ここから本文です。

第10回「明日の京都」ビジョン懇話会の概要

平成22年4月19日に開催した第10回「明日の京都」ビジョン懇話会の結果について、下記のとおり概要を報告します。

日時

平成22年4月19日(月曜)午後3時から5時

場所

平安会館 2階 朱雀の間

出席者

「明日の京都」ビジョン懇話会

浅岡美恵委員、今井一雄委員、植田和弘委員、新宮七郎委員、高木光委員、竹葉剛委員(座長)、中村京古委員、西岡正子委員、藤本明美委員、丸毛静雄委員、村井杏侑美委員、山岸久一委員
(※ 欠席 安藤昌弘委員、池坊美佳委員、隂山英男委員、崔善今委員、ジェフ・バーグランド委員、千宗室委員、畑正高委員、福井正興委員、堀場厚委員)

京都府

山田知事、髙嶋政策企画部長、井上政策企画部企画監、山田政策企画部副部長、内藤政策企画部理事、畑村計画課長、吉岡調査統計課長、事務局ほか

議事概要

長期ビジョン・中期計画の第一次案について議論いただいた。主な意見は次のとおり

 長期ビジョン〈第一次案〉について

  • 質問だが、ビジョンそのものについて「検討中」と書かれているが、今後、どのようなスケジュールで決まるのか。
  • 「検討中」と書いてあるのは、ビジョンのコンセプト全体を一言で表したような言葉であり、今の新府総で言う「むすびあい、ともにひらく新世紀・京都」のようなもの。今後、こういうものを入れていってはどうかと考えるが、プロセスやスケジュールについては特にアイデアはない。 
  • 「(社会の質の向上のために新しい価値の創出に挑む)交流し創発する京都」という社会像があるが、「創発」という新しい用語について意味が分からない。山田知事が「府民みんなで参画して作っていくんだ」ということをお話しされていたが、この「創発」には、計画の段階から参加して、自分たちで作っていくという意味が含まれているのか。
  • 「創発」という言葉については、「交流し、資源が組み合わせある中から新しい価値を生んでいく」ということをイメージして使用しており、そういった相乗効果が生まれてくるような社会を「創発社会」と表現している。
  • よくまとまっているとは思うが、働いている人や子育て中の人の現状が厳しい分、もう少し地に足の着いたようなものであっても良かったのでは、という印象がある。
    また、「創発」という用語の話が出たが、その他、「京都進取」や「地域力協創」、「男女協働」、「環境主都」などの言葉について、新しい言葉を使わなくても、分かりやすい言葉でも良いのではないか。
  • ずっと言われていることだが、京都府内については、なかなかお互いがお互いの地域を理解していない。社会像の中の「すべての地域が輝く京都」は「すべての地域が一つとなり輝く京都」など、地域が互いに理解し合い、補い合っていくという部分、そういった意識付けが必要ではないか。南北に長い京都だけにこの部分は永遠のテーマであり、言い続けなければいけない。
  • 具体的なイメージが伝わりにくい。例えば、環境について、何を守ろうとしているのか、大きな変化や危機についてどのように対応すべきかをきちんと捉えないと、対応の方向性は分からない。「対応しましょう」とは書いてあるが、言葉を足さないとめざす価値観が伝わらない。
    また、ビジョン全体も具体方策も、府・市民との中でフィードバックし合いながら進めるというプロセスがないと、共有されないし、浸透もしない。危機や現状をしっかり捉え、そのような意識を共有するところから次のステップが始まるのであり、それがないままきれいに将来像だけを描いても、これまでと変わらない。 
  • 方向性は良いと思うが、問題は、「このビジョンを進めて行こう」「プロセスに関わろう」と思う人がどのくらい出てくるか、ということ。実現のプロセスに関わろうとする人がどうしたら増えるかがイメージできるようなビジョンでなければならない。あるべき姿を書かれるだけでは、すごく遠いこと、とてもできないことのように思われてしまう。方向性だけを打ち出すと、うまく響かないのではないか。長期の計画は、ビジョンの面とプロセスの面がうまく合わないといけない。
