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京都府住宅審議会基本政策部会(第7回)開催結果

1 日時

令和3年4月19日(月曜日)午後3時から5時まで

2 場所

ZoomによるWeb会議

3 出席者

委員 : 8名 うち代理出席1名(欠席1名)

傍聴者 : なし

報道関係者 : なし

その他 : 事務局

4 議事概要

(1) [報告事項] 京都府WITHコロナ・POSTコロナ戦略(仮称)について

事務局から説明

(2) [報告事項] 京都府住宅審議会(第19回)における委員御意見等について

事務局から、資料1、2により説明

(3) [審議事項] 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進のあり方について

事務局から、資料3、4により説明 

<議事について> 

  • 資料1及び2についての主な質問・意見

・ 「南北に長い地形等により」(p.4 [10])との表現は、単に南北に長いというだけでなく「海から山を含む」等の言葉を補った方が、様々な地域特性があるというニュアンスが伝わりやすい。

・ 「今後老朽化するマンションが増える見込みであり、これに対する支援を検討」(p.7 [17])との表現は、老朽マンションに支援を行うという意味に取れる。誤解のないように、大規模改修、建替え等を促進するような支援を検討する旨を記載した方が適切である。

・ 「地域の課題に対応し、多様な年齢層や家族形態の世帯が同じ地域や団地で住まうコミュニティミックスの推進」(p.7 [13])は、「地域」という言葉が重複している。住生活基本計画(全国計画)の中に「多様な世代がつながり交流する、ミクストコミュニティの形成」という表現があるので、それを参考にするとよいのではないか。また、「住みたい団地で」(p.7 [6])との記述は、団地に限定する必要性があるのか疑問であり、「住みたい地域」等の表現でよいのではないか。

→ 上記の各御指摘を踏まえて修正する。

  • 資料3及び資料4についての主な質問・意見 
・  住宅確保要配慮者の範囲に関して、例えば、京都府では東日本大震災の際、相当数の被災者を受け入れた実績があり、このような府の実績をデータとして追加するとよいと感じた。
 また、UIJターン転入者は、コロナ禍の状況もあり、リモートワークの可能性が今後ますます広がっていくことが想定されるため、注視すべき項目であると考える。京都府における転入者数やニーズに係るデータを把握していくことも重要なのではないか。
 また、精神障害者数の推移(p.23)は、2016年の数値が最新となっているが、その後に大きく変化している可能性もあるため、より新しいデータがあれば反映した方がよい。
 また、登録住宅の面積基準の強化・緩和について、現案としては、府内には十分な住宅ストックがあるため基準を敢えて緩和することはしない方針との説明であった。しかし、特に都心部において25㎡以上の面積要件を満足するストックが十分にあるのかどうかは、地域差がある可能性も考えられる。京都府全体では十分な数があったとしても、地域によっては不足している場合もあるため、その点を検討いただきたい。
 

→ 次回、可能な限りデータ等を御提示することとしたい。

 

・ 国が例示する住宅確保要配慮者の追加事例の中にLGBTという属性があるが、性的マイノリティであることをカミングアウトしない方もいらっしゃるため、そのことへの配慮も必要と考える。同性のカップルの場合であれば、住宅確保が困難となるケースも想定されるが、単身者の場合、性的マイノリティかどうか他者から見てもそもそも不明な場合もある。住宅確保要配慮者にLGBTを含めるのは、どのような配慮が必要であるという想定によるものなのか、お聞きしたい。

→ 国の基本方針や、他の地方公共団体における計画の中で、LGBTがどのように位置付けられているかを確認する。公営住宅の場合、一部の地方公共団体において、LGBTのカップルの入居を認めようとする動きがあるため、本府としても研究してまいりたい。

 

・ 高齢者には該当しないが様々な困難を抱えている単身者をどうするかという問題は常にある。他府県の事例だが、就職氷河期世代であり、雇用が不安定なために住まいも不安定になっている単身者を、公営住宅の入居対象者に含めるという議論をしている。年齢によって限定せず、単身の低額所得者を入居対象として認めた場合、相当数の方が入居対象者に含まれることとなるが、そのようなことを検討するかどうかもポイントになる。

 

・ 住宅確保要配慮者のうち、高齢者や子育て世帯のように比較的カテゴライズされやすい属性であれば、どのような住宅を整備すべきか分かりやすい。一方、LGBT等の住宅確保要配慮者に対してどのように対応するべきかについては、そのニーズをヒアリングした上で、住宅の改修等を行う必要がある。ニーズにどのように対応していくのか、順番が反対になりそうなところもあるので、その進め方を教えていただきたい。

