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「明日の京都」ビジョン懇話会 福祉・医療部会(第4回)の概要

 平成21年9月8日に開催した「明日の京都」ビジョン懇話会 福祉・医療部会(第4回)の結果について、下記のとおり概要を報告します。

日時

平成21年9月8日(火曜)午後3時15分から5時15分

場所

京都府庁1号館 6階 政策企画部会議室

出席者

「明日の京都」ビジョン懇話会

ジェフ・バーグランド委員、新宮七郎委員、藤本明美委員、山岸久一委員(部会長)

京都府

髙嶋政策企画部長、林健康福祉部こども政策監、中村健康福祉部副部長、重松健康福祉部副部長、事務局ほか

 

議事概要

・第2回、第3回部会でのゲストスピーカーからのスピーチを踏まえ、事務局が作成した「福祉・医療部会提案(案)」について、幹事部局から説明後、意見交換

(資料3)福祉・医療部会提案(事務局案)(PDF:137KB)


・中心テーマの文言修正に加え、1.障害者の対応、2.ワンストップ相談窓口のあり方、3.介護士、養護士の社会的地位の問題等について、第4回での議論を踏まえたミッション、成果目標を適宜加筆修正することが確認され、以降の字句修正等については山岸部会長に一任することとされた。
・委員からの主な意見等については、以下のとおり

