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第9回「明日の京都」ビジョン懇話会の概要

平成21年11月27日に開催した第9回「明日の京都」ビジョン懇話会の結果について、下記のとおり概要を報告します。

日時

平成21年11月27日(金曜)午前10時から12時

場所

平安会館 2階  白河の間

出席者

「明日の京都」ビジョン懇話会

浅岡美恵委員、安藤昌弘委員、新宮七郎委員、竹葉剛委員(座長)、畑正高委員、村井杏侑美委員
(※ 欠席 池坊美佳委員、今井一雄委員、植田和弘委員、隂山英男委員、崔善今委員、ジェフ・バーグランド委員、千宗室委員、高木光委員、中村京古委員、西岡正子委員、福井正興委員、藤本明美委員、堀場厚委員、丸毛静雄委員、山岸久一委員) 

京都府

髙嶋政策企画部長、井上政策企画部企画監、山田政策企画部副部長、内藤政策企画部理事、畑村計画課長、吉岡調査統計課長、事務局ほか

議事概要

資料3に基づき、長期ビジョン・中期計画の構成や「めざす社会」について自由に議論いただいた。主な意見は次のとおり

 (資料3)「明日の京都」ビジョンの検討(PDF:294KB)

  • 【めざす社会】が1、2、3とある中、具体的な対策を見てもあまり従来型と変わらず、新規性が見えない。また、国と自治体との役割分担という部分がまったく読み取れない。日々、安心して暮らせるということは重要なので、ではその際に国は何を強化すべきか、自治体は、住民はどういう部分を担うべきかが分かるように見せてほしい。
    また、大きな二酸化炭素排出削減社会の実現が必要。大きな排出削減は産業構造や地域の基盤を変容させるが、京都からいち早くそれを打ち出すことで、産業や地域の自然環境保全のあり方全体を規定。この「排出削減社会」と、「日々安心して暮らせる社会」とがビジョンの2つの大きな柱であり、それらを実現するために京都の持つ力を活用し、人々の力も発揮でき、つながり合う、という構成にしてもらいたい。
  • 3つの社会の関係について、「安心の社会」「つながり、支え合う社会」という2つはそれぞれが相互に関係しており、一体不可分。この2つが基盤になり、この基盤があるからこそ、京都の力を使って人々が存分に力を発揮できる、という構成としているところ。
    また、国や市町村との関係について、ビジョンや中期計画の中では個別に区分けはせず、あくまで「京都府として何をなすべきか」という府の役割を明確化(事務局)
  • 「京都」のイメージがビジョンに可視的に表れるようにしてほしい。商品カタログのように、表紙には鋭いキャッチフレーズがあり、開けたところには「ここがすごい」ということが書いてあって、細かい肉付けは小さい字で書いてある。見ようと思う人は細かいところでも読んでいる、というような組み立て。
    また、他の委員さんからも出ていたように、荒削りでもいいので京都らしいものを作りたい。まとめるとこういう形になると思うが、「京都」を違う府県の名前に置き換えても当てはまる。ビジョンとしては人々に訴えやすいものにして、この3つの柱は、中期計画の3本柱という形でも良いのではないか。
  • たくさんの議論や意見をまとめるとこうなるとは思うが、ビジョンとしてまとめたものをまた細分化するときに、原点にきちっと立ち返れるようにしないといけない。細かい意見を言い出すとトータルのビジョンはまとまらない。
    また、府からすれば、京都市内というのは直接担当しない部分だが、府全域を見たとき、京都市域の人口が2分の1。それを考えると、「京都」という言葉の概念をもう少し明確に皆が認識したほうが良いのでは。いわゆる「京都」と、その運命共同体にある近隣地域。
    京都市は政令指定都市であるため、府としてはいわゆる「京都」を担う京都市に対して「一緒に考えよう」と呼びかけるべきであるし、運命共同体である近隣地域とどのように一緒に考え実現していくかということについて、もう少し意識しながら考えるべき。
  • これまでの議論でも、約半数の委員が「京都の文化を継承し、発展させていく社会を描くべきだ」との意見。それがどう表現されるかが非常に大事。
    また、表現の仕方について、10月の府民交流会において、立石会頭から、「ビジョンとは、ありたい姿に近づく際に、施策や政策の優先順位を決める物差しとなるべきもの」という趣旨の発言。そうした時、【めざす社会3】の「元気のある社会」という表現は、その言葉を使う人によって理解が異なり、共通のイメージを描きにくい表現では。「安心の社会」、「つながり、支え合う社会」に続く3つ目の社会像は、2、30年後の京都の社会について、皆が共通に姿を描ける表現のほうが良い。
  • 京都府をどんな社会にしていきたいかということは、まさに一人ひとりの人の生き方や価値観と直結。例えば、「安心の社会」の実現のために具体的に何をするのかというとき、いわゆる高福祉・高負担でやっていくのか、自助・共助・公助と言われるところをめざすのか、【めざす社会】と言ってもイメージは人それぞれ。ここで示されている社会像は「こういう項目がある」というだけであり、「どういうところをめざすのか」というものではない。めざす中身が出てこないと、ビジョンにはならない。
    日経新聞での京都経済特集で、京都経済について、環境、健康、観光、コンテンツの「3K1C」をめざしているとの記述。これはあくまで経済の話だが、このビジョン懇話会ではより広い人々の生き方、まさに教育や福祉も含めた問題について考えなければいけない。
