ここから本文です。

宇治品種について

  京都府で育成された緑茶用品種のほとんどは、覆い下茶( てん茶、玉露 )用です。日本の栽培品種のうち、約68パーセントが‘やぶきた’で占められている現状で、これらの品種は、特色ある宇治茶生産にとって重要な役割を果たしています。

1 てん茶用品種

(1)あさひ

来歴

旧系統名:平野11号(宇治在来種選抜)
育成年:昭和29年
育成者:平野(ひらの)甚之丞(じんのじょう)氏 

特性の概要

摘採期:中生(‘やぶきた’とほぼ同等)
樹姿:直立型で初期生育が良い
新芽:鮮緑色で、薄く大きい
収量:中
品質:てん茶として特に優秀、出品茶用として多用される

あさひ写真

(2)さみどり

来歴

・来歴
旧系統名:小山69号(宇治在来種選抜)
育成年:昭和29年
育成者:小山(こやま)政次郎(まさじろう)氏

特性の概要

摘採期:中生であるが適期幅が大きい
樹姿:極直立型で手摘みしやすい
新芽:淡緑で光沢に富み、みずみずしい
収量:やや多
品質:てん茶として優秀、色沢に冴えがあり、香味に優れる

さみどり写真

(3)うじひかり

来歴

旧系統名:京研170号
育成年:昭和29年
育成者:京都府茶業研究所

特性の概要

摘採期:中生(‘やぶきた’と同程度ないし2日遅い)
樹姿:やや直立で樹勢は中、株張りはやや大
新芽:やや小で薄く、やや淡緑色、光沢やや小で、繊細な形状
収量:中で‘やぶきた’より劣る
品質:てん茶として、形状はよく揃い柔らかく、色沢は明るく冴え、染まりがよい。玉露として、細くよれて締まりが良く、冴えがある。

うじひかり写真

(4)展茗(てんみょう)

来歴

旧系統名:「53-38」(さみどり自然交雑実生)
登録年:平成18年(昭和52年から選抜を開始)
育成者:京都府茶業研究所

特性の概要

摘採期:中生(‘さみどり’と同様‘やぶきた’より1から2日程度遅い)
樹姿:樹姿は直立型、樹勢および株張りは中
新芽:楕円、やや大、やや薄、緑色、光沢と葉質の軟らかさは‘さみどり’と同等
収量:‘さみどり’と同等に多収で、芽重型の収量構成
品質:‘さみどり’、‘あさひ’とほぼ同等で優れる。特に外観では染まりが良く、内質もてん茶として良好な覆い香味が付きやすい

 

展茗写真1 展茗写真2

 

 京都府では、‘あさひ、さみどり、うじひかり’が主にてん茶用品種として栽培されています。これらの品種は、いずれも手摘みによる集約的な栽培管理が行われ、宇治茶ブランドを代表する高級てん茶となっています。さらに、茶業研究所では、近年増加傾向にある機械摘みてん茶に適した品種として‘展茗(てんみょう)’を育成し、平成18年2月に品種登録を行いました。

2 玉露用品種

(1)ごこう

来歴

旧系統名:京研166号(宇治在来種選抜)
育成年:昭和29年
育成者:京都府茶業研究所

特性の概要

摘採期:中晩生’(‘やぶきた’より3日遅い)
樹姿:中間型で、株張りの広がりが早い
新芽:淡緑でしわが少ない
収量:‘やぶきた’と同等で多い
品質:揮発性の特徴ある香気をもち優秀、玉露の出品茶用として多用される

 ごこう写真

(2)うじみどり

来歴

旧系統名:京研307号(宇治在来種選抜)
育成年:昭和58年
育成者:京都府茶業研究所

特性の概要

摘採期:中早生(‘やぶきた’より2日早い)
樹姿:中間型で初期生育が旺盛
新芽:緑色で大きさは中
収量:‘やぶきた’と同等で多い
品質:玉露として色沢、内質ともに優れる

うじみどり写真

(3)鳳春(ほうしゅん)

来歴

旧系統名:「53-7」(さみどり自然交雑実生)
登録年:平成18年(昭和52年から選抜を開始)
育成者:京都府茶業研究所

特性の概要

摘採期:極早生(‘さみどり’に比べ7日程度早い)
樹姿:やや直立型、樹勢及び株張りは中
新芽:長楕円形、やや大、緑色、光沢やや小、やや軟
収量:‘さみどり’と同等に多収で、芽数型の収量構成
品質:‘さみどり’とほぼ同等で優れ、内質は香気が強く、新鮮みがあり香味に優れる

 

鳳春写真1 鳳春写真2

 

 京都府では、‘ごこう、うじみどり’の他に、茶業研究所育成の‘きょうみどり、うじひかり、さみどり’が主に玉露用品種として栽培されています。さらに、茶業研究所では、既存品種の中で最も早く摘採できる極早生の玉露用新品種‘鳳春(ほうしゅん)’を育成し、平成18年2月に品種登録を行いました。

お問い合わせ

農林水産部京都府農林水産技術センター 茶業研究所

宇治市白川中ノ薗1

ファックス:0774-22-5877

ngc-chaken@pref.kyoto.lg.jp