  •  資料3の1ページ目、2つ目の検討事項「福祉の『セーフティーネット』…」に対する成果目標に、医療・介護の南北格差縮小が書いてあるが、この点は特に留意してほしい。医師の子どもの教育や生活の利便性の問題から、南北格差は今後さらに広がる恐れあり。医師の生活する場と働く場が異なる遠距離通勤が増えるなど、昼夜間で医師の数に差。
     また、以前は、多少の怪我であれば内科の先生も診察してくれたが、最近は医師の専門分化に伴い、「担当ではない」と断られる状況もある。
  •  現在、総合内科の医師を育てようという方向性はあるが、医師が専門分化してきた経過から、他の分野に手を出したくないというような風潮があることは確か。
     新しい研修医制度についても、大学に医師が集中しなくなり、北部の医師も足らなくなってきたことの重大な要因となっており、何でも診られる医師が減少していることは、ある意味、この研修医制度の弊害
  •  以前、アメリカの町で同じような問題が起こった際、医師に対して周辺でもトップクラスの給料を支払い、最新技術や機器を導入するなどして、魅力ある働く場をつくるという手法がとられた。但し、分野を「やけど」と「交通事故による損傷」に特化。しかし、近隣の都市も、この分野について治療が困難な場合には、この町に患者を搬送。その結果、「やけど」や「交通事故」に付随する医療分野をはじめ、あらゆる分野の医療が周辺に集中。医師も移住。医師の家族に対するケア(教育等)も実施。
     府北部にも、京都市周辺にはない、何か「売り」となるようなものがあれば、自然とそれに付随して医師等が集まってくるのではないか。
  •  資料3の1ページ目の参考欄にある「ワンストップ相談窓口」のエリア設定について、現状で言えば、高齢者包括支援センターというものがあり、小規模な市町村では市町村に1カ所、広大な面積を持つ福知山市のようなところで5~6カ所、そのほか南部の都市などで中学校区単位に設置。「ワンストップ相談窓口」と言いながら、保健師と介護士という2人体制では1カ所で何でもできるという訳ではなく、あくまで、包括支援センターという拠点のもとに、従来の在宅介護支援センターがブランチ(支所)としてある位置づけ。
     拠点施設1カ所で何でもやってしまうにはかなりの人員を抱えなければならないため、将来的には、今のブランチもそうだが、例えば小学校区単位に簡易な窓口を設置し、さらに中学校区単位に窓口を、という風に、課題の専門性や困難性に応じてスクリーニングしながら解決していく仕組みが必要。福祉の分野は、現場に出て実際に話を聞くことが大事であり、身近なところでできるというのがキーワード
  •  相談内容にも地域性がある。「ワンストップ相談窓口」設置の際には、その点に留意してほしい。
  •  窓口をワンストップにすると、大勢がそこに集中。その全てをケアできるかという問題。
     また、子育てや障害などで本当に困っている人の中にはものすごく遠慮がちな人もいて、これらの人々がはじき出される恐れもあるのでは。
  •  本当に相談したいときには、役所が設置している施設では対応できない。平日夜間や休日は開いておらず、相談できるのは土日のみで、サラリーマンには使い勝手が悪い。小学校区単位、中学校区単位にきめ細やかに簡易窓口を設置したとしても、利用されないのであれば意味はない。それをどうやってアクセスできるようにするかがこれからの課題
  •  NPOとのつながり、連携というのがより重要
  •  ミッションに「…NPO等によるセーフティネットを強化すること」とあるが、強化できる環境整備が必要。活動助成の制度もあるが、いろいろな制約・条件がある。
  •  「ワンストップ相談窓口」のイメージについて、個人的な意見ではあるが、そこですべてやってしまうというよりは、紹介する場。但し、単なる紹介のみでなく、ネットワークによりサービスをつないでいくことが重要。ワンストップの窓口とネットワークは一体不可分。それをコーディネートできる組織があると良い。今、包括支援センターもそのような姿を目指しているが、NPOなど地域資源とのネットワークが十分ではない状況
  •  京都府立医科大学附属病院では、床にいろいろな色のラインが引いてあり、それを辿っていくと目的の場所に着ける仕組み。それと同様、相談したいときにどこに行ったら良いかということが誰にとっても分かりやすい、簡単なワンストップ窓口には意義がある。
  •  財政面で支援するファンドとセットで、元教員などを登録した人材バンクなどがあれば良いのでは。どこかのNPOに登録するというのではなく、府に登録する人材バンク
  •  子育て中の親にも生きがいが必要。社会に貢献し、地域に生かされていることの体験が必要。資料3の2ページ目、1つ目の検討事項の「高齢者が」という主語を「誰もが」に置き換えればうまく行くのでは。子育て中だからと言って特別視するのではなく、子育て中であっても何かができるように応援すべき。
  •  生きがいが必要ということについては、障害者も同様。脊髄損傷の人には大きく分けて2通り。一つは、仕事中の事故により脊髄損傷になった人。そのような人は労災認定によって多額の保険金が支払われるが、経済的に困っていないため、家にこもる傾向。
     もう一つは、プライベートにおいて脊髄損傷となった人。この人たちにはお金が入らないので、働かなければならないが、仕事をする中で生きがいを感じる。
  •  資料3の2ページ目、1つ目の検討事項「高齢者が…」と3つ目の検討事項「障害のある方が…」について、障害者を分けて書く方が良いのか、高齢者と子育ては一緒に書くべきか分けて書く方が良いのかというところがあると思う。そこは整理していただけたら。子育てに特化しすぎると難しい。「高齢者」にしても「障害者」にしても、何を主語にしたとしても、当てはまることはあると思う。
  •  全く触れていないのが、外国籍の人の問題。日本の法律では、国民を学校に行かせる義務はあるが、外国籍の人には義務がない。学校から入学を拒否されたらそれまでであり、外国籍の人は、福祉・医療をはじめ、制度的なものから外されている。医者にかかるときでも、言葉が通じない人、字が読めない人は結構たくさんいる。ノーマライゼーションというキーワードは、性質の違うものが一緒に暮らすという考え方。日本人と外国人というのも、その枠に入ってくる。
  •  中心テーマに「ノーマライゼーション」が上がっているが、「普通に」というのは分かるようで分からない表現。文言としてなくても良いのではないか。
