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「明日の京都」ビジョン懇話会 安全・基盤部会(第2回)の概要

 平成21年7月15日に開催した「明日の京都」ビジョン懇話会 安全・基盤部会(第2回)の結果について、下記のとおり概要を報告します。

日時

平成21年7月15日(水曜)午前10時から12時

場所

京都府庁第1号館 1階 第1会議室

出席者

「明日の京都」ビジョン懇話会

安藤昌弘委員、高木光委員(部会長)、中村京古委員、福井正興委員

ゲストスピーカー

服部篤史氏(京都大学大学院工学研究科准教授)
東あかね氏(京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授) 

京都府

駒寄知事直轄組織秘書課主任、西川総務部総務調整課長、山田政策企画部副部長、小林府民生活部副部長、新井文化環境部環境技術専門監、小田農林水産部副部長、山本建設交通部監理課参事、杉山警察本部警務部警務課企画調整室長、事務局ほか

議事概要

次のとおり、テーマに基づき、ゲストスピーカーを招聘し、議論
・「アセットマネジメント」「基盤整備」について、服部篤史氏
・「食の安心、安全」について、東あかね氏

 

服部篤史氏のスピーチと意見交換

(服部氏スピーチ要旨)

  •  阪神淡路大震災から、「ライフラインが引き裂かれた」といった表現が使われるようになった。蛇口をひねっても水が出ないというような状況。こういったものが社会基盤。
     その中でも、ガス、電気等ではなく、コンクリート製の道路、橋といった構造物が専門
  •  道路、橋といった社会基盤は、40~50年程度経過すると老朽化。田中角栄首相による「列島改造」期には新幹線、道路、橋、ダムといった大量の構造物が造られたが、四十数年経過してかなりがたが来ている。他方、税収減に伴い、更新のための財源がない状況。
     このことから、社会基盤について、1.建設技術の向上、2.効率的な使用という2つの側面から考えるアセットマネジメントが注目を浴びている。
  •  社会基盤の整備・維持管理について、国・府県のとっている方策は以下の3つに大別
    1.将来の支出(コスト)を見越して、現在のコストを削減
    2.住民に対するメリット(満足度)を貨幣単位で評価できるようにし、経費差引で社会基盤を整備
    3.住民やNPO、ボランティアとの協働

(質疑応答、委員等からの意見)

  •  社会基盤の抱える一番の問題は、財源の確保。どのように住民から徴収するか。
     説明のあった3.は維持管理についての方策と考えるが、維持管理と新規整備とはオーダーも違い、維持管理が新規整備に代わる(維持管理をすることで建て替えが不要になる)ということにはならないはずであり、新規整備についての方策である1.、2.と3.とを並列で議論することには違和感がある。
    …御指摘のとおり、新規整備と維持管理とでは全くオーダーは異なるが、維持管理については、住民に指摘してもらえるとありがたい。基盤の老朽化がひどくなってから対応するのではなく、早くに対応すればその分、維持管理費用は安くなるし、それだけ耐用年数も長くなる。
  •  現実の事業においては、当初2車線で計画されたところを、途中まで1車線に変更するなど、新規事業のコスト削減で対応。他方、橋の架け替えなどは、交通確保の意味からも事実上困難。
     その他、最近の取組として、道路の清掃、除雪などに住民との協働を採り入れており、4万人以上の参画を得ているところ。また、今年度から一部において府民提案型公共事業を募集。このような取組から、住民提案、住民の気づきを促している。
  •  第4次京都府総合計画までは、ハード基盤整備が中心であったが、新府総では、つくったものを活かす方向へ。「明日の京都」はさらにその次の一歩。
     これからの公共事業については、以下の3点が重要と考えている。
    1.パブリックインボルブメント;農林水産部では、住民へ資材を提供、住民が直接施工。農村部の公園など、自分たちでつくったもの、自分が関わったものには愛着が湧き、維持管理費も自ずと不要に。
    2.ストックマネジメント;メンテナンスすることで耐用年数を長持ちさせる。
    3.ライフサイクルコスト;建設と維持管理とをセットで検討
  •  橋りょうのアセットマネジメント技術者などは、条件に合う人がいれば、10月にも採用予定
  •  道路資産の有効活用、といった時には、住民に負担を求める、という話とは違うのか。
    …高架下スペースについて、ゲートボール場、駐輪場等として活用することを意図している。
    …道路資産について、住民に身近に感じてもらうことが大事
  •  住民が施設に親しんでいれば、維持管理や新規整備についてもより関心を持って負担してもらえるのでは。有料化も検討の余地あり。「お任せ民主主義」からの脱却にもつながるのでは。
  •  社会基盤について、問題は緊急時。府の基準で、構造耐震指標(Is値)が0.6未満であれば、公共施設は建て替えが必要。このような緊急時への対応に取り組むとかなりのお金がかかるため、合意形成をして優先順位をつける必要がある。
  •  団塊の世代の9割が、何かしたいが特に何もしていないという状況。どこに行けば自分に何ができるのか、今まで会社を通じて入ってきた情報が入ってこなくなる。シニア向けのボランティアについて、システムをつくっていくことが重要。
     ヨーロッパでは、幼少時から教会のボランティアやボーイスカウトなどに参加。定年後もボランティアに参加するのに迷いがない。
  •  ボランティアというと、無償の奉仕というイメージが強いが、NPOは無償ではない。関わる人々も、「行政の下請けではない」という反発。「委託」でなく、対等な形の「協定」が必要。団塊の世代はまだまだ元気で活躍が期待できるのに、活動に対して「無償で」ということになれば、年金支給までの5年間に支障が出る可能性も。
     現在、農林水産省では、新しい法人格を持った「地域マネジメント組織」を、国土交通省では「新しい結」という事業を検討中。これらに人件費等、必要経費を渡し、活動を支援していけば、リタイアされた元気な人々がここで活躍できる。
  •  道路や橋は壊れないと思っているような人もいる中、まずは今の状況・情報を共有することが大事。そこから協働して整備・維持管理をして行ければ良い。

