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第23回木津川・桂川・宇治川圏域河川整備計画検討委員会

更新年月日:令和5年9月29日

審議会等名

木津川・桂川・宇治川圏域河川整備計画検討委員会

担当課(室)名

河川課

設置根拠法令等

河川法

設置年月日

令和22年3月3日

担任する事項

淀川水系木津川圏域、桂川圏域(鴨川及びその支川を除く)、宇治川圏域における府管理河川の今後20年から30年の整備内容を示す河川整備計画の策定にあたり学識者から意見を聴取する

委員数

9名

開催日時

 令和5年8月29日 15時30分から17時まで

会議場所

 サンガスタジアム by KYOCERA 会議室A

出席者

【委員】9名

(敬称略、50音順)

井上 和也(京都大学名誉教授)

上原 眞人(京都大学名誉教授)

大西 正光(京都大学工学研究科教授)

川島 茂人(京都大学名誉教授)

出口 晶子(甲南大学文学部歴史文化学科教授)

中村 久美(京都ノートルダム女子大学学長)

羽倉 睦人(公募委員)

本郷 弥香(公募委員)

吉村 真由美(森林総合研究所 関西支所 生物多様性研究グループ グループ長)

【行政関係者】18名

【報道関係者】2名 

議事 

 桂川上流圏域河川整備計画の進捗点検について

 (対象河川)桂川(本川・上)、雑水川、犬飼川、千々川、東所川、園部川

 進捗点検資料(PDF:5,144KB)

結果

 桂川上流圏域河川整備計画の継続について、事業継続は妥当

主な発言内容

【委員】

 河川によって進捗率にばらつきがある理由は何か。

【事務局】

 1つの例として掘削土砂の有効利用のための流用先との調整や流用が不可能な不要土の処分に時間がかかっていることが挙げられる。このように、現場ごとの調整等で進捗率がばらついている。

【委員】 

 評価方法として「流す」という評価軸だけではなく、「ためる」価値、「移転する」価値など総合的な評価が必要と考えるがどうか。

【事務局】

 流域治水での取り組みを定量化する方法が確立されておらず悩んでいる。例えば、田んぼダムやため池の有効利用については、費用と効果の評価手法が確立されていないため、河道整備と「ためる」対策とでどちらが効果的か判断できずに困っているのが現状である。

【委員】 

 特定都市河川指定の予定はあるか。

【事務局】

 検討はしているが、例えば、保津峡より上流を特定都市河川に指定しようとした場合、桂川(上)は京都市、犬飼川の上流は大阪府と関係者が多岐にわたり、すべての調整がつかないと指定はできないため、選定段階で苦労しているところ。

【委員】

 過去に霞堤の効果について検証したことがあるが、洪水時の河川の流量はとんでもない量であり、それに比べれば霞堤の洪水時の流量に対する低減効果は僅かなのではないかと考えている。

 住宅地の移転については、どのように評価すべきだろうか。

【委員】

 住宅地の移転前後での家屋の浸水被害から便益は算出できると考える。一方で、移転費用については正確に評価できていない。しかし、経済的視点だけで移転の話は解決しないのも事実である。いずれにしても評価方法がないため今後研究を進めて行く必要がある。

【委員】

 便益の中には河道改修による浸水被害の軽減といったプラスの効果だけが評価されている。河道改修に伴う環境や景観に対するマイナスの効果についても加味して総合的に評価する必要があるのではないか。

【事務局】

 便益に関して現在の計算方法では環境や景観への評価は含まれていない。これは、定量的に評価できる部分と評価できない部分について切り分けて考えており、定量的に評価できる部分についてはB/Cという形で評価している。定量的に評価ができない環境等については、今回のような委員会で専門家のご意見をお聞きし配慮するといった形をとっている。

【委員】 

 事業継続が妥当な理由としてB/Cが1.0以上あるといったことだけではなく、環境等の視点についても一言付け加えてほしい。

【事務局】

 環境についての記載はあるが、結論のページには記載していない。今後、委員の意見を踏まえ、資料の書き方について検討させていただきたい。

【委員】 

 最近、雨の降り方が非常に急激になっており、局所的に大雨が降っている。局所的な大雨への対応として整備計画での考えがあればお聞きしたい。

【事務局】

 京都府の河川の計画規模は1/10を基本としているが、人口や資産の集中度合等を考慮し、桂川については1/30としている。しかし、近年の雨は数十年に一度ないしは100年に一度といった規模になっており、河道改修だけで対応するのは現実的ではない。そのため、計画規模までの流下能力の向上を目指しつつ河川区域外の整備を進めることや、避難体制を整える等のソフト対策を同時に行い、被害を最小限に抑えるというのが基本的な考えとしている。

【委員】 

 稲の生育期間は1年間のだいたい3分の1程度あり、3分の2は空いており水が貯められる。そのため、空いている期間を田んぼダム等に有効活用してはどうか。

【事務局】

 田んぼダムは全国的にも取り組んでいるところはたくさんあり、京都府としても取り組みたい思いはある。しかし、どのくらいの効果があるかといった評価が難しく積極的に取り組めていない状況である。

【委員】

 事業の優先順位を考えるときに、B/C(比率)だけでなく、B-C(差)に関しても整理するべきではないか。また、事業の優先順位についてもわかりやすい説明がほしい。

【事務局】

 河川整備の優先順位についてB/Cが高いところから整備を行っているわけではなく、被害の大きいところから整備を行っているのが現状である。優先順位の考え方については、今後検討していきたい。

【委員】

 霞堤について、上面を遊歩道にする等の環境や景観に配慮した整備ができないか。

【事務局】

 遊歩道として整備するのはコスト面で難しい。霞堤の嵩上げ箇所について、コンクリートで整備されているのは、川からあふれた水で霞堤が削れないようにすることが目的であるため、かごマットを使用するなど景観の面についてもより良い方法を検討していく。

【委員】

 霞堤からあふれた水で浸水した農地について、浸水後耕作をやめてしまう方が増えてくると思うが、その被害はどのように評価しているか。

 霞堤からあふれた水が農地に氾濫した場合の補償は農地被害として見ているのか。また、そのような土地の持ち主が嵩上げを行い浸水しないようにしてもよいのか。

【事務局】

 農地被害については、浸水した農地面積見合いの農作物被害が出ましたといった単純な被害額の計算をしており、補償費用も含んでいる。また、霞堤での嵩上げについては、京都府の条例で遊水機能を有する土地の所有者には、その遊水機能を維持してくださいといった努力義務を定めている。

【委員】

 下流の嵐山付近の直轄管理区間における国の整備により流下能力は向上しているのか。

また、三川合流点から下流の掘削を国は行っているのか。

【事務局】

 渡月橋上流において国が止水壁を整備したことで流下能力が向上し、それによって上流の霞堤の1m嵩上げの整備が可能となった。

 三川合流点より下流において、ここ数年国は何万立米という単位で掘削を徹底的に行っている。

【委員】

 総合評価として、事業の必要性に関する視点と進捗の見込みの視点から、本計画の事業継続は妥当としてよいか。

【各委員】

 異議無し。

 

<委員会後に出された意見>

 田んぼダムの有効活用について補足する。

 水田は洪水調節機能、地下水涵養機能、気候緩和機能および生態系維持などの多面的機能を有しているにも関わらず、生産者に対する還元がなされていないのが現状である。今後は、例えば、高水時に越流することを前提とした霞堤と補助金の助成による保護を行う水田の組み合わせ等により、治水対策と農業保護を同時に行うことが、新しい時代の環境に配慮した河川改修の方向ではないかと考える。