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第17回京都府住宅審議会府営住宅管理部会開催結果

1.開催日時

平成31年2月1日(金曜日)午前10時10分から正午まで

2.場所

御所西京都平安ホテル 羽衣

3.出席者

【委員】7名

【傍聴者】1名

【報道関係者】なし

4.議事概要

(1)付議事項のうち当面の検討課題について

 ・府営住宅等の入居者資格等について(府営住宅等の連帯保証人制度の見直し)

(2)報告事項について

 ・指定管理者制度の導入について

 ・第2次中間答申を踏まえた取組みについて

<付議事項のうち当面の検討課題について>

●資料1、参考資料1-1について主な質疑

 ・ 民法改正と連帯保証人を廃止することを同時に扱っているが、直接的な関係はないのではないか。示された選択肢の中では現状を維持しながら民法改正に対応するのが自然であると思う。むしろ既に連帯保証人は一人でよいというかたちに見直したところであり、さらに踏み込むべき事情が京都府において特に出てこないのであれば淡々と民法改正に対応していけばよいのではないか。また、連帯保証人を得にくい場合も一定の対応をしており、必ず利用せねばならないと言うこともないし課題もあるかもしれないが、保証人代行サービスもある。公営住宅が踏み込んで連帯保証人不要とすると民間の住宅等への影響も考えられる中で、そこまで踏み込んでいく事情について特に説明はなかったと思うので、連帯保証人制度を維持したまま然るべき対応をとるべきではないかと考える。あくまでひとつの典型的な意見であり、この議論の中で委員の皆様の中から異なる意見が出てくれば、理解が深まり意見も変わってくるかもしれない。

 ・ UR賃貸住宅は民間賃貸住宅や公営住宅と違ってそもそも連帯保証人を立てていただいていない。その代わりに収入要件があり、月額家賃の4ヶ月分の所得があることを基本的な条件としている。家賃の滞納等が発生することは当然あるが、そういった条件をつけているため、本人への働きかけを強化するなどにより滞納が問題になっているというほどの状況ではなく、公営住宅とUR賃貸住宅とは背景が異なるかと思う。一方で、京都府内において49団地2万3千戸の賃貸住宅を管理運営しているが、建設年度や立地によっては家賃が3万円代の住宅もある。そのような住宅には、公営住宅も視野に入れながらも、公営住宅は連帯保証人が必要でUR賃貸は連帯保証人が不要だから、UR賃貸住宅の安いところを選択しようとする方が入居するといった傾向も見られるところ。そういった意味では、公営住宅とUR賃貸住宅というのは一部の階層の方に対しては共存し、受け皿という関係になる。仮に公営住宅において連帯保証人制度を廃止するとなると、連帯保証人が必要なためにUR賃貸住宅に流れていた層が公営住宅も視野に入れることとなり、選択肢が広がると思われる。一方で、連帯保証人制度を廃止することによって行政の家賃滞納に対する対応が難しくなる状況をどうするかという両方のバランスを考えるべきであり、また、入居される方は府民でもあり市民でもあるので、市営住宅の取扱いがいずれの方向となるのかというところも意識する必要があると考える。

 ・ 市営住宅の動向についてはいかがか。

→ 正確な市町村の動向は把握していないが、この件について相談を受けた事例も特にないので、積極的に検討が進められている状況ではないのではないかと思う。宇治市が検討されているようであればご教示いただきたい。

 ・ 民法改正に関しては、そろそろ検討を始めるべきであると認識している。実際問題として保証人制度を廃止するとやはり滞納の増加は見込まれる。また、保証人を設定しなければいけない住民の方からは風当たりの強い意見もいただいており、行政としてどちらを採るのかは見極めないといけない。先ほど委員の方から民法改正とは直接リンクしないという話があったが、法的な立場というよりは住民の方を第一に考えなければいけないという立場から、他の委員の方々のご助言をいただければありがたい。

→ 補足だが、連帯保証人制度を維持する場合の懸念がいくつかある。まず一つは極度額設定について、額がいかほどになるかという現実的な問題はあるが、行政関係者と話をする中でよく聞かれるのは、極度額が見えることによってより嫌がられるのではないかという懸念。30万円負担しないといけないならもうやめておきますという話になるおそれがある。極度額を設定することによって、更に成り手が減るのではないかという問題がまずある。

 従来から連帯保証人の確保が困難な方やその支援者の方から機関保証を導入してほしいという要望がある。単身高齢者の方等は連帯保証人を確保できないから入居を諦めるということもあり、極度額設定を導入するからには連帯保証人を確保できない方に対して救済措置が必要であると考えると、まず機関保証を入れるべきでないか。ただ、この機関保証については、国からも通知されているとおり、国交省が登録制度を設けているが、やはり無料ではやってくれないし、資格審査もある。入居者には保証料という一定の負担が上積みされる。岡山県などは既に導入しているが、県のNPOを認めてそこにやってもらうという形をとっているので、機関保証については、有効な保証会社にやってもらえるのかという見極めの問題がある。

