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第4回木津川・桂川・宇治川圏域河川整備計画検討委員会

第4回木津川・桂川・宇治川圏域河川整備計画検討委員会の開催結果

開催日時

平成22年10月22日(金曜日) 午後1時から5時

場所

ルビノ京都堀川 ひえいの間

出席者

【委員】8名(1名欠席)
井上 和也(京都大学名誉教授)
川島 茂人(京都大学大学院農学研究科教授)
出口 晶子(甲南大学文学部歴史文化学科教授)
羽倉 睦人(公募委員)
林 博之(京都府立嵯峨野高校教諭)
本郷 弥香(公募委員)
町田 玲子(京都府立大学名誉教授)
吉村 真由美(森林総合研究所主任研究員)
(欠席委員)
上原 真人(京都大学大学院文化研究科教授)


【一般傍聴】 なし
【府関係者】 18名
【関係市町】 6名
【報道関係】 3名

議事

結果

桂川下流圏域および木津川圏域の河川整備計画(期間概ね30年間)の目標に関する事項、実施に関する事項について説明し、概ね了解された。

主な発言内容

1.桂川下流圏域の現状と課題
【委員】
 圏域内の河川のハザードマップの整備状況はどの程度か。また、このハザードマップを活用し地元で訓練することが大事だと思うが、地元の防災組合等の受けとめ方はどうか。
【事務局】
 浸水想定区域図は府が作成し、これをベースに関係市町村がハザードマップを作成し、配布していただいている。京都府内全体で概ねハザードマップの配布を終えており、この圏域内の市町村についても配布は終わっている。基本的には、ハザードマップ配布後それをもとにして水防訓練等を行う形が求められると思うが、なかなか実際には訓練が出来得る状況までになっていない。また、市町村側での避難判断をしていく基準づくりが必要と考えている。
【委員】
 5ページの「防災情報の共有化を進めている」と書いてあるが、誰と共有化を行うのか。
【事務局】
 府民との共有ということで考えている。インターネットを持っておられない方や、パソコンで水位を見てもよくわからない方もおられるので、視覚的にその河川の状況がわかるような情報も並行して提供する取組みを進めているところである。
【委員】
 課題に「防災意識の啓発・高揚に努める必要がある」というのも、これは府民に対して京都府がする課題と理解して良いか。
【事務局】
 ご高齢の方とかインターネットができない方もあり、地上デジタル放送の情報ボタンを押すと京都府の防災情報を見ていただけるような提供も始めている。できるだけ色々な媒体を使って府民の方に川の現状や雨や水位の状況を提供する取組みを進めていきたい。
【委員】
 生物環境のところで桂川本川においてはオオサンショウウオが確認されているということ記述されているが、このオオサンショウウオはほとんどが交雑種か中国産であるということがわかってきており、どう記述されるのか。
【事務局】
 ここに書いているオオサンショウウオは国産種という前提で記述している。記述については検討する。
【委員】
 治水面や維持管理に関しては住民参加ということがとても求められてくると思うが、例えば京都府の中で河川の防災センターみたいなところはあるのか。地域住民が気軽に行けるような所が有れば河川に対する関心も出てくるのではないか。また、川のごみなどの清掃活動が盛んに行われている所がどういう場所なのかということの関連性を見れば、親水性保全のあり方もそこに連動させて見えてくるのではないか。例えば、現地見学で見た有栖川の親水公園などでは、恐らく親御さんたちも率先して清掃しようという意識になりそうにも思える。
【事務局】
 防災センターのような施設は京都府には無く、施設を新たに作るというのも今の財政状況の中で非常に厳しいことから、市町村と連携しながら情報をうまく使って住民の避難行動を適切に行うための取組みを行っていくことが大変重要と考えている。清掃活動については、山城管内では、山城水辺のパートナーシップということで、各河川のボランティアの方の取組みをサポートしている事業がある。どういった場所で活動が盛んなのかというところまでは分析ができておらず、今後の検討課題としたい。

