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平成21年度第2回京都府中山間地域等直接支払制度委員会の議事要旨

1 開催日時

平成22年3月30日火曜日13時30分から16時00分

2 場所

ホテルルビノ京都堀川「朱雀」

3 出席者

稲本会長、柏尾委員、小林委員、十倉委員、向井委員、宮崎委員

【事務局】
(農林水産部農村振興課)中村課長、小川参事、田淵主査、中村主任

4 議題

(1) 平成21年度の実績見込みについて
(2) 制度の第三期対策の概要について
(3) 取組事例報告
  (京都府農林水産技術センター企画室 農業・農村研究担当 中西副主査)

5 議事概要

上記の議題について、事務局から説明。各委員から次のような意見等があった。

平成21年度の実績見込みについて
制度の第三期対策の概要について
平成22年度から新たに始まる中山間地域等直接支払制度第三期対策の概要について事務局から説明。

<質疑応答・意見交換>

(委員)
 小規模・高齢化集落支援加算について、これはいわゆる限界集落、この定義に該当する小規模・高齢化集落が、これまで中山間地域等直接支払制度(以下「制度」という。)の取組を実施していないケースでも対象となるのか? 

(事務局)
 22年度から新たに制度に取り組む小規模・高齢化集落であっても対象となる。

 (委員)
 京都府の限界集落は、2010年現在では300強くらいであると思うが、それらの集落は、制度を実施できているか。

(事務局)
 府内のいわゆる限界集落の制度実施状況については調査をしている。
 その資料を今持ち合わせていないため、詳しい数字は言えないが、多くの集落において制度に取り組むことができている。
 ただし、それらの集落は、規模の大きい協定と同様に体制整備単価の積極的な取組ができている訳ではない。耕作放棄地を出さないことで精一杯のところも多い。
 小規模・高齢化集落支援加算は、単価を見ても非常にお得な加算だが、協定を統合することは容易なことではない。市町村による仕掛け等が必要。

(委員)
 直接支払制度が行政刷新会議の事業仕分けの中で評価をされて残ったことはよかった。
 国は、新たな加算等の創設で取組面積を増やしていこうということであるが、府の予算もそれに合わせて増えると考えてよいか。

(事務局)
 当初予算要求時には、新制度の詳細が明らかではなく、取組の増減の見込みが立たなかったため、前年度横置きとなっているが、もし取組が増加すれば、増額補正要求を行う予定である。

(事務局)
 平成12年度の制度開始以来、対象農用地の8割と、比較的高い取組率で実施してきた。これはある意味高いが、あとの2割が取り組めていない。引き続いてその2割のところをどうするかということが課題として残る。もう一つは、将来的な体制整備がしっかりできるような十割単価の協定を増やしていく、それが引き続きの課題である。

(委員)
 制度が事業仕分けの俎上に載った理由を教えてほしい。
 制度が評価されて残ったということであるが、結論を出すときに、いろいろと注文をつ けていたと思う。事務費が削減されたのはどのような理由なのか教えてほしい。 
農家の個別所得補償、過疎法の改正等があったと思うが、本制度は大きな農政の動きの中でどう位置づけられているのか教えてほしい。
 
(事務局)
 論点は、第二期~第三期対策へ要件の緩和だけでなく、厳格化も必要ではないかという点、また農地・水・環境保全向上対策との重複支援が果たして必要か、事務費の一本化すべきでないか等の点である。
 ワーキングチームの議論の中では、中山間地域の条件不利を補正する施策の必要性は認められた。ただし、事務費については効率化により、削減の余地があると考えられ、削減とされた。ただし、増額幅が小さくなっただけで、予算額的には対21年度比増額である。

(委員)
 民主党政権は、本制度に関してや中山間地域への支援の考え方は旧政権からの継続の方向か?

(事務局)
 そのように理解している。

(委員)
 集落の内部の条件、集落の立地条件(都市との距離、通勤の可能性、農作業のための移動の容易さ)を加味して考えることが重要。

(事務局)
 ミクロ的な要素を見てやっていかないといけない。
 ふるさと共援活動、過疎法の改正等施策の組み合わせによって、中山間地域等直接支払制度が可能となってくるのではないかと考えている。

(委員)
 集団的サポート型は、集落内で農地が守れない高齢者が出てきたら協働で支え合う仕組み、小規模・高齢化集落支援加算は、集落全体で制度の取組が出来にくくなったら、他の集落が助けるという位置づけかと思う。制度的な齟齬を検討されていたら教えてほしい。
 これからの5年間は高齢農業者のリタイアが増える。中山間地域の集落では、それを引き継ぐために若い担い手が欲しい。新規就農組が必要である。

