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第3回児童ポルノ規制条例検討会議の議事要旨

1 開催日時

平成22年11月17日(水曜日) 午後1時30分から3時30分

2 場所

ルビノ京都堀川「加茂の間」(京都市上京区東堀川通下長者町下ル)

3 出席者

【委員】

土井真一座長、安藤仁介委員、梅原義範委員、大杉光子委員、岡村久道委員、髙山佳奈子委員、津崎哲郎委員、山内康敬委員(計8名)

【事務局】

金谷府民生活部長、岩永府民生活副部長、姫野青少年課長ほか

4 会議内容

(1)京都府における児童ポルノ犯罪事例について

  • 京都府警少年課から児童買春・児童ポルノ禁止法違反の検挙状況や京都府における最近の主な検挙事例についての報告等が行われた。

資料「児童買春・児童ポルノ禁止法違反の検挙状況(平成22年10月末)」(PDF:8KB)

資料「児童ポルノの主な検挙事例」(PDF:10KB)

(2)インターネットにおける児童ポルノ規制の状況等について

  • 下記関係者から状況報告等が行われた。
    1 財団法人インターネット協会
    2 ネットスター株式会社

資料「インターネットにおける児童ポルノ規制の状況等について」( PDFファイル ,1MB)(PDF:1,154KB)

資料「インターネット上での児童ポルノ流通抑制のための事業者等の取組み概略」(PDF:237KB)

(3)児童ポルノ規制の具体的内容・課題について

  • 委員から提出のあった論点レジュメを基に意見交換等を行った。

資料「児童ポルノに係るインターネット規制 論点レジュメ」(PDF:6KB)

資料「児童ポルノの取得・所持の禁止 論点レジュメ」(PDF:28KB)

(4)主な意見等

1 児童ポルノに係るインターネット規制について

  • インターネットが絡んだ場合には、被害者、加害者が日本国中、さらには地域を越える可能性があることから、平成22年7月に児童ポルノ排除総合対策が閣議決定され、国レベルで対策を行っていこうということになった。また、ブロッキングについては、オーバーブロッキングなど表現の自由との関係で微妙な問題があり、検討すべき課題が山積している。こうした中、条例レベルで何ができるかについて思いつくまま作成したのが、この論点レジュメである。
    この問題で大事なところは被害児童の救済であり、自治体の責務も大きいと考える。被害児童の救済としては、これ以上児童ポルノがインターネット上で流通しないように迅速に削除が行われるような措置をどう考えるのかということであり、インターネットホットラインセンターのような警察庁の関連機関との連携が必要である。また、被害児童が心的外傷を受けているような場合には、児童や保護者の相談場所をどのように考えるかということがある。
    府として何をすべきかについては、やはり府が調整役となり、関係機関との連携ということが必要である。また、啓発、リテラシー教育、インターネット被害を受けた児童の保護・ケアを専門相談機関等との連携のもとに行うといったことが必要である。
    それから、府庁だけでなく府警、教育関係機関等との意見交換の場を年に1度でも設けて、進捗状況の確認などを行い、今後の政策に反映させることが重要ではないか。
    同時に、関係事業者についても、児童ポルノの閲覧機会の最小化ということについて努力義務を設けることが必要ではないか。特に公的施設、例えば公立図書館などにおいて、府自身が閲覧禁止措置の徹底を行う必要があるが、既に青少年の閲覧防止措置について条例を改正して対策済みであると伺っており、非常に喜ばしいことと思っている。
    このように府の責務、関係事業者の責務と並んで、やはり府民の責務というものも大切である。法的義務というと人権の関係で逆に問題がでる可能性もあり、努力義務にすぎないかもしれないが、児童ポルノ被害から子どもを守るために府民全体で取り組むとともに、保護者による子どもの見守りをしていくことが必要である。
    あと、児童ポルノサイトを発見した場合に、どこに行けば対応してもらえるのかということを明らかにしておく必要があり、従来からある警察、インターネットホットラインセンター等への通報を充実していくと同時に、府自身がきちんと責任を持って通報先窓口にならなければいけない。その上で府は、警察等の関係公的機関との連携を図り、サイト削除や被害児童の精神的・心理的ケアの窓口になり、1日も早く被害者の救済ができる体制を作っていくことが必要である。なお、今申し上げた被害児童のケアなどの所見については、差し当たりインターネット関係を対象としたが、それに限定する趣旨ではない。
     
  • 専門委員から、被害児童の救済のためには、インターネット上での流通抑制策以外に、元の画像を減らしていくための具体的な施策の拡充も必要不可欠との意見があったが、技術的に可能な具体的方法はあるのか。

    →技術的な話ではなく、例えば単純所持の禁止ということが作用する部分ということ。被害児童が怖れる、児童ポルノをだれかが持っていることを抑える部分についても、何らかの手を打っていく必要があるのではないかという意味である。
     
  • 考えられる方法としては、単純所持を規制するというようなことか。

    →単純所持規制の弊害をどう解決するかは慎重な取扱いが必要。ただし、ブロッキングが進んでいる国においては、単純所持禁止がセットになっているという説明もあったように、単純所持禁止は、流通防止策など児童ポルノ対策が一歩前進する力になるものと考える。

