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平成30年1月22日(月) 午前10時から12時まで
御所西 京都平安ホテル「白河の間」
【委員】9 名(1 名欠席)
井上 和也 (京都大学名誉教授)
上原 真人 (京都大学大学院文学研究科名誉教授)
大西 正光 (京都大学防災研究所准教授)
川島 茂人 (京都大学大学院農学研究科教授)
出口 晶子 (甲南大学文学部歴史文化学科教授)
中村 久美 (京都ノートルダム女子大学副学長・現代人間学部教授)
羽倉 睦人 (公募委員)
本郷 弥香 (公募委員)
吉村 真由美(森林総合研究所研究評価室長)
(欠席委員)
林 博之 (京都府立城南菱創高校教諭) (敬称略、五十音順)
【一般傍聴】 2名
【行政関係者】 24名
【報道関係】 4社
1.桂川上流圏域河川整備計画(案)
【委員】
この上流圏域の河川に関しては、関心の高い方々が多いとの理解でよいか。
【事務局】
意見数も多く関心が非常に高い。
【委員】
田んぼダムを進めるべきという意見と、一方でそこは私有地だから河川敷地内でやるべきという異なる意見がある。田んぼダムを進めるといった遊水機能を有する土地の保全についての意見を計画案に反映できていないが、どう考えているのか。
【事務局】
将来は霞堤を締め切る計画であり、遊水機能はなくなる。しかし、そういった箇所でも水田に降った雨がすぐに川に流れないように、田んぼで貯めることも必要。
【委員】
遊水の問題は確かに矛盾するような意見もありそれを調和させていくのは難しい。兵庫県や滋賀県でも同種のものがあるが、京都府では安全な京都づくり条例の中で総合治水を図っていくことになっている。それはこの委員会の範囲内ではないが、今後進められていくと思っており、この整備計画で全てをカバーできるということではない。
【委員】
普通の水田では10㎝ぐらいしか貯められないが、アゼ波シートという丈夫なシートを田んぼの周りに差し込めばもっと貯められる。これらに補助金を出す制度を作れば、もっと田んぼダムを活用できる。
【事務局】
田んぼダムにしようとすれば、例えばあぜの嵩上げや、水田からの排水量を制限するために排水桝や堰板を細工するなどの改良が必要。現在、総合的な治水対策を検討する場で、府や関係市の農林部局と検討しているところ。
【委員】
亀岡地区で補助金などサポートし、田んぼダムを積極的に試行していただきたい。
【委員】
これまで総合治水というのは、どちらかと言えば寝屋川や鶴見川のような都市化した河川で先行したが、こういう水田が非常に大きいウエートを持っている流域についても、期待できるところがあるので、是非進めていただきたい。
【委員】
亀岡スタジアムは、アユモドキなど環境については別のところで検討されたと聞いているが、治水はどういう決着になっているのか。
【事務局】
スタジアムは土地区画整理事業により盛土されたところの上に建てるというものであり、土地区画整理事業は平成25年の出水があった後に、その出水も考慮して概ね10分の1の安全度が確保され、開発と治水のバランスを見た中で決定した。さらに、掘削と盛土がセットでなされている。
【委員】
盛土によって若干治水機能がおちるものは、ミティゲーションされていることでよいのか。(ミティゲーション:人間の活動によって発生する環境への影響を緩和、または補償する行為)
【事務局】
代替措置がなされていると理解している。
【委員】
スタジアムが既に既定の計画になった以上、この整備計画に盛り込むまでに至らずとも、今後の維持管理や治水において、視野に入れているというスタンスでないと、住民感情と齟齬がでるのではないか。
【事務局】
将来、開発と治水の公益が両立することが前提になる。河川サイドでできることについては限りがあり、京都府では昨年度制定した安全な京都づくり条例に基づいて、開発行為に対してそれを補う治水対策として、調整池などを設けることを定めている。開発と治水の公益は今後とも両立する方向に近づいていると考えている。
【委員】
条例に基づく適用例はあるのか。
【事務局】
平成28年7月に条例が施行され、現在協議があったかどうかまでは把握していないが、条例によって開発に伴う治水対策が義務付けられたが、従前から開発による代替措置が必要であった。
【委員】
他の県では、地権者と行政側で対立が生じ、難しい例があると聞いているが、我々河川側の立場としては、河川にこれ以上の負担はかけないという基本姿勢は貫いていただきたい。
【委員】
計画に「戸々の家庭」とあるが、「家屋」とか「住居」という表現にしてはどうか。また、水田の所有者が田んぼダムとして位置づけられたことがわかる方が良い。
【事務局】
表現については調整したい。また、田んぼダムは、具体的な場所が決まっていない状況で、これから農林部局や地元の方と調整していくこととなる。
2.木津川圏域河川整備の進捗点検
【委員】
思わぬ費用がかかる、地元調整がうまくいかない、B/Cが例えば1を切るなどの案件が出てきた場合、この整備計画自体は見直しの範疇に入っているのか。またはその事業の執行方法について再検討するまでが範囲なのか確認したい。
【事務局】
この進捗点検の目的自体が、この事業を継続してよいかを点検するという趣旨なので、点検の結果、中止となればそれも含めて検討していくことになる。治水事業は防災で命にかかわることなので、B/Cが1を切った場合、改めて議論した上で判断することになる。それを踏まえて、整備計画上どのように位置付けるかは、さらに別途議論した上で、位置付けることになる。
【委員】
この計画の期間がおよそ30年という長い期間を見ていて、高齢化や人口減少、過疎化のように社会、経済状態が変わってきている状況で、例えば10年や20年経った時に今ここで議論の前提していた条件が変わってくる。そういうことも想定して、この進捗点検自体の見直しについて、どこまでを視野にするのか、計画の見直しまで踏み込んでやるということも必要になってくる。ここでの議論の範囲外だとは思うが、進捗点検の意義について、共通理解が必要だと思っている。
【委員】
単に予算がどれだけ消化されたかの事業進捗率を出されても困る。事業進捗率というのは、当初計画した工事がどの程度進んでいるかという形で示していただかないと理解しにくい。
【事務局】
事業がどれだけ進んだかでは出していない。事業の進捗は金額ベースで60%であり、残りの事業費で本当にできるのかということだと思うが、残りの事業箇所は、田園の中を掘削して護岸をつくるという比較的安価にできる場所であり、現在の残事業費で整備できるものと考えている。
【委員】
そういう説明がないと審議できない。
【委員】
実施し始めて5年ということで、基本的に執行方法などを含めて今すぐ計画を見直さなければならないような状況ではない。
【委員】
事業継続が妥当かどうかという観点については、概ね大きな社会環境の変化とか、特に社会的に問題になるような案件とかがなければ良い。B/Cの数字だけで判断する必要はないが、その流域の人口推移や産業立地の変化など全体の推移を見ないと、計画の見直しが要るかどうかは判断が難しいところがある。今後の課題としてどういうふうに見せていくかは、議論していく必要がある。
【委員】
ソフト対策の取組について、完了したものは入れておくとソフト対策も進んでいるというアピールになる。
【委員】
全体の結論としては、整備計画が策定されて5年ということでもあり、今後、こういうペースで進めていっていただくのが妥当であり、本委員会では木津川圏域の河川整備計画については事業継続が妥当である。
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