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地球温暖化対策プラン検討会議(平成20年度)
地球温暖化対策プラン検討会議の開催
第1回検討会議
- 日時:平成20年6月19日(木曜日)午前9時30分から午前11時30分まで
- 場所:京都府文化環境部会議室(府庁1号館1階)
- 内容:平成20年度地球温暖化対策プラン策定に向けた検討
<配布資料>
<主な委員発言>
- ここ1~2年のプランは、施策のメリハリがついてきた。国の動きは、先の福田ビジョンの目玉である国内排出量取引制度の導入が、本格導入時期や、規模、方法などの肝心部分を全て先送りにしていることからもわかるように遅々として進んでいない。エコポイントなどの排出量取引要素のある制度をローカルイニシアティブとしてうちだしていくことは良い。
- 中期的な目標を設定し、目標達成に必要な削減量を確保できる施策を打ち出すことが重要。エコポイントについても、ただ新しい施策に手をつけるという意味だけでなく、中期的な目標に向けた必要削減量をエコポイントの施策でどれくらいまかなうか明確な目標を設定しないといけない。
- 2050年までに80%削減とか、2020年までに30%といった目標をクリアするには、省エネの促進だけでは不十分であり、エネルギー需給構造を再生可能エネルギー中心のものに転換していく必要がある。
- 重点施策立案に向けた検討分野(案)は、切り離してではなく、連携させながら検討すべきである。例えば、エコポイントの付与対象を家庭だけでなく、省エネに取り組んだ中小企業に広げれば中小企業対策の充実(国内CDM)につながる。
- 多くの大企業は京都府内だけでなく、広域で事業展開しており、都道府県単位での排出量取引の検討や中小企業対策の充実にある国内CDMの検討については慎重であるべき。
- エコポイントは中小企業対策の充実だけでなく、森林吸収源対策とも連携できる。
- イタリアのトスカーナ州ではコムーネと呼ばれる市町村で、地域の森林吸収量と排出量のバランスを地図上で色分けして表示する京都観測所という制度がある。市町村を巻き込んで京都でも同じことをできないか。
- 「見える化」はエネルギーの使用状況そのものだけではなく、どのようにすれば減らせるのかという部分を「見える化」する必要がある。
- エネルギー使用量の削減方法の「見える化」については、各人のライフスタイルに合わせた多様な方法を提示する必要がある。
- 市町村単位や家庭単位での「見える化」に必要な情報について、報告義務を課す条例の制定をしてはどうか。
- 再生可能エネルギーの普及促進には、ドイツのような再生可能エネルギー(電力)の買い取り制度が不可欠。市町村では難しいが、都道府県であれば導入は可能である。
- 省エネ家電の普及促進と同時に、省エネ家電の賢い使い方について情報提供を行う必要がある。省エネ家電(液晶テレビ、エコキュート等)も、使用状況に合わせて調整をしなければ省エネにつながらないケースが多い。
- エコポイントと運輸部門の施策との連携については、自動車から公共交通機関に振り替えるエコ通勤に対してポイントを付与する施策が考えられる。
第2回検討会議
- 日時:平成20年8月1日(金曜日)午前10時から正午まで
- 場所:京都府庁旧本館会議室2-L
- 内容:平成20年度地球温暖化対策プラン重点施策の検討
<配付資料>
<主な委員発言>
【中小企業CDMの調査研究について】
- 中小企業CDMに関しては、経済産業省で検討が進められていることを踏まえて、京都府内で完結させるものではなく、全国で通用する内容のものにしなければならない。
- 中小企業は、まずCO2削減の第1歩から進めるべきで、自己責任としてやるべきことを明確にした上でCDMをどう組み合わせるか研究会で頑張って欲しい。無料のESCO診断等を実施するなどして、自社の状況把握と取組のきっかけを与えることが必要になるのではないか。
【電気自動車の普及促進策について】
- 京都には、電気自動車のリチウム電池や構内用のリフトカーなどを開発している企業があり、大学でもユニークな研究がされているなど、電気自動車を普及させる土壌があり、普及方策を研究する意味がある。
- 府域など自動車が生活手段として大事な地域での方策として電気自動車の普及は大事だが、京都市内などは、公共交通機関の利用促進と自動車に頼らない交通のあり方を模索することではないか。
- 公用車に電気自動車を積極的に導入し、広告宣伝カーとして活用してはどうか。
【家庭部門におけるライフスタイルの転換について】