 さらに、現在の猶予制度はいつまでも待つという中途半端な取扱いなので、どうしても機関保証も困難な方に対し、場合によっては連帯保証人を免除するということも考え合わせると、「連帯保証人が必要」とした場合でも、免除の範囲等の設定次第によっては連帯保証人のいない方が増える可能性がある。連帯保証人制度を維持しながらも実際はほとんど連帯保証人がいないという骨抜きの状態になるのか考えていく必要がある。

 こういった問題については、現状の事実関係や機関保証の詳細をご報告しなければご検討いただける状況ではないと考えるので、今後の課題として持っておきたい。

 ・ 猶予制度があるとのことだが、その対象者は高齢単身者の他にどのような方がいるのか。

→ 資料1の6ページにあるとおり、高齢者や障害者、子育て世帯など、優先募集に申込資格のある方が対象者ということになる。また、生活保護受給者で、保護の支給機関から家賃が直接府に支払われる場合に限り猶予を可能としている。

 ・ 生活保護受給者は代理納付ではなく猶予ということか。

→ 代理納付は、生活保護受給者が支給された住宅扶助費を家賃として直接家主に払ってもらえる制度。市が支給者である場合は市から家賃が府に直接支払われる。そうなれば基本的に滞納は発生しないので、保証してもらう必要もないので猶予の対象となっているということ。

 ・ 実質的に免除になってしまうケースも多いのか。

→ 入居後も探してくださいとお願いしても、実際にはなかなか見つからないと言われるとどうしようもないので、実質的には免除になってしまうこともある。

 ・ 連帯保証人の状況が変化して保証できなくなり、連帯保証人がいなくなった場合も免除のようになるのか。

→ 連帯保証人の確保は手続として義務づけており、入居者に再度確保してもらう必要があるが、なかなか見つからないと言われるとそれ以上手の打ちようがないため、実質的に代わりの連帯保証人がいなくても住み続けられるということになる。

 ・ 参考資料1の24ページあたりの資料は全国版の統計なので、京都府がどのような位置づけなのかわからないが、滞納家賃の全国平均額が226,596円で、うち保証人又は連帯保証人に対して請求したものが263,848円、次ページの実際に保証人又は連帯保証人から支払いがあったものが平均116,232円と、そこそこ機能しているとはいえ、これだけの対策でうまくいっているわけではない。そういう意味でいうと、府が補てんしている差額分を減らすために機関保証など別の対策を考える必要がある。個人にこの部分の追加支出を求めるというのは公的な住宅では考えにくいところがあり、既に府が追加支出を余儀なくされていることから、いろいろな対策を考えることができるのではないかと思うがいかがか。

→ 家賃の減免ということか。

 ・ とりっぱぐれているものをおそらく誰かが補償しているのではないかと思うのだが。

→ 連帯保証の意味としては、まず本来の債務者から取り立ててくださいという抗弁ができないことが挙げられるが、現実的には活用できていない。また、滞納額等の支払者が誰かわからないので連帯保証人からどれだけ支払われているか把握できていない。とりっぱぐれが出たときで連帯保証人に支払っていただけないときには、家賃滞納による訴訟を提起して退去してもらうという選択肢もある。ただ、この場合も連帯保証人を被告としていないので、併せて滞納家賃等の請求はするが、裁判上確定しても支払義務者が入居者でしかない。結局、入居者から回収できなければ府で補っている。回収如何については課題があり、債権管理上は取れなかったらどうするかという問題になるので、単純に免除するべきと言えるかというとそれも難しいところがある。

 ・ 保証人から取れない例では、保証人が遠く離れた親族であったりする場合が多く、実際には保証人でない親から回収していることもあるが、全体的な割合はそれほど多くないと思われる。

 ・ 今の話は、そういった事例の場合、あらかじめ連帯保証人に加えて債務保証会社を利用するなどの選択肢を用意して、連帯保証人の負担を減らしていくということもあり得るのではないかという趣旨。

→ それはあり得るかと思う。基本的に入居者本人に連帯保証人を立てていただくという前提があるのではないかということと、本人負担を増やすことを懸念して府が代わりに保証料を負担するということも考えられなくはないので、そのあたりの検討は、保証会社の保証料や審査等について確認しつつ行いたい。

→ 連帯保証人を維持するにしても、極度額設定だけではなく機関保証制度や免除制度等による対応を考えており、選択制にするという形も方向性としては考えられる。平成32年4月から全て機関保証にするということではなく、連帯保証人を立てられる方は立ててもらい、立てられない方は機関保証を利用するが、ただし保証料は本人の自己負担にするといったものが考えられる。

