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第14回教員の評価に関する調査研究会議の議事要旨

1 開催日時

平成18年3月16日(木曜日)  午後3時から4時まで

2 場所

京都市上京区東堀川下長者町 ルビノ京都堀川 3階 アムール

3 出席者

【委員】
山口座長、塩見副座長、置田委員、笹井委員、樋口委員、前川委員、宮崎委員、八尾坂委員、(0名欠席)

【事務局】京都府教育委員会 田原教育長、池田管理部長、堀尾総合教育センター次長、中島教職員課長、吉田教職員課参事ほか

【傍聴者】8名

4 議題

(1)教員の評価に関する調査研究について

5 審議内容(結果及び主な意見)

(1)最終調査研究報告提出に際しての各委員からのコメント

  • 今回の研究報告では、現場の教職員の労苦や実情を踏まえて、評価制度を構築できた。評価制度は評価すること自体に目的があるのではなく、教職員の資質能力の向上を目的とし、府民の期待にこたえ、説明責任を尽くすという観点から、運用されることを期待する。
  • 評価制度は、教職員が学校目標を意識し、1年間で何を重点的に実践していくか、目標としていくかを明確にするための有効な手段である。一方、評価制度を実施するには時間とエネルギーが要り、計画的に実施しなければこなせない。効果を損なわないように簡略化することも必要なのかも知れない。また、評価者評価と自己評価のずれは、最終面談で少しずつ埋めていくものであり、一回ではなく回を重ねることにより、評価する側、される側の感情的な部分も少しずつ埋まり客観的で信頼される評価になるものである。教職員評価制度が結果として子どもにどう返っていくかが一番大事なことであり今後も引き続き検証願いたい。
  • 教職員評価は定着すれば教職員の資質能力の向上という大きな課題を克服するための一つの解決策になる。制度において当初面談と最終面談は必要で大事ではあるが、併せて年度途中の学期末や授業参観後で取組の成果がはっきり見えた時点でタイムリーに管理職が声をかけ、努力したことを評価し、次にどう繋げるかをアドバイスすることが大切である。教職員評価制度は校長、教頭等管理職の指導・助言の力、人材育成能力こそが最も問われる制度である。教職員評価制度を何年か続けてみて、制度に慣れ、定着が図られた段階でさらに明らかになった課題や具体的な改善すべき点があれば、柔軟に取り組み、より良い方法、より現実的で効果的な方法を考えることも大事である。
  • 教職員評価制度の導入、試行に取り組まれた関係者の御苦労に感謝する。教職員評価制度をより良い制度として維持し、発展的に継続する中で、教職員が目標設定を行い、達成のための努力を繰り返すことにより、より安心できる学校ができ上がると期待する。教職員の一部には不適格な者もいるが、大勢の者はすごく頑張っている。教職員評価制度を導入し、よりすばらしい学校教育が実践されることを期待する。地域、家庭、学校の連携の中で教職員評価も含め学校側が努力をしている中で、保護者は家庭教育の充実に一層励み、真剣に取り組むべきと考える。
  • 我が社では平成元年に目標管理制度を導入し、18年続いている。いくら人事制度であっても効果のないものはなくなり、効果のあるものだけが残っていくものである。その中で、MBO制度は残っており、人事制度の柱になっている。これは、運用に当たり、できるだけ現場の声を拾い、できるだけその声を反映することを繰り返してきたからである。併せて評価する側の能力の向上が、評価制度の運用には必須であり、毎年、評価者訓練やワークショップ等を続けることにより制度を継続することができたのである。教職員評価制度の運用に当たっては、これらを参考にしてもらいたい。加えて、教職員評価制度の枠組みの制度設計は能力向上や人材育成の観点で行っているため、評価結果の活用としての研修や人事配置については対応できるが、昇進や給料への反映に踏み込むときは、さらなる検討をすべきである。
  • 大変良い教職員評価制度ができたと思う。教職員評価制度の大きなねらいの一つは人材育成である。育てる評価観、自分の学校の教職員をどう育てるかという視点が評価する管理職側に期待されていることであり、そこがこれまでの勤評と違うところである。二つ目は個々の教職員の育成を通した組織の活性化である。学校全体としての組織や各校務分掌のグループ等の組織の活性化がねらいである。評価アレルギーもあり、定着するまで学校によっては多少時間がかかる場合もあるだろうが、いずれは教職員の理解が得られる。理解を得るためにも管理職の人材育成のために教職員評価制度を行うという捉え方、視点が求められる。教職員評価制度は単に評価結果を出すだけでなく、管理職側と教職員側がコミュニケーション能力を高め、組織としての学校の雰囲気や文化をポジティブなものに変えるという大きい要素を持つ。教職員評価制度をマイナスイメージで捉えるのではなく、教職員評価制度により自分の学校を活性化するという大きいねらいを教職員が一体になって持つことが大切である。外に開かれるばかりではなく、教職員評価制度をとおして内にも開かれ、先生と子ども、子ども同士、管理職と教職員間での開かれた内の文化をポジティブなものにすることが大切である。個々の学校の運用上の工夫で効果も変化すると見込まれるため、それぞれの学校が持ち味を生かした運用上の心得を持つべきである。当初から面談等に要する時間的な負担が増えることが予測されたが、それをどう捉えるかであり、例えば、個々の教職員と話し合うことにより、評価者と被評価者相互の意思の疎通ができるといったプラス思考で捉えるべきである。運用の面で検証しながら良い方向で活用願いたい。
  • 「教育は人なり」といわれるように、生徒と接する教師の専門性の高さや人間性の豊かさは教育に直接反映される。教職員評価制度が教職員の資質能力の向上につながっていくことは、結果として生徒に質の高い教育を提供することとなる。教職員が自己申告書をベースに課題意識を持ち、評価を行い、次年度に何をすべきかを話し合うなかで学校全体の教育力が向上するのである。併せて、評価する管理職が単に評価という観点だけでなく、授業や専門性に対する理解を深め、教職員一人一人の特性や個性を十分理解した上で効果的な面談等を行うことにより教職員の一人一人の資質能力がより向上していく。評価する側の識見や教育に対する理解がより深まり成熟することが、より信頼性のある公平な評価につながり、教職員一人一人の資質向上につながるのである。評価者は目立つ人だけではなく、学校全体を支えている教職員一人一人に幅広く目を向け、研修も積みながら評価制度を運用すべきである。教職員評価制度と学校評価を通して、信頼される学校づくりに努めるべきである。
  • 平成15年6月から14回の会議で審議した結果を最終報告にまとめた。結果として府民の期待に十分こたえることができる良い教職員評価制度をつくることができた。また、教職員評価制度を設計するプロセスにおいては、非常に丁寧なアプローチをすることができた。一部試行や全校試行を通じた検証結果、協力校や一般の方たちからの意見、試行実施教職員からのアンケート結果も反映させながら、できるだけ多くの方々の意見を集め、会議にフィードバックするという手続を取り、時間をかけて丁寧にまとめることができた。会議では教職員の資質能力の向上は当然であるが、学校全体の教育のパワーをアップしていくこと、学校の活性化の重要性が議論を通して鮮明になった。最終報告の初めにも「府民の期待にこたえることのできる学校づくりをするためには学校評価と教職員評価は車の両輪である」と明記しているとおり、学校評価と教員評価が車の両輪となり、地域の人々、保護者や府民の信頼にこたえる学校をつくっていくという考え方が、教職員評価のシステム全体を貫く非常に大事な考え方である。教職員評価制度の効果的な運用を通して、学校や教職員一人一人が変わって行き、それが最後には子どもたちの手元へ届けられるように、京都府の学校づくりに教職員が貢献し、役割を果たしてもらえることを期待する。今後も教職員評価制度の実施状況を検証し、改善すべきところは改善するよう努力願いたい。