→ 賃貸住宅供給促進計画は、新たなストックを供給するものではなく、住宅確保要配慮者のニーズを踏まえ、いかに既存ストックにマッチさせるかを主眼に置いた計画となる。御指摘の点は、「住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関する事項」(p.32)として、どのような仕組みを構築すれば、ニーズを踏まえて円滑な入居を促進できるかという論点に繋がるものと考えている。

→ 住宅確保要配慮者と住宅のマッチングを府が促進する上で、様々な要件へのニーズを持った方に完全にマッチングさせるためには、住宅の改修や整備が必要になる。これに対する支援も検討するのか。

→ 例えば、障害者のニーズと、それに対応する住宅の状況等も今後調査しなければならないかもしれないと考えている。住宅確保要配慮者の入居可能な住宅がどの程度存在するのか、もう少し詳細に把握していかなければならないと考えている。

 

・ 活用可能な民間賃貸住宅戸数が約5,600戸と想定される中、登録住宅のうち空き住戸は24戸のみであり(p.30)、実態とのギャップが表れている状況ではないかと懸念される。「民間賃貸住宅が安定的に供給される条件整理が必要」(p.32)との意見が挙がっているが、具体的な登録の促進に向けた税制優遇等の施策のイメージができているのか。現状、円滑な入居を促進する上で、入居可能な住戸が不足している状況だと思うので、そのギャップを埋めるための手立てとして、これまでどのような意見が挙がっているのか教えていただきたい。

→ 現在、登録住宅となっている約5,900戸は、その大部分が特定の事業者から提供されたものである。府としては、引き続き広く登録に向けた制度の周知を進めていきたい。また、登録住宅に対する支援として、改修費、家賃及び家賃債務保証料に係る国庫補助制度が設けられており、今後、当該制度を如何に活用するか検討していきたい。また、住宅金融支援機構でも関連制度を設けられているとお聞きしており、当該制度を併せて活用しながら、実効性のある登録住宅の増加を進めてまいりたい。

→ 登録住宅の供給に問題があるとすると、まずは、どこがボトルネックになっているのかが分からなければ、どのような打ち手が正しいのか判断が難しいため、登録住宅の実態を今後教えていただきたい。

 

・ 登録住宅の面積基準について、「居間・食堂・台所等を共同利用する場合」は、寮やシェアハウスのイメージであると思うが、あまり現実的でない印象を受ける。高齢者であればワンルームに居住される方が多いが、ワンルームの場合、25㎡では少し広く、18㎡程度が一般的ではないか。子育て世帯であれば、2DKで40㎡程度が一般的であり、最もニーズのある広さであると思われる。登録住宅の面積基準が、なぜこのような分類になっているのかを教えていただきたい。関連して、公営住宅ではどのような間取りが多いのか、単身者向け住戸がどの程度の割合であるのかを教えていただきたい。
 また、登録住宅の戸数は市町村ごとに偏在している状況であるが、その理由が分かれば教えていただきたい。

→ 台所・便所・浴室等が独立している一般的な住宅と、各種設備が共同利用となっている古い住宅の2種類が提起されている。現実的には、後者の住宅は数として多くはないと思われるが、ある程度低廉な家賃により、個人のプライバシーを確保した形でセーフティネット住宅を提供しようとした場合、後者のような形態もありえるという想定に基づいた提起であると考えられる。公営住宅は、もともと世帯向けに建設されたものであるため、小規模な間取りの住戸は少なく、2DK、3DKといった比較的大きな間取りが中心となっているが、近年新たに整備したものでは、2Kの間取りもある程度増えてきてはいる。昨今では単身世帯の入居希望者が増加しており、府営住宅における単身者向け住戸の応募倍率も高くなっている状況である。
 また、登録住宅の地域差に関して、先述のとおり、特定の住宅事業者による登録住戸が大部分を占めていることから地域差が生じている状況である。

・ 宣伝が不足しているために、登録制度の存在を知らない事業者が多いということか。登録住宅の面積基準について、一般的に広くなるほど家賃も高くなってしまうため、単身者のニーズとしてはワンルームが多いと思われる。

→ 御指摘のとおりPR不足もあると思われる。一方、府内でも、居住支援法人や先進的な取組を行っている賃貸人において、入居希望者の見つからない賃貸住宅を改修し、住宅確保要配慮者向けに提供しようとする動きは見られる。府として何らかのインセンティブを付与することは、予算上の課題もあるためすぐには実現できないが、このような取組を促進することで、住宅確保要配慮者が入居しやすい住宅を今後増加させていく必要はあると認識している。

 

