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「明日の京都」ビジョン懇話会 福祉・医療部会(第3回)の概要

 平成21年7月21日に開催した「明日の京都」ビジョン懇話会 福祉・医療部会(第3回)の結果について、下記のとおり概要を報告します。

日時

平成21年7月21日(火曜)午後3時15分から5時15分

場所

京都府庁旧本館 2階 商工労働観光部会議室

出席者

「明日の京都」ビジョン懇話会

ジェフ・バーグランド委員、新宮七郎委員、藤本明美委員、山岸久一委員(部会長)

ゲストスピーカー

岡本民夫氏(同志社大学名誉教授、社団法人京都ボランティア協会理事長)
齋藤佳津子氏(財団法人京都YWCA幹事、京都教育大学非常勤講師)

京都府

髙嶋政策企画部長、林健康福祉部こども政策監、重松健康福祉部副部長、事務局ほか

 

議事概要

次のとおり、テーマに基づき、ゲストスピーカーを招聘し、議論
・「元気な高齢者の社会参加策や格差対策」について、岡本民夫氏
・「格差社会における子育て支援や多様な働き方に対応した子育て支援」について、齋藤佳津子氏

 

岡本民夫氏のスピーチと意見交換

(岡本氏スピーチ要旨)

  •  高齢者を取り巻く現状認識としては、2つの問題がある。一つは、超高齢化社会の到来ということで、高齢化の加速、後期高齢者の問題、高齢者人口の地域的アンバランスの問題。地域アンバランスは施策の困難さにつながり、対応の個別性を求められ、京都府内の北部と南部では対応が異なるという実態がある。二つ目は、年齢層の見直しが必要な時代に入ったこと
  •  高齢者を要支援高齢者と元気高齢者に分けてみる。2割を占める要支援高齢者の生活実態は多様化・複雑化しているが、ヘルパーの不足等により供給側の都合でサービスが低下している実態がある。
  •  また、全体の8割を占める元気高齢者はリタイア後も潜在的能力や過去の経験、技能を大いに持っている。団塊の世代は画一的な施策では動かない世代であり、様々な選択肢を用意することが必要である。
  •  高齢者が主体的に発想し実施し、行政はその後押しをするなど、高齢者の主体性を重視し、内発的に活性化する取組が必要と考える。
  •  元気高齢者の内発的エネルギーの活性化のためには、地域力再生を活用したような場と機会の提供、きっかけづくり等が必要。また、身近な興味を喚起し、地域密着型で、持続可能なプログラムの開発も必要である。
  •  様々な主体が協働・コラボレーションし、新しいものをどうつくっていくかを最終の目標とする取組が必要ではないかと考えている。
  •  介護職員の不足は深刻であり、若い人のなり手がない。職業として介護の資格を取得する人は少なく、家族を介護するためにとる場合が多い。
  •  新しい支え合いの創生、「共助型社会」を作ることが今後必要と考える。 

(京都府の取組の説明)

  •  重松健康福祉部副部長より、京都府の福祉施策について説明 

(委員等からの意見)

  •  アメリカではタイムバンク制度を導入し、高齢者等がボランティアで様々な支援を受けている。こうした取組が日本でも必要ではないかと考える。
  •  日本にもサービスを提供した人が時間を貯蓄し、自分が必要な時に使うという「時間貯蓄制度」があるが、全国的に普及していない。
  •  東九条に新しく出来た施設では、70~80名の高齢者と障害者が一緒に生活し、積極的に活動に参加し、生き生きと活動している。体験を通じて学んでいくことが大事であり、自分と違った環境の人といると自然と学んでいく。
  •  元気高齢者の支援は、地域力再生事業でうまく対応できる印象。むしろ、要介護高齢者の支援をどうするかが重要な問題ではないかと考える。施設での介護と在宅での介護の2本立ての介護が必要であるが、そのための府立のリハビリテーションセンターが未整備の状況である。
  •  府北部でも仕事がきついということで、ヘルパーのなり手が少ない。また、元気高齢者の地域経営への活用を考えていくことが重要だと考える。
  •  高齢者の自主活動支援に活用できる施策として府民力応援基金の紹介があった。行政とNPOの関係は持ちつ持たれつであり、府民力応援基金も、このような「協働」の中から生まれたと思っているが、パンフレットからはそのような「NPOと京都府が協働して」というニュアンスが読みとれず、京都府の事業という印象を受ける。
  •  行政は行政のプロとしてセーフティネットを張ることが本務だが、多くの制度を作ってセーフティネットを張ってももれ落ちてしまう部分について、いかにNPOなどの多様な主体と協働し、絆で支えていくかが重要。そのための仕組みについては、今後検討する必要がある。 

