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第4回児童ポルノ規制条例検討会議の議事要旨

1 開催日時

平成22年12月27日(月曜日) 午前10時30分から正午

2 場所

ルビノ京都堀川「ひえいの間」(京都市上京区東堀川通下長者町下ル)

3 出席者

【委員】

土井真一座長、安藤仁介委員、梅原義範委員、大杉光子委員、岡村久道委員、髙山佳奈子委員、津守俊一委員(計7名)

【事務局】

金谷府民生活部長、岩永府民生活副部長、姫野青少年課長ほか

4 会議内容

(1)児童ポルノの取得・所持の禁止について(意見交換)

資料「児童ポルノの取得・所持の禁止 論点レジュメ(PDF:28KB)

(2)主な意見等

  • 前回、「児童ポルノの取得・所持の禁止」について、論点レジュメにより説明したが、今回は諸外国の例も踏まえて再度説明をする。
    まず、対象児童の年齢についてであるが、刑法において、児童の年齢が一定の規制の境目になっている例としては、13歳の場合と18歳の場合とがある。13歳が境目になっている例としては、13歳未満の者に対する強制わいせつ、強姦罪があり、暴行や脅迫を手段としなくても13歳未満の者に対して、わいせつ行為や姦淫行為を行うと犯罪が成立する。それ以外の様々な処罰規定では18歳が犯罪の成立の限界とされている場合がほとんどである。児童ポルノ規制法や、出会い系サイト規制法がその例であり、地方自治体の青少年保護育成条例における淫行の処罰規定の適用対象も18歳未満となっている。また、児童福祉法でも18歳未満が児童として規定されている。
    このほかに考えられる年齢の境目として、16歳と15歳を挙げているが、16歳は女子の結婚が民法上認められる年齢であり、16歳で婚姻をしている女性については性的な行為も当然想定されている。また、実際に婚姻に至っていなくてもそれを前提とした交際と、それに伴う性的な行為も当然あるということが考えられる。
    15歳については、中学生以下というところで線引きをした場合として挙げているものである。
    次に、規制対象画像についてであるが、当児童ポルノ規制条例検討会議では、実在する児童を性的な被害から守ることを目的として検討を行っているので、児童を守るという必要性が最も高いのは、重大な性的な犯罪から守るということだと思われる。そこで、何を中核として児童ポルノを定義すればよいのかということについても、犯罪的な手段によって得られるものを中心に考えていくということがあり得る。既に国の児童ポルノ規制法ではもう少し広い児童ポルノの定義がなされている。例えば「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」というものが含まれており、場合によってはかなり広い範囲に及び得るということである。奈良県の条例は、児童ポルノ規制法による児童ポルノの定義を条例の規制対象としてそのまま使っているので、かなり規制範囲が広い条例になっている。犯罪行為の防止という点から考えると、最も重大な児童に対する性犯罪というものは、刑法における強制わいせつ罪、強姦罪と、児童福祉法における児童に淫行をさせる罪というものが考えられる。刑法の強制わいせつ罪は、13歳未満の男女に対しては暴行・脅迫を伴わないわいせつ行為も処罰範囲になっている。
    強制わいせつ罪と同様に、法定刑が10年の懲役を最高にするものとして、児童福祉法における児童に淫行をさせる行為の罪がある。単に性交をするということだけでは、これには該当しないとされているが、性交を含まなくても児童に淫行をさせる行為には該当するということが判例上認められていて、例えば性的な玩具を使わせるような行為でも該当するとされているものがある。
    児童に対する性犯罪はほかにも多くのものがあるが、ひとまず一番重大な犯罪行為を中心に考えていくのが適切であろうと思われる。
    諸外国での立法がどのようになっているかと言うと、単なる裸の写真を1枚単純所持しているだけで処罰の対象にしている例は、少し調べた中では見当たらなかった。画像の形態としては、例えば「性器が露出している」や「わいせつなもの」といったような内容上の制限が設けられているか、あるいは重大な犯罪行為を手段として作られたものという限定がかけられていることが世界的な傾向としては言えると思う。いろいろな限定の手段が考えられるが、例えば文学的、芸術的な価値があるものは除くとか、性的にわいせつであるなど、明確に判断することが難しいような規制が設けられている国もあり、それについてはどのように判断の明確性を確保していくのかという問題が提起されるということに注意しなければならない。
