第2回 地球温暖化対策推進計画検討専門委員会概要
1 日時
平成18年4月27日(水曜)午前9時~午前11時
2 場所
京都府職員福利厚生センター 第4会議室
3 内容
(1)計画目標のあり方について
資料1、2に基づき計画目標のあり方について事務局説明。
説明概要
(A)部門別の目標設定について(資料1)
ア 追加対策の削減効果を積み上げる方式での試算
イ 主要4部門を一律10%以上の削減を設定する試算
※ 2010年度の各部門排出予測量について、前回委員会の配付資料に誤りがあり、エネルギー転換部門の排出量が正しく配分されていなかった旨を説明。(資料1では修正)
(B)地域別の目標設定について(前回資料2)
主な意見
- 資料2の「KESの普及による削減」における実践率50%とは、企業数の半分という意味か。
→ 京都府内の産業部門における温室効果ガスの排出量のうち、中小事業者による排出量は約半分と推測される。府内の事業所総数約14万のうちその大半が中小事業者であり、企業数の半分という目標設定は難しいことから、温室効果ガス排出量ベースで中小企業全体の排出量の50%を想定している。KESが急速に普及している現状を踏まえ、高い目標を設定した。
- 削減効果の積み上げで10%削減を目指す設定をみると、「省エネ行動の実践」など、頑張って高い目標を設定している。目標達成のためにかなり苦労されて設定されたようであり、10%削減はやはり大変な目標だとあらためて感じる。この目標を本気で達成しようとするならば、京都府が各家庭のエネルギーの使い方に相当介入していかなければならない。
→ 資料は、取組が可能と考えられる対策を中心に、10%削減を達成するための道筋の一つとしてお示ししたものである。御指摘のとおり、各施策の実施率など、かなり背伸びをした設定となっているが、現体制で何とか達成が可能と考えられる施策を積み上げている。
- 設定した個別の行動目標が達成できなくとも、電気の排出係数が予想よりも低くなったため結果として達成できたという場合も想定できる。この場合の計画の評価はどうなるのか。
→ 全体の数値目標については、係数の変化という外的な要因は予想も含めて達成ができれば良しとするのもある程度やむを得ないと思われる。個別の行動については、できるかぎり排出係数に影響されない物量ベースの数値で設定した行動目標を達成できたかどうかで評価していきたい。
- 京都市の計画検討過程でも、10%削減のための家庭での省エネ行動には60%以上の実施率が必要という結果がでたことから、今回の資料に示されている実施率60%というのは妥当な線だとは思う。しかし、京都市の環境家計簿への参加率が1割程度であるという事実からみても、省エネ行動の実施率向上にはあまり過度な期待はできない。むしろ省エネ機器への買い替え促進など、一旦取り組めば省エネ効果が継続する取組に重きを置くのが良いのではないか。
- 地域別目標についてはどうするか。
→ 地域別目標については別添の前回資料でお示ししたとおり、定量的な削減目標をたてるやり方と定性的な重点対策事項の設定という2つのやり方が想定されるが、地域別目標の設定は、各振興局ごとに地域特性を踏まえた重点取組事項を設定し、その進行管理を行うのが適切ではないかと考えている。
- 地域別の目標設定については、あまり複雑に考えずに振興局ごとに3つ程度の率先プロジェクトを設定させて、その進行管理を委ねるというやり方でもよいのではないか。
- 地域機関では排出量の数値も含めた全面的な管理が難しいならば、数値管理を含まない重点対策の進捗状況の進行管理でもやむを得ないかもしれない。
- 前回の議論では各部門一律の削減目標設定の方向で議論を進めるということであったと思うが、今回の議論は対策ごとの削減効果を積み上げた資料がベースになっている。整合性はどうなるのか。
→ 前回の議論は、京都市の推進計画における目標設定方法をベースに府において目標設定するとどうなるか資料を作成して議論するということであったと理解している。資料1の2頁目の主要部門10%以上削減ケースがこの資料に当たる、しかし、削減目標は設定の前提として効果の積み上げが不可欠であることから、資料1の1頁目の施策積上げケースも併せて作成させていただいた。双方を見比べていただいて削減目標の設定方法について議論いただければと考えている。
→ 事務局としては、施策効果の積み上げを行う過程で、各部門一律10%という設定は、かなり無理があるとの認識を持っている。
- 地域別の目標の設定と進行主体について、「保健所が所管である」とか「振興局が担当するべき」という議論は、問題の本質から外れた矮小な議論である。今回の推進計画で今後の地域における地球温暖化対策のあり方に明確なビジョンを示せば、どのような組織が所管するべきかは自動的に決まってくるのではないか。その際には、基礎的自治体である市町村の役割にどのようにアプローチできるのかも視野に入れて議論しなければならない。
- 府の役割は、府内の多様な主体が地球温暖化対策の意識を高め、継続的に取組を進めていくためのフレームを示し、全体のコーディネートを行うことである。計画は、このような視点から策定する必要がある。
- 前回資料では地域設定は振興局とする案が示されている。この場合、目標の進捗管理を保健所が行うというのはどのような整理になるのか。また、現在の振興局は広域化していずれの局も管内に市街地と農山村という多様な地域を含んでおり、地域特性の把握は困難と思われる。このような中、地域特性を活かした目標設定をしろと局や保健所に求めても、ある程度フレームを示さなければ、案は出てこないのではないか。
