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平成22年度「いただきます。地元産」プラン第2回検討会議議事要旨

日時

平成22年7月29日(木曜日)13時30分~16時30分

場所

京都府職員福利厚生センター

出席者

アクションプラン検討委員

秋津参与、楠本委員、四方委員、田中委員、伴委員、古谷委員、牧委員、宮﨑委員、山内委員(五十音順)

京都府

小田農林水産部副部長、片岡農林水産部理事他

概要

  • 開会挨拶小田農林水産部副部長
  • 第1回検討会の報告及び論点の説明(事務局)
  • 講演
    喜多方市小学校農業教育科の取組について(喜多方市教育委員会学校教育課課長補佐 渡部裕氏)
  • 意見交換

講演

(1)喜多方市小学校農業科の様子(ビデオ上映)

(2)小学校農業科のねらい(パワーポイント説明)

  • 農業の教育的な効果を学校教育に活かすことをねらい取り組んできた。
  • 豊かな心の育成
  • 社会性の育成
  • 主体性の育成
  • いいとこ取りの農業を教えるのではなく、本気で作物を育てること。
  • 本物の農業に取り組ませるため、意図的に小学校教科に農業科を組み入れ指導。現在は総合的な学習の時間に位置づけ。
  • 栽培活動とは意味合いが違う。農業は学習材としてすぐれた価値がある。

(3)農業科支援員の設置について

  • 小学校の先生は農業の知識や経験がない。
  • 農業高校における実習助手のような役割が必要であり、教育委員会が農業支援員を委嘱。
  • 臨時職員案や有料ボランティア案を検討したが、結果的には無償ボランティア。
  • 学校が農業支援員を見つけ、教育委員会に推薦。教育ボランティアとして関わってきた方々などに依頼。
  • 農業支援員は農家や農業関係者。ほとんどが65歳以上。年間10日~20日程度の活動。人や学校によって回数は違ってきている。
  • 4年目を迎え、学校ですべきこと、支援員さんがすべきことが明確化されてきた。地域に開かれた学校、地域が参加する学校運営ができてきた。
  • 支援員は学校教育に貢献しようという意識が高い。子供達のことを大切に考えてもらっている。

(4)教育的効果

  • 子ども達が、地域に自分たちのために世話をしてくれる人がいるということを感謝している。ここに生まれてきた幸せを子供達が感じている。

委員意見

食農体験農場の整備支援を通じた農業体験型食育の推進について(お茶や京野菜など京都ならではの栽培体験はどのように進めるのか)