 ・ 確かに民法改正の個人根保証契約に関する部分と、連帯保証人を維持するのか廃止するのかという論点は、一見関係ないように思えるが、極度額を設定するということは、連帯保証人にならざるを得ない方は自分が家を借りているわけでもないのに上限なく責任を負わなければならないということについて、人権上おかしいのではないかということで限度がつくことになった気もする。連帯保証人という人的担保を公的な機関までもが求めているという点を、そもそも考え直すべきではないのかと感じる。民法改正にも、連帯保証人はそこまで負担しなくてよいというメッセージがあると思っている。UR賃貸住宅でも不要としているとのことだった。本来は個人の負うべき債務であり、今後連帯保証人になる方が少なくなっていくにつれ、個人で負うべきという考え方も強くなっていく。家族主義のような考え方は時代とともになくなっていくので、個人で負ったものは個人で支払うという考え方を浸透させた方が時代の流れとしてはよいのではないか。負えないとしたら、公営住宅はセーフティネットであるから公的な機関が負うしかないと思われる。

 ・ 考え方としては賛成。制度を維持するとなった場合に、高齢化により連帯保証人を確保できる方が少なくなってくると、この先どれぐらい確保できない方が出てくるのか。連帯保証人の確保が難しい場合に、機関保証制度や免除制度を導入するとしたらかなりのコストがかかると思われる。制度が形骸化していくことを考えたときに制度維持に人手やお金がかかるとなると、最も効率的な方法は何なのか。債権回収の手続だけでも大変かと思うし、身寄りのない高齢者や障害者等の社会的ネットワークの少ない方々に対しての制度としてはそういった視点も必要かと思う。維持するコストを考えるとプラスになる制度を導入した方がよいのではないかといった見込みをもつことが必要。

→ 参考資料1で全国データを提供させていただいているが、次回管理部会には議論を深めるために、ここから府のデータを抽出して紹介したり、入居者の家族形態の状況を紹介したりするなどしたい。定性的な傾向性はおそらくこうだといえるが、実体的に連帯保証人を探せないために申込資格がないと判断し申込をしない方がいたり、当選したが辞退した方について辞退理由がわからない方がいたりと隠れている理由はあると思われる。数字でお示しするのは難しいが、入居者の特性や連帯保証人への請求はどの程度行っているか、滞納がある方には訴訟を行い退去してもらう場合もあるので、その件数や状況を調査する。コストというのはこういったことも含むと思っている。また、機関保証の料金はどうなっているのか、どの程度の負担になるのか等整理し、示していきたい。そういったことを踏まえてどのような選択をするべきかご議論いただきたい。

 ・ 議論の方向性としては連帯保証人の廃止という方向に向かっているように思うが、全国的な動向も気になるところだが、今のところ保証人不要の自治体は12しかないとのことであり、かなり踏み込んだ先進事例になることが予想される。そうなった場合、ここで議論したことからどのようなメッセージや大義が読み取れるか、どう説明していくか、非常に注目を集めることになるかと思う。「連帯ではなく個人責任」というのは未来に向けての考え方のひとつだと思うが、UR賃貸住宅のように所得保証もせずに民間賃貸住宅と違って連帯保証人もつけずに入居させる。従来の公営住宅のターゲットの一部にそういった困った方もいるだろうが、そうでもない方も含まれている中で、公営住宅の捉え方・見方も変わってくるのではないか。そこまで思い切ったことをするのであれば、しっかり理論武装してはっきりとしたメッセージ性を打ち出していかないと、単なるデータでは説明がつかないのではないか。それ相応のメッセージ性、理論武装を同時に持たせていくべき。

 ・ 現時点では連帯保証人制度の維持か廃止かについては置いておき、事務局から説明があったように、京都府の現状を調査してそのデータをもとに、この課題については年度をまたいで議論を進めたい。

<報告事項について>

●資料2について主な質疑

 ・ 宇治市も導入について検討するべき時期がきていると考えている。住宅課や土木事務所に業務が戻ってきているようだが、費用対効果はどの程度見込まれるのか。回答できる範囲でかまわないので参考に教えていただきたい。

→ 基本的には指定管理者に任せたいところだが、制度的に不可能なものについては、大部分を補助行為として指定管理者にお願いし、決定行為の部分を府で行うことで、できる限り府の負担を軽減している。

→ ご質問の趣旨には、指定管理委託料が減っても、府に業務が戻り労力を要することになるなら、メリットはさほどないのではないかということもあるかと思う。現在、京都府住宅供給公社が管理代行により管理しているが、公社には府の職員を十数名派遣しており、指定管理者制度導入後はその職員を府に戻すこととしているので、業務が増えても十分対応可能であり、負担が増えることにはならないだろうという想定で導入した。

●資料3-1、3-2、3-3、参考資料2について主な質疑 

特になし

5.配付資料

資料1(PDF:535KB)

資料2(PDF:85KB)

資料3-1(PDF:154KB)

資料3-2(PDF:210KB)

資料3-3(PDF:121KB)

参考資料1(PDF:3,463KB)

参考資料2(PDF:280KB)

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