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『歴史的街並みの保全と屋外広告物』
平成29年2月28日(火曜日) 午後1時30分~午後4時30分
伊根町コミュニティセンターほっと館 ふれあいホール
(主催)京都府、京都府都市計画協会、(共催)伊根町
京都府景観資産登録地区、NPO等のまちづくり団体、府民、府及び市町村職員 等 60名
(1)講演:「伊根浦舟屋群における景観まちづくりに向けて」
(講師:京都工芸繊維大学 名誉教授 日向 進 氏)
【講演内容】
<伊根浦舟屋群の成り立ちの歴史と特徴>
伊根浦の舟屋は、伊根湾の潮の干満差・漁業形態等の自然地理的条件によって、切妻造り・駒形等の建築的特徴が現れている。これらの特徴が現在まで残っているのは、時代による変化を受け入れながら維持してきたためである。
<景観まちづくりに向けた取組や考え方>
伊根浦舟屋群の保存計画における舟屋の定義は、「過去にその形態を有していた建物」も含む。様々なタイプの建物を保護する対象としなければ、連続した景観は維持されていかない。
「ばらばらでひとつ」という標語のように、一軒一軒が抱えている条件によって現れる姿が違うが、いくつかの共通した要素を備えることで町並み全体としてまとまることができる。
江戸時代には、「町並み能(よき)様に」表に見えるのは小ぶりな建物となるよう等の規則を自治的に定めていた町や、「目に立たぬ様よし」という、強い自己主張は極力控えるが、そうしてつくられた造形物が見た人に深い印象を残す、といった景観に係る考え方もあった。
伊根浦の景観は、そのものが真正な看板である。この町並みを維持してこそ伊根浦の魅力がより輝く。一旦なくなれば、思い返すことはできず、記憶等あらゆるものが戻ってこなくなる、景観にはそういう力がある。
(2)ディスカッション:「歴史的街並みにふさわしい屋外広告物とは」
(コーディネーター:京都工芸繊維大学 准教授 矢ヶ崎 善太郎 氏)
【主な意見】
歴史的街並み=観光客のための街並み、とだけ読み取るのではなく、住民の安全やより豊かな生活のための街並み、両方のバランスを取って考えていかなければいけない。
都市部では日々景観が変わっていると思うが、伊根町では見慣れた看板があると親しみを感じる、ほっとする力を持っている。全部取ってしまうことはいいことなのか。
一言に広告看板といっても、現在の技術を持ってすれば、まだまだ様々な可能性があり、歩いて近づいて誘導される伊根町だからこそ作れる広告看板の提案が可能である。
街並みをコントロールすることは、単に景観だけでなく、災害からいかに町を守るのかということが関わってくる。
道路標識や消防・津波避難の看板などの公共看板もこれから相談して色・素材、掲示方法等決めていく余地がある。
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