ここから本文です。

大堀直人さん (令和3年度訓練生)

大堀直人さんの顔写真 訓練校で思うこと

陶芸について完全に未経験で知識も何も無い状態からスタートした私にとっては、原料や工程、ろくろ成形に必要な技術など、指導員の先生に教わる事全てが新鮮なものとして目に映り、この訓練校生活は毎日が驚きの連続です。出来なかった事が次の日には出来るようになっていたり、少しずつですが、自らの成長も感じつつ、同時にまだまだ力不足だと反省する日々でもあります。

時折、自分が就職する時にはどんな姿になっているのだろうとか、ちゃんと役に立つ人材になれるのだろうかとか、未来の自分に思いを馳せます。単にものづくりだけでなくて、陶芸に対して仕事として向き合った時、またそれを意識しながら専門校で学ぶうちに、様々な課題が浮かび上がってきます。準備や雑務に割く時間も少なくはなく、限られた時間をどう有効活用して製品作りに繋げるか、品質は保持しながら、生産スピードをいかにして上げていくか。周囲と呼吸を合わせ「マイペース」にならずに作業が出来ているか。など、これから自分が就職を掴み取るために克服しなければならない課題は山積しています。

しかしこれらの課題とは別に、創造力や表現力も焼きもの作りには欠かせないものです。製品として焼き上げるのか、芸術作品として焼き上げるのかで大きく変わりますが、人の手で作られ人の手に渡るものだからこそ、そこに美を追求する事も重要であると思います。

毎日通校していると、街中のお店やギャラリーに並ぶ陶磁器を目にする機会も多く、京都の街並みや歴史的建造物など、人々を感動させ美しいと思わせる風景に囲まれながら毎日学ぶ事が出来るのは、焼きもの作りに必要な「美意識」を磨いて行く上でとても恵まれた環境にあるのだという事を日々実感しています。

入校してから三ヶ月ほどが経ち、今まさにものづくりを生業とする事の喜びや難しさを痛感しています。特に焼きもの業界は若手職人の減少や大量生産の器に押されてしまったりと、社会的な要因も加わって厳しさを増す一方であると聞きます。しかしそういう今だからこそ、身に付けた技術を武器にどんな逆境も撥ね除けて、人の心を動かせるような器作りに挑戦したい、一人前の陶工になりたいと強く思います。

お問い合わせ

商工労働観光部陶工高等技術専門校

京都市東山区今熊野阿弥陀ヶ峰町17-2

ファックス:075-561-3429

tokgs-k@pref.kyoto.lg.jp