- 家庭での取組は難しいので、ライフスタイル全般ではなく、「これはなくなっても困らない」と思えることから、少しずつ削減してはどうか。
- ドイツ人は、何かを我慢するということではなく、楽しみながら取り組んでいる。その背景には、ドイツでは環境をよくするとビジネスが伸びるという認識が定着し始めていることがあると思われる。
- 少々高くても地元のものを買う「地産地消」をもっと進めればどうか。
- 府内でフードマイレージの取組ができないか、研究会を立ち上げたいと考えている。
- 京野菜や省エネ家電製品への関心が高まっており、通常の商品に比べて少し割高でも、健康や環境に良いものを選択する意識が高まってきていると感じている。
- 経済産業省がカーボンフットプリントづくりを進めているが、LCA(ライフサイクルアセスメント)より、まずフードマイレージによる「見える化」が大事ではないか。
- 町家がどんどん消えているが、町家の暮らしには知恵がある。
【京都CO2削減バンクの組織強化等について】
- CO2削減バンクに口座を開設した企業が、カーボンクレジットを使わずに、どんどん貯めていきたくなるように、一定以上のカーボンクレジットを保有する企業への特別低金利融資を設けるなど、CO2削減バンクの銀行的な機能の強化を図る必要があるのではないか。
- モデルフォレストと連携し、森林吸収量もカーボンクレジットとして取り扱うことを検討することもおもしろい。
- エコポイントモデル事業のスタートが遅れている。まずやってみないとわからないので、早く進めて課題整理をしていく必要がある。
【学校部門対策の充実について】
- 学校版KESの普及については、京都市の方が進んでいる。府の立場では難しいと思うが市町村教育委員会を巻き込んだ学校版KESの普及施策を検討すべきである。
【環境技術・産業の振興、新エネルギー等の普及促進について】
- 環境技術と一言にいっても多種多様でつかみどころがない。京都は最終製品を作っている企業は少なく、素材や部品に特化した企業が多いことから、素材や部品のエコ化を図るための技術開発の支援がコアになってくると思われる。
- 電気自動車の普及促進と同じで、技術開発支援は商工部の施策と思われる。環境部局としては、環境技術を持った企業を税制上優遇するとか、環境技術が使われた製品の普及促進を図る補助といった制度的な支援の検討になるのではないか。
【市町村における温暖化対策の支援について】
- 支援ではないが、京都地球環境の日(2月16日)に市町村の首長を集めたサミットを開催すれば、各市町村の取組も進むのではないか。
- 京都府は南北に広く、地域の特性にあった対策が必要で、特にこれからは温暖化の影響に適応していくための取組も並行して進める必要がある。市町村毎に実状にあった適応策をとることを支援するということがあってもよい。
- 温暖化の悪影響を指摘するだけでなく、農作物など地域に合った適応支援の取組も必要である。
【その他】
- 温暖化対策も、環境だけでなくて、商工・農林・教育と連携しなければ、立ちゆかなくなってきている。「連携と評価」が大事で、政策の統合化と評価による選択により、考え方を整理し、進めていく必要がある。
第3回検討会議
- 日時:平成20年8月27日(水曜日)午前10時から正午まで
- 場所:京都府庁西別館会議室401
- 内容:平成20年度地球温暖化対策プラン中間案(骨子案)について
<配付資料>
<主な委員発言>
- 中小企業CDMに関しては、今秋から経済産業省が地域事業の募集を開始するとのことであり、京都で取り組むのであれば、国の動向を踏まえた内容に調整する必要がある。
- プラン改定における目標として、10%削減(1900/2010)に加えて、20~30年後の中長期的な目標を府民に示す必要があるのではないか。
- エネルギー構造を、新エネルギー中心のものに転換していくためには、ドイツにおける新エネルギー電力の買取制度を京都府で国に先行して導入することが必要ではないか。
- 新エネルギー電力買取制度は、ドイツのアーヘンという地方自治体から始まり、ドイツ全国に広がった経過があることから、自治体が率先して導入することも検討すべきである。
- 太鼓山風力発電については、失敗だったととらえるのではなく、次のステップにつなげる検討を進めるべきである。
- 一部の市町村を除いて市町村の取組は動きがにぶい。市町村の環境情報のデータベースを府が整備し、取組を促していく必要がある。
- 市町村の環境情報については、悪いところや取組の進んでいないところを積極的に情報公開し、地域住民に意識喚起を働きかけるべきである。
- 市町村における取組を促進する方策としては、新エネビジョンの策定を働きかけるのが有効ではないか。滋賀県の野洲市など、新エネビジョンの策定を契機として市内の環境活動が活性化した好事例が多く散見される。