  •  統計では、アメリカも日本も、5人に1人が障害者。そのほとんどは、高齢による障害、老化に伴う障害。但し、日本の場合、人口はアメリカの2分の1であるのに、障害者の率は4分の1。日本では、手帳を取得しないと障害者とは認められないが、アメリカでは医療機関が障害者を報告する。また、確定申告の際には、障害者には税の控除があるので、障害があることを申告。日本でも高齢の問題と障害の問題とを一体的に考えるべき。
  •  障害を持っている人が暮らしにくいのは、「障害があると普通ではない」「普通の人生が送れない」という風に思われているから。障害に対する理解が深まれば、それが特別でないという考え方に変わる。
     また、目に見える障害は周りから分かるが、見て分からない障害、知的障害などは、親自身も認められないし、周りの目も気になる。「障害についてみんなが理解している、知っている」ということを成果目標として入れてもらえれば、そのような人たちも安心して生活できるのではないか。
  •  介護士にすぐに辞める人が多いことの一番の原因は、やはり給与の問題。まずは給与を上げないといけないが、それではペイできない。また、介護報酬が低い。
  •  32歳ほどの人が、介護の資格を持ち、大学卒業後から今までその仕事を続けているが、あと2、3年がヤマ、という話。家族を養う収入もないので結婚できないし、体力的にも厳しくなってくる。若い人が魅力を感じ、一生の仕事として介護の道に入ることが難しい現状。
     他方、介護ロボットが入浴介護などできるようになってきている。介護ロボットなど、コンピューター関係に興味がある人もうまく巻き込んでいけたら良いのではないか。
  •  介護だけでなく、虐待児童等の養護に携わる職員は、泊まり込みの仕事など、結婚したら続けられないような過酷な環境。特に福祉関係は、保育園など女性の職場であることが多いが、長く働けないなど女性特有の問題がある。介護士の話と同様、給与の問題や、ずっと1カ所に勤めるというのではない、ステップアップの仕組みなどの検討が必要ではないか。
  •  アメリカでは、確定申告の際に、一部、税金を特定の分野に寄付するというチェック項目がある。子育てに興味がある人は子育て分野に、高齢者介護に興味がある人はその分野にチェックを入れれば、自動的に税額の一定割合がその分野に振り分けられる仕組み。
     ファンド以外に、一般府民が積極的にセーフティネットや安心なまちづくりに貢献できる仕組みの検討が必要
  •  寄付金の文化、日本ではあまり浸透していない。カナダでは、様々なプログラムが無料で提供されているが、それは寄付によるもの。子育てと全く関係のない男性も、そのプログラムや子育てに関する様々なメニューを把握。自分の会社がどこに寄付しているかをくまなくチェックするためには、子育てに関わらずいろいろな施策を知っておく必要があるためであり、社会全体が福祉について興味を持ち、支えているように感じる。
  •  カナダもアメリカも、個人が寄付をする場合、良い話であれば、勤めている会社・学校も個人と同額を寄付する。逆の場合もあり、寄付が両側通行になっている。そのことにより、財政的にいろいろなところが助かっている。
     例えば、ロータリークラブが道の整備に寄付し、そのことを示す看板が掲げられていることがある。それが企業やボランティア団体側にとってもPRになる。
  •  京都府でも「ふるさと納税」という制度がある。文化財保護に対象を絞っているが、確定申告する手間から、ちょっと伸び悩んでいる。これから60代の確定申告する人が増えていく中で、寄付の受け皿を増やせば、御提案もいきていくのではないか。
  •  児童養護の場合、子どもと向き合う職員こそが、笑顔で元気よくやらないといけないとは思うが、児童虐待が増加する中で、バーンアウトする職員が増えている。これはやはり、それだけ重たい課題を持った子どもが増えてきていることの表れであるとともに、働く職員の処遇水準が低いということにも原因。介護と同様、養護についても「措置費」という公的なお金が入っているため、同じような考え方で福祉施設の職員の処遇水準が決められており、これは抜本的に国の方でメスを入れていかないといけない。変えてほしいという願いはあるが、一府県で変えられる問題ではなく、ジレンマを感じている。
  •  養護児童も、成人すると急に社会に出て行かなければならないが、例えば、大学に行けない子どもたちの受け皿の問題がある。学費を払えない子どもたちを支えていくシステムがあれば、送り出す方も安心して送り出せる。
  •  「自立援助法」的なものの整備がほど遠い中、児童福祉法の範疇は18歳未満なので、18歳を超えれば自立すべきという建前。児童養護施設を出て大学に行こうとすれば、アルバイトをし、奨学金をもらい、公的な貸付金を探さなければならい。結果として、大学に入る子どもは少ない現状があり、そのケアは必要
  •  もれている課題はたくさんある。「ワンストップ相談窓口」についても、親は相談できるかもしれないが、子どもは相談できるのか。そこも提案に盛り込んでもらえたら。
     また、大学に行きたい子どもについて、それを支えるには、個人的にそのような支援に興味のある人がNPOを立ち上げるなどして対応するしかない状況であるが、このように個人の力に委ね続けるのではなく、虐待が増えている今こそ、行政としても関わるべき。
  •  健常の子どもでなく、障害者の子どもの場合、親も本人も将来を心配。救急医療技術の進展により、死亡者が減少し、中途障害者が増えているが、中途障害者はそれまで普通にできていたことが同じようにはできなくなり、非常に不安を感じる。
     正社員で仕事を続けられる人も一部いるが、多くの場合は元の職場には戻れない。新しい人生を送って行くに当たり、情報提供やサポートシステムについて、障害者の団体と行政とがタイアップして支えていくことが必要であり、それによって安心して生きていける。高齢者、子どもについても同じ
  •  相談する人が変われば、子育て一つとってみても、イメージや問題は違う。「ワンストップ相談窓口」が、いろいろな世代のニーズに対応するには、ファシリテーター、コーディネーターの存在が重要
  •  当事者の声を大事に。いわゆる専門家にはない、「素人の専門性」がある。

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