  • 計画を作る場合に、事務局には「新しい言葉を入れたい」「新しい変化を加えたい」という気持ちが出るもの。今回も「創発」や「進取」が使われており、辞書を引けばちゃんと書いてあるが、分からないという感覚の人もいるのではないか。 
    また、京都府は南北に長い地形であり、それをどう克服するかという辺りがもう少し顔を出すべきではないか。
  • ビジョン懇話会の議論の方向性は間違っていない。「絆」や「コミュニティ」、「こころ」の重視などは、東京中心では実現できない価値として懇話会メンバーの共有するところであり、問題は、それを掲げるだけではなくどう実現するかということ。この点についてはもう少し詰めた議論をするということなので、ビジョン全体に合意が得られれば、その実現方途について、残された時間で重点を置いて議論を進めるのが良いのではないか。
  • 「新しい『質』と『こころ』の時代」がどのようなものをイメージするのか、分かりにくい。
    また、先ほどから、京都府と一緒に動き、参画しながら、社会を動かそうとしていくような府民がどれだけいるかが問題だというような話があるが、どれだけ豊かな子ども時代を過ごすことができるか、どれだけたくさんの人と触れ合いながら地域の良さを体験・実感することができるか、そういったことの基盤があってこそ、将来の京都府を支える基盤づくりにも結びつくのであり、「豊かな育ち」という部分をもっと前面に出していただきたい。
  • 9回にわたる会議がよくまとめられている。
    細かい点だが、いろいろなところで「環境」という言葉が使われているが、これは生活環境などの「環境」を言うのか、低炭素社会などで言われる「環境」を言うのか。「環境」と言ってもいろいろな言葉遣いがあり、言葉の定義ははっきりとさせておくべき。言葉一つをいろいろな風に府民が解釈してしまうと、一つの方向に向かって行けない。
  • 全体的にはよくまとまっている。確かに、言葉については、分かりやすい言葉の方が良い。
    「長期ビジョン」はこのようなもので良いと思うが、これからはそれを具体的にどうするのか、というところが一番大事ではないか。また、これが京都モデルとして日本全体に発せられたら良い。そのためにも、京都だけが良ければいい、ということではないと思うので、その辺が少し書かれている方が良いのではないか。 
  • プロセスの作り方はどこかに必要。「中期計画」が、プロセスを作り上げながら、現状に対する課題も示さないといけない。今の案では、社会において何をイノベーションしないといけないのかという部分の解析ができていない。
    例えば、大幅な科学の進歩と生き方の変化というイノベーションが出てこないと、これからの環境はもたない。医療、福祉、介護にしても、人材・施設等がもたない中、垣根を取ってイノベーションを起こさないともたない。そういうところが全く書かれていない。
    何が問題で、何を変えなければいけないかというところが「長期ビジョン」と「中期計画」との接続部分で出るはずだが、今はそれがなく、現状肯定型の「これもやりましょう」「あれもやりましょう」が書いてあるだけ。そのプロセスが出ないと、全体が動かない。
  • 今回の計画は、「長期ビジョン」「中期計画」「地域振興計画」と府政運営の基本的な指針としての「基本条例」という4本柱で考えており、プロセスについては「基本条例」のところで想定していたが、ご意見を踏まえ、引き続き検討したい。
    また、「新しい『質』と『こころ』の時代」という言葉については、資料4の「長期ビジョン」の本文の中で、いわゆる今までの「量」の時代から「質」の時代へ、「もの」の豊かさを追っていた時代から「こころ」の時代へ、という記述をしており、そういう時代にあって新しい「質」や「こころ」を京都が先導していこうという意味で用いているもの。
  • プロセスには、作るプロセス、作った後の推進のプロセス、点検のプロセスがあると思うが、後の二つのプロセスについては、現在検討中。
    作るプロセスについては、去年も府民交流会に参加された方やアクションプラン委員からのご意見をいただくなどしてきたが、第一次案が固まれば、議会にもお示しする中で、府民の皆様にもご意見をいただく過程は踏んでいきたい。

