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「感染症情報@丹後」最新号

丹後の感染症情報をお届けするメール通信「感染症@丹後」第10号(2020年7月1日発行)

こんにちは!京都府丹後保健所保健課感染症・難病係です。

梅雨に入り晴れ間の少ない季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

このメール通信は、医療関係者の方に知っていただきたい感染症に関する情報をピックアップしてお届けいたします。

不定期の発行ですが、できる限りタイムリーな情報をお知らせできるよう努めてまいります。是非、日常の感染症診療にお役立てください。

<主な内容>

  • 管内における全数報告の感染症発生状況【令和元年(H31.1~R2.3)】
  • ダニ媒介感染症の注意喚起
  • 狂犬病について

管内における全数報告の感染症発生状況【令和元年(H31.1~R2.3)】

1類感染症:報告なし

2類感染症:結核が10件報告されました(肺結核5件、肺外結核1件、潜在性結核感染症4件)

3類感染症:報告なし

4類感染症:レジオネラ症が5件、デング熱1件報告されました

5類感染症:アメーバ赤痢1件、侵襲性肺炎球菌感染症2件、梅毒2件、百日咳28件、カルバペネム耐性腸内細菌感染症2件、水痘1件報告されました

医師による感染症届出のお願い

感染症法に基づいて、届出の必要な感染症を診断した医師のみなさまに、届出をお願いします。届出をいただくことで、感染症の発生や流行を探知することができ、まん延を防ぐための対策や、医療従事者、住民のみなさまへの情報提供に役立てられます。

ダニ媒介感染症の注意喚起

ダニ媒介感染症とは、病原体を保有するダニに咬まれることによって起こる感染症です。日本国内では、日本紅斑熱、ライム病、ダニ媒介性脳炎、ツツガムシ病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)があります。特に春から秋にかけてはマダニの活動が盛んになり、草むらや藪等でマダニに咬まれる危険性が高まります。日本紅斑熱、ライム病、ツツガムシ病は細菌による感染症で、抗菌薬による治療が可能です。一方、ダニ媒介性脳炎、SFTSはウイルス性の感染症で、特異的な治療がありません。特に、SFTSは発熱、全身倦怠感、消化器症状を呈することが多く、白血球と血小板が低下し、致死率が高い特徴があります。

ダニ媒介感染症の中には、SFTSや日本紅斑熱のように民間の検査会社で検査ができないものがあり、保健所に検査依頼をいただく場合があります。ツツガムシ病は、民間の検査会社でも検査可能です。ダニ媒介感染症を疑う患者を診察し、保健所へ検査を依頼する場合は、ツツガムシ病との鑑別診断をお願いします。その他、麻しん、風しん等の発疹疾患の検査を実施していれば、その検査結果、また発症2週間前のダニ生息地での行動や咬み口の有無等について情報提供をお願いします。

厚生労働省ダニ媒介感染症(外部リンク)

国立感染症研究所SFTS(外部リンク)

厚生労働省SFTS感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について(外部リンク)

【ネコやイヌなど身近な動物のマダニ予防も必要です】

2017年7月野良ネコにかまれた50代女性がSFTSを発症し死亡した事例がありました。この原因はSFTSに感染していたネコにかまれたことによるもので、ネコからヒトへの感染は日本で初めての事例でした。これまでSFTSは森林や草地に生息するマダニに人が直接かまれることで感染すると考えられてきましたが、飼いネコや飼いイヌもSFTSに感染し、発症することが確認されています。屋内で飼われているネコやイヌはSFTSへの感染のリスクはないとされていますが、屋外にいる体調不良のペットに接触する場合は注意が必要です。

飼育している動物との過剰な触れ合いは控えたり、動物に触ったら必ず手洗いを行いましょう。また、飼育している動物の健康状態にも留意し、体調不良の場合は動物病院を受診してください。

厚生労働省重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A(外部リンク)

狂犬病について

令和2年5月22日、静岡市内在住の方が狂犬病を発症し、死亡しました。日本では14年ぶりの発生です。
2017年のWHOの推計では、年間約5万9千人(うち、アジア地域35,000人、アフリカ地域21,000人)が狂犬病で亡くなっています。
狂犬病は一旦発症すれば効果的な治療法はなく、ほぼ100%亡くなります。感染動物に咬まれるなど感染した疑いがある場合には、
その直後から連続したワクチンを接種(暴露後ワクチン接種)をすることで発症を抑えることができます。

<狂犬病について>
・臨床症状
前駆期:発熱、食欲不振、咬傷部位の痛みや掻痒感
急性神経症状期:不安感、恐水及び恐風症状、興奮性、麻痺、幻覚、精神錯乱などの神経症状
昏睡期:昏睡(呼吸障害によりほぼ100%が死亡)
・病原体:狂犬病ウイルス
・感受性動物:全ての哺乳類(ヒトを含む)
・感染経路:狂犬病にかかった動物(罹患動物。アジアでは主にイヌ)に咬まれた部位から、唾液に含まれるウイルスが侵入。
通常、ヒトからヒトに感染することはなく、感染した患者から感染が拡大することはない。
・発生状況:日本、豪州、英国、スカンジナビア半島の国々など一部の地域を除いて、全世界に分布。
・潜伏期:通常1~3ヶ月程度
・病原体生前診断:
1.PCR法による病原体の遺伝子の検出(唾液等)
2.蛍光抗体法(FA)によるウイルス抗原の検出(皮膚、角膜等)
3.間接蛍光抗体法(IFA)又はELISA法による抗ウイルス抗体の検出(脳脊髄液)
4.分離・同定による病原体の検出(唾液)
・治療:発症後の有効な治療法はない。
・暴露後ワクチン接種:
狂犬病発生地域で犬などに咬まれて狂犬病に感染した可能性がある場合に、発症を予防するためにワクチンを接種することをいいます。犬やコウモリ等による咬傷(暴露)を受けた際は出来るだけ早く接種を開始する必要があります。なお、初回のみではなく複数回にわたり所定の回数の接種が必要となります。
日本で医薬品として承認されているワクチンは以下の2種類です。
1.KMバイオロジクス株式会社「組織培養不活化狂犬病ワクチン」
2.グラクソ・スミスクライン株式会社「ラビピュール筋注用」
※ワクチンの種類によって接種スケジュールや接種部位が異なります。

狂犬病(外部リンク:厚生労働省)

動物由来感染症をしっていますか?(外部リンク:厚生労働省)

狂犬病とは(外部リンク:国立感染症研究所)

編集・発行

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