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第5回「明日の京都」ビジョン懇話会の概要

平成21年3月23日に開催した第5回「明日の京都」ビジョン懇話会の結果について、下記のとおり概要を報告します。

日時   

平成21年3月23日(月曜)午後1時30分から3時30分

場所

 京都ガーデンパレス 2階 「鞍馬」

出席者

「明日の京都」ビジョン懇話会

浅岡美恵委員、安藤昌弘委員、池坊美佳委員、今井一雄委員、崔善今委員、ジェフ・バーグランド委員、新宮七郎委員、高木光委員、竹葉剛委員(座長)、中村京古委員、西岡正子委員、畑正高委員、福井正興委員、藤本明美委員、堀場厚委員、村井杏侑美委員、山岸久一委員
(※ 欠席 植田和弘委員、隂山英男委員、千宗室委員、丸毛静雄委員)

京都府

高嶋政策企画部長、井上政策企画部企画監、山田政策企画部副部長、畑村計画課長、森下企画総務課長、吉岡調査統計課長、事務局ほか

議事概要

座長から、今後の検討の流れ等について説明

今後の検討の流れ等.pdf(PDF:67KB)

 

「少子化時代の子育てをどう考えるか」、「高齢者や障害のある方々の暮らしをどう考えるか」、「将来のありたい『育み』の社会をどう展望するか」などの論点を示しながら、「育む」をテーマに自由に議論いただいた。主な意見は次のとおり

テーマ「育む」の論点資料.pdf( PDFファイル ,1MB)(PDF:1,752KB)