2.桂川下流圏域の整備計画の目標と整備内容について
【委員】
 国が定めた淀川河川整備基本方針の計画規模と整備計画の計画規模はいくらか。
【事務局】
 基本方針では、枚方基準点で200分の1、桂川の中流域については150分の1。整備計画については、戦後最大洪水ということで、桂川については概ね20分の1程度である。
【委員】
 有栖川については50分の1、善峰川については30分の1ということだが、桂川本川より高い整備水準にならないのか。
【事務局】
 基本的には本川の流量がピークを迎える前に支川のピークは過ぎていることから影響は少ないと考えている。既に策定した鴨川の整備計画においても、本川の毎秒3,700立方メートルに対して鴨川が3分の1ぐらいになるが、本川とのピーク時差により説明し了解を得ており、今回の対象河川は鴨川よりもかなり小さな支川である。
【委員】
 現状が何年に一度の確率規模相当、計画が何年に一度の確率規模相当、それで被害がどれぐらい、10年に一度の大雨が降ったらどれぐらいの被害が出る、それに対して建設コストが幾らかかるというのが表にできれば、順位づけというのがもう少し客観的にできるのではないか。
【事務局】
 現状の整備率と残る区間がDID地区かどうか、さらに近年洪水被害の有無を尺度にさせていただき、6河川を選定している。B/C(費用便益比)については整理をしてお示しする。
【委員】
 近年の浸水被害がないという記述が10ページの左の表に何カ所かあるが、近年とはどれぐらいの期間か。例えば宇多川は5年に1回の確率とあるがもうまもなく起こるのか。
【事務局】
 5年から10年程度の期間と考えている。ただ、30分の1の確率というのは、30年に1回来るという意味でなく、それくらいの確率規模相当ということであるため、現実には、2年連続で来るかもしれず、また、40年来ないかもしれない。確率的に処理したところ30年に1回相当の流量ということであり、目安と考えいただきたい。
【委員】
 整備計画がおおむね30年間の対象期間とあるが、この30年間でこれらの川は完成するという見通しか。例えば1つの河川に関してこれを進めていくときに、大体どれぐらいの年月がかかるものか。
【事務局】
 今回考えている対象河川の実施予定区間をおおむね30年で完成を目指すと考えていただきたい。
【委員】
 同時並行的に進めていくのか。この中でも特に優先的な場所というのがあるのではないか。
【事務局】
 4つの河川について、この30年間で同時並行で進めていきたい。
【委員】
 30年たてば、この4河川は全て整備率が100%になるのか。
【事務局】
 有栖川については、12ページに示しているとおり、桂川合流から西高瀬川の合流までの2.2kmを今回の計画対象区間としており、この西高瀬川から上流区間が未改修区間として残ることになる。
【委員】 西高瀬川について、流水の再生を図るとともに、拠点となる箇所に親水性に配慮した水辺空間を創出するとのことだが、現在降雨時しか流れていない西高瀬川にどのような形で水を流されるのか。また、公園の中に水を取入れて流す計画と思うが、はっきりと表現すれば良いのではないか。
【事務局】
 資料に載せているイラストは公園に水を引入れる絵になっているが、これは地元の方とワークショップを開く中で、皆さんの声を集めて絵にしたものである。具体的にどのように整備を進めるかはまだ詳細を詰められていないが、このイメージに基づいた整備を進めていきたい。水の量については、約0.2トンでくるぶしが水につかる程度であり、公園まで水を上げることは難しいが、水に近づけるような施設を検討したい。
【委員】
 この水源はどこになるのか。現状では、桂川から流れて来た流水が天神川で流れ落ちているが、何か超えて流す方法をとるのか。
【事務局】
 今は天神川の改修により西高瀬川は分断され、一ノ井堰から取水した水は全部天神川に落ちている。そのため西高瀬川自体は涸れ川になっている。今三条坊町公園のところが分断された西高瀬川では一番地盤が高いところになるので、分断される前の西高瀬川から毎秒0.2立方メートルの水を分水して、この坊町公園付近で水路に吹き出すと、下流側に流れる部分と天神川のほうに戻っていく水が分かれるので、その結果、それぞれのところでくるぶしあたりぐらいの水は流せるということになる。
【委員】
 「河川工事の際には、魚類と生態系」とあるが、魚類だけではなくて、植物も影響がある。地元の人から、長くそこで育っていた植物がなくなったという話も聞く。
 また、木津川本川の改修で河川を深く掘り下げることにより、昔あふれるぐらいあった地下水が出なくなったと聞いた。河川改修により地下水に影響が出るのではないかという心配も有るがどうか。
【事務局】
 木津川本川のほうは上流のダム群で土砂がとまっている影響もあり、河床が低下傾向にある。そのため周辺の地下水位が下がってくることもあるかもしれないが、地下水の影響というのは定量的に観測が難しく、どういった表現ができるかというのは、少し研究させていただきたい。植物の関係は、原案でどう表現するか検討させていただく。
【委員】
 生物といっても、在来種と外来種では大きく意味合いが違ってくる。魚の場合漁業権もあり、有用魚に対する影響というのも考えて記述されているのかもしれないが、外来種まで含めてしまうと話が違ってくると思うので、一般的に魚と書いてあるところを少し検討していただけたらどうかと思う。
 また、場合によっては分断されているほうが在来種が守られるということもあると思われるので、その点も文言を少し検討していただけたらと思う。
【事務局】
 特に在来種を保護するため生息域を守るというような話もあるかもしれず、書き方を考えたい。
【委員】
 21ページに、河床の土砂の堆積とあるが、川は水を流すのが目的であって、樹木の撤去というのははっきり言うべき。
【委員】
 分断されて連続性がなくなるのは魚だけではないので、「魚等」と書いていただきたい。また、21ページの流水の正常な機能の維持のところで、データの蓄積に努めるとあるが、努めてその先どうするかを書いていただければと思う。9ページの「濁水の流下防止に努める」という記述があるが、ここに「土砂」を入れていただけると、生態系への影響も少し配慮できると思う。

