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「明日の京都」ビジョン懇話会 産業・労働部会(第4回)の概要

 平成21年9月10日に開催した「明日の京都」ビジョン懇話会 産業・労働部会(第4回)の結果について、下記のとおり概要を報告します。

日時

平成21年9月10日(木曜)午前9時30分から11時30分

場所

京都府庁第1号館 6階 政策企画部会議室

出席者

「明日の京都」ビジョン懇話会

今井一雄委員、植田和弘委員(部会長)、堀場厚委員、丸毛静雄委員 

京都府

山田政策企画部副部長、長濱府民生活部男女共同参画監、山下商工労働観光部長、山口商工労働観光部雇用政策監、田中商工労働観光部副部長、小田農林水産部副部長、村松建設交通部建築指導課長、事務局ほか

議事概要

・第2回、第3回部会でのゲストスピーカーからのスピーチを踏まえ、事務局が作成した「産業・労働部会提案(案)」について、関係部局から説明後、意見交換

(資料3)産業・労働部会提案(事務局案)( PDFファイル ,2MB)(PDF:2,343KB) 

・第4回での議論を踏まえて事務局案を適宜加筆修正することとされ、修正案については、各委員あてに後日改めて送付の上、確認がなされることとなった。
・委員からの主な意見等については、以下のとおり 

