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数年前までの私は、自分が陶芸の学校に通い始めるなんて想像もしていませんでした。看護師という仕事をずっと続けていくと思っていた私に、そのきっかけを与えてくれたのは、他でもない母でした。仕事の息抜きとして習い事を考えていた私に、陶芸を勧めてくれたのです。私が幼い頃からものづくりが好きなことを知っていたからでしょう。
最初は興味本位で始めただけでしたが、初めて土に触れてから陶芸にのめり込むまでに時間はかかりませんでした。最初はうつわを形作るだけでも楽しかったのですが、だんだんそのうつわに装飾を施したい、もっと色々なことを試したいと思うようになりました。白化粧や象嵌を教わったり、箸置きやマスコットを作ってみたり。頭の中で思い描いたものを早く自分の手で形にしたくて、家で個人的に作品を作ることもありました。
自分の好きなことを仕事にできたら楽しいだろうと思っていても、それでも私の中で、陶芸が趣味の範疇から出たことはありませんでした。
その考えが変わったのは、焼きあがった作品を初めて家に持って帰った日でした。私が作ったうつわを見て喜ぶ母の顔を見た時に、陶芸を仕事にしたいと思いました。自分が作ったもので誰かがこんなに喜んでくれるなら、これ以上のやりがいはないと感じたのです。またその顔を見たいという私のささやかな幸せが、この道を選ぶ大きなきっかけとなりました。
ですが、人生の道筋を変えることは私にとって容易なことではありません。看護師としての仕事はやりがいがありましたし、安定した収入を得ることができていたからです。将来成功するかもわからない夢のために仕事を辞め、生活を変える必要があるのかと。家族と過ごす時間は私にとって何よりも大切なものです。陶芸の学校に通うためには家族から離れ、京都に引っ越さなければなりません。
そんな私に「いつでも京都に遊びに行けるようになるね。」と母が言いました。その何気ない一言は、あまりにも簡単な調子で、家族と離れることを重く考えていた私は、拍子抜けしてしまいました。会おうとさえすればいつでも家族には会いに行ける。そう考えると、心の中に漠然とあった不安は消え、一歩を踏み出す勇気を持つことができたのです。
京都で学ぶ日々は新たな挑戦ばかりですが、自分が選んだ道への後悔は少しもありません。後押ししてくれた家族には感謝しきれないほどです。私の新しい目標は、私が作ったうつわが家族の食卓に並ぶことです。そのうつわを囲み、家族に笑顔があふれる日が来ることを夢見ながら、一日一日をしっかり踏みしめていこうと思います。
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