(事務局)
 第三期対策の概要が示された段階なので、具体的な地域のどこに集団的サポート型もしくは小規模・高齢化集落支援加算を適用するかの検討に至っていない。小規模・高齢化集落支援加算というのは、集落単独では難しいものを、他の協定と統合することで継続する術を探るもので、集団的サポート型については、単独の協定集落であるけれども、集落内で完結して農業生産活動を維持継続できる仕組みであるところが異なっている。

(事務局)
 これまで10年間の取組においても、協定単位で農地を荒らさずに守っていくこと自体に変わりありませんし、様々な事情で離農した場合などに協定参加者がカバーしたり若しくは新規就農者などを臨機応変に取り込んで対応していく事に変わりはない。ただ、5年間守っていけるのか将来的な懸念を感じる高齢者も多い。しかしこの集団的サポート型というのは、現在地域で根付いてる組織や公社が、万が一の場合にサポートをするという事前の取り決めがある点で安心感を生み、協定に入り地域として頑張って行きやすい雰囲気を作る。集落の法人組織などが固まっていない場合は、外部からも協力者を仰ぐことができる。また、農地が守れなかった場合等の交付金返還のペナルティーはそのまま残っており、新規就農者を積極的に受け入れていくという趣旨も変わっていない。第一期対策から第二期対策でも取組を継続していくことが不可能である地域が京都府でもあった。第三期対策でもそのような集落が出てくる可能性はある。小規模・高齢化集落支援加算は、旧村や小学校単位で支え合うという視点にたった大きな意味での集落で維持する場合と、地縁・血縁繋がりを利用して維持する場合があるだろうと考えている。


■取組事例報告
(京都府農林水産技術センター企画室 農業・農村研究担当 中西副主査)
  府内外の中山間地域等直接支払制度の取組事例について報告


<質疑応答・意見交換>

(委員)
 第二期から第三期対策に継続できない地域があるとのことだが、負担になっている実情を知りたい。

(事務局)
 それに関しては、第二期対策の取組のまとめを行う中で、22年度の委員会において、分析し報告することになりますが、一期から二期への状況を参考にご紹介しますと、第一期対策の協定を5年間取り組んだ協定の中で、この程度の交付金では無理であり、農地を守るよう推進しようとしても、リーダーとなる人がいない、お金を管理する事が大変等の理由で、第二期対策の初年度の17年度は取組を中断した事例があり、その後、翌18年度に再度呼びかけをし、何件か復活したものもある。500の協定がある中、このような声が上がる可能性がこれからもあり、そこが今からの推進、市町村・府の動向にかかってると言える。

(委員)
 役所が絡むと手続きが複雑になり、専門的で複数の書類が必要になる。例を上げればエコポイントの申請の煩雑さ。おそらく、本制度での申請であっても同じ事がありうる。滋賀県でいえば、一般農家でこの書類を作成できる人はいない。地元の公務員やそのOBが代理で作成していると聞いた。制度を取り止めた影響の中には、高齢であったり、作成が面倒な事に要因があるのでは。もっと手続きを分かり易くして欲しい。役所の論理を押しつけない事を希望する。もう一点は、担い手主体ではなくサポートする人へのサポートに予算を注ぎ込むべきではないか。例えば農業が出来なくても、農業者を支える事務作業や車の運転が出来る人が、それで生活して行ける、子供が育てられる程度の経済的なサポートをすることで、地域には入っていける環境作りが必要ではないか。夢のような話ではあるが、ボランティアに頼るだけでなく、農を支える人がそこに暮らしていける環境が理想であると思う。

(委員)
 直接支払制度の第一期対策から参加しているが、第一期対策のまとめの際には、お金の使い方を誤っているなどいろいろあって大変な状況であったが、改善を重ね、ここまでやってこられた。是非お願いしたい事は、こういった優れた取組、限界集落で色んな取組が行われていることを府民、国民にアピールしていかなければならない。テレビや新聞で、困難な状況で頑張っていることを取り上げてほしい。一つには、税金の使い方についてシビアな意見があるが、この制度が、沢山減額されたであろう予算の中で生き残って、今年は加算という制度も新たに加わって進められている、税金が有効に使われている事例を見せていくことは重要である。もう一つは、集団的サポート型という形で、企業やNPO法人、都会の住民等の新たな参加へと広がっていくだろうし、そういう広がりの為にも広報に力を入れてほしい。

(委員)
 地元でこういった制度の取組は行われていないが、宝塚からの山間地でIターンで6年程ほど就農していた青年と今年の夏に結婚したこともあり、この1年、農業に取り組んでいる若者に関わる機会が多くあった。その地域も高齢者がほとんどであるが、60前くらいの方がリーダーとして頑張っておられ、新規就農者に対しても煙たがらず協力的に受け入れるとともに、地元のことをラジオ・新聞を通じて広報することにも尽力されている。このようなリーダーは大変な仕事でなかなか出てこないだろうが、帰ってきてハウス栽培をしたい若者も潜在的にいるので、何とか協力していくことは必要であると思う。

