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平成14年度第1回京都府公共事業評価審査委員会の議事要旨

1 開催日時

平成14年9月3日(木曜日)午後1時30分から午後5時20分

2 場所

平安会館「平安の間」

3 出席者

【委員】
吉川和広委員長、岸 俊和委員、芝池義一委員、高橋 強委員、瀧 静子委員(酒井公子委員は欠席)

【事務局】
土屋土木建築部長、農林水産部技監、土木建築部技監(土木担当)ほか

4 委員会概要

(1)今年度の委員会の運営について

ア)委員会の公開について

審議会の公開については、公開(傍聴)の規則を整理し、第3回委員会(10月に開催予定)で公開の方法について審議する。

イ)事後評価の試行について

今年度試行的に1件事後評価を行う。

ウ)来年度再々評価の前倒しについて

平成10年に実施した再評価後5年の再々評価案件事業について、平成15年度に案件が集中しているので、今年度の第3回委員会以降その一部について前倒しして審査を行う。

 (2)審査事業

事業種別 事業主体 対象事業
農林事業 京都府

赤坂丹波地区排水路改修事業
以久田野(いくたの) 農道整備事業
音羽谷(おとわだに) 治山事業
土木事業 京都府
富野荘(とのしょう)八幡線 道路改良事業
宮津港文珠地区 海域環境創造事業

(3)審査の結果

○ 今回審査した府の農林3事業・土木2事業の再評価は、いずれも、委員会に提出された資料、説明の範囲において、その手続きがおおむね適切に進められており、府から提出された対応方針案(「継続」)のとおりでよいと判断される。

○ ただし、今後の事業の実施に当たっては、次の点に留意されたい。

 ・赤坂丹波地区については、早期に事業を完了させ、排水効果の発現に努められたい。

 ・以久田野地区については予算の確保に努め、早期に供用開始し、効果の発現に努められたい。

 ・音羽谷治山事業については下流保全対象の民生の安定を早期に回復するため、適切で重点的な予算投入を行い、事業の効果的推進と早期完成を図られたい。
・宮津港文珠地区については全体計画面積が広く、また阿蘇海は水産、観光資源でもあることから、整備効果を慎重に確認しながら、事業の効果的な推進を図られたい。

(4)審査の状況

◆ 赤坂丹波地区排水路改修事業の審査について

  水路底が浅く、降雨時にしばしば湛水する水路について、排水条件の向上により地区の水田を畑作転換が可能なものとし、土地利用の高度化を図る本事業について、整備の必要性、事業の進捗状況、効果、環境への配慮の方策、社会状況等の変化及び費用対効果分析の結果などを参考に、府の対応方針案について審査された。

◆ 以久田野地区農道整備事業の審査について

  地区内の集出荷施設への効率的かつ安全な輸送経路を確立し、農業経営の合理化・安定化を図る本事業について、整備の必要性、事業の進捗状況、効果、社会状況等の変化及び費用対効果分析の内容及び結果などを参考に、府の対応方針案について審査された。

◆ 音羽谷治山事業の審査について

  土石流の発生、及びそれに伴う不安定土砂の堆積が見られる渓谷について治山施設を計画的に配置し、荒廃渓流の復旧を図るとともに、災害緩衝林の造成及び荒廃森林の整備を図る本事業について、整備の必要性、社会状況等の変化及び費用対効果分析の結果などを参考に、府の対応方針案について審査された

◆ 富野荘八幡線道路改良事業の審査について

  府道八幡木津線と第二京阪道路の測道をバイパスで結び、道路幅員の狭い現道の安全を確保と第二京阪道路へのアクセス性の向上を目指す本事業について、整備の必要性、社会状況等の変化、事業の進捗状況、費用対効果分析などを参考に府の対応方針案について審査された。