  •  事務局案は、きれいにまとまっているが、刺激がない。点線の中に書いてあるようなイメージ、こういうものを4つくらいにポイントを絞ってイメージが沸くように書き、そこからミッションについての議論を始めたり、具体的な行動をとっていく方が良い。むしろ点線の中を読んだ方が実務的にはイメージが沸くし、それをきれいにまとめると上の文章(ミッション)になるのでは。
  •  産業と環境の「調和」や「両立」ではなくて、産業と環境を調和させることが産業発展につながるとか、そのくらいの思いを持って京都は産業開発をしなければいけないのではないか。研究開発型企業が多い地域としても、その方がメッセージ性が高まるのではないか。
  •  日本の特徴として、数値目標をアドバルーン的に上げるのが好きだが、それを検証する機能は弱い。アメリカは、同じようにアドバルーンを上げるが、戦略性を持ち、検証する。
     今、話題になっている「温室効果ガス排出量の25%削減」という目標のもとでは100%産業とは両立はしないが、その目標へ到達するためのビジネスモデルを示すことは大事。京都はもっと大人になるべき。京都は大学などのアカデミックな分野や関心の高い企業も多く、それらを活用して、しっかり検証すべき。また、府はそれらを一体化するリーダーシップをとることが重要
  •  舞鶴港の中身の充実は当然重要だが、そこで上げられた荷をどこにどうやってつなげていくか、というところをもっと明確に議論すべき。
     また、農業について、労働に対する対価が明確でないことが後継者不足に大きく影響。「代々百姓だから自分も百姓」という時代は終焉。若い人が就農するためにも、ビジネスとして示すことが重要。加えて、京都は土地が少なく、広域で農業をやれるような地域ではないが、水菜などの種が他府県に出て行くと、生産規模が違い過ぎるため、産業として成り立たなくなる。それに対して、やりがい、生きがいをどう考えるかが課題
  •  ビジョン自体のミッションを考えた場合、民間がよりイメージを持ちやすく、入りやすいようにまとめることが京都府らしい新しいアプローチでは。具体的なところにインターフェイスをつくるべき。
     会社の株主総会は、本来「報告」だけでよく、未来のことについては語らないのがルール。未来の数字について語るのは、1年ごとに株主の信任を受ける立場としては危険であるからだが、自分自身、多くの時間を割いて説明。そのことにより、今では本来の投資家が株主総会に出席。
     農業問題について、根本的なビジネスモデルをつくらないと、「もう何をしても一緒」という風に思ってしまう。イメージが沸くように、分かりやすく打ち出す努力が必要
  •  初めに知事が求めたことは、政策的なことではなくて、もっと大きなことだったようにも思うが、示されているように具体的なことでないとメディアは書けない。マニフェストではないが、「こういうことをやるんだな」ということが具体的に分かるというのは、本来、我々に求められていることとは違うかもしれないが、分かりやすくはある。
     また、検証は必要。書いてある施策は新規のものなのか、これまでにもあったものなのか。例えば、太鼓山の風力発電などは、実際2億円の赤字が累積。これまでやってきた施策がどうだったのか検証しながらでないと、前には進めない。
  •  温室効果ガス排出量削減目標の「25%」という数字にしても、いろいろな考え方。何を根拠に、どこから25%という数字を出しているのか、本来であればアカデミックなところからクレームをつけるべきであるが、追及がないままになっている。おそらく、日本の数値目標と、アメリカ、ヨーロッパで掲げられている数値目標とでは、ベースが違うはず。
     民間企業は失敗を財産にして成長。民間企業が過去の無駄な投資を改める一方、行政は「やりっぱなし」。反省したら自分たちが失点するような意識がそこにある。失敗を良い意味で財産にすると、議論が地に足のついたものになり、民間も巻き込みやすい。このギャップをどう埋めるかが大事。
     農業について、競争力のある産業は積極的に海外展開。日本の農業は規模の点でアメリカ、中国などと競争できるはずはないが、高付加価値の輸出型産業として一部は既に成功。所得保障だけでお茶を濁すのではなく、そのような動きを加速させていくべき。京都からそういうことを提案し、実験していけば良い。
  •  観光について、従来型の観光地を巡る観光ではなく、今、質の高い観光が求められている。企業をつなげて回るビジネス観光など、書き出すと全ての分野に観光が入ってくる。
     舞鶴港について、「京都市の舞鶴港」と思ってもらうくらいになって欲しいという意図から、「きょうと舞鶴港」と命名。しかし、残念ながら物流には誰も注目しない。メグミルクが北海道から日本海フェリーで運ばれ、工場に入り、加工されて手元に届いているとは誰も意識しない。他方、人流に目を向けると、クルーズ客船「飛鳥」が毎年舞鶴港に入るようになり、そこから天橋立、さらにKTRに乗って、亀岡から保津川下り…と国内旅行をする人が出て来ている。そうすると、舞鶴港がより身近になる。
     また、資料3の4ページ目「地域資源等を活用した地域経済の活性化」に観光のミッションを入れたが、これは、観光客が地域づくりに貢献する参加・体験型観光を進めたいという意図から。ただ観光客がゴミを落とすだけの通過性の観光ではなく、第2回部会での飯尾さんの話にあったような、棚田を守るためにいろいろな人に作業してもらい、その米で酢をつくり、付加価値の高い商品として売る、というような一連の取組が好例。「観光」を違うステージに上げたいという思いがある。