    次に規制内容についてであるが、児童ポルノ規制法では一定の目的による所持、取得、輸入などの罪が処罰されることとなっているが、単なる取得・所持というのは現在のところは処罰の対象になっていない。なぜかというと、それだけでは実際の児童に対する被害がそこから直接に発生するものではなく、あくまでも間接的に及ぼし得るものとして考えられるということである。直接の権利侵害ということにはならないので、単にだれかが児童ポルノを持っているというだけで、それは児童に対する権利侵害なのだという印象論のような説明では刑罰法規をつくる理由としては十分ではないと考えられる。諸外国では、児童ポルノがまん延することによって児童に対する性犯罪が引き起こされるきっかけになるという考え方や、需要があるので供給がもたらされるという考え方から、この取得や所持が処罰されている国が多いようであり、単に持っているから、単に取得したからということだけで実在の児童に対する被害が発生するという考え方で刑事立法が行われている国はないと考えられる。それから、国によっては、一定の場合に処罰対象から外れるという例外が規定されているものがある。例えば犯罪捜査機関や医師、弁護士、大学の研究者などが職業上行う場合には処罰されないという明文の規定が設けられている国があるし、文学や芸術、科学の価値があるものについては対象から外していくということもある。これも一定の範囲ではその職業上、あるいは文化・芸術活動の中で取得や所持が必要という場合は考えられるが、明文の規定を設けるとするとどのような規定をすることがふさわしいのか、あるいは設けないという場合には、憲法との関係で処罰範囲の限定が問題になるので、範囲の明確化をどのように図るのかということが問題となってくる。
    次に規制方法であるが、直ちに刑事罰の対象となる直罰という規制方法だけではなく、罰則を設けない単なる禁止や廃棄命令という制度をつくって、廃棄命令に違反した場合についてだけ処罰するという間接罰規定という規制方法もある。児童ポルノ規制法での処罰は直罰規定があるが、例えば売春防止法においては、売春行為そのものは違法であると宣言されてはいるが、刑事罰の対象にはなっていない。これは意味がないことではなく、売春契約が公序良俗に反して無効であるということになっているので、売春がビジネスとしてまかり通るということはないということである。したがって、刑事罰則がない違法性、あるいはその禁止の規定であっても、それが意味を持たないということではなく、規制の効果がある。児童ポルノについてこれを考えると、刑事罰則がなくてもこれが違法である、禁止される対象であるということを宣言すれば、児童ポルノのビジネスが、民法的にも許されないものであることになるので、例えば代金請求権を実現することができないということになり、児童ポルノビジネスがまん延するのを防ぐ効果はあると考えられる。廃棄命令についてであるが、これと似た規制の形としてはストーカー行為規制法がある。同法ではつきまとい等の行為を2回以上繰り返すとストーカー行為の罪として直罰規定による処罰対象になっているが、それ以外に、つきまとい等の行為に係る禁止命令に違反した行為が処罰されるというタイプのものもある。児童ポルノの場合には、例えば児童ポルノを所持している人に対して廃棄命令を出すことができるとして、その命令に違反した場合に初めて刑事罰を科すという形の規制が考えられる。ただし、ここでも廃棄命令の対象となる所持などの形態を広く定義してしまうと、個人の幸福追求権などとの衝突が問題になるので、適用上の注意ということで、「権利の不当侵害、本来の目的を逸脱した濫用の禁止」をどのように図っていくか、制度上悪用される余地がないようにどのような工夫をしていったらよいのかということが当然問題になってくる。
    罰則については、都道府県の条例では地方自治法の規定により、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金を設けることができる。奈良県の条例では、法定刑が30万円以下の罰金又は拘留、科料ということになっており、これらとの比較でより重い罰則をつけることが考えられるのか、あるいはもっとこの犯罪類型ごとに分けて考えるべきなのかということも検討の対象にすべきだと思われる。
  • 提示された論点以外に考えられる論点としては、一つには規制対象となる行為をどうするかというところで、どのような形の所持を規制の対象にするのかや、取得について、有償による取得とするのか無償のものも含むのかといったことと、もう一つには、国の法律で既に規制されている部分がある中で、国レベルで全国的に統一したものとしてどこまでやるのかと、京都府独自のものとして条例でどこまでやるべきなのかという役割分担の問題が考えられるのではないか。
    また、被害を受ける児童をどのように保護していくかということが目的なので、その観点から弊害がなく、かつ効果的な方法という視点で考えていくべきであり、各論点を考えていく場合に考慮すべきこととして、捜査手法や規制の方法の観点から、弊害と実効性について考えておく必要がある。要するに取得や所持を規制の対象とするとして、取得や所持が行われていることをどのように把握することができるのかと、その把握方法の妥当性や弊害の可能性についても考えておく必要があるということである。
    それともう一点、規制の対象として有体物に限るのか無体物も含むのかによって、捜査手法や把握の仕方が変わってくるので、そこも意識して議論をする方がよいのではないか。
  • 刑法の盗品関与罪では、有償の場合はかなり重い刑が科される対象になっている。これはブラックマーケットを形成することによって、もとの犯罪が助長されるかどうかにかかっている。児童ポルノの場合には、有償取得によって児童ポルノのマーケットが形成されて、それにより更に児童が犯罪の被害に遭うということが助長されてしまうということを考えると有償取得の場合に、もしこれを違法とするのであれば、その違法性は無償取得の場合とは全く違う意味を持っていると言える。フランスではブラックマーケットの規制という考え方によって児童ポルノが規制されており、処罰範囲はかなり広く、単純所持も処罰されていて、処罰対象の基本的位置づけとしては日本での盗品関与罪に近いアプローチがとられている。