- フードマイレージについては、現在、生鮮食品の比率は20%程度であり、加工食品の割合の方が高いことから、消費者に直接府内産生鮮食品の購入を呼びかけるスキームと併せて、加工食品産業や外食産業に府内産農産物を使ってもらうような働きかけが重要である。
- 府内の市町村については、都市部から農村部まで多種多様である。モデルフォレスト運動と連携し、環境負荷が高い都市部の住民が、環境負荷の低い農村部に人的、物的資源を再配分させるような取組という形で、市町村の取組を促すのが良いのではないか。
- 環境の優等生が対象の施策ではなく、府民全員が動かされるような施策が重要(ゴミ袋の有料化等)
- 知恵と文化を生かした暮らし方の提案については、2050年のライフスタイルの提案という形をとった方がわかりやすいのではないか。
第4回検討会議
- 日時 平成20年11月20日(木曜日)午前10時から正午まで
- 場所 京都府公館第5会議室
- 内容 地球温暖化対策プラン案について
<配付資料>
<主な委員発言>
- パブリックコメントでは、自然エネルギーの固定価格買取制度について意見が提出されている。原子力発電は地震等により長期運転停止になる可能性があるなど不安定な要素を残していることから、太陽光発電などの自然エネルギーの比率を高めることが重要。
- 固定価格買取制度は、自然エネルギーの普及促進に有効な制度として国際的な実績があることから、日本においても自然エネルギーの普及促進策として導入を検討する必要がある。
- 電力業界としては、自然エネルギーの普及促進について、余剰電力やグリーン電力の買取を行うとともに、自ら大規模太陽光発電設備の整備に取り組んでいるが、電気料金の上乗せによる消費者への負担を抑えると同時に、電力の安定供給に対する技術的な問題をどうクリアするのかについて、検討することも必要。
- 固定価格買取制度の導入について、国の対応が遅いのであれば、自治体が率先導入して突破口を開くような施策の検討をプランに盛り込んでもらいたい。
→ 「新エネルギー、自然エネルギーの普及促進」という文言については、プランに追記
→ 固定価格買取制度を特定地域で率先導入することについては、問題点が多いためしばらくは国等の動向を見守りながら情報収集に務めたい。
- 電力の排出係数を下げるために、地域環境税などが提案できないか。
- 風力発電の普及促進策ということであれば、京都府がこれまで培ってきた太鼓山風力発電の設置・運用ノウハウを生かして、設置時の風況調査、周辺環境影響(動植物・景観)のデータや、運用時のトラブル等のデータを民間事業者に提供するような体制をつくるような支援策があってもよいのではないか。
- 京都府トラック協会では、公益事業として太陽光発電の導入を検討している。この中で、業務のない土日に発生する余剰電力については電力会社に買い取ってもらえないとのことであった。事業者が設置した太陽光発電の土日の余剰電力を有効に活用するため、第三者への寄付をコーディネートする制度があるとよい。
- 省エネ促進のための普及啓発としては、断熱リフォームの促進より、町家や田舎家のような省エネ型ライフスタイルの提案の方がよい。
- 民生部門の排出量が増加している傾向を踏まえると、関心のない方にも取組を広めることが必要となる。普及啓発イベントの広報等をその都度行うのではなく、年間の全体計画を立てた広報を考えることが必要ではないか。
- 関心のない方へ取組を呼びかける広報戦略としては、子供を利用した取組への意識付けを行う方法が有効である。
- どのような行動がCO2の排出削減になるのかメニューを作成した上で道標を示す必要がある。
→ 「戦略的な広報など、啓発活動の充実」をプランに追記
- 中小企業の省エネ診断を無料でできないか。
- 温暖化対策の推進がプラスになることを示す。発電による地域再生など、課題等を地域で取り組む組織づくりを行う。
- エコポイントモデル事業は参加募集が苦戦しているが、全国モデルについても環境省が期待しているほど参加数が伸びていない。その背景には、ビジネスモデルの問題があると考えられる。プランの中に「エコポイント事業の拡充、関西広域連携の展開」という記述があるがよくよく検討しないと、国の二の舞になってしまう。
第5回検討会議
- 日時 平成21年3月16日(月曜日)午後1時~3時
- 場所 京都府旧本館会議室2-L
- 内容 平成20年度地球温暖化対策プランについて
<配付資料>
<主な委員発言>
