSTコロナ」という現在だから通じる話が数年経てば通じなくなることは分かっているので、最終の答申の際には、そのような配慮も含めて検討しなければならない。

・ 「(1) 社会経済情勢等の変化と今後の推移」(p.14)中、「子育てに係る経済的負担等を背景に、子育て世帯の多くが共働き世帯に該当」との記述には違和感がある。若年世帯が結婚後も働く理由として大きいのは、老後の心配ではないか。20年、30年後には、夫だけの年金で夫婦が暮らせる時代ではなくなるため、現在働いている若い世代は、年金を当てにせず投資で備えようという考えがあり、国もそれを誘導している。子育てにお金が掛かるから共働きなのではなく、子がいてもいなくても、将来的な年金等への不安があるから働いている。働いている女性で子どもを持ちたいと考える方も多く、お金のために生まないということは少ないのではないかと考えるので、その点を書き込んでいただきたい。
→ 御指摘のとおりであり、また、将来不安だけでなく自己実現を理由に働き続けるケースもあり因果関係的な記述には飛躍があるので、修正したい。
・ 順序としても、出産よりも働く方が先なので違和感がある。
→ 「(1) 社会経済情勢等の変化と今後の推移」における因果関係は、精査が不十分な部分が多いので、全体を見直して修正したい。
また、「主な御意見等」と「施策の方向性(案)」を併せて記載すべきとの御指摘に関連して、先ほど議論のあった「同居・近居」に関する記載がないので、追記を検討したい。

・ 「(2) 関連計画」に記載するのは、京都府総合計画だけでよいのか。
→ 関連計画は様々あるが、主要な上位計画として総合計画を記載している。都道府県計画は国の住生活基本計画(全国計画)に即して定めることとされているので、全国計画の概要を追記することとしたい。
・ 審議会から知事に対する答申の構成要素として、京都府が定める総合計画との整合性に配慮していること、全国計画との関係について検討が行われていることを示すために記載されているという位置付けか。
→ 住宅施策として京都府総合計画の将来像に資する方向性を有している必要があり、また、全国計画に即する必要があるので、これらを説明するものとして記載する。
・ 関連計画という意味では上位計画も下位計画も様々ある中、どのような文脈で総合計画を扱うかという問題である。様々な計画の中で特に総合計画との関係を示す必要があるものとして、位置付けが明確にされていれば問題ない。

・ 中間とりまとめ(素案)は、資料4と同様に、本日の意見を踏まえて事務局で修正後、部会長が必要に応じて委員と個別に相談しながら確認・検討し、審議会本会で諮ることとする。意見がある場合は、審議会本会の委員として発言を賜りたい。


 

5 配付資料

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