・ 論点として、京都府における住宅確保要配慮者の範囲は、国が例示する属性のみでよいかという問題提起をされている。先程の説明の中で、妊婦を住宅確保要配慮者として位置付けている地方公共団体もあるとの話があったが、京都府において妊婦を住宅確保要配慮者に含めるべきかどうかという点に関する御意見はないか。

・ 個人的には、妊婦も住宅確保要配慮者に含めるべきであると考える。少子高齢化の問題はどの地方自治体にとっても非常に重要な課題である中、妊婦が安心して暮らせる環境が整えられるのであれば、将来的に大きな支えとなる可能性がある。他の都道府県等において住宅確保要配慮者に位置付けている属性が京都府ではどうなのかを評価しながら追加していくことは、非常に意味のあることであると考える。

・ 住宅確保要配慮者の条件設定には、やってみなければ分からないという側面も多いと思われる。各カテゴリーにどの程度意味があるのか、実際には不明な部分が多くある中で、多くの地方公共団体が国の示す属性をそのまま採用しているのは、敢えて除外する論拠がないという消極的な理由による側面も大きいと思われる。京都の地域性を考慮した際、特に含めた方がよいと考えられる属性の御提案があれば、発言いただきたい。

・ UIJターン転入者についても、そのニーズを調査して、しっかりしたニーズがあるのであれば取り込むなど、各属性に対して府内におけるニーズと照らし合わせて加えることも考えられる。

 

・ 過去、住宅困窮を理由として行政窓口に相談に来られた方の属性を整理すれば、具体のニーズが把握できるのではないか。その中に、現行の案における属性には当てはまらない方がいる場合は、追加するとよい。そういったケースが把握できれば情報提供いただきたい。

 

・ ここまでの議論としては、単身者の扱いについていろいろと御意見をいただいたが、例えば公的賃貸住宅、特に公営住宅の入居基準に関わる問題や民間賃貸住宅における入居差別の問題などは住宅確保要配慮者の範囲にフィードバックされる点があると思われる。このように、それぞれの論点を相互に関連させて検討いただき、本日、具体的な提案がないようであれば、次回改めて御提案いただくこととしたい。予め資料等を準備した方が議論は進むと思われるため、できるだけ今回のうちにコメントをいただけると有難い。
 登録住宅における面積基準の強化・緩和は行わないという案についても、御意見があれば発言いただきたい。府内でも地域差があり、とりわけ都心部において、どの程度の規模の賃貸住宅であれば流通しているのかという点に関連するため、データがあった方が議論しやすいかもしれない。次回、再度議論することとしたい。

 

・ 京都の特徴のひとつに学生が多い点が挙げられる。多くの学生は卒業後に他の地域へ移ってしまうが、特に昨今、コロナ禍の影響で、親世帯の所得を含めて厳しい経済状況の中で勉強しなければならない学生が数多くいること、留学生の問題が従来から指摘されていることを踏まえ、学生のニーズがどこにあるのかという点は重要である。学生の定住に上手く結び付けば、府にとっても極めて有効であり、こういった視点も加えられるとよい。

 

・ 以前、不動産事業者から、京都府の不動産仲介の現場ではLGBTに対する入居差別の問題は必ずしも顕在化していないとの報告があったが、最近では入居差別があるとの意見もあり、実態がよく分からない。定性的な内容にならざるを得ないかもしれないが、現時点において、不動産業界の現場でどのように感じているかが分かれば、先程の委員からの御指摘にも回答できるのではないかと思う。これに限らず、現在の民間賃貸住宅市場における入居差別等の実態を、できるだけ最新の指標や不動産事業者に対するヒアリング等により、情報提供いただきたい。

→ 定量的なデータの提示は難しいかもしれないが、できる限り対応したい。
 

・ 新型コロナウイルス感染拡大の影響が様々なところに及んでおり、回りまわって住宅の問題にも影響を与えることを懸念している。府内部でも、「京都府WITHコロナ・POSTコロナ戦略(仮称)」の検討が進んでいるようだが、状況に変化があれば、次回改めて報告いただきたい。
 本日の論点について、部会としては次回に何らかの着地をしたいと考えている。論点として示されている項目を中心に、現行案の修正要否を判断したいと考えており、そのような視点で委員各位には引き続き御検討願いたい。

→ 府営住宅では、「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済悪化を理由とする離職退去者等を対象とした住戸」への入居募集を行っている。現在、20戸の枠に対して2戸の入居があり、昨年の早い段階で入居申込みがあって以来、増加していない状況である。しかし、この先、住居確保給付金の給付が停止したときにどうなるかを注視するとともに、対策を検討する必要性も生じるかもしれない。状況が読めない部分もあるが、行政としては住宅困窮が解消されるように努めてまいりたいと考えており、各位の御協力をお願いしたい。
 

5 配付資料

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