中期計画〈第一次案〉について

  •  成果目標なり具体方策なり、現在もやっているが継続しなければならない内容、新規に立ち上げる内容、拡充する内容などあると思うが、それらを表記する方が議論しやすいのではないか。
  • 「中期計画」をまとめる際は、新規の取組、拡充する取組を中心に盛り込んでいくという考え方をとっており、従来やっている施策をそのまま続けるというものは殆ど載せていない。
    また、前述の意見と関連するが、「中期計画」の作成プロセスについて。府民を対象にどのようなニーズがあるかについて、昨年の夏以降、徹底的にヒアリングするというプロセスを組み込み、各部局が直接聞いて回るという作業を実施。これが今回の計画の特色の一つでもある。
    その先の、府民との共有については、大変悩ましい問題だが、できるだけ分かりやすいビジョンを作っていくということで、このようなシンプルな案にしたところ。今後、このビジョンを共有するプロセス、参画いただくプロセスについては研究していきたい。
  • 「中期計画」は、策定後、点検等の見直しがされるということだが、数値目標があった方が点検しやすいのではないか。案を見ると、あえて数値目標は入れないということか。
  • 数値目標については、委員間でも大きく二通りの意見。分かりやすいので水準設定をすべきというご意見と、数値目標を設定するとそれにとらわれる恐れがあるとともに、目標設定のしかた自体が難しいので、よく検討すべきというご意見。よって、今回の案には数値目標を入れていないが、具体的で分かりやすい目標を掲げられるよう検討したい。
  • 成果目標について、大人の目線で書かれたものにならないか。例えば、「いじめの状況が改善されること」という目標があるが、いじめの件数などの数値目標を達成するため、いじめをいじめと認めない、公表しないというような本末転倒なことにならないか。子どもの最善の利益の追求を、数値目標の設定に結び付けていただきたい。
  • 全部に、というのは難しいと思うが、メリハリの効いたところに数値目標は必要。
    また、環境では「長期」と言えば2050年、「中期」と言えば2020年くらいを言うが、人の命に関わるような分野では、10年後のことを言っても遅い。それらを一括して書くことの難しさはあるが、問題ごとのタイムスパンや対応が見えてこそ、本当に動いていくこと、本気であることが伝わる。
    「中期計画」作成のプロセスで府民の要望を聞いたというが、要望どおりには応えられない。要望を実現するために府民自身がどのように関わるか、どのような仕組みが必要かという議論があって、政策になる。作るプロセスというのはまさにそのことであり、工夫が必要。
    加えて、いろいろな課題があるが、京都がそれにどう対応するのか、率先して何に取り組むのかという気概が見えるような骨があるべき。また例えば、単に「環境を守る」というのではなく、環境は京都の次の経済的な基盤でもあると位置付けるなど、京都のこれからを動かしていくためには、相関関係をいきいきとさせる工夫が重要。
  • 「中期計画」にある具体方策の主体が京都府であるなら、この計画を見た府民は受動的になってしまうのではないか。例えば、産学公や地域など、実施の主体を分けて書かないと、全て行政がやってくれることと受け取られ、本当の意味での府民参画にはならないのではないか。
    また、たくさん方策が書かれているが、予算の面などはどうか。
  • 「中期計画」は、成果目標に最大の主眼を置いており、こういった目標を具体化するための戦略計画であるという位置付け。具体方策の中には書きぶりによって施策・事業のようなものも多々あるが、基本的にはメニューのような位置付けで、この方策を基にして、具体的な施策・事業については、毎年の予算編成等で定めていくというプロセス。
    また、主体について、基本的には京都府が中心となって構築していく事業であり、具体的に誰がやるかは別の話。産学官、府民参画などいろいろなやり方がある。