  •  観光客が何千万人来たというとき、京都市以外の地域が見えてこない。京都市以外への宿泊をどう増やしていくかが課題。スキームをもう少し示さないと分かりにくい。
  •  お金を落としてくれる観光客でないと、車で来て、ゴミだけ捨てて、コインパーキングだけが儲かるというような観光客を呼び込むのは政策的に誤り。高付加価値の観光、というのも一つだが、京都の場合はリピーターが多いので、それをいかに満足させられるかが重要。いっそ、観光客の目標を数字で示さないということもあるのでは。スーパーマーケットを目指すような数値目標を上げること自体がナンセンス
  •  数値目標の設定に工夫が必要。宿泊客数というのも一つ。
     また、土産物を見てみても、ほとんどがレール物。パッケージだけ変えられた物が並んでいる。土産物一つにしても、地域にお金が落ち、しかも、観光客の満足度が高まるような仕掛けづくりが重要。それを測れるような成果を入れたい。
  •  観光客が京都市内だけでなく他の府域も巡っていくような仕掛けが必要
  •  亀岡まつりは祇園祭がなければ一級の祭り。価値ある資源は京都市外にも多いが、京都市内でも観光地は多いため、市内観光と言っても、東は東、西は西と、エリアを分けて観光。本来は、周辺にも一足伸ばしてもらうような観光が必要だが、その動機付けを如何にするかが重要。
     今年から、「匠の巡礼」、「味の巡礼」をキャッチフレーズとした観光振興の取組をスタート。「匠」というイメージでストーリーを描き、観光コースを設定。「味」についても同様。ホテルと協力してメニュー開発したが、丹後の食材は評価が高いにも関わらず、今は丹後にお金が落ちる仕組みにはなっていない。そこで「味」を切り口にストーリー化。そのストーリーを「巡礼」という言葉で表現し、取組を始めたところ。
  •  京都の町並みもそうだが、ある意味、ディズニーランドのようなビジネスモデルなど、良いところは良いとこ取りすべき。
  •  海外の人が評価していることでも、我々は当たり前だと感じていること、評価されていること自体知らないことなど多い。そういった情報を観光客にも知ってもらい、再発見してもらうことを目的に、「観光未来塾」の取組を実施
  •  地方でホテルなどに泊まるとき、ホテルに周辺案内があれば、それを見て外出。基礎的なことかもしれないが、京都の宿泊施設に観光スポットを含めた、ランク別の案内が5種類くらいあれば良いのでは。高級、中級、学生向けなど。そのようなことから実験してみると手っ取り早いのでは。
  •  月並みな言い方だが、「住んで良し、訪れて良し」。住んで良し、というところが基本だが、良しとされる美しさは、田んぼの管理など、生活の営みの中から出てきた美しさ。
     京都市内の観光がまだまだ全国的にメジャーだが、もう一歩進んで、1泊は京都市内で、もう1泊は京都の食文化などを支える丹後・丹波で、という提案は先日の府民交流会でもあったところ。京都を支える食材や物産は周りの地域で作られている、というストーリー性を持ってPRすることが重要。
     丹後で大人気のとり貝は、現地に行かないと食べられない。そこで、KTRを使って現地に入ってもらい、とり貝にある年輪はどのようにしてできるのか、というような話を旅館の人に直に聞きながら食べていただく、そのような取組を北部で実施しているところ。
     その他、第2回部会で話のあった飯尾さんのような取組などが円滑にできるよう、農商工連携のファンドを設立。観光も含めて連携
  •  「観光」という言葉の意味を変える、というのはとても意味のある話。「ビジョン」では、コンセプトがどう変わるかということをはっきりと示すべき。観光の「質」の話、京都市内と丹波・丹後地域との連携、農商工の連携といったいろいろな話が出てきたが、観光という別のものがあるのではなく、京都そのものをうまく表せる、ビジョンの目玉となるようなコンセプトが出れば良い。そうでなければ、「やっぱり観光振興のことを言っているのか」という風にとられてしまい、今、議論している内容が伝わらない。そこは知恵の絞りどころ。
     また、理念だけではなく、具体的なイメージが沸かないと頭に入ってこない。書いたとおりできるわけではなくても、「こういうことをやってみよう」という刺激されるような書き方も良いのでは。
     加えて、「連携」というなら、下の方で支えている府の活動と表で活躍してもらう民間の活動をうまくつなげる話になるとは思うが、取り組む姿勢を引き出すには、先導的なモデルを示す方が分かりやすい。既に、実践して成功している例もあるはず。
  •  産業と環境の「両立」という言葉は確かに古い。その側面があることは事実だが、積極的な新しいビジネスモデルを支援するというイメージをはっきり出す方が良い。イノベイティブ、クリエイティブな雰囲気が出るコンセプト、理念。それが目標数値と整合するかどうかは後の話で、まずはその動きが出ないことには始まらない。「明日の京都」ビジョンというのは、これまでの理念を京都らしく、もう一段高いものにするものだ、という風に、いろんな領域で打ち出せたら。今までもいろいろな「連携」が言われているけれども、その中身がより一段、先端的な京都らしいものとして打ち出せたら良い。