◆ 宮津港文珠地区海域環境創造事業の審査について

  白砂青松で名高い日本三景のひとつ天橋立の内海である阿蘇海では、外海との海水交換がされにくく、ヘドロ等が蓄積しやすい。同海の浅い海底に覆砂を行い、汚濁物質の溶出低減と生物生息域の拡大を図る本事業について、事業の必要性、進捗状況、他事業の進捗状況、社会状況等の変化、費用対効果分析結果などを参考に府の対応方針案について審査された。

5 議事の内容と主な意見

(1)今年度の委員会の進め方について

 (ア)委員会の公開・非公開について

・(委員)京都府全体の委員会の公開に関する方向は決まっていないのか。

→(事務局)現在指針を作成中。

・(委員)指針が決まる前に例えば公開することに問題はないのか。

→(事務局)指針は強制力をもつものではなく、最終的な判断はあくまでも各委員会で行うもの。

・(委員)公開はやぶさかではないが、非公開としたほうが適当な案件もあるのではないか。それについては個々の案件の審議前に事務局で整理してほしい。

・(委員)公開とは実際には傍聴になると思うが、まずは傍聴の手続き等の案を示してもらってそれについて審議をしてから公開した方がよい。

→(事務局)第3回委員会以降に傍聴手続きの案を事務局で作成するので、審議していただきたい。

 (イ)評価システムの充実について

・(事務局)予算要求前に行う事前評価を土木建築部内に委員会を作って今年7月に1件試行した。将来的には本委員会に審査依頼をしたいと考えているが、当面は部内の委員会で行う。また、事業完了後5年以内に行う事後評価を、今年度最終の委員会で1件試行的に審査をお願いしたいと考えている。

・(委員)評価システムの充実は良いが、評価の対象数が増えるばかりではないか。それできちんと審査ができるのか心配。実のある審査ができる体制づくりを考えて欲しい。

→(事務局)事後評価については事務量がどの程度になるか、どのような視点で審査いただくのが良いかなどに不明な部分が多く、本年度試行を行っていただければ、その様子を踏まえて今後の体制づくりを検討したい。

・(委員)もう終わった事業を事後評価をして、何に活かすのか。

→(事務局)次の事業に活かしていくのが目的。

・(委員)事後評価したものを今後にどのように活かすのか整理しておくべき。また、完了後5年以内に事後評価することになっているが、遅すぎないか。

→(事務局)5年は最終期限で、実際にはもっと早い時期に行う。

・(委員)効果の検証に事後評価は必要。何も検証しないことなど本来的にありえない。ただ、事後評価はいたずらに事務量ばかりが増えないよう、最終評価基準を最小限の範囲に設定して満たしているか検証することとし、評価の重きは事前評価に置くべき。

・(委員)事後においては効果が現れているかどうかはっきりしているので、現場をきっちり検証しないと真の意味での事後評価にならないのではないか。

・(委員)狙いどおりの効果が出ているかどうか、国民も知りたがってきていることなどが事後評価を国等が導入しようとしていることにつながっているのでは。

 (ウ)前倒し審査について

・(事務局)平成10年度に再評価を開始した際に、当時長期継続事業を一括で対象としたため約120件が対象となった。5年経過してそのうち約40件が来年度再々評価対象となっている。1年で審査するには多すぎるので、できれば今年度後半の委員会で一部を前倒しで審査願いたい。なお、平成10年当時は全数ではなく抽出して審査を行っていた。

・(委員)そんなにたくさんできるのか。全数を審査しなければならないのか。

→(事務局)類似のものをある程度まとめるなど、手法についてはできるだけ工夫したい。

・(委員)再来年度以降はどうなっているのか。

→(事務局)来年度までに再々評価を行わなければならないものは、平成10年度に再評価を行っていただいたもの。平成10年度は再評価を初めて行った年で、対象案件が極端に多い。したがって再来年以降に毎年新たに再々評価の対象となってくるものは数件程度。