  • 委員
    府教委では体験を重視している。学校では総合的な学習の時間を活用し、実施。いろいろな体験の方法がある。学校給食に絡めて、地域の農家にお世話になり、3・4年生はタケノコ掘りを実際に道具を使って体験している。田植えや稲刈りも体験している。
    家庭との連携を強化。伝統食を作らない傾向があるので、学校給食で食べられるようにして、さらに、伝統食レシピを家庭に配布している。また、就学前の保護者を対象に「親のための応援塾」を開催し、学校給食を食べてもらい、給食の現状を伝えている。
    問題点として、地域によって田んぼや畑がないところもあり、バケツ栽培などの疑似体験をしている学校もある。肌が土に触れる機会をたくさん作っていきたい。
    食材供給面では、食材の衛生基準の見直しがあり、安心安全な物資購入のため製造過程を点検しているか確認が必要。JAや地元農家からも衛生基準の課題をクリアーしないと納入できない。地産地消を進めたいが衛生基準の対応が難しい。
  • 委員
    教育委員会の衛生基準は、ずいぶん前に作られたものであるためか、新しい納入ルートなどを受け付けない。直売所からの農産物の納入には安全の裏付けが必要であり、うまくいかない。米の納入も残留農薬検査まで義務づけられ、農家が費用負担しなければならない。地元農産物の供給を進めるのには、教育委員会の考え方を変えてもらわないとできなのではないか。条例を作るなど教育委員会の考えを聞いて進めることが先決ではないか。
  • 委員
    安全性に関して、JAから出荷される野菜は検査されるが、直売野菜については、自分達で農薬の勉強をし、栽培履歴記帳内容も自分達で点検している。農家の女性達が立ち上がって、子ども達に安心できる野菜を提供している。
    提供量が少なくても、農家の安全対策はきちんとしている。学校給食への納入には、タマネギの皮をむいたり土を充分落としたり、他にも小さな配慮をいっぱいしないと続いていかない。
  • 参与
    生産側から教育委員会に対し、旬の情報提供に併せ、安全対策の取組についても伝え、教育委員会の理解につなげる農家側からの歩み寄りが必要。
  • 委員
    京都ならではの食農体験としたら、京野菜と茶を念頭においているということか。京野菜に対して子ども達がどのような印象を持っているかということの事例を紹介する。学校給食に伝統野菜である万願寺トウガラシが年に1回、ひとり分2.5g、他の食材と一緒に煮込まれて原形をとどめず出てくる。子ども達は万願寺トウガラシの名前を聞いたことがあるが形も味もわからない状況である。給食を元に京都の伝統野菜についての授業をしようとしても授業が成立しない。そのような状況のなかで、小学生に対して京都らしさを出した取組をしていくことに無理がある。
    ハードの部分で農場を整備することより、学校の先生に向けて、情報提供等のソフト支援を一歩先に進めていくべき。
  • 委員
    学校給食費があの値段であるのに良いもの使っていくことが無茶なこと。農家に給食の食材供給してくれとはいえない状態ではないか。おいしいものを食べようと思ったら、どれだけの手間がかかって、どれだけの値段になるか、また、良い物と安い物の違いを学校で教えることが必要。学校が抱えている問題は、食の問題ではなく、いくらなら給食費を払ってもらえるかを考えていることではないか。
    視点を変えて、学校でできる食育とは何なのかを考えられないか。例えば、「お弁当の日」を作って農家が販売に来てくれたものを買ってお弁当を作ってみるとか、自分たちが育てたものでお弁当を作ってみることができたら、「食」がどれだけ価値のあるものかが覚えられる。野菜の値段が安すぎることもわからせることができるのではないか。おいしいものを食べるには努力しないといけないことを教えてやりたい。
    京野菜による京都らしい食農体験には疑問がある。京野菜という言葉は、京都に住んでいる人ではなく、よその人に売っていくためのネーミングにすぎず、心に響かない。京野菜を取っ払って、目に見える近くで採れる農産物で体験すればよいのではないか。
  • 委員
    給食費が安い中で、調理員が工夫しておいしく調理し、子ども達に食を通して京野菜とはどのようなものなのか知らせることができている。弁当では好きなものばかりを食べてしまう。学校給食の狙いは、バランスのよい食事や栄養について食事を通して教えていること。
  • 委員
    調理員もがんばっているが、虫がいるということは農薬散布を少なくしていること。農家もがんばっていることを理解して欲しい。JAにおいても農薬検査を実施して安全なものを供給している。
  • 委員
    野菜に虫がいた場合は、無農薬栽培であることを親に説明したり、調理員も虫を取り除いたりと苦労している。
  • 参与
    給食費を安くしたままで、おしいものを食べさせたいという保護者に対して、それなりの値段を払わないといいものが食べられないという発想を持ってもらうことが重要。
  • 委員
    私達が一生懸命食材供給をしていることについて、親の気持ちを聞きたいと育友会などに働きかけるが、対応してもらえていない。親は給食費が上がらないことだけに関心を持っているようだ。キャベツ・ジャガイモ・にんじんをおいしく料理してくれる調理員は立派である。農薬散布に関しては、冬向き栽培では、農薬を使わないですむことを体験する子どもにも教えている。
  • 委員
    大規模校における食材の必要量は大量で、小規模な直売所でまかなうことができない。小規模校であれば、市町村や学校単位で調達することになるので、必要量が少なく、農家が柔軟に対応することができる。保育園では生産者から野菜や味噌を納入してもらっていたが、学校給食に提供するものだからと、生産者自らが安全性について勉強されていたし、使う側もその努力を子ども達に伝えてきた。生産者と学校の信頼関係を大切に進めていくことが肝心。
    学校給食の検査体制は0157事件以来厳しくなってきている。洗浄も念入りである。
    調理側は、価格が安定しているたまねぎやジャガイモを多く使用し、キャベツなどカサのある野菜を使うなど、安い給食費の中でやりくりをしている。
  • 委員
    給食においては、使用している食材の歴史・栄養価を子ども達や保護者に伝わるようにしている。土付きの野菜の展示も行っている。栄養士と調理員の研修会があり、各地の郷土料理を給食に提供しようと勉強している。給食では簡単においしいものを子どもが求めていると言われるが、いろんな食材を使った料理となっており、現場の苦労が見えた。例年給食調理員と農家の懇談会があり、調理員は形や大きさ、調理の手間、納入時間の話、農家側は、農薬の適正使用の状況などをやりとりし、調整しながら地元産給食を進めている状況である。
  • 参与
    学校給食は、子ども達を対象とする食育の場だけではなく、それを通じて家庭にどのように働きかけられるかを含めた教育の場となっている。
    学校給食をきっかけとして、食育の対象を親まで広げることができるのではないか。