東あかね氏のスピーチ

(東氏スピーチ要旨)

  •  府立大には、全国唯一の食保健学科。栄養士を養成。自分自身は予防医学が専門で、どのようにすれば病気にならないか、という切り口で研究
  •  胎児期、乳幼児期の食の安全が一番大切
  •  食の安心・安全を守る仕組みについて、府、市が同様の事業をやっており、連携が不十分(府;きょうと信頼食品登録制度、市;京(みやこ)・食の安全衛生管理認証制度)。他方、保健所の統廃合で、検査態勢が低下
  •  男性のメタボリックシンドローム増加とは裏腹に、女性、特に京女はやせ傾向が強い。
     また、仮説段階ながら、胎児期の低栄養が成人後の糖尿病、心臓病の一因となるという「成人病胎児発症説」もある。1945年のオランダの食糧難の際に胎児期にあった人が、低栄養に対応した膵臓機能になっているため、他の人にとっては通常の生活を送っても心臓病等に成り易いという実験結果がその根拠
  •  食育基本法ができて、世の中の流れが変化。今までは学校において、健康づくりは家でやることであり、勉強よりも優先順位は低位であったが、今や「早寝、早起き、朝ご飯」
  •  食育と体育の協調が必要であり、そのためには行政の縦割り廃止が必要
  •  地産地消の給食、京都では成功。それが農業者の健康づくり、生きがいづくりにも寄与

(委員等からの意見)

  •  朝ご飯をしっかり食べることは本当に大事。今は好きなものを好きなだけ食べられる飽食の時代。それで良いのか。年間130億食のフードロス。食糧自給率も低い中、いつかは食糧難が来ることが目に見えている。
     日持ちするものが多く流通することを認めている農林水産省、厚生労働省にも問題。添加物や農薬を大量に使用。アトピーをはじめとするアレルギー体質の子どもや体力低下した子どもが出現。子どもにも動脈硬化、肥満等の成人病症状が発症している。
     食が体にどのような影響を与えるかを十分に知る必要がある。食品はすぐに腐るものであるという当然の知識を国はきっちり国民に伝える仕組みに変えなければいけない。
  •  メーカーからすれば、どこまでやるかが課題。生産方法にこだわれば結構なコストがかかるが、そのコストを価格に転嫁できない。地産地消で給食を…というのはよく言われるが、全国的には難しい話。これらを国との関わり、消費者との関わりからどのように解決していけるか。
  •  学校給食を米飯に、という取組について、全国平均では週3回のところ、京都府では週3.7回を実現。府内全体では100%米飯給食を実現
  •  米飯給食、京都市内では週4回。しかし、米と魚は残されることが多い。
  •  日本では、生産される量と捨てられる量とが同じという現状。府の自給率は、カロリーベースで12%(国は40%)、生産額ベースでは22%。また、食糧のコストを輸送する量と距離から計算するフードマイレージは、日本は圧倒的に大。同時に日本はバーチャルウォーター換算すると水の大輸入国でもある。
  •  地産地消は、地域活性化にも貢献。「ローカルファースト」というようなことを府が全面に打ち出してくれると、生産者側も取り組みやすい。
  •  京都市中央卸売市場での「海援隊」の取組や、丹後の魚を学校へ、という取組を現在実施中。病院や企業食堂へ、というところについては、現在、認証制度などに取り組んでいる。

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