    →ホットラインセンターでは、サーバー管理者へ児童ポルノ画像の削除依頼を行っているが、その周辺で見つかった画像についても自主的に削除したり、削除依頼を受けなくても発見すれば自主的に削除するサーバー管理者もいるので、元画像を根本的になくすことは非常に大変であるが、サーバー管理者の意識が高まっていけばよいと思う。また現状では、プロバイダは通信の秘密に抵触するからということでブロッキングに消極的であるが、児童ポルノの単純所持が違法となれば、プロバイダはブロッキングに前向きに取り組むようになるのではないかと思う。
     
  • 削除依頼をしてもまた同じものが別のサイトに掲載されるという問題があり、それを防止することが必要との説明があったが、同じ画像のアップロードや転送を阻止する何か具体的な方法はあるのか。
     
  • 事業者において、同じ画像であるかを判別して、同じ画像がインターネット上に掲載されたらチェックするという技術の開発が進められていると聞いている。
     
  • ネット上での流通経路を断つものとして検討されていることとして、ブロッキング、フィルタリング、検索結果の非表示の3つが挙げられている。これについて全国的に議論がされて対応が進んでいるという状況であるが、これに加えて各地方自治体で特段、それ以外に何か行うことができるのか、また行う必要があるのかということについて、両専門委員の御意見を伺いたい。

    →自治体単位で何かというと思いつくものはない。

    →厳しい条例をつくることで、同様の取組が他の自治体に広がっていくということや、国の対策に影響を与えることは期待できるが、インターネット上の規制について単独の自治体で何かできることとして思いつくものはない。

2 児童ポルノの取得・所持の禁止について 

  • 児童ポルノの取得・所持について、現行法でも一定の条件において処罰される可能性が既にある中で、条例で更に規制を強化するとすれば、どのような論点があるのかについて、規制の範囲と手段の点からレジュメという形で簡単にまとめさせてもらった。
    まず、対象児童の年齢については、奈良県の条例では13歳未満となっており、わいせつ行為、勧誘行為を行うと直ちに犯罪となる年齢という線引きである。それから、青少年健全育成条例や児童ポルノ規制法等では、18歳未満となっている。ただ、18歳というのは、かなり成年に近い年齢であり、夫婦間とか、まじめに交際している男女間で裸の写真をもっているケースは処罰すべきではないということも考えられる。
    次に、規制対象画像の範囲については、児童ポルノ規制法の定義と同様にすることも考えられるが、かなり広い範囲となる。もともとは、国際組織犯罪としての児童ポルノビジネスを押さえていこうというところから始まっており、犯罪の手段として作られるような児童ポルノがビジネスとして成り立つことによって、犯罪そのものが行われてしまうということが根本的な問題となっている。それで、諸外国の例を見ると、児童の裸の写真を単に所持しているだけで処罰するという国は、私が見た範囲ではG8の中ではなく、児童に対する犯罪の手段として作られているものの所持が処罰されているケースが多い。日本で言うと、児童に対する性犯罪の一番重大なものは、強姦罪は懲役20年の最高刑、強制わいせつ罪が懲役10年の最高刑、児童福祉法違反が懲役10年の最高刑であり、こうした犯罪行為を撮影したものに絞るということも考えられる。
    次に、規制の内容としては、所持しているだけですべて処罰というのは問題がある。とりわけ、弁護士や医師など職業上、所持が必要な場合は処罰対象から外す必要があるが、どこまでをその範囲とするかという問題がある。
    次に、規制方法については、複数のものが考えられる。まず刑事罰則をつけない単なる禁止という方法があるが、これは法的にも大きな意味を持っており、単なる禁止であってもこれを違法と宣言することで、代金請求ができなくなり、ビジネスとして成立しなくなるため、抑制効果も十分発揮されると考える。また、一定の行為をすると直ちに処罰するという直罰という方法がある。それから、廃棄命令という方法があるが、例えば現在でも、わいせつ物の輸入に対して税関で廃棄するという措置がとられているところであり、ストーカー行為規制法の中で被害者が警察に相談して、警察から加害者に対して警告とか接近禁止命令などを出すというケースもある。この命令に違反した場合には処罰される間接罰という取締りの仕方もある。
    次に、罰則の重さとしては、どの程度のものができるかということであるが、奈良県の条例では30万円以下の罰金又は拘留等となっている。一応法律上は、条例で規定できる罰則の上限は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金等となっている。
    最後に、運用上の注意として、権利の不当侵害や本来の目的を逸脱した濫用がなされないように規定を設けるべきであるということが考えられ、類似の規定はストーカー行為規制法などにも見られるところである。

(5)座長総括

  • ブロッキング、フィルタリング、検索結果非表示などの技術的な対応がインターネットの流通経路を抑制するためには重要ということは説明いただいたとおりであり、その点については国において検討されており対策も進んでいるところである。
  • インターネット規制については、その特性上、一地方自治体だけでできることは技術的に限られており、府として独自に何かしなければならないという状態ではなく、全国的に検討されるべきことであると考える。
  • しかしながら、それでインターネットの問題が尽きるということではなく、インターネットで情報が流出したときに、被害を受けた人がどのように対応すればよいのかよくわからないとか、受けた被害に対するケアの問題もあるし、また児童ポルノが掲載されていることを許さないという環境を作ることも大事であり、関係者の責務として、対応すべき点については対応するということが必要である。
  • 例えば、できるだけ対応窓口をわかりやすくし、そこに相談をすれば全体として連携のとれた迅速な対応が可能となるとか、インターネットに限らず被害児童のケアに十分な配慮ができるとかということを、府を中心に検討していくことが重要である。
  • 次回は、児童ポルノの取得・所持の禁止について、今回示された論点を基に議論することとする。

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