  •  府として、インフラの整備をどう考えるのか。知事が「北部は阪神の文化になってしまった」と。インフラが阪神につながってしまったため。観光も産業も、インフラ整備がない中では、コストの便利な方に流れるのは当然。
     石川や福井の観光を見ると、北陸縦貫道が走り、サンダーバードというJRの最新の特急電車が走っている。比べて、京都の山陰線はかなり古い特急電車を使用。1日1本でも2本でも良いので、最新の特急電車を走らせてはどうか。
     また、縦貫道整備の話がないままに舞鶴港振興の話をしても、兵庫県を経由しないと物が運べない。拠点の整備はあってもインフラ・動線の整備がない状態
  •  文化圏は確かに変化。昔は宮津へ京都支店の人が営業に来たのが、最近では大阪支店、神戸支店の人が営業に来る。その方が近くて便利。これを元に戻すには相当な時間が必要。インフラの整備を早く進めないと、文化圏を元に戻すことは、特に商業的には難しい。観光にしても同様
  •  KTRは貨物を扱えない。結構な事業体から要望があるが、JRとKTRとの関係で実現しない。貨物が扱えるようになれば、利用度は高まり、採算的にも良くなる。今は福知山や豊岡へ持って行く必要
  •  基盤の重要性はどこかで位置づけておくべき。部会で専門的に出てくるものもあるだろうけども、全体を貫くものもある。
     また、京都市内と府全体、これをどう一体として良い方向に発展させて行くか、ビジョンが要るのでは。決して、都の良さがなくなるのではない、相互に生かし合う中での発展、というイメージが必要
  •  元々、京都は、市内で企画をして、周りで生産してきた町だが、お互いにギブ・アンド・テイクであるという意識がない。これをうまく説明できれば、京都市民も納得する。この説明は府にしかできない。
  •  環境を考えると、公共交通というのは大事だが、人が減ってくると乗らず赤字に。田舎ほど交通が不便なので、車が一家に3台という状況。そうでないと一人ひとりが生活できない。
     経済をはじめ、いろいろな分野について、環境が全体を貫いているということは、時代の必然。京都府も二酸化炭素の削減目標を立てているが、現状はどうなっているのか。
  •  産業部門は減っているが、オフィス部門、家庭部門が増加。「生活革命」というような言葉を事務局案に入れたのも、それくらいしないと二酸化炭素が増えていく、という危機感から。
  •  京都のようなヒューマンサイズの町は、通勤などに余計なコストとエネルギーを使う必要がない。職住分離すると、どのようにして働いているかも見えなくなる。
     以前、西陣の折り手は、子どもさんが病気になるといったん折り止め、病院に連れて行き、ご飯を作ってまた折りに戻る、という生活。長時間労働が良いと言っているわけではなく、職住近接だからこそできること。また、職住近接だからこそ、自分たちの町の小学校がどうなっているかといったようなことにも関心を持つ。京都の持つヒューマンサイズの良さといったところが今後の産業育成にも大事になってくる。
  •  目標が達成できないことにも原因がある。その原因の検証が大切。「明日の京都」ビジョンであれば、そういったことは大事
  •  今、学研都市でベンチャーと共同実験を行っているが、家庭におけるエネルギーの使用量や使用の時間帯等について分析したデータが全くないにも関わらず、「家庭部門でも10%削減」という目標を設定。
     今回、「エコ住宅の開発等実証実験」というようなことを施策として入れているが、家庭でどのようにエネルギーが使われているか、それをインターネットの技術を使ってセンシングし、分析する、ということをしたいと考えている。
     また、エコ住宅の開発に当たっては、地元産の木材を使ったローコスト住宅の開発からスタート。そうしたトリガー的なモデルを作っていきたい。
  •  燃料電池のコストはまだまだ高い。もっとブレイクスルーしないといけない。そのためのトリガーを分析・研究されることは良い。
     同じ太陽電池でも30%から5%の効率のものまで、6倍も効率が違う。それを一律に扱っている。それを詰めないと、本当は基本的なことすらできない。
  •  ワーク・ライフ・バランスというのは、それ自体で進めなければいけないものとは思うが、サステイナブル社会との関係、地方分権などの国の大きな枠組みとの関わりもある。府として取り組むとすると、生活スタイルそのものを京都から提示するようなビジョンを示せたら良い。生活やオフィスが実際にどう変わるかを見せる、そのための実験、モデルづくりに京都が取り組むのだという、生活から産業全般にわたるビジョン。議定書締結の地だからこそ、そういったことを打ち出しやすい。また、ヒューマンサイズといった要素、付加価値を上げるような産業のバランス良い集積など、先導的モデルとなる可能性も高い。
     新しい暮らし方が新しい産業となり、それが持続可能なサステイナブル社会を実現するというモデルを示す、そのようなトータルビジョンを我々は示すべき。
  •   同じ用語も意味を再定義することで、とても重要な意味を持つ。我々の部会からビジョン全体に理念を提示している、という感じが出るようにしたい。部会ごとに縦割りになるのではなく、地域全体を統合するトータルビジョンという方向が出せたら良い。
     また、最後に報告書の形式になったときに、メッセージがはっきりしていないとページが進まない。そこをどうアピールするか。中を見たくなるような工夫が必要

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