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平成22年度「「いただきます。地元産」プラン第1回検討会議事要旨

1 日時

平成22年7月8日(木曜日)13時30分から16時30分まで

2 場所

京都府公館第5会議室

3 出席者

(アクションプラン検討委員)

秋津参与 楠本委員 四方委員 田中委員 原委員 伴委員 古谷委員 牧委員 宮﨑委員(五十音順)

(講演)

JAおちいまばり「さいさいきて屋」 店長 西坂文秀氏

(京都府)

今西農林水産部長 片岡農林水産部理事 他

4 概要

  • 開会あいさつ   今西農林水産部長
  • 検討メンバー紹介 
  • アクションプラン改定の論点 、スケジュール説明   
  • 講演 「彩菜が取り組んだ食育と農業」

   JAおちいまばり「さいさいきて屋」店長 西坂文秀 氏

  • 意見交換 

5 講演概要

(1)直売所の設立

  農協合併を受け、専業農家を相手にした農協経営ではなく、兼業農家、小規模農家、女性高齢者が参画できる農協事業をやっていこうとの思い。28坪の小さい直売所から事業開始。
  初年度、2億1000万円の実績。5年目には8億円に。当初94人の会員が800人に増え、店が手狭となる。農家要望もあり、「生産と販売」、「実証と技術指導」、「生産者と消費者」、「体験と購買」、「加工と調理」、を一堂に会した地産地消型地域農業振興拠点となる施設に改装。施設面積は日本一。敷地面積2.5ha、直売所で1.6ha。
    売上げは、平成21年度、20億5000万円。

(2)サイサイキッズ倶楽部

  子ども対象の体験農園を直売所に併設。体験にはひとり2万円会費を徴収する。JA事業としては収支があう事業ではない。定員40名のところ初年度応募者が570人と関心が高い。お金を払ってでも、本当の自然、環境、食に興味がある子に来てもらいたい。理解のある親に来てもらいたい。2万円で安いと感じさせる事を提案すればいい。
    田植え、収穫体験のほか、生き物や水質調査、調理体験、また、収穫したもち米を自らつき、販売する体験など、6月~3月の毎月取組を行っている。
    農作業体験を通じて家族のコミュニケーションや親子の会話、家族の会話が広がっていくことが食育の定義と考える。
    食を介在して、家族みんなで物語を話せる場を作っていくのが、食育の原点ではないか。

(3)学校給食

    栄養士と事前準備に2年間費やした。栄養士の考える献立と供給できる農産物がなかなか一致しない。栄養士は、カロリー計算と栄養分析で話し出してくる。なかなか前進しないので、出来る所から、出来る物を、取り組みやすい直売所のある地元の学校から納入を開始。さいさいきて屋の農産物供給可能一覧表を作成。栄養士から給食での使用食材を聞き出しデータ化して、直売所からの供給可能な物を表にした。
    旬の農産物は、安いので学校給食費がおさえられ、栄養価が高く、美味しく良いことずくめ。現在23学校、約1万10食分の学校給食の食材供給を実施。今治産100%の給食月間も実施。
  学校給食の残さを堆肥化することを計画中。

(4)幼稚園給食への取り組み

   幼稚園給食をさいさい食堂で作って持ち込んでいる。
   267人の園児が、野菜の炊いた物中心のメニューで残食ゼロ。園児の親からこのメニューでは子どもが食べないと反対されたが、押し切って実施。子ども達がみんな、うれしそうに食べてくれる。子どもの好き嫌いは、親の好き嫌いがそのまま子どもにのりうつっているだけ。日本食の文化を広げていくことが、農業をもう一度見直させることにつながっていくだろう。

6 意見交流

委員自己紹介、論点に対する意見

委員:食と農を伝えるのがレストランの役割。農家の苦労を客に伝える。

委員: 農家女性グループで直売所や学校給食を。ゲストティーチャーとして授業も実施。学校給食への供給は作付けの調整など苦労しているが、学校では「今日は誰誰さんの野菜を使っている」と毎日放送してくれ、小学生とのつながりも深まりうれしい。

委員: 平成16年から町学校給食に地元産を利用。自校方式供給体制を苦労して作ってきた。月1回町内5校2500食が、現在は月2回3000食に。直売所に供給を頼っている現状であり、仕組みとして完全に構築できていない。

委員:生消交流を大事にしていきたい。食と農を結ぶ教育が大切であり、体験を伴うことも大事。京都市と京都府が足並みをそろえて議論してほしい。

委員:保育園給食を核に農の現場と子ども達をつなぐ役割をしてきた。農家の大変さを知る取組や作物を観察することは、農家と子どもの会話や家庭での親と子の会話ができ、心のつながりを作ることになる。 食農体験はいいことだとわかっているけれど手法がわからない人や機会がない人が多い。そのつなぎ役(コーディーネーター)が必要。   

委員:栄養教諭・食育の活動現場を取材して、生産者、学校、医療関係者、核家族それぞれの立場でそれぞれの言い分がある。すりあわせが大事でコーディネーターの立場が必要。京都府の食育は都市部や農村部での取組方法の違いを認識する必要がある。農家や家庭の負担が大きければ、継続性が確保できない。

委員:都市部の子どもが農村部に農家民泊する企画を続けてきた。生産者の高齢化により引き受けてもらえない現状。JAグループでは、全国協議会を作り体験プロジェクトをおこなっている。

委員:地域の朝市活動が牽引し、都会から後継者が移り住んでいる。地域の景観を活かし、環境と有機の郷を前面に取り組んでいきたい。朝市活動に対して行政はサポート役で農家が主体となってやることが大切。
地元直売所において体験型農園を開催。親子での利用が多い。草引まで体験しているが、楽しく、雨が降っても作業しているくらい。