  • 不確実な時代に計画を作るため、一度作ったらそのままということではなく、関わる人の状況の変化等が日々フィードバックされないと、計画としての実効性が担保されないのではないか。
    また、この計画が、「府が作る計画」ではなく、「自分の計画」であり、「自分も関わろうかな」というような感覚を府民が持てないと、非常に疎遠なものになってしまう。どうやってそういう状況を多くの府民に感じてもらうかというところを計画する必要がある。
  • 現行計画でも「見える化」をして、推進プロセスを府民にお示しするという取組を行っているが、どう点検し、推進し、協働していくかは、引き続き検討したい。規制行政のように権限を付与された行政しかできないこともあるし、府民の皆様と一緒に進める方が良いものもある。
    また、数値目標について、現行計画では10年間の数値目標を立てたが、途中で数値の基準が消えたり、社会情勢が変わったりして、目標としての意義を果たせなかったものがあり、議論しているところ。
  • 「中期計画」について、一番の問題は、現状は書いてあるのに、何が問題なのかが書いていないこと。行政というのは問題を挙げないという傾向があるが、端的に表れている。問題を提起して、その問題に対する使命と成果目標という形で対峙するように修正する。現状をなぞるだけでは方向性は出ない。問題意識をしっかり書くことで使命がはっきりする。
    また、成果目標について、10年間の指標設定には確かに問題があったため、指標を明確にしようと「中期計画」は5年にしたところ。また、マニフェストで、満足度も含めた「京都指標」を設けると書いたが、そのような指標を設けないと、実現に向かってのPDCAはあり得ない。問題点と指標がはっきりすれば、「中期計画」の動きはもっと見える。二次案ではその方向性を出したい。
  • 「中期計画を推進するために」ということでメニューが並んでいる中に、「府民起点の『府民サービス・ナビ(仮称)』の整備」というものがあるが、自分の生活や関心に関わるものが一覧で見られれば、府政に対する関心や理解が拡がると考える。この時、サービスだけでなく、策定中の計画などについて、自分に関わる項目やそれに関する議論の状況が分かれば、意見を述べることのインセンティブになると考えるが、技術的には可能なのか。
  • 一種の「逆引き」が必要。今は行政からの提供情報が並んで、「暮らし」や「生活」などの分野ごとに並んでいるが、それを府民個人から「逆引き」できるようにする。情報自体はそのまま使えるので、タグの付け方次第ではないか。府民相談機能とリンクさせれば、情報に双方向性を持たせることは可能ではないか。
  • 具体方策に関し、介護保険について。現在、デイケアは朝9時から夕方5時までしか保険が通らず、介護の必要な親を持った子どもは、常勤勤務ができない状況にあるが、ある介護施設で、近々、朝7時半から12時間のデイケアサービスが提供される予定。ただ、延長デイケアには個人からお金をもらう必要があるが、雇用促進の面からも、こういった取組が必要。

 

今回の〈一次案〉に対する議論を踏まえて作成したものが、〈中間案〉です。その〈中間案〉については以下の通り。

 

長期ビジョン(中間案)本文(PDF:231KB)
長期ビジョン(中間案) スケルトン・概要( PDFファイル ,1MB)(PDF:1,032KB)

 

中期計画(中間案)はじめに(PDF:226KB)
 中期計画(中間案)府民安心の再構築( PDFファイル ,1MB)(PDF:2,009KB)
 中期計画(中間案)地域共生の実現( PDFファイル ,1MB)(PDF:1,318KB)
 中期計画(中間案)京都力の発揮( PDFファイル ,1MB)(PDF:2,030KB)
中期計画(中間案)体系図(PDF:229KB)

 

お問い合わせ

総合政策環境部総合政策室

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4389

sogoseisaku@pref.kyoto.lg.jp