齋藤佳津子氏のスピーチと意見交換

(齋藤氏スピーチ要旨)

  •  格差社会の格差には、人(どんな家族構成か)、モノ(情報がどれだけ届いているか)、カネ(経済的格差)がある。経済的格差について言えば、経済的には恵まれているはずの子どもたちでも、遅くまで塾に通い、点数化されることによって傷を受けているという問題もある。
  •  家庭における子育て機能が縮小化しており、子育ての社会化が必要であるが、今のセーフティネットでは抜け落ちていく家庭がある。何重構造にもセーフティネットを張らないといけない時代である。40年前と30年前では大差がなかったが、この10年間の社会変化は非常に大きいと感じている。
  •  今の格差社会の中で子育てをする家庭を、どんなネットワークであれば救えるのかという問題意識を持っている。家族や子育てに関する問題が細分化する中、今は、こうした問題を抱える家庭を放っておくのか(社会的排除)、包み込んでいくのか(社会的包摂)の分節点に来ていると思う。どうすれば包摂に向かえるかを考えるべきと思う。
  •  社会的ネットワークの最小単位である「居場所型団体」はトランポリンのようなイメージ。その中で参加者が自分の力で自由に動けることが必要であり、そうした場には動きを助ける「コーディネーター」も必要。この居場所型団体と、それらを重層的に結びつけたネットワークが必要
  •  これからの課題は、居場所型団体におけるコーディネーターの育成や団体同士を結ぶファシリテーターの養成である。また、子育て支援は様々な分野にまたがるが、体系だったものがなく、「子育て支援学」の体系化が必要と考える。
  •  元気な高齢者に子育てに参画してもらう事例ができないか、また、高齢者と子どもが一緒に集い、活動するといった両方の課題を解決するものができないかを考えていくことが必要と考える。 

(京都府の取組の説明)

  •  林健康福祉部こども政策監より、京都府の子育て支援施策について説明 

(委員等からの意見)

  •  福祉だけでなく医療でもこうしたファシリテーターを中心としたネットワークができると非常に安心だと思う。スウェーデンでは、小学校を建設する時に老人ホームを併設する法律があり、行政がベースを作り、実際の運営はNPO等がボランティアで行っている。
  •  東九条に設置された施設が活性化しているのは、地域の人が必要だと思い、結集したからである。必要だと思う人がどう関わっていくのかが大事であり、行政はその思いを大切にし支援してほしい。子育て支援等において、お母さん同士が必要だと思ってつくりだす活動があるのに、なぜ、そうした人材を行政は活用しないのか。府の一方通行だけでなく府民の力を結集して人材育成等の取組を進めて欲しいと考える。また、様々なことを講座等で学んだ人たちも、そうした知識を活用できる場がないのが現状である。
  •  今までの行政のルールが通じなくなってきており、行政の関わり方も変わってきている。新しい人材を活用し、まずはやらせてみるといった取組も必要。
  •  地域性を大事にすることが必要であり、京都らしさをどう捉えるかが重要であるが、くみひもは「むすぶ」、ふろしきは「包む」「開く」を意味し、こうしたことを発信していくことも必要と考える。
     複合施設の必要性は感じており、1階がデイサービス、2階がリハビリセンター、3階が図書館という施設を作っているが、図書館に行ったついでにリハビリにとか、図書館に来る子どもたちと高齢者の交流もあり、効率が上がっている。

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