・(委員)全数審査、再評価後5年の再々評価など、国からの要請は法的な位置付けがあるのか。

→(事務局)法的な位置付けではないが、国庫補助事業に関しては再評価審査が補助の要件となっている。

(2)各案件の審査

 (ア)赤坂丹波地区排水路改修事業

・(委員)用水機能の整備が含まれていないが、ほ場整備で対応か。

→(耕地課)そのとおり。

・(委員)ホタル水路とはどのあたりでに設置したのか。

→(耕地課)最下流部付近の区間で、丹波小学校付近。

・(委員)未整備の区間の構造は。ホタル水路ではないのか。

→(耕地課)両側コンクリート製品を使った構造になる。ホタルは流速の速いところには棲めないので、ホタル水路の設置場所は限られる。

・(委員)御存知と思うが、土地改良法には先の改正で環境への配慮の考え方が盛り込まれた。それは尊重してほしい。

→(耕地課)事業全体の中で事業効果を確保しながら、可能な限り環境との調和は目指していきたい。

・(委員)中山間地域では耕作放棄等で農地が荒廃するケースが見られるが、この箇所についてそういう危惧はないか。

→(耕地課)市街地に近く、過疎化は見られない。兼業農家を中心に耕作意欲は強く、耕地は守られるものと考えている。

・(委員)住民からの要望の状況は。

→(耕地課)実施済み区間による効果が見られるため、地元から残区間の早期完成の要望がある。

・(委員)費用対効果の計算は農林水産省の計算基準があってそれを使用しているのか。景観保全効果まで換算されているが。

→(耕地課)農水省の基準に則っており、水辺環境の向上も効果としている。

 (イ)以久田野農道整備事業

・(委員)費用対効果の計算の内容が容易にはわからない。専門家でなくてもわかるよう数字の持つ意味を併せて示してほしい。

→(耕地課)本事業は土地改良法に基づき行っている。同法では費用対効果の分析が義務づけられており、分析結果である投資効率を算定している。資料の9ページに投資効率の資料を載せているが、総事業費は計画の総事業費、投資効果は様々な効果をそれぞれ積み上げて算定している。

・(委員)先ほどの事業(赤坂丹波地区排水路改修事業)や地区全体計画と本事業の還元率が違うのはなぜか。

→(耕地課)耐用年数の違いによるもの。同じ農道でも構造物の有無により異なる。

・(委員)耐用年数とは何か。

→(耕地課)農林水産省令で決められている。通常の維持管理で効果が発現する期間。

・(委員)37年の耐用年数が過ぎれば使えなくなるのか。

→(耕地課)通常の維持管理のみでは当初の機能が発揮できなくなると想定している。ある程度の規模の補修で延長は可能であろうと思う。

・(委員)事業採択区間のみでは行き止まりのようにも見えるが効果はあるのか。

→(耕地課)市道などとも接続しており、加工施設等の配置状況から、相当の効果があがると考えている。未採択区間も整備することでさらに利便性が高まる。

・(委員)未採択区間の見込みはどうか。

→(耕地課)今はまず、採択区間を完成させることをめざしたい。

・(委員)整備期間が長くなれば、効果が薄れる。整備期間を何とか短縮すれば費用対効果の数字も上がってくる。そういう視点での検討も必要ではないか。

・(委員)未採択区間は白紙ということか。

→(耕地課)計画としては未採択区間を含めて全線につき法に基づき樹立されている。未採択とは予算措置がされていないという意味。

 (ウ)音羽谷治山事業

・(委員)昭和47年の災害後に工事が行われているが、また必要となったのか。

→(森林保全課)平成9年に昭和47年を上回る降雨があり、災害が発生した。昭和47年の災害後の工事があったため、人家への被害はなかったが、その時発生した不安定土砂が上流に堆積しており、対策が必要である。

