京都府住宅審議会基本政策部会（第10回）開催結果

1日時

令和7年9月25日（金曜日）午前10時から正午まで

2場所

Zoomによるオンライン会議

3出席者

委員：8名、うち代理出席1名（欠席1名）
傍聴者：なし
報道関係者：なし
その他：事務局

4議事

(1)前回の部会における委員ご意見について

資料1及び2により事務局から説明。

(2)住宅政策のあり方について

【子育て支援】【高齢化社会への対応】【住宅セーフティネット】

資料5によりテーマに対する論点の整理について事務局より説明。
資料3及び4により京都府の住宅を取り巻く状況及び主な施策の取組状況について事務局から説明。

(3)今後のスケジュール等について

次回開催の第11回基本政策部会のスケジュール等について事務局より説明。

＜議事について＞

資料1及び2に関する主な質問・意見

資料2「1.人口と世帯数の推移(全国・京都府)」について、2015年以降の世帯数増加の主な背景は、核家族化の進行等による世帯人数の減少であるか。

→統計からそのように理解している。

資料3及び資料4に関する主な質問・意見

【子育て支援】

資料4「7.【京都市】民間事業者と連携した市営住宅の子育て世帯向けリノベーション事業「こと×こと」」について、実際の申込数と倍率について教えてほしい。

→本施策は京都市が実施しているものであり、整備済戸数については京都市に確認済みであるが、申込数や倍率については確認できていない状況である。追加で京都市に確認し、次回の基本政策部会にて提示させていただく。

子育て支援のためのリノベーションは大事な視点であり、今後増やしていかなければならない。特に京都で空き家が増えている中で少しでも利活用しやすいように改修しておくことで子育て支援として若い世代の方々に活用いただくことはとても大事な方向性であると考える。
既存住宅取得に対する支援制度とリフォームに対する支援制度については、併用して補助を受けることが可能であるか。

→支援制度の併用は可能であると思われる。

実施している子育て支援施策は、実際のところ子育て世帯にどれくらい利用されているか教えてほしい。また、あまり利用されていない場合には把握している理由があれば教えてほしい。

→子育て支援施策が子育て世帯にどれほど伝わっているのかということは把握することが難しいところではある。事業自体は、予算満額まで利用されているものもあれば、利用件数が少ないものもある中で、所管課である子育て部局が補助金額を変更する等の調整・改善を行いながら進めているところである。子育て世帯による認知状況等については、所管課に確認し、提示できる情報があれば次回以降の基本政策部会にて提示させていただく。

→施策としては非常に効果があると思う。予算が十分に執行されていない場合や制度の認知度が低い場合は、そこを底上げしていくだけでも効果があると考えるので、十分に利用されていない制度があれば、その原因についてもしっかりと考察をして精査してほしい。

子育て支援事業の執行率に加え、利用者側からのフィードバックを把握することができれば制度の見直し等に有効なのではないか。

→子育て支援制度の所管課が住宅政策課とは別のため、どのように施策を評価し見直しているかについては改めて確認する。

→支援事業の中には、住生活基本計画の前回見直し時点では実施自治体がごく限られていたが現時点では実施する自治体が増加している事業もある。支援制度の利用者からのフィードバックには当たらないが、利用者側から一定の見込みが得られたため、実施自治体が徐々に増加したと想定している。

市町としては子育て世帯の獲得や人口減少問題への対応のため積極的に支援を行っているものと想像する。府の支援制度では、利用者の収入に関する要件が大きく効いている施策体系かと思うが、兵庫県が実施しているように、入居する地域及びエリアに関する要件の設定により子育て世帯の居住誘導を図るような施策体系も考えられる。市町村において施策バリエーションについて検討する余地はあるのではないか。

→ご意見として承ります。

子育て世帯に限った問題ではないが、京都市の地価高騰により負担能力の低い方の転出が進んでいる。これに対して、空き家対策との連携が課題になると考える。

【高齢化社会への対応】

高齢者が「ケアされる立場」にあるだけでなく、地域社会における何らかの役割を担って地域に積極的に関わっていくことができるコミュニティ醸成が非常に重要だと考える。府として、そうしたコミュニティ醸成に対する支援について、何か実験的にでも共助支援施策のようなことで取り組んでいることがあれば教えてほしい。

→高齢化社会の課題に対しては、住宅施策だけで太刀打ちできるものではないと認識している。今回の資料には掲載していないが、高齢者の自宅の空き室に若者が同居・交流する「京都ソリデール」事業を実施しており、高齢者、若者ともに地域社会への関わりを持つことができるような事業を展開している。今後もこういった事業を推進していきたいと考えている。

