ここから本文です。

第3回 「明日の京都」ビジョン懇話会の概要

平成20年11月25日に開催した第3回「明日の京都」ビジョン懇話会の結果について、下記のとおり概要を報告します。

開催日時

平成20年11月25日(火曜)午後1時30分から3時30分

場所

平安会館 2階 白河の間

出席者

「明日の京都」ビジョン懇話会

浅岡美恵委員、安藤昌弘委員、今井一雄委員、隂山英男委員、崔善今委員、新宮七郎委員、千宗室委員、高木光委員、竹葉剛委員(座長)、中村京古委員、西岡正子委員、丸毛静雄委員、村井杏侑美委員、山岸久一委員
(※ 欠席 池坊美佳委員、植田和弘委員、ジェフ・バークランド委員、畑正高委員、福井正興委員、藤本明美委員、堀場厚委員)

京都府

高嶋政策企画部長、井上政策企画部企画監、畑村計画課長、森下企画総務課長、吉岡調査統計課長、事務局ほか

議事概要

事務局から、資料に基づき、今後議論をお願いするテーマと全体の流れ等について説明

スケジュール案・その1.pdf(PDF:13KB)

スケジュール案・その2.pdf(PDF:53KB)

テーマ「働く」の論点資料.pdf(PDF:323KB)

 