農家や農業による食育の担い手づくりと食農体験農場の整備支援を通じた農業体験型食育の推進について

  • 委員
    学校で地域の人が関わり、食農教育を始めようとした時に、食農教育の重要性や必要性がよくわからないことや、理科での植物栽培や家庭科での調理実習との違いがはっきりしないこと、ゲストティーチャーと教師の棲み分けなどについて、悩まれる先生も多いのではないか。現場の先生の反発はなかったか。学校の先生に対して、教育委員会がどのように働きかけてクリアーされてきたのか。
  • 講師
    実施して4年になるが、今も、なぜやらないといけないかと問われる時がある。喜多方市では、市立の小学校に対する施策として成立している。校長先生が実施しない方針を出しているところはやるまで待つ。
    一生懸命取り組んでいる学校の生徒の作文は、胸が熱くなるほど上手にかけている。間違いなく学力に結びついているといえる。先生達に研修会で農業科の実施を呼びかけるが、生活科や総合学習を始めるときにも批判があったように、一度は疑問視されるが、やがて一生懸命やっている。
    市の施策だからやりやすい。
  • 委員
    農地の確保、支援員の確保などの課題もあるだろうが、今までの私の農家民泊などの経験から、学校の先生のやる気によってやり方がずいぶん変わると思われる。JAもがんばって協力し支援員ボランティアは出せるだろう。学校の先生がやる気が出るよう京都府も指導してほしい。
  • 講師
    平成23年度に全小学校で農業科を実施するという施策を掲げ、できる小学校から無理をせず取り組んできた。行政がやっているので予算も認められている。基盤となっているものがあり、恵まれている。やり続けないといけない。JAも生産者もやり続けることで世の中が変わってくると思う。支援員内部の人間関係は難しい。教育委員会は、支援員から学校がなかなか動かない、学校側からは農業支援員がやりすぎだという愚痴を聞かないといけない。
    支援員の後継者を育てる仕組みも必要と考えている。
    先生は栽培活動に関しては知識がなく、農業支援員に寄りかかっている状態。農業支援員も、ただ農業を教えているのではなく、学校教育の一部であることがわかってきた。
    経験を積んで、先生と農業支援員が互いに自分たちの領域をうまく重ね合わせてやってきている。
    農業科の全体計画を作るときには農業高校で教わった。県立高校農業科と義務教育小学校はほとんど交流がなかったが、小学校が農業科高校のほ場を使って体験をさせてもらっている。高校生も「お兄ちゃん」と小学生から頼られ、がんばっている。
    農地については、農地法上市町村が借りることができず、借地料が払えない。農園利用方式で、ほ場管理費として2万5千円を教育委員から所有者に支払っている。
    一つの学校の田んぼの面積は、ほ場整備後の30aの一部を借りている。うるち米ともち米に分けて使っているところなどいろいろなやり方がある。
    畑は4a~10aくらい。ほ場を無料で借りているので、街場の土地の値段が高いところではなかなか確保できない。
  • 委員
    農地法上、市町村が農地を借りることができるのではないか。また、小学校の食農体験に使うのであれば、税制上の負担軽減の手だてはできないのか。
  • 委員
    農地法上は許されない。
  • 委員
    田舎の学校ではやりやすい。小学生が栽培したジャガイモを直売所で売る販売体験もしている。
    行政区により違いがある。一律に学校で取り組むのは無理である。
    喜多方市のようなコンセプトをもって、できる地域からやればよいではないか。
  • 参与
    都市部と農村部ではちがう。地元の農業に誇りを持てるよう子ども達を育てるコンセプトでいけるところもあれば、都市部では、違うコンセプトも必要なのではないか。
  • 講師
    農業科で一番子ども達に教えたいことは、農業は科学的であること。農業には知恵があると言うこと。
  • 委員
    私が地元で食農教育を進めているのは、農業を仕事として食べていくためには、このような大型の機械も必要だという、今の農業の姿を教えたいから。学校の先生は農業のことは知らない。子どもと一緒になって先生が勉強している。
    無報酬で体験を受け入れているが、手間暇かかる。無報酬だけでは済まない。子ども達から手紙をもらっているが、子ども達からの感謝の言葉も、毎年だと感動も薄れてくる。お金が欲しいと言うことではない。忙しい農家への代償が必要なのではないか。
  • 講師
    商売としてグリーンツーリズムをやっている人が、ボランティアで農業支援員をしている場合もある。経営と地域貢献を使い分けている。農業支援員は地域の人との関わりや、同級生との関わりを大切にする知恵を教えていこうとしている。
    いろんな立場でいろんな考え方で食農体験を進めていけばよい。子どもに伝わるものは同じものである。
  • 委員
    喜多方市は予算をきちんと確保されているが、一番大切なのは金である。学校はお金がない。土地は無償で貸してもらえても、維持費、資材費の確保が難しい。学校での予算確保に向け行政の後押しがないとすすまない。
  • 講師
    人件費以外は全て喜多方市が負担している。農業支援員や学校からの持ち出しは無い状態で進めている。お金がなかったら何もできない。
  • 委員
    プランの改定において食育がどこを目指していくのかがとらえられない。喜多方市の話を聞いて、食農体験は人間教育に効果があるということには共感でき、それを京都でも目指すということなのか。そこに直売所を活性化させ農家を元気づけ、京野菜の生産をもっとがんばろうとかを重ね合わせていくと、方向性がどこを向いているのかわからなくなる。
    京都府としてどこを目指すのか。

事務局まとめ

  • 食農体験の担い手づくりのため、たくさんのキーワードを委員の皆様からいただいた。
  • 何をめざすのかに対して、事務局の案は出すが、次回の検討会では京都府ができることは何かを委員皆さんと一緒に考えていきたい。京都らしさを出す取組はなかなか難しいかもしれない。
  • 食育は与えられるだけでなく、自ら育っていくことも大事であり、子ども達が自ら育っていくための条件整備をきちんとしていく必要がある。食育指導側の後継者を育てることも必要となる。

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