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平成25年11月26日(火曜日) 午後2時から午後4時まで
御所西 京都平安ホテル 「平安の間」
【委員】7名
井上 和也(京都大学名誉教授)
上原 真人(京都大学大学院文学研究科教授)
川島 茂人(京都大学大学院農学研究科教授)
中村 久美(京都ノートルダム女子大学生活福祉文化学部教授)
羽倉 睦人(公募委員)
本郷 弥香(公募委員)
吉村 真由美(森林総合研究所主任研究員)
(敬称略、五十音順)
【一般傍聴】 なし
【行政関係者】 12名
【報道関係】 6名
資料1 平成25年台風18号の出水状況と対応に向けての課題(PDF:2,282KB)
平成25年台風18号災害の出水状況と、それらを踏まえた各圏域の河川整備の課題について説明し、概ね了解された。
【委員】
木津川・桂川下流・宇治川圏域に関するまとめの中で、「台風18号で顕在化した課題」に対する具体的な対応方針を説明されたい。
【事務局】
例えば、台風18号で浸水被害のあった安祥寺川、四宮川については、上流に未整備区間を抱えるものの、近年は氾濫等による大きな被害がなかったということで、実施時期として直ぐには着手しないという整理をしていた。今回の出水を踏まえ、概ね10年に1回に起こりうる洪水を安全に流下させるという整備目標については見直しの必要が無いものと考えているが、実施時期を検討すると位置付けた河川において大きな被害が発生したので、これらの河川については、今後、関係者と連携して調査・検討を進め、具体的な整備手法等が決まり次第、計画変更の手続きに入っていきたいと考えている。
【委員】
今回の出水状況を踏まえた対策として、河川とその周辺だけでなく流域全体、特に上流部の保水性の状態をより良くすることに力を注いだ方が、水害を予防する意味で効果があると思う。例えば、森林の保水能力を向上させる対策や、公園やその周辺をアスファルト、コンクリート化しないなど、そういう取り組みが必要。
【事務局】
昨年の府南部豪雨の激しい雨や、今年の台風18号の広範囲の長雨のような、確率的にも規模の大きい降雨の洪水を全て河川の中だけで安全に流そうとすると、莫大な年月と費用、用地買収が必要になる。今回の出水を踏まえ検討する対策については、河川の整備でどの規模の洪水まで対応するのかということに併せ、山地からの流出をいかに抑制するか、また、雨水をできるだけ貯留して河川へ一度に集中させないなど、流域で対策可能な取り組みについても検討したい。
【委員】
桂川の場合、下流直轄区間の整備計画が明らかにならないと上流の計画検討に手がつけられないという事情があるが、国の整備計画の検討状況と河川整備の見通しはどうなっているか。
【事務局】
桂川は、淀川の合流点から嵐山までを国が管理しており、掘削や築堤などの河川整備を下流から順に進めていく計画となっている。着実に整備は進めていただいているが完成はまだ先で、現在、嵐山地区の対策をどういう方向で進めていくのか検討中である。府としてはこれまで、直轄区間の整備状況を踏まえ上下流のバランスを図りながら、段階的に流下能力を上げてきた。下流の流下能力が改善されない限り、上流の河川整備を行うということには、やはり、一定の制約がかかるものと考えている。そういうこともあり、今回の検討課題の中に効果的な流域対策の検討ということを書き加えている。河川に雨水の流出が集中しないよう流域で貯留したり、あるいは、ある程度の洪水調節をしたりなど、どういう方策が可能か少し幅広く検討したいと考えている。
【委員】
嵐山は世界的な観光地ですから、例えば、大規模に河川を掘削することに景観上の問題はないかなど、その辺りが非常に難しいところ。かけがえのない観光地、景勝地であるがため、そもそも、現状を大きく変えることができないという制約があるのであれば、やはり、上流の河川整備においても、それを考慮した対策が必要ではないかと思う。
【事務局】