「何のために働くのか」、「どのように働くのか」、「地方に働くためには」などの論点を示しながら、「働く」をテーマに自由に議論いただいた。主な意見は次のとおり。

  •  近年の世界経済の減速から都市部では労働力が余るのではないか。丹後地域には間伐が必要な人工林等が多く、こうした雇用情勢を利用して、京都発の「新世紀マルチ環境ビジネス」として京都の森の再創生事業が起こせないか、問題提起したい。国土保全のほか、地球環境問題、過疎地・僻地の振興、地元高齢者のアドバイザーとしての活動などにつながる。都市部のような給与が得られなくても生活は成り立つ。
  •  北部においては、経営する側は実戦で使える専門的な学校を出た地元の子ども達が欲しいと考えているにもかかわらず、親は一部の安定した職場だけが職場であると考えており、このミスマッチを解決する必要がある。
     また、日本では、働く場所と住む場所が分離し、子どもに働く姿を見せていないことがだんだん大きな問題となってきており、働くということを見せていく教育が大事である。
  •  医師が地方に行かないという理由に、子どもの教育の問題があるから都市にいたいということがある。
     実現可能かどうかは検討する余地はあるが、例えば大学等の附属の幼稚園から高校までの一貫コースを設けるなど、地方においても教育機関をきっちり整備していけば、こうした問題は解決していくのではないかと考える。
  •  間伐対策の問題提起を、経済を含めた地域の活性化や地球環境保全の新しい政策として打ち出すことができれば、次代の中山間地域像のモデルとなる。
     今まで選択されてこなかったが本来は選択してもらいたい仕事や職場、地域の魅力・価値をクローズアップして、特に若者達にどのように見せていけるかということが大事である。
     必要なことに身近にアクセスできるための環境整備として、北部でもブロードバンドの利用環境を整備するべき。また、子育てなどで休職した者を再び受け入れる企業文化の醸成など、社会システムの部分で京都府ができることを探してもらいたい。
  •  就職活動等をしている学生を見ていると、東京や大阪などの大都市に目が向いている。また、仕事以外の生活・余暇を充実させるお金のために働くのだという学生が結構多い。
     インターネット等に都市部でないところの就職情報はほとんど載らないが、やる気が起こるにはまず情報と思うので、地方ももっと大学との繋がりを強化していったらよいのではないか。
     一生そこで働きたいと思える仕事に就きたいが、実際に働いてみないとそこで何ができるかがわからないので、まだ特にこの仕事がしたいということは思っていない。
  •  交通の便が良くならないと繋がり感が持てず、その繋がり感こそが重要である。また、南北格差解消に向けて始めた生涯学習のe-ラーニングでも南部の利用者が多く、その理由は、北部ではインターネット環境がまだ十分に充実していないからだと聞く。このような埋められる格差はどんどん埋めるようにしていかないと、若い人も繋がり感を持つことは難しいのではないか。
     仕事の三大目的は、生計の維持、社会貢献、個人の個性・能力の発揮であるが、今はこれらをバランス良く発揮することができない状況となっている。
  •  「地方の不便さ」を、人間らしく生きることに繋がるものとか、価値観の転換みたいなことを考える場にするとか、そのような発想で捉えた方がよいのではないか。
     また、親が額に汗して働く姿を見せるなど、日常的な生活の中で働くとはどういうことなのかということを考えさせることが大事である。生きることと働くことがリンクし、自分の達成感・やりがい・自己実現が周りの人とか社会に何らかの役に立ち、喜びを与えるということになればいいと思う。
  •  働くということを突き詰めていくと教育の問題が出てくる。今の日本の教育の最大の鍵は「自立」である。日本の企業では個人のアイデア・努力が見えにくく、こうしたことが若者の不安感を高め、できるなら大企業へという形になってきている。また、個人で起業し、次の時代を創ろうとしている若者達も結構いるが、大企業が力を持つ中においては評価されることは難しい。さらに深刻な問題はワーキングプアの問題で、身辺自立のできない者が社会的に自立することは困難であり、自立に必要な情報を教育から与えていないことが問題である。
  •  今の若者達は自己実現というものを求めており、会社が地方にあっても都会にあっても、その会社に入って生きがいを持てる仕事をやっていけるのであればどこへでも行くと思う。会社に自分が求めているものがないと言って退職する例もあり、会社と若者達の意識にずれがあると思う。
     また、日本に残って就職を希望する留学生が増えているにもかかわらず、就職の方法が分からないと言う人が多く、企業が学校に入ってきて情報提供したりすることも良いのではないか。
  •   学生が職業を選ぶとき、社会がその職業をどのように見ているかということが影響を与えているが、例えばイギリスでは、仕事のほかにボランティア等のいろいろな活動をトータルに含めて評価するなど、価値観が多様化している。ルクセンブルグでは、大学に行くのは本当に一部の人であって、職業教育等をはじめ様々な教育システムがあるなど、教育も多様化している。 
     日本においても、我々自身が職業に対するもっと豊かな、あるいはもっと複線化した多様な価値観を追求していけば、誰もがやりがいを持って様々な職業に就くことができる社会になるのではないか。
  •  多様な価値観、人の価値をいろいろな尺度で測ることが大切であり、京都府がどうあるべきかということを考えるときに、今の時代だとNPO等の活動を通じて府政に参画しているというようなことを評価することが大事である。
     働くことについても、収入を伴うもののほか家事労働等も含めて、正当な評価を与える仕組みを工夫することが大事である。
  •  京都の南北格差を考えるとき、不便さに合わせていこうという気持ち、行き届いていない部分の人達のことを考える気持ちが必要である。
     大人が子ども達を甘やかし過ぎず、安易な方向に流れることを避けるような場づくりをするとともに、企業も若者に迎合しないというような厳しさがあってこそ、人々が京都に残れるような特殊性・独自性というものを打ち出せるのではないか。
     大学の授業の一環として伝統工芸を学んでいる学生を職人のもとに通わせ、生活文化としての伝統工芸に触れてもらう一方、職人のまちを若者の感性を受けながら変えていければという取組がある。府北部には丹後ちりめんなどもあり、各大学でこういう機会を持つことができれば南北を通じた府全体の取組となると思う。
  •  現実と理想に相当のギャップがある現在、働くことの心のあり方を見つめ直さなければならないと思う。
     働くとは、家族や周りの人々、広くは社会に役立ち、必要とされる存在に自己を高めていくことである。仕事を通じて自分の心をつくらせてもらうことが働くことの真の意味ではないかと考える。また、働きを通して苦労は人生の師であることを学ばなければならないと思う。

お問い合わせ

総合政策環境部総合政策室

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4389

sogoseisaku@pref.kyoto.lg.jp