3.木津川圏域の現状と課題
【委員】
 防賀川でオオクチバスがいるにもかかわらず希少なタナゴ類がいるのは、1つには非常に分断されている河川だからこそオオクチバスがあまり移動できないという特徴がある。ここをわざわざ魚道を作ってオオクチバスが上ってくるような形にはしないほうが良いと思っている。また、この辺は恐らく希少なニマイガイ類がいると思う。タナゴ類はニマイガイに産卵するので、河床を掘削する時には、ニマイガイを守らないと希少なタナゴ類もいなくなるのではないかと危惧される。さらに、木津川の上流ブロックのところで、このあたりには水生昆虫でかなり珍しいものがいると思うので確認願う。
【事務局】
 バスについては現状で数は少ないが確認されているということで、タナゴ類等の生息環境が悪くならないよう検討したい。それから、ニマイガイの保全については、主に河床が泥系でその中に住んでいるということであり、施工の際に出来るだけ元にあった河床材料で埋め戻すというような施工上の工夫を考えたいと思っている。上流ブロックについては、水生昆虫について確認する。
【委員】
 この圏域では土砂の流出はまだ続いているのか。天井川が進んでいく方向か。
【事務局】
 現状で言うと、昭和28年災害以降砂防ダム等の整備を進められ、天井川の河床が上昇するような極端な進行は余り見られない。現状では、古い施設が多く漏水を生じる等の課題の方が多いと認識している。
【委員】
 この圏域の下水道の普及率はどういう推移になっているか。例えば、大谷川は余りいいとは言えず、桂川は下水道の普及と相まって非常に水質が改善されたというような結果も出ており、その辺がどうかと思うが。
【事務局】
 木津川左岸で流域下水道の整備がされており、合わせて関連する市町村が面整備をされているので、特に八幡とか城陽とか一定の値まで水質改善はされていると思われる。大谷川流域についても面整備が進んできており、従前に比べれば水質の値もかなり良好な値に近づいている。
【委員長】
 堤防の漏水はどうか。木津川本川は堤防の質が良くないとよく聞くが。
【事務局】
 支川のほうでは砂堤防というのはあまり聞かないが、本川は木津川の砂で出来た状況なので、一定水位が上がれば危険な状況になるため、国が堤防補強ということで遮水シートや天端舗装等の浸透防止対策を進めている。

4.木津川圏域の整備計画の目標と整備内容
【委員】
 計画対象河川の抽出のプロセスが、桂川下流圏域の場合と木津川圏域の場合と違っているが、どのように考えているか。
【事務局】
 基本的には、目標に対する流下能力を確保できていない区間が残っている河川の中で、資産集積が高いところを選んで整備を進めることとしている。まとめ方のところで、文化学術研究都市のエリアというのが特出されて表記されていることから、若干違ったような印象を受けられるかもしれないが、基本的には同じ考え方である。
【委員】
 生物環境のところで普賢寺川の絶滅危惧種のメダカというふうな形で生息が強調されている。他の河川で同じメダカだけれども放流された所もあると思われ、ここで危惧種と書いてしまうと、かえって誤解を招く可能性もある。あえて書かないか、書くならば本当にそうかということを精査して表現すると整合性が出るのではないか。
【事務局】
 十分注意して記載するか検討したい。
【委員】
 山城うるおい水辺パートナーシップ事業というのは、木津川も桂川も共通した事業か。
【事務局】
 山城広域振興局の管内での河川美化愛護の活動をこの事業で取組んでおり、共通した事業である。
【委員】
 資産価値とあるが、人の資産か、あるいは農作物というようなことも資産に含むのか。人口の多いところが資産も多いのか。
【事務局】
 治水経済マニュアルに基づき人と家屋と農地などの資産価値を算出している。治水経済マニュアルにおいては、資産を算出する際には、例えば家屋であれば、家屋や電化製品等の家庭用品の標準的なものを調べてあって、それに基づく率を面積に掛けて合計し、被害総額という形で算出している。
【委員】
 それは完全に水没して使えないようになったら、資産総額が被害総額になるが、そんな極端なこともないから、そのうち何%かが被害になるということでしょう。
【事務局】
 浸水深により被害率が変わる。家屋浸水は床上、床下によっても違い、床下ではそれほど被害は出ず、床上になると電化製品などが水につかったら全部アウトになるので被害額が急に増える形になる。

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