国の淀川水系河川整備計画では、30年後(策定後5年が経過したので25年後)には昭和28年の戦後最大洪水に対応する河道整備を完了することになっている。段階的な整備として、当面は10~15年後を目途に平成16年台風23号洪水に対応するため、原則的には、嵐山地区についても河道を広げ洪水を流下させることとなっている。現在、嵐山については景観にも配慮しながら、どのような整備手法が実施可能か検討を進めているところ。
【委員】
今回の台風18号で人的な被害が無かったのは、やはり、これまでのハード整備やソフト整備の取り組みの成果であり、これらがうまく機能したということだと思うが、気象庁が発表した特別警報は、今回どのように活用されたか、また、それを今後どのように活用していくか京都府としての方針があれば、お聞かせいただきたい。
【事務局】
今年8月31日の運用開始以来、実際に特別警報が発表されたのは今回が全国でも初めてのことであった。このため、自治体によってはその対応が異なり、周知の手続にも時間差があった。こうした状況は京都府だけでなく、同じように福井県、滋賀県においても見受けられたと聞いている。これらの状況も踏まえ、気象庁では、特別警報をさらに周知し理解度を高めるとともに、いかに円滑な情報伝達を実現するか、自治体から住民への周知の方法も含め検討されている。今回の対応状況を踏まえ、今後、運用方法を改善していくとの情報もあるので、いずれ紹介したい。
【委員】防災情報をむやみに発信すると狼少年のようになりかねないという意見も聞くが、特別警報などはどんどん活用し、危険だという時には早目に情報を流す方がいいと思う。被害が無く少し大げさになったとしても、ためらわない方がいいだろう。今回は、その辺りがレビューされていないが、改めて、どういう対応を行って、市民からどういう意見が出ているか把握しておいていただきたい。
【委員】
今回の台風では、確率的にもめったに起きない自然災害が実際に起きて、被害が生じた。一方、我々はそれらの防災対策の計画を議論するわけだから、今回降った雨の規模と河川の現況安全度、そして発生した被害の程度を比較し検証しておくべきではないか。例えば、全ての河川を表形式で整理すると、今回降雨の規模と整備状況を比較する中で、想定可能なやむを得ない被害だったのか、想定以上あるいは良くない方向での被害が出たのか。あるいは、意外と被害が軽く想定以下だったのかが見えてくる。もちろん、河川にもいろいろな区間があるので、アナログ的な整理になるかも知れないが、これらを整理していただくといいと思う。今回の説明資料ではポイント的に考察をまとめているので、全体像が見えない。次回以降、桂川上流圏域を検討する中でも今回の台風被害について一覧表に整理していただければ、そこから整備目標の議論ができると思う。他の圏域についても、整備目標を見直さないとしても、全体としてどうだったのか。100年に一度の降雨に対し、我々が今までやってきた整備は、どれだけの効果があったのかというものが、そういう整理によって全体的に見えてくると思う。
【事務局】
とりあえずは、一定の水準で整備が完了している河川、未整備の河川に分類し、流域の大きな河川、小さな河川、また、被害の状況として、氾濫した河川、施設被害を受けた河川などに分類して整理を行い、どのような河川で被害が大きかったのか、どういった整備を実施してきた河川では被害が無かったのか、あるいは被害の程度が小さかったのかということが判るよう、次回の委員会に向けて整理したい。
【委員】
八幡市では、いつも被害の発生する地域は同じで、地域の安全度をよく御存知の方は家を建てるときに宅盤を高くしている。こうして浸水がたびたびおこるような地域では、溢れた水が道路を河川として流下し、保水能力を上げるような整備ができれば、被害が軽減されるのではないかと思う。
【事務局】
水害が発生すると、都市部でも中山間地域でも道路を水が走るケースがよく見受けられるが、災害時の避難や救助に交通の確保が必要であるので、道路に川と同じような役割を持たせることは想定が難しい。ただ、道路においても透水性舗装により雨を浸透させるなど、できるだけ河川に流出させない取り組みを地域ごとに取組んでいただいている。
【委員】
