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★NHK
今日は、「増加する中古車の売却トラブル」について、お話しいただきます。コロナ禍で、新車の納期(注文してから納車されるまでの時間)が大幅に延びていましたが、徐々に回復しているようですね。中古車のオークションでの平均落札価格が、水準としては高いものの、値下がりの兆しを示しています。
☆相談員
そのようです。中古車の売買価格が上昇したのは、コロナ禍で新車の納期が大幅に遅れていた影響だと思います。全国の消費生活センターに寄せられた中古自動車の売却に関する消費者トラブルのご相談が、2021年度は前年度の1.25倍となっており、2022年度も増加傾向にあります。
★NHK
コロナ禍では新車の入手が困難で中古車の需要が高まり、それに伴うトラブルが増えていたということですね。そもそも一般の消費者にとって、車を自ら売却することは一生のうちで何回もあることではないです。中古車売買に関するトラブルを教えていただけますか?
☆相談員
はい。中古車の売却トラブルに関するご相談では、契約や解約に関するものが全体の87.3%を占めています。事業者が強引に勧誘し、消費者に考える時間を十分に与えずに契約を迫ったり、契約後も高額なキャンセル料の設定などにより解約しにくくしたりするなどのトラブルが起きています。
★NHK
具体的にはどのような内容のトラブルが起きているのでしょう?
☆相談員
はい、事例を紹介させていただきます。「インターネットで一括査定サイトを利用し査定したところ、5社から連絡があり、その中の1社が自宅に査定に来た。『事故車なので15万円だが、今日すぐ引き渡せば25万円で買い取る。』と言い、強引に契約させられ車も持って行かれた。他社の査定額と比較したいので車を返して欲しいと言っても返してもらえない。25万円も受け取っていない。」というご相談がありました。
★NHK
言葉巧みに勧誘されたら、そういうものかと思って契約してしまいますよね。
☆相談員
はい、このような場合消費者は、これが普通なのだと納得して契約してしまうのだと思います。
★NHK
他にはどのような事例がありますか?
☆相談員
「事業者店舗で車を査定してもらい、提示された230万円で契約。その日のうちにキャンセルを申し出たら、事業者から40万円の違約金を請求された。」その他、「修理歴を告げて査定してもらい、提示額に納得して契約したが、『車を売却するためにオークションに出したら事故車扱いとなったので契約金額を提示額より約30万円減額してもらえないか。』と連絡があった。納得いかない」というご相談がありました。
★NHK
高額な違約金を請求されたら、違約金を払うぐらいなら、この事業者に売るしかないかと思いますし、当初提示された金額より30万円も減額されたら納得できませんよね。
☆相談員
ここ数年の半導体不足の影響による新車販売台数の減少から、事業者は中古車の買い取りに、より一層力を入れており、それがトラブル増加の一因になっていると考えられます。
★NHK
では、私たちはどのように対処したら良いのでしょう。
☆相談員
インターネットの査定サイトは、上手に利用すれば時間をかけずに一度に複数事業者の査定が受けられるなどの利点がある一方、査定サイトに書き込んだ情報で、複数社から勧誘される可能性があることを認識しておきましょう。自動車の売却は、事業者に自宅に来てもらって売却した場合でも、特定商取引法に定める訪問購入の規制対象外となっており、クーリング・オフはできません。予想以上の高額を提示されても、査定の場では契約せず、一度冷静に考えましょう。特にキャンセル料はいくらか、いつから発生するのかなどが重要です。契約内容をしっかり確認しましょう。売却する車に修理歴や事故歴があると知っていたら場合は、必ず査定時に事業者へ告げましょう。修理歴や事故歴を事前に適切に告げていた場合、契約後の修復歴などを理由として契約の解除や減額には応じる必要はありません。
★NHK
トラブルになったときはどこに相談したら良いのでしょう?
☆相談員
トラブルになったときは消費生活センターや業界団体の相談窓口等に相談しましょう。車買い取りの事業者団体である一般社団法人日本自動車購入協会には、車の売却に関する専門の消費者相談窓口が設置されており、不安に思った場合やトラブルになった場合に無料で相談することができます。
お問い合わせ
文化生活部消費生活安全センター
京都市南区東九条下殿田町70 京都テルサ西館2階
電話番号:075-671-0030
ファックス:075-671-0016