  •  子育て世代や高齢者にとって非常に大きな不安要素がある中で、不安な気持ちを取り除くという点で神社などが多くある京都の役割は非常に重要である。
     子育ては親の役割が非常に重要で、会社に託児所を設置するなど、経済界も女性が安心して働けるようにしていくことが会社の発展にもつながる。また、スウェーデンのように、小学校・幼稚園・保育園を設立する時に必ず老人ホームを併設すれば、世代間交流が生まれる。
     社会が障害者から学ぶことは多く、障害者と健常者がもっと関わることが必要である。
  •  人間はそれぞれの時代背景や環境から学んで育っていくもので、苦労等が人生や生活に与える影響は「つらい」・「苦しい」といったマイナス面だけでなく、人生にとってかけがえのない力強さや尊い心を育む。
     足るを知ることを身に付けさせてあげることや少々の不自由さを経験させるところから、子どもにも真の喜びや知恵が湧いてきて、豊かな想像力が養われていく。
  •  親が子育てをしていく権利が侵害されている。子どもと過ごす楽しさ・安らぎのほか、子どもを産んだことによって生まれる地域とのつながりの中で、みんなで豊かで安心できる地域社会を作っていくなどの、親としての学び・育ちなどの社会力が低下してきている。子どもを産んだことで社会とのつながりが生まれ、そしてその社会で子どもを育ててもらえるという循環型の子育て社会にしていくべきである。
     子育てや高齢者介護は多くの人や社会の力が必要であるのに、そういう発信が弱く、「自分がしっかりしろ」、「何でも自分の力で乗り越えろ」というところで、行き詰まり感が出ているのではないか。もっとみんながつながりあって、こうしたことに取り組める風土ができればいいと思う。
  •  おじいさん、おばあさんなどの存在、いろいろなメンバーとの地域活動など、子どもが回りにいる人からどれだけ多くの感動を受けることができたかということが、子どもの成長に大きく影響するように思う。府内には多くの野外活動施設があるが、NPOや学校がこうした地域資源を活かした野外活動等の取組を行うことで、幅広い年代が関われるような子育て環境をつくるとともに、地域の活性化を図ることができる。
  •  昔はけんかを通じて手加減や我慢を覚えたが、今は極端にこうしたことを避けすぎるために我慢のできない大人になるのではないか。また、テレビの存在が本来家族が持つべき時間を奪ってしまっている点や、うまく子どもを叱れないといったことが「育む」というところで問題となる。
     コンピュータやインターネット、テレビ等の影響で、知識はあるが体感していない、そのために深い興味が持てないという現象が生じている。たま、今の時代、昔のように子どもに接してやれないため、そうしたことへの対応も必要である。
     社会システムを考えていく上でも、「実験」を行い、サイエンティフィックに物事を解決していくことが必要である。行政も答えを求めずにトライアンドエラーでとりあえずやってみるという形をとれば成功すると思う。また、行政はあくまでトリガーになるべきで、全てを自分たちでカバーすることはできない。
  •  祭りを通じて地域コミュニティが成立し、子どもも地域社会から多くのことを教わってきたが、地方でもこうした機会がなくなりつつある。京都には全国に負けない様々な地域の祭りがあるが、これが現代でいうNPOのようなものであった。こうしたところから地域コミュニティを立て直し、子ども達を育んでいってはどうか。
     ボーイスカウト等の活動でも最近は、親の視線を気にして、しつけや危険なことを避けるようになってきているが、預けた子どもを元来の日本的な目線で見るようにしないと、本当の意味での自然とともに生きるといったことは体感できないのではないか。
  •  子どもを産んで会社に戻ろうとしても席がなかったり給料が下がったりすることで、女性は子どもを産みたくても産めない状況になっている。子どもを産んで会社に戻るため保育園などの施設をもっと整えるべきである。日本のような豊かな社会で子どもを産まないということはすごく残念なことだと思う。行政が何か動かないと、生活や子育ては難しい。
  •  出産後の社会復帰への不安や子どもを育てることの不安が大きく、また、国や地方がどれだけ本当にサポートしてくれるのかも不安要素である。
     伝統産業の後継者不足等が言われているが、今の高齢者は若々しいので、若者だけが学んで後継するというのではなく、高齢者がそうした世界に入っていける、いろいろな入口をまずは京都から作っていってはどうか。
  •  男性も女性と同様に子どもを育てる権利があるのに、長時間労働等で子育てができないなどの問題がある。個人の考えや個人のせいにするのではなく、社会がどれだけ保障していけるのかという視点で「明日の京都ビジョン」を考えていけたらよい。「育む」ことを担当するのは女性だけでなく、男性の権利でもあり、こうした視点を持つべき。
     障害をもった子どもの支援を行うNPO活動や地域における社会活動にはすばらしいものがあり、こうした取組が広がっていってもらいたい。
  •  「育む」という言葉は“上から目線”である。「育む」という言葉を考えるのであれば、自己啓発や自分自身をどう育んでいくのかという発想のほうがよい。
     日本の心のふるさとと言われる京都がここ数十年のうちに何を失いつつあるのかということを自覚して、「我慢をする心」や「おもんばかる心」を持つことによって何が自分に生まれてくるかということを、特に次の世代に体験してほしい。
  •  産まれてすぐに預けることができる施設がないと、男性も女性も働くことができない。幼稚園は充実していると思うが、こうした保育施設が京都府のどこに行ってもできるという状況が必要ではないか。
     家族でしか高齢者を介護できないという社会情勢の中で家族が崩壊するなどの事態を、介護予防等をはじめ、これからなんとかする必要がある。
  •  男性と女性の就職活動は全然違うという意識がまだまだ学生の中にもある。
     子育ては周りの人の協力等があってやっていけるものであり、周りの人の意識を変えていくというところのサポートを国は行っていくべき。
     例えば、京都の寺院の階段は、人と人とが手を取り合って支え合って上っていけば、障害ではなくなる。そうした支え合いの社会こそがバリアフリーの社会であり、人とのふれあいやつながりが重要になっていく。
  •  社会保障のシステムを考える時、「自助」、「互助」、「共助」、「公助」など役割分担が重要であることまでは合意が得られるが、実際にどう割り振るかは非常に難しい。
     多様なものを受け入れて、多様なタイプの人間がそれぞれにがんばるという社会システムを工夫したり、全ての人にとって使いやすいものを工夫したりするということが大切な時代になっている。
  •  子育てや高齢者・障害者の課題・問題は、「個」と「社会」との間にある問題であるが、自分たちの文化や生活スタイル、価値観を次の世代に伝えていくという意味では「個」の問題ではないと思う。今、21世紀の日本や京都がどういうふうに行こうかという時点にいることから、大きな視点から「明日の京都ビジョン」を打ち出せれば、大きな意味がある。
     子ども達に社会の経験とか知見を伝えていくのはシニア世代が一番ふさわしい。こうしたシニアのパワーを子育てに活かす仕組みを構築していくことが大きなポイントである。
  •  労働人口の減少やそれに伴う女性の就業、高齢者の増加などは今後とも続くものであり、ワークライフバランスや、保育所整備・高齢者の看護体制といった社会的サポートを本気で考えなければならない。
     NPO、地域団体、高齢者や子どもの手が離れた女性の集まりなど、社会的に小さなグループのサポートをどれだけ地域で引き出していけるのか、また、行政がそうしたグループの位置付けを明確にし、経済的にも情報的にも支援していくことで、大きな効果が生まれると思う。行政はこうしたサポートについてしっかりと広報をして、取組を進めていくべきである。こうしたことがビジネスとして成り立てば、雇用創出にもなるし、継続も可能になり、いいことだと思う。
  •  我々親は、子どものことを語る前に、親としてしっかりとした知識を持っているのか、あるいは子どもに問題がある場合、原因は自分自身にあるのではないか、といったところを考えていくべきである。
     「育む」といった議論を重ねる場合、誰がやるのか「顔」が見えない。実施主体を明確にするなど、「顔」の見えるようなことを是非やらなければならない。
     最近「住育」という言葉もあるが、暮らす環境、実際の生活環境を、住み暮らす人だけではなく、行政もしっかりと連携をとって取り組んでいけば、京都の町並みづくりやまちづくりにつながっていく。

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