委員:講演内容はJAが実施するすばらしい取組である。京都は、JAグループが26市町村にまたがっている。中でも、京都市にはたくさんの子どもがいるが、農産物の量や農作業体験の環境が揃えられるかどうか。

委員:直売所設立の趣旨が農家所得の向上だと考えたとき、子どもの食農体験や給食食材提供が農家所得の向上にどのように影響しているか教えて欲しい。

講師:直売所会員が約1400人に増えた。増えた理由は、儲かる仕組みが出来たから。会員のうち、専業農家は、約5%。あとは、兼業農家で今までに野菜を売った事のない人もいる。
    経済活動の中に参画し、農家は楽しく、おもしろく感じ、農業振興につながっていったと感じている。
小さな農家でも1400人も集まれば専業農家より大きな産出額となっている。
   農家に対して補助金なしで進めてきた。直売所で売れ出したら自分で投資してハウスを建てている。そういう姿を見ると、売れる事が農業振興につながっていると感じる。
   今は、作れば売れる時代ではない。ポスシステムの開発を行い、農家に自分の作物の売れる時間帯と値段帯をデータにして渡している。野菜が売れることを肌で感じることが、農家の喜びであり生産意識の向上につながっている。
    施設の中に、パートと職員合わせて、130人働いている。  正職員は5人。(内、2人はJAの営農指導員)
    体験農園の管理は、組合員の営農指導と合わせJAの営農指導員が行っている。地域からボランティアのサポートスタッフもいる。体験内容の企画は、基本的には自分が担当。その年のJAの新採職員を交代で体験農場に研修参加させている(農作業経験のない職員もいるため)。
 食堂とカフェにおいて年間3億円の売上げ。スタッフは全部素人。今治産でしか作らないのが食堂のコンセプト。毎日、同じメニューで作ってもいい。あるものでしか作らないのが「おふくろの味」であり、今家庭で食べられない。食堂がはやっている理由はそこにある。

委員:給食センターとの関わりについて
給食センターとの交渉は、非常に難しい。また、学校給食は安い価格での納入が求められ、直売所の採算にあうのか。

講師:採算については学校給食だけをみるのではなく、さいさいきて屋施設全体をトータルして考えている。
JAにとって学校給食への食材提供のメリットは、行政的な立場から将来を担う子ども達の食を考えてあげられること。また、一定量の継続販売が農家の安定所得につながっている。

委員:さいさいきて屋の取組は、地産地消のコンセプトをしっかりと持っている。食育は目に見える形で少々赤字でも、直売所でやっていくべきではないかと思う。児童や幼稚園児が、お母さんをつれて、直売所や食堂に来てくれる。また、ほかのお客さんを呼んできてくれる。安心安全を植えつけるひとつの糧となっている。さいさいきて屋は社会貢献している。

委員:旬を意識した献立を立てられないという話を耳にする。旬を全く意識せずジャガイモと玉ねぎと人参オンパレードのような給食もある。
    直売所が旬の表を作って、学校側に渡すという、提案型でやってもらえると 地域で育つ作物の旬がわからない新採職員にとっても、地元産を活用しやすい。

委員:学校給食の食材提供をしていて、最初は栄養士さんが旬を意識せず注文してきていた。栄養士が集まって、献立作成される時に、見るにみかねて、野菜の旬データを作成し出来るだけ使ってほしいという事を伝えた。
    学校給食にたびたび使うキャベツは、グループで年中採れるように計画して途切れなく作れるよう指導している。
栄養士の教育と同時に農家も工夫して学校給食用に対応している

委員:講演事例はおもしろいビジネスモデルである。地産地消のコンセプトを明確にして総合経営を目指していった事例である。
    直売所がその地域の物だけではなく全国から仕入れ販売をしてスケールを大きくしている事例は話題になっている。スーパーの一角に地産地消のコーナーがあるような直売所とコンセプトも全然違ってくる。直売所が総合経営になっている。事業単位毎の損益はどうか。

講師:今治の業者の物しか直売所には置かない。地産地消と言ったからには、全部今治産。これはスーパーがまね出来ないこと。今治にこだわって、今治産を売ることが、よそから来た人もうれしいし、今治の人もうれしい。今治の業者さんもうれしい。食を地域に根付かせるということは、地元の人に共感してもらえる店づくりになっていないと地元で生きていく事が出来ない。
  事業では直売所内販売の売上げが大半である。

委員:学校給食1万食分のうち、直売所からの供給割合は、どのくらいなのか。
    直売所に各農家から持ち込まれる商品を学校給食に搬入しているのか。生産者の指定はないのか。

講師:今治市食と農のまちづくり条例で、「給食の食材には今治産の農林水産物の使用」をうたっている。学校給食の全ての品目が入札方式である。直売所から100%供給することが出来るものについては、100%供給リストを提出する。
  落札結果から見ると、直売所が35%くらい、地元青果組合が65%の割合で納入している。
  直売所が全会員の作付け台帳を作っており、供給の規模に応じて農家に依頼している。

委員:貸し農園の取組において、栽培している産物は直売所で販売しているのか。
   親子キッズクッキングの経費は。

講師:貸し農園は規模が小さく、土と農に親しむのが狙い。   直売所での販売はしていない。
    親子クッキングはできた商品を直売所で売ったときの値段を利用料として徴収している。

 



参与: 意見交流のまとめ

  • 直売所に併設された食農教育は、直売所が元気であり、直売所本来の儲けが出ていてこそ教育の部分にも取り組める。
  • 直売所のコンセプトを明確にしていないとアピールできない
  • 今回の事例のようなリーダーをどのように見つけ育てるか。

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