- エコポイントモデル事業における新エネポイントが目標1,000世帯に対して約130世帯程度に留まった結果を踏まえると、太陽光発電「15,000戸」達成事業費に係る設置者へのインセンティブ付与方法としてエコポイントが最前の手法であるかどうかについて検討を行う必要があると考えられる。
→ 21年度はポイント数を5倍に増やして実施する予定であり、インセンティブ効果を見ながら事業成果を検証する場を設ける。
- 太陽光発電「15,000戸」を目標年度である平成22年度までに達成するには、年間3,000戸のペースで増やす計算になるが、府内の年間住宅着工件数が1万2千戸程度の状況下では、4戸に1戸という高い割合での太陽光発電設置になるが、実現は難しいのではないか。
- 新規住宅着工数の半分はマンション等の集合住宅であることから、戸建て住宅を対象とする目標としては更に達成が難しいことになる。
→ 15,000戸という数字は、新京都府総合計画の中で定めたものであり、府の太陽光発電普及促進に対する意気込みを示すものである。今年度の新エコポイント制度が、工務店等の現場への浸透が不十分で苦戦したことの反省を踏まえて、対策を講じたい。
- 15,000戸という高い目標をクリアするためには、需要側への働きかけだけではなく、ハウスメーカーや宅地デベロッパー等の供給側と連携したシステマティックな制度浸透方法を検討する必要がある。
→ 復活した経済産業省の補助制度により、イニシャルコスト回収に30年かかっていたものが、約20年に短縮されたことで、太陽光発電設置のインセンティブは高まった。府の太陽光発電15,000戸達成事業は、この補助制度にプラスするものであることを強調して施策の浸透を図っていく。
- 省エネラベルが制度として成功したのは、家計の決定権を持っている主婦層に対して、省エネ性能の高い家電製品を購入した方が長期的に見て経済的であることを「見える化」したことにある。同様に、住宅についても補助制度等をうまく活用して新築時に太陽光発電を設置した方が長期的に見て経済的であることの「見える化」が必要である。
- 新エネポイントは、戸建だけではなく、マンション等の集合住宅に太陽光発電を設置した場合にも付与できないのか。
→ マンション等の場合、敷地面積に対する住戸数が多いため、屋上等の共用スペースに設置しても、各戸に配電するだけの十分な発電がない。
- マンションの場合であっても、太陽光発電で共用部の電力の一部を賄うことで共益費を下げるメリットがあるのではないか。
- エコポイントの魅力を高める方法として、市場に流通しているメジャーなポイントとの相互交換ができるようにすることはできないのか。
→ 関西に店舗展開しているスーパーのポイントとの交換について調整中である。
- 太陽光発電の更なる普及促進には、設置補助だけでなく固定価格買取制度の導入が重要と考えるが、現在検討されているスキームは、余剰電力分のみを対象とするものであり、太陽光発電設置のイニシャルコスト回収期間がどれくらい短縮されるのかが見えにくいものになっている。
- 公共交通機関の利用促進を進めている府が促進している一方で、政府の景気対策として高速道路利用料が大幅に引き下げられることにより、自動車の利用促進が劇的に増加することが懸念されているが対策はあるのか。
→ 当面の対策としては、電気自動車等のエコカーの普及促進策によって、自動車利用そのものからの排出抑制に取り組んでいきたい。
- 高速道路利用料の引き下げという景気対策の実施は、本来公共交通機関の値下げとセットでなされるべきであった。例えば、京都にくる観光旅行者のうち、自動車利用率が高い名古屋周辺の東海圏の方々は、高速道路料金引き下げによって拍車がかかる懸念がある。
- 自動車利用の抑制策については、京都市が進めているパークアンドライドを、府も協力して広域で展開するべきである。
- 府として市場流通型のクレジットの創出を図るカーボンオフセットモデルの検討を行うべきである。
→ 府単独で市場流通型のクレジットを取り扱うカーボンオフセットモデルを立ち上げるには、国内クレジット制度との整合性をどのように図るか等、難しい課題が残っている。国内クレジット制度の動向等を見守りながら検討したい。
- 観光と連携した電気自動車の普及促進策としては、単純に充電設備を整備するだけでなく、例えば有名社寺と協力して本殿に一番近い特等席を電気自動車専用の駐車場とすることが有効ではないか。
- 地域の雇用創出の場としての森林バイオマス活用を検討する必要がある。
→ 薪ストーブを活用している雲ヶ畑中学校が環境省のストップ温暖化「一村一品」大作戦2009で最優秀賞に選ばれた。里山に近い学校での取組を支援できればと考えている。バイオマスの活用については、関係部局と連携して検討したい。