(委員)
 質問ですが、モデル集落の6事例は複数集落で取組を行っているケースが多いか?
→京丹波町畑郷は3つの農家組合が1つになって集落協定を結んでおり、福知山市三岳は8集落の広域協定である。他の集落は単独の集落での取組である。
 今後この制度を活用する中で、広域協定も視野に入れた方が良いと考えられる。

(委員)
 第三期対策の集団的サポート型と小規模・高齢化集落支援加算は、単独集落ではなく広い範囲で協定を組み直そうという時代の状況判断があり、中村課長の冒頭あいさつにあったように、複数集落の連携を進めたり、府の「里力再生事業」の地域連携組織に支援をするということを含めると、これからの中山間地域の集落は、JAが目配りできなくなった点を自分たちで近隣集落と繋がり、協力し合い、農業を続けていきましょうという協働型の対策であるといえる。 

(委員)
 地域農業について、行政や農業者などが使ってきた言葉に変化が生じている。最初に地域農業の振興、次に再編、その次に活性化という流れがあったと思う。私自身の研究作業の仮説として、次のキーワードとしては持続性である。この言葉にどういう意味合いを込めていくか内実を込めていくかが問われている。各委員のご発言の中にも、農業・農村は絶対的な規模として地域農業の規模として維持していく命題が課せられている。発展途上国においての農業は相対的な減少でしかないが、日本では農村・農業を有形無形の資源として保存保全し、農村という地域自体を持続させていくという視点が強調されており、各界・企業の利害をこえて日本の問題として考えていく時代になっている。


(委員)
 農業は産業の一つとしてしか見られていませんが、本来あった視点を取り戻すことが大事である。農地法の改正、WTOの問題があって産業としての農業が注目された時期が続いていてそれも一つですが、日本という国として考え、地域や文化を考えた場合、会長が言われた農を大事にするという機運が出てきている。そうでなければ中山間地域を何故残すのかという事になる。この理念を持ち続けたいと思う。そして今、若い人が中山間地域に入ろうとしている状況は非常に素晴らしい。また我々世代が失ったもの、捨ててきたものに価値を見い出そうという機運を感じる。経験がなくお金もない若者を、経験のある先輩・高齢者や社会全体でサポートしていく仕組み、行政も財政的に大変であり、他からどうやってお金を引っ張ってくるのかを若者と一緒になって考える。そして企業・NPO法人などと連携をとってサポートしてもらい、一緒になってやっていく、その中に行政が加わるような社会になればと思う。単に農に閉じこもらない、未来社会の新しい展望の扉を開く、我々の新しいステップになるテーマと感じている。中山間地域の高齢者が大変なのはわかるが、支援するだけでなく、新しい人が入りやすい仕組み、システム及び制度を作っていくのが行政の仕事ではないか。 

(委員)
 これからは農地というものが基本になって、それをどう維持・保全して行くかが最大の命題であると持ち上げていくこと、新聞やメディアにもご理解いただき、この論調を盛り上げていきたい。

(委員)
 第三期対策は、これまでの農地の保全、農地を守り、荒らさないということから、より攻めの姿勢が見て取れる。例えばいろんな部分の農地を組み合わせて1haにするなど対象農地を拡大していけるような条件が幾つか出てきている。そういう第三期対策をどのように活用して、取組を発展させていくか考えていかないといけない。

(委員)
 インキュベーション的な女性枠があればと思う。集落はまだまだ男性主導で、女性は声を上げにくい状況がある。それを後押しするためにも、小さくても構わないので出る杭が打たれないレベルのインキュベーション枠、失敗を恐れずにできる程度の枠がありがたい。あるいは、それが後継者、新規就農者が気軽に参加できる枠として広がりが出ればと思う。
先ほど委員から意見があったように、サポーターへのサポートが重要になってくる。また本制度の中での竹林の扱いはわからないが、中山間地域で京ブランドを考えた場合、竹林の整備などが京都らしさが出て良いのではと思う。法の手続きの問題、森林のコーディネーター、アドバイザーなど事務手続きをできる人、ソフトの面ではワークショップのプロの方で、行政の方ではない人を派遣してほしい。じっくり話を聞いて実践が一緒に考えられる存在が必要であると思う。集落で集落内農地全体を守っていく仕組みが重要であるということに関して、集落・村全体という言葉の中に、集落で暮らし、生きる人々が含まれるという意味でもう少し掘り下げてみたい。農村の人々が毎日の生活を維持すること、日々土に働きかける生活を維持しながら農村や農地を保全していくこと、それらを私たちが農村側に依託しているという部分を補足してほしい。生活を維持することが農地を維持するということ、そこで暮らすことは大きな変化をもたらさないが、大きな意味を持つことであると広報してもらえたらと思う。

お問い合わせ

農林水産部農村振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-5039

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