今回、特別警報の発表が、雨のピークが過ぎた9月16日午前5時5分であったが、桂川の羽束師観測所の水位データによると午前6時の少し前には計画高水位の赤の線を超えている。しかも、特別警報は河川単位でなく府県単位で発表されるので、このタイミングで特別警報が出され、河川として本当に対応できたのだろうかということを疑問に思う。
【事務局】
特別警報の発表にあたり、気象庁では河川との調整に相当苦労されたという話を伺っている。実際、50年に一度、100年に一度の雨をどのようにとらえるかがポイントで、これまでの集中豪雨の警報では、時間雨量や3時間雨量といった単位で判断し直ぐに発表するイメージがあったが、今回はだらだら降ったためどのタイミングで確率評価すべきか判断が難しく、結果、総雨量が卓越した時点で、それも府域万遍なく降った状況を確認して判断されたと思う。なお、伊豆大島の土砂災害では、非常に狭い範囲に集中して発生したため、東京都全体規模ではないということで特別警報は発表されなかった。今回、その辺の課題がいろいろと見えてきたということで、気象庁も、それを踏まえ検討していくということだ。
【委員】
結果から見ると総雨量が400ミリを超えているので、やはり特別警報に達する降雨だったわけだが、先を読むことはなかなか難しく、予測して発表せよということは無理な注文かもしれない。
【委員】
今回、宇治川の出水は昭和28年台風13号の水位を50cm上回る大洪水で、堤防まであと1mほどの高さまで水位が上昇し、どこで決壊してもおかしくない状況であった。そのような状況で、上流部の改修をどんどん進めて大丈夫なのかと思う。内水排除のポンプにしてもそうだが、皆が洪水を下流へ流せばどの河川でもパンクする。桂川の嵐山でも倍する洪水を流すということであるが、国にも働きかけ、バランスよく下流域の安全度を確保し、あるいはダムなどによる洪水時間の調節が必要である。宇治川では、いつも三川合流から山科川まで洪水が逆流して水位が上がる。今回は大きな被害がなかったが、その辺の安全を願う。
【委員】
おそらく瀬田川の洗堰は全閉していたはず。宇治川の自流量はほとんどなかったのではないか。
【事務局】
上流の大戸川流域からの流出が結構多く、天ヶ瀬ダムに流入した量もこれまで経験したことのない大きな流量だったということである。このため、ダムを最大限に運用しながら下流への放流を行った。
【委員】
雨の量に比べ、私は被害が少なかったという印象を持っている。おそらく、洪水に時間差があったからだと思うが、もしも同時に集中していたら、三川合流部辺りでもっと甚大な被害が発生していたのではないかと思う。
【委員】
はん濫危険水位超過するなど、水位が上昇していろいろな河川で浸水被害が発生しているが、水位が高かった分、長時間浸水した場所もあったのか。洪水が一斉に引いたとも思えないが。
【事務局】
大きな河川は出水に時間がかかるが、治まるにも時間がかかる。逆に、小さい河川は早く水位が上がって早く下がる。特に、由良川などの大きな川では水位が下がるのに非常に長い時間がかかる場合もある。今回、琵琶湖の水位が相当上がり、その水位を少しでも早く下げるよう洗堰の放流量を多くしたため、宇治川水位の高い状況が長時間継続したという事実がある。琵琶湖は非常に大きいので、その影響を前提に考えなければならない。
【委員】
桂川上流圏域に関しては、次回以降に検討課題の具体的な内容を議論することとなっているので、どういう提案が出てくるか、我々としても期待を持ちたいと思う。また、亀岡のスタジアム予定地が浸水するなど、今回の出水で桂川上流圏域には思わぬ弱点があると明らかになったとも言えるので、それらを踏まえ、今後、よりよい河川整備計画を検討していただくようお願いしたい。
【委員】
国と府の役割の兼ね合いがなかなか見えてこない。下流域で国がどういう計画をしているのかということも、説明いただいた上で議論を進めた方が良いと思う。例えば、どれぐらいの流下能力を下流で確保しようとしているのか、それに対してどういう工事計画があるのかというようなことも説明いただきたい。
【事務局】
淀川水系河川整備計画と合わせ、下流桂川の計画流量や整備の進め方などが判明する資料を用いて説明することとしたい。
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