    また、かねてから感じていることとして、京都の伝統工芸は東京では全然出てこない。世界に打ち出すためには、東京にもっと京都の良さを出していかなければならないが、そうしようと思うと、京都府と京都市の担当者に個別に話をする必要がある。東京の人から見れば、府も市も同じ「京都ブランド」。互いに連携して、少ないリソースを有効に活用してほしい。
    加えて、京都府は、京都市やその他市町村、経済界や福祉・医療、教育などを包括しているが、それぞれのベクトルは基本的に同じ方向を向いていなければならない。府全体のビジョンと言うならば、京都市が前面に打ち出している「Do You KYOTO?」といった環境志向や、経済界の「3K1C」を基本的に包含するような意識を持ちながら進めるべき。
  • 【めざす社会1】に「安心の社会」という表現があるが、丸毛委員がオピニオンペーパーで展開されていた「人にやさしい社会」というようなものを付加して「人を大切にする安心社会」とするなど、もう少し言葉を付け加えるとイメージが分かりやすくなるのではないか。そういった表現の工夫が必要
  • 「人にやさしい社会」というイメージについては、懇話会でも「何を『人にやさしい』と言うのか」というような意見もあったところ。議論の上、最終的には、一人ひとりが自分の力を発揮できる、自己実現ができるということが「人にやさしい社会」の本質ではないか、ということで、最後のゴールとして「一人ひとりが持てる力を存分に発揮」できる社会といった記述をしたところ(事務局)
  • 本論からは逸れるが、京都府と京都市との関係について、環境対策や観光など様々な分野で府市協調を実施。それぞれの部局課長によるオープンの調整会議「協働パネル」を設置するなどの取組も推進しているところ。
    また、ビジョンについても、京都市から傍聴に来ていただくともに、市の基本計画の審議会に府からも委員として参画。先の府民交流会にも知事と市長が揃って参加しており、計画策定に当たり、府市の意思疎通が図れるように今後も努力したい。
    なお、政令指定都市である京都市は府内の都市のリーダーだが、人やお金、情報やモノは市域に関係なく相互に流れているところ。京都市の計画策定に当たっては、そういうことをぜひ意識していただきたい旨、意見を申し上げている。(事務局)
  • 今回議論いただく一番のポイントは、ビジョンをどういう側面で書いていくか、ということ。従来の計画は、「産業はどうなる」「交通網はどうなる」という書きぶりだったが、今回のビジョンは、一人ひとりの人間の生き方・暮らし方に視点を当て、その側面でビジョンを書いていってはどうかという考え。
    また、ビジョンの対象エリアから京都市が抜けているという御指摘について、4振興局はエリア的には京都市を所管してはいないが、現実問題、京都市内においても府は行政を行っており、御指摘の点は課題として、今後検討したい。(事務局)
  • 昔、府のニューヨーク事務所があったが、現地のテレビ局が「京都を紹介してくれ」というとき、ほとんどが京都市のイメージ。また、商工部の管轄で事務所を出していたため、所管の違う国際課には情報が行かず、京都市へも情報が流れてこないという事例があった。最近でも、京都市が作成した地図について「府にあげて」と言っても、市は「うちもぎりぎりの予算でやってますから」という話で終わる。
    「京都」という冠を預かる者は運命共同体であることを意識すべき。11ページのアンケート結果について、これを縦に丹後、中丹、南丹、京都市、山城と並べると、今の京都の姿がよく分かる。地域振興計画を検討する際、京都市域について、京都市の計画をそこにはめて全体を見たときにベクトルが同じ方向を向いているかどうかを検証すべき。
  • 外から見れば、府も市も一緒。北の人も南の人も共有できるものを見出し、府と市が共にめざすビジョンとして1~2行で打ち出す必要がある。これこそが本当の課題であり、資料に書かれているのはひとつの柱立てのようなもの。
    また、積み上げ作業からは良いものは出ない。京都が「京都」であるために数歩前を行くビジョンを作ろうと思えば、従来の仕組みの中での積み上げではたどり着けない。物事の作り方、視点の大転換が必要。アンケート結果をつなげるだけでは役割は果たせない。自治体にもリーダーシップが求められる中、懇話会はより大きな視点からの議論の場であるべき。
  • 「ビジョン」のところを見ていて、今の基本計画とどう違うのかが分からない。今の計画に載っているようなコンテンツが載っている。これまでの10年があって、「じゃあ、この次の10年はこうしていこう」という違いが分からないといけないのでは。
    府民交流会で、知事が「これまでの10年は、行政に何かしてほしい、モノを作ってほしいという話が出ていたが、最近は、文化を大切にしようとか、京都は環境に目を向けるべきだ、という話が出るようになってきた」との発言。これからの10年はそういった文化だとか、環境だとか、京都らしさといった部分を長期ビジョンで打ち出すべき。
  • 次回は、本日の意見を踏まえた改訂バージョンのようなものを事務局と整理し、それに基づいてもう一度同じ議論を行うこととしたい。

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