→府では、高齢者の住まい方に着目し、一時期、コレクティブハウジングの普及啓発に取り組んでいたことがある。民間事業者よりコレクティブハウジングをやってみたいと相談を受けている状況にあり、そうした動きにも注視していきたい。

資料3「20.年齢階級別人口移動の状況(京都市)」について、65歳以上人口の転出超過が高齢者等のための設備のある住宅の割合の低い水準に影響しているのではないかとの記載があるが、明確な根拠があるか。京都市では、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が増えていて、空きが出るほどの競争状態だと聞くことがあるため、疑問に思った次第である。

→資料4「31.高齢者等のための設備のある住宅の割合(市町村別)」に関して、府内の全市町村のうち京都市のみが府平均値を下回っている状況であり、その原因について推測したという経緯である。ただし、根拠の確実性についての判断は難しい。

→「京都の対応が遅れている」等の印象を持たれかねない情報であるため、根拠の確実性やその表現については十分に注意したほうがよいのではないか。

資料4「27.高齢者世帯の居住環境に関する不満(京都府)」について、高齢者自身が子育て支援サービスを利用するわけではないにもかかわらず、「子どもの遊び場・子育て支援サービス」に対する不満の割合が高くなっている理由や具体的な不満の内容を把握していれば教えてほしい。

→住生活総合調査(国土交通省)の結果に基づいて作成したスライドであり、現時点では当該調査において具体的な不満の内容等を把握可能か確認できていない。確認して、次回の基本政策部会で提示できるものがあれば、提示させていただく。

→詳しい情報はわからないが、高齢世帯から近隣に住む子どもの声に対する苦情が出る等の事態もあり、子育て世帯と高齢世帯の間でジレンマのようなものがあるのかと考えた。詳しい情報が分かればまた意見を述べたい。

民間借家への不満については、古く住み心地は良くないという問題はあっても家賃が安いため大家は修理等の改善ができず、また修理等により家賃が高くなるのであれば改善しなくてよいと考える借主、特に高齢者等の意向で改善が進まないという状況がある。そうした高齢者に対し公営住宅への入居を誘導していくことができればよいのではないか。
高齢者住宅は飽和状態にあるのか、データがあれば教えてほしい。

→高齢者向け住宅の空き住戸数は、現時点で把握していない。統計資料等を確認し、次回の基本政策部会で提示できるものがあれば提示させていただく。

資料4「16.【京都府】高齢者あんしんサポートハウスの整備」について、高齢者安心サポートハウスの供給実績が令和3年度以降全く増えていないのはなぜか。また、高齢者安心サポートハウスというのはどういうものなのか。

→供給実績が増えていない理由等について所管課に確認し、提示できるものがあれば次回の基本政策部会で提示させていただく。

資料4「17.【京都市】高齢者住まい・生活支援事業」について、有効に働きつつある制度かと思うので、民間住宅の理解を醸成する、補助を出してサービスを拡大してもらう等今後の展開や可能性について考えがあれば教えてほしい。

→これから住宅セーフティネット法改正による「居住サポート住宅」の供給が始まっていく。同様の事業を先行して取り組まれているという認識を持っている。今後どのような経過をたどるかはわからないが、一定の需要はあると考える。

→府営住宅だけではない重層的なサポートが可能であり、利用者となる高齢者にとっても魅力的な制度かと考える。

【住宅セーフティネット】

資料3「53居住支援協議会の概要及び設立状況(全国)」について、居住支援協議会の設立に至った府内の自治体は京都市と宇治市のみであるが、府からの各自治体への働きかけの状況について教えてほしい。また、協議会設立に至っていない理由は何か。

→京都府から各自治体への働きかけについては、資料4「28.【京都府】京都府居住支援協議会による取組状況」にお示ししているとおり、平成28年度より行っている府主導による地域連携会議の取り組みが挙げられる。
協議会設立に至っていない理由については、国が実施したアンケートによると「人員を配置できない」「福祉部局と住宅部局の連携が取れているため協議会設立の必要性を感じない」等の意見が見受けられる。自治体の実情に合わせた取組が今後の課題であると認識している。

→居住支援法人が実施している取組内容、その効果と課題を市町村がしっかり把握しているのだろうかという疑問がある。京都府が実施している地域連絡会議の取り組みは大変評価しているが、個々の法人について京都府が把握することは困難であり、各自治体が把握して的確なサポートに役立てていく必要がある。そうした体制作りについても検討してほしい。