・(委員)昭和47年災害後の工事の際の想定した値を上回る災害が発生したということか。

→(森林保全課)昭和47年を上回る降雨があったということ。

・(委員)人命にかかわることなので、着実に進められたい。

・(委員)費用対効果の計算結果が非常に大きいが、林野庁の計算方式では災害の発生確率を考慮しないのか。

→(森林保全課課)林野庁の計算方式では発生確率は考慮していない。

 (エ)富野荘八幡線道路改良事業

・(委員)資料によると現道は交通量が減っているが、バイパスが必要なのか。

→(道路建設課)道路の投資効率を考える際には予測交通量を使用する。国土交通省の基準では平成32年の予測値を使用することとなっており、この予測値では交通量の予想は現道・バイパス合わせて約1万2千台となっている。

・(委員)どういう根拠でそのように増えると予想されるのか。道路4公団民営化の検討の中では過去の予測値と現在値の乖離も指摘されたりしているが。

→(道路建設課)人口の伸び、自動車保有台数の伸びから算定していると聞いている。道路4公団の民営化の議論では料金の要因がからんでおり、同列に論じられないと考えている。

・(委員)この富野荘八幡線の交通量はどんな要因で増加すると予測しているか。

→(道路建設課)来春に第二京阪が開通するが、この第二京阪は広域ネットワークの中で重要な路線であり、この開通が大きな要因と考えている。

・(委員)第二京阪の建設は順調に進んでいるのか。

→(道路建設課)本線部は来年春の開通予定に向け、順調に工事が進んでいると聞いている。側道については本線と同時開通する部分もあるが、全線開通は先になると聞いている。

・(委員)現在交通量が減っているのに、本当に予測どおり交通量が増えるのか疑問。また20年間を予測しているが、期間が長すぎないか。

→(事務局)渋滞が発生しているため交通量が増えないという事情もあるが、自動車保有台数がどうなっているかといったようなマクロ的な資料については、この案件に類似の都市部の道路の案件があったときに併せて説明させていただきたい。また道路整備には長い時間がかかるため、予測期間も長くとっているが、今後開通時の予測交通量を使用する等の工夫を図っていきたい。

・(委員)現在の混沌とした社会情勢の中で、予測というものが難しくなってきている。公共事業は着工までに何十年もの非常に長い時間がかかることがあり、やはり長期間の予測が必要。また、採算だけにとらわれず、本来必要なものは公共財源を投入してつくる必要がある。交通量だけでは判断できない。道路の建設による効果は環境改善効果、防災効果、沿道整備効果など多岐に渡る。交通量の増加以外の論点も必要。そういったものの説明資料も用意するなど工夫をしてほしい。

・(委員)富野荘八幡線はと第二京阪のアクセスはどうなるか。

→(事務局)富野荘八幡線と第二京阪自体は立体交差する。第二京阪の側道を通って、上津屋ICまたは松井ICと接続する。

 (オ)宮津港文珠地区海域環境創造事業

・(委員)付近で浚渫船を見かけるが、今後、浚渫はどうするのか

→(港湾課)現場付近でよく見かけるのは、外海から台船に積み替えて日本冶金へ鉱石を運搬する船である。阿蘇海では浚渫は行っていない。なお、外海で浚渫した砂を陸送して覆砂に使っている。

・(委員)覆砂は「臭いものにふた」だと思うが、生態系への影響はどうか。覆砂の上に再びヘドロがたまることはないのか。また、台風の波浪で覆砂が流失することはないのか。

→(港湾課)生物の生息状況を追跡調査しており、貝類が増えている等の効果を確認している。また、流域下水道の整備が50%程度まで進み、今後も進んでいくことなどから、今後、ヘドロの堆積は減少すると思われる。台風による影響については、追跡調査の結果、問題ない。

・(委員)工場排水の問題はないか

→(港湾課)工場排水の問題は聞いていない。生活排水がヘドロの主因である。

・(委員)是非とも進めてほしいプロジェクトである。大阪湾等では、浚渫してもすぐ埋まるので、覆土を行ってきて、旧運輸省の経験でも効果が確認されている。

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