    条例でどこまで規制ができるのか、またすべきなのかという点に関しては、児童の保護という点では、日本全国あるいは全世界で共通に取り組むべき課題であるので、そもそも地方自治体の条例でこれを扱うことが適切なのかということがある。
    ただ、現在では都道府県の条例で青少年の保護育成が図られている中で、淫行処罰などが行われているところではある。しかしながら淫行については、地方のある場所で行われるという地域性や場所のある行為なのに対して、インターネットが使われるものについては、都道府県の区域での限定ということはあまり意味がなくなってしまうので、その点で従来の青少年保護の枠組みとは少し異なることに注意する必要がある。
  • 所持に係る論点については、児童ポルノ規制法第7条第2項に規定されているところの電磁的記録の保管というものを含めるかどうかということで整理をすれば、電磁的記録の扱いに関する論点が明確になるのではないか。また、児童ポルノ規制法第7条第2項における「提供目的」を外して、単純所持に拡張するのかどうか、また、その場合に「正当な理由なくして」というような一定の文言を加えるのかどうかという点で整理をすれば論点が明確になるのではないか。
  • 所持に関しては、目的についてもう少し議論を深めた方が全体像が見えやすいのではないか。
  • 児童ポルノがなぜ製造され広まっていくのかを考えた場合に、やはり商売になり、お金になるということがあるのだろう。そうすると、商売として成り立つようなことをできるだけ防いでいくということで考えていくべきである。児童ポルノ規制法がまず提供目的での製造等を禁止しているのは、やはりそういった目的があるからであろう。
  • 規制の目的として、児童ポルノが作成される時点で児童に対しての虐待が発生していると考えられる場合が多数あるので、それが起こらないようにするという視点と、だれかが繰り返し児童ポルノを見る行為について、被写体となった児童の見られたくないという利益に対して何らかの権利侵害を構成するとして、それを防止するという視点が考えられるが、刑法上は後者については、それ自体で何か性犯罪が起こされるようなことではないので、規制の範囲とするのは難しいのではないかと考える。
  • 子どもをいかがわしいビジネスの道具にして傷つけてはならないという点では、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という限定をした上で、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」を法規制の対象とすることは理解できなくはないが、単純所持を規制する場合に「性欲を興奮させ又は刺激するもの」というのが、どこまでの限定要素になり得るのかについては提供の禁止の場合とは異なるように思う。そうすると「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」を直罰の対象にするのは難しいのではないかと考える。
  • 児童ポルノを数多く見ると、児童に対する犯罪行為につながるのではないかということについては科学的に証明されていない。諸外国の立法例でも、ポルノを見ると性犯罪が起きるので規制をするという考え方は一般にはとられていないように思われる。性的な画像を見ることによって欲求が解消されるので犯罪が減るという意見と、感覚が麻痺して犯罪が増加するという意見の両方があるが、科学的にどちらが正しいということは、はっきりと言えていない状況である。したがって、少なくともそのような画像があると犯罪が増えるので処罰の対象にするということを規制の直接的な根拠にすることは難しいのではないか。
  • 条例で規制する場合の実効性や、単純所持の規制について国レベルでの法律的議論がなされている中で、条例で先行して規制することの意義について、一応整理はしておく必要があるのではないか。
  • 定義の部分で対象となるものをかなり絞り込んだとしても、児童ポルノを所持していることを処罰や規制の対象にすることには、弊害との関係でいろいろな問題が出てくる。個人がだれにも存在を明らかにせずに所持している児童ポルノの存在を、捜査機関がどのように把握するのかを考えた場合に、通報を受けて捜索するにしても冤罪の危険性や捜査の範囲の不当な拡大になりかねないということになるので、やはり単純所持を取り締まるのは難しいのではないか。
  • 条例で行うべきことの主要点が、罰則等を設けるというところなのか、それとも被害児童のケアのような部分を中心とすべきなのかということが議論の本筋のような気がする。
  • これまでの議論の経過からすると、規制の対象となる画像等は実在の児童に限らざるを得ないのであろう。また、ビジネスに絡んでいるようなものについては、かなり強い規制をかけていく必要があるのではないか。ただ、単純所持の問題については、かなり難しい議論をしなければならないし、相当厳密に詰めなければ、なかなか規制の対象にはしにくいと感じている。
  • 児童の人権を守る、児童ポルノを拡散させないという状態をどのように作っていくのかということがその都度言われてきた。児童ポルノを拡散させないということや被害児童等の支援について、条例の中にどのように活かしていくのかということが大事であると思う。児童ポルノの所持の在り方や、結果的に人権を侵害された児童をどのように保護していかなければならないのかについて、やはり条例の中に盛り込んでいくことが大事である。  