- 地域特性に応じたプロジェクト、といってもそんな厳密に地域特性を考える必要はなくて、例えば丹後では風力発電の促進ができそうだ、ということであればそれを活かした街づくりというのを目標に設定する、といった程度のおおまかな設定でもかまわないと思う。
- 地域別の目標設定というのが困難であれば、2010年度までにそれらの地域機関が進捗管理を行えるような体制づくりをする、というのを目標として設定し、各振興局で体制づくりを進めるというやり方もあるのではないか。
- 保健所も広域振興局制の下では振興局の一組織でもあり、各振興局長は地球温暖化対策の推進に意欲があることから、今後、局長のイニシアティブで振興局と保健所の連携強化が図られていくものと考えられる。
(2)府民にわかりやすい行動目標の設定について
資料3に基づき府民にわかりやすい行動目標の設定について事務局説明
主な発言
- 府民や事業者に求める行動について例えば太陽光パネルの設置などイニシャルコストのかかるものについては、誘導施策が必要ではないか。
→ 太陽光パネルの設置は、温室効果ガス削減の有効なツールと認識しており、住宅における太陽光パネル設置に係る低利融資制度は整備している。しかし、設置補助金については、太陽光パネルの導入費用が下がってきている背景から国等も補助金を廃止する方向にあり、京都府独自の補助制度は設けていない。
- 太陽光パネルの普及でみると、ドイツがこの2年間で年間導入量、累積導入量ともに日本を上回った。その背景には国による電力会社への自然エネルギーの買取義務化という施策があり、それまで導入量世界1を誇っていた日本が10年間かけて導入した量をわずか2年間で追い抜いてしまった。しかし、ある自治体が実施した太陽光発電の電力買取補助が成功しなかったことから見ても、自治体レベルの財政規模での誘導施策で大規模な普及を図るには限界があるともいえる。
- この度の温暖化対策条例において大規模な建築物に屋上緑化を義務化し、緑化の一部を太陽光パネルで換算することも可能とされたことからも、この制度をもう少し発展させて、例えば既存大規模建築物の改修時に一定の面積割合で太陽光発電の設置を義務化するような制度を創設することはできないか。屋上緑化は積載荷重が大きく既存建築物での施工は難しいことが多いが、積載荷重の小さい太陽光パネルならば可能と思われる。
- 行動目標の設定例として資料3に推進計画の事例集があげられているが、取組の列記では特色がなくわかりにくい。京都で実際に取り組まれている省エネラベルやマイスター制度などの特色ある取組を活かして、府民や事業者にライフスタイルとして提案するようなまとめ方が必要ではないか。
- たくさんのメニューを並べられて、さあ頑張れと言われても何をやれば良いのかとまどってしまう。人それぞれに生活スタイルがわかれていることから、例えば1人暮らしであればこのメニューを、4人家族であればこのメニューを、といった具合に、各人の生活実感に即した内容になるまで噛み砕いてメニューを示す必要がある。
- 雑誌などでよく企画されているイエス・ノーのアンケート方式で該当する生活スタイルに振り分けて、その人の取組可能な行動メニューを見やすく提案する方法もある。
- 行動メニューには、各人のやる気をひきだすようなステップアップ式のメニューを設定することも重要。
- 府民にわかりやすい行動目標というのは、主体ごとに結果を出して改善を図るという点で、事業者にとってのマネジメントシステムの実行と同じである。振興局単位での地域別の重点取組事項についても、府のマネジメントシステムの実行の中で各振興局がどのような目標を設定して、どのように実行・改善するのかという問題である。
家庭や地域での取組を進めるためのマネジメントの単位としては、小学校の学区が理想であると考える。小学校での子供達への環境改善の取組が、親達に影響を与え、工場の生産現場見学などで地区の事業者も巻き込んだ取組に拡大することが可能となるからである。
- 特色を出すとすれば、行動目標を学校や病院、自治体などの民生部門業務系での形態別の取組を取り上げていくのがよいのではないか。
- 2010年度をターゲットにした計画ではあるが、小学生への環境学習という将来を見据えた施策も忘れてはならない。
- 家庭での取組を進める上での最大の課題は、取組を継続させる仕組みがないということである。家庭においては瞬間としては頑張れても、取組を継続させることが難しい。
- 電気やガスのメーターは通常見えないところにあるが、これらを見えるところに出すだけで効果があるのではないか。多くの人はメーターを見るとメーターの回転が速いことに驚く。
- 地球温暖化対策に関する地域間格差をなくすため、各市町村の実行計画策定の期限設定など、最低レベルやらなければならない地球温暖化対策行政のレベル合わせ的な取組を盛り込む必要があるのではないか。
- 「京都地球環境の日」や月1回地球温暖化防止行動の日を設定するなど、府民参加型の取組を促進するための仕掛けをもっと取り入れていく必要があるのではないか。
- サマータイムの導入などは今回の計画において検討しないのか。
→ 府県レベルでは、サマータイムを導入しても、これを省エネにつなげるのは難しいと思われる。
- 深夜電力の利用促進がCO2の削減になるかどうかについては議論がわかれているところである。電力会社が普及促進を図る分にはよいが、府の計画における行動目標として掲げるのはいかがなものか。