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勝木瞳さん(令和3年度訓練生)

勝木 瞳さんの顔写真 私の選んだ道

人生何が起こるか分からないものである。

まさか自分がコロナ不況で職を失うとは。そして、それがきっかけで以前から興味のあった陶芸を学ぶ専門校に入校できるとは。

専門校を知ったのはハローワークの入口正面に追加募集のチラシが偶然目に入ったからである。「そういえば陶芸やってみたかったな。陶芸の専門校が京都にあったんや。知らんかった。」そう思い、受付で入試について尋ねてからは速かった。応募〆切の日も迫りつつあったので、その日の内に見学の申込みをし、近い日を選び案内していただいた。募集は粘土から器を作るやきもの成形科と絵付デザイン科。成形科は一人ずつ電動ロクロの席があり、二月のことだったので就職先の決まった生徒さん達が個々、春から新しい職場で即戦力になれるよう、就職先に合わせての訓練中であった。新しい職場でやっていけるのか不安になるが、職場に合わせての指導、これは嬉しい。専門校とはいえ、各個人の勤め先に合わせてくれる学校があることに驚いた。

絵付デザイン科も各々で違う訓練中。複雑な形の器に絵付中の人や、ひたすら紙に筆遣いを練習している人、既に本物の職人に見えた。どちらの科も設備が充実していて魅力的であった。案内してくださった先生に相談すると、腰痛の不安があること、長く続けていきたいことから絵付の方がよいのでは、と助言いただきコースを決めた。学生時代に絵を学んでいて、筆遣いの勉強をもっとしたいと思っていたので、私の希望にピッタリの科だ。

受験は国語、数学、デッサン、面接。どれも久しぶりすぎて懐かしかった。無事に合格できてよかった。驚くほどスムーズに進んだ。

入校すると、先生方がとても熱心に、とても丁寧にゼロから教えてくださる。おそらく『目で見て盗む』貴重な技術の数々を本当に惜しげもなくである。生徒各々の持つ癖や苦手を見抜き、指導してくださる。とても有難い。上手くできた時は喜びがある。

普通の学校と違う所は、仕事になると納期を守る必要があるので、時間に厳しい。そして効率のよさを考える。『作品』ではなく『商品』と呼び、作業中の商品の取扱いの大切さを感じる。少しの油断で汚れや傷がついて売物にならなくなってしまうため。生徒のうちからきちんと意識するように。きっと就職後困らないように。とにかく職に就いてからのことを考えられた指導方法なのだ。感謝。

日々学ぶ紋様、技術は無駄がなく、それでいて充たされる素晴らしい伝統である。今後も受け継いでいくべき宝物だ。

いつまでコロナ不況が続くか分からず、自分が絵付の職に就くことができるのか、就くことができるだけの人となれるのか不安はあるが、与えてもらえた機会に感謝し、頑張るのみ。悔いがないよう選んだ道を歩む。

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