(2)最終調査研究報告提出

山口座長から田原教育長に最終調査研究報告の提出があった。

 

(3)教育長あいさつ

 座長さんはじめ、各委員の皆さんには、公私にわたり大変お忙しい中、教職員評価制度に関し平成15年6月から約3年間にわたる14回の丁寧な審議をいただいたことと本日の最終調査研究報告書の提出に御礼申し上げる。
 最終報告では、教職員の人材育成の観点から、教職員評価制度を設計いただいた。報告の中身としては、絶対評価、加点方式、ABCの3段階評価などであり、他府県ではあまり例を見ない方式、視点で設計いただいている。運用に当たって留意すべき点についても平成16年度、17年度の2年間の試行を通じて様々な検証も行ってもらった。運用をする側の責任者としては、この制度に基づき、本年4月から、教職員評価制度を本格実施したいと考える。
 この教職員評価制度は、教師の個々の力、指導力(教師力)を高めるためのものである。同時に学校が教師の力を集めた組織としての力(学校力)をさらに高めるための制度である。評価のための評価にならないよう制度を運用するとともに、まずはしっかりと定着を図ってまいりたい。教師の指導力を高めるという視点から評価者が教職員とコミュニケーションをしっかり行い、そのことを通じて学校の組織力を高めていくことが最終的な目標と考える。様々な提言も踏まえ、教職員の資質向上により一層力を注ぎ、府民の信託にこたえてまいりたい。
 最後になったが、委員の皆さんの御健勝をお祈り申し上げるとともに、本府の教育行政に一層の御理解と御協力を賜るようお願い申し上げる。長いあいだ、大変、ありがとうございました。

問い合わせ先

教員の評価に関する調査研究会議 事務局 京都府教育委員会管理部教職員課
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