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食品素材としてのてん茶の茎の利活用

 宇治茶を代表する茶種であるてん茶は、覆い下園で栽培されるため、お茶に特有のアミノ酸であるテアニンを豊富に含むことが知られています。このテアニンは、お茶を飲んだときに「ほっこり」した気分にさせる機能性があるとされています。
 てん茶の葉の部分は、抹茶として利用されますが、葉より多くのテアニンを含む茎の部分は、これまで、焙じ茶の原料以外であまり活用されていませんでした。
 テアニン等のアミノ酸は、焙じ茶に加工する際、高温で加熱すると加熱香気成分となり、香ばしい香りのもとになりますが、成分自体は分解してしまい、せっかくの機能性成分を摂取することができません。
 そこで、加熱程度を変えて、茎のテアニン含量の変化を調査したところ、120度で60分程度の加熱なら、ほとんど成分には変化がなく、茎の青臭味が取り除かれ、さらに香ばしい風味が付与できることが分かりました。
 パンやクッキーを焼く時にも、生地の温度は120度を超えることがなく、製品にもテアニンがほとんど変化することなく残っているので、てん茶の茎の粉末を添加することで、食品に香ばしいお茶の風味を付与すると共に、機能性成分であるテアニンを有効に摂取できることが分かりました。

 また、抽出液を調味料として梅漬けに使用した場合、化学調味料と比較しても味に遜色なく、天然由来の調味料として使用できることがわかりました。

 

添加割合を変えて茎の粉末を添加した食パン
(左から2.5、5、7.5、10パーセント添加)

 

抽出液を調味料として漬けた梅

 

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