(3)座長総括

  • 実在する、あるいは実在した児童の保護を前提とした場合、児童ポルノに対する需要が広範にある限り供給が行われるのであり、児童ポルノビジネスを抑止するためには何らか需要側をコントロールする必要があるのではないかということと、児童ポルノの画像等が広範に流通し、だれかに繰り返し見られることによる児童の心理的負担の除去、あるいは権利侵害を防止する必要があるのではないかという二つの論点が考えられる。
  • それを前提とした上で、そうした児童の権利を侵害するような画像等を、府民としては求めないし、所持もしないといったようなことを、原則としてはっきり示す方法を考える必要がある。
  • その上で、実効性を持たせるために、どのような内容の画像に対してどのような制裁の方法をとるのかということを、段階を踏んで慎重に検討する必要がある。
    また、取得を規制する場合でも、有償取得の場合とするのか無償取得も含めるのか、あるいは所持についても学術目的、芸術目的等の所持の場合もあるので、正当な目的による所持が規制の対象とならないように配慮することも必要である。
    更に、国の動向と自治体の役割を踏まえた上での検討が必要である。
  • 次回は、児童ポルノの取得・所持の禁止について、今回各委員から出された意見を基に議論のたたき台を作成し、それを提議の上、引き続き議論することとする。
    また、関係者の責務として、府民、事業者、府の責務についての議論も進めることとする。 

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