京都で働きたい医師・医学生の方へ 京都で暮らし、京都で築くメディカルキャリア
KMCCキャリアパスのススメⅡ
京都府立医科大学附属病院 ~ 山脇教授 × 太田教授 対談 ~
2012年10月対談
― 京都府立医科大学府附属病院の総合診療と救急の指導医が、京都府立医科大学の初期臨床研修の魅力とKMCCの取組みを語ります!
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大学の町・京都 |
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京都府立医科大学 |
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選択肢の多さが魅力
― まずは、京都府立医科大学附属病院の初期研修の特色を教えてください。
山脇教授
たすきがけの研修を主体にする当院は、日本で最も協力病院の多い施設です。そのネットワークを活かして、1次医療から3次医療、地域医療から高度医療の最先端まで俯瞰できる研修ができるのが当院の特色です。
また、大学病院を含む研修の強みとして、勉強する環境が整っている点、教育及び研究の最前線を体験できる点があります。研修医には、臨床自習で訪れる医学生や後輩研修医を教える場面が頻繁にあると思いますが、今年から、研修医が身に着けておくべき教育手法について学ぶ講習会や、臨床現場に直結した基礎医学の講義なども積極的にイブニングセミナーに取り入れています。
太田教授
私は本学を15年離れていて、3年前に戻ってきたのですが、あらためて感じるのは、この大学には「医師たるもの、良き臨床家であれ」という伝統が息づいているということでした。臨床医に大切なのは、『患者さんに向かう姿勢』と『医学的な知識』と『技術』の3点ですが、当院の各診療科指導医は、『知識』と『技術』は当然ながら、『患者さんに向かう姿勢』が素晴らしい。救急医療科で診察した患者さんを他科に相談しても、とても熱心に思いを継いでくれて、患者さんが安心できる対応をしてくれます。そういった臨床医の、姿勢が伝統としてあるので、研修医にとっても有益な学びの場になっているのだと思います。
― では、後期研修についてはいかがでしょうか?
山脇教授
現在、総合医療・医学教育学教室では、後期研修のゴールとして、総合内科専門医とプライマリケア連合会の専門医の2つを目指しています。そのため、大学病院だけでなく、地域中核病院、診療所との連携プログラムを作成しています。研修の中身で選択肢が多く、将来を見据えた後期研修ができることが大きな特長でしょう。
総合診療医はそれぞれの病院や地域によって、その機能や役割が違います。当教室の後期研修は、各後期研修のニーズに応じて協力病院や協力診療所及び研修期間を選択できるプログラムであり、先駆的、機動的で実践的な総合医が育ってほしいと思っています。特に大学での研修の強みとして、教育手法、医療管理、医療政策や医学研究なども組み込んで、研修に付加価値をつけていただきたいと思います。
太田教授
救急医も、多くの施設や診療科でトレーニングを積んだ方がいいとの思いから、後期研修ではローテーション研修を前提としています。
私は、どのような患者さんを前にしても、「専門外」だとして診療を避けることがないのが総合医・救急医の基本姿勢だと考えています。「自分は○○内科医だから目が痛い人は診ない」とか「△△外科医だから小さな子供さんの発熱診療はできない」などと言わないのが、総合医であり救急医だと思います。
そのために、優れた指導医の下、様々な施設・診療科で研修を積んで、初期研修レベル以上のプライマリケアの知識と技術、姿勢を学んでもらいたいと思っています。
― 府立与謝の海病院が来年から附属病院化されると伺っています。こちらは研修医にとってどんなメリットが生まれますか?
山脇教授
現在でも与謝の海病院は、地域の中核病院としての役割を担いながらも、教育も重視している病院です。今後は初期・後期研修医がより一層地域のコミュニティと積極的にかかわり、地域医療を活性化させてほしいという期待があります。さらに今後の医学教育の潮流として、医学部の診療参加型臨床実習でも地域医療が重視されていきます。
地域に密着した与謝の海病院でしか経験できないことが多くあり、教育的な意味でも非常に重要な役割があると考えています。二つの附属病院が一体となって、教育・診療システムをしっかりと構築していくつもりです。
「オール京都」での意義ある魅力
― では、「KMCCキャリアパス」についてお聞かせください。
山脇教授
KMCCは京都府と大学病院も含む府内の各病院が一体となって、柔軟な後期研修プログラムを作成しようという取組です。その中でも、「KMCCキャリアパス」は、各病院が従来の垣根を超えて連携しながら、医師のキャリア形成を支援する取組として非常に意味のあるものといえます。
総合内科・総合診療科コースは、4年間で少なくとも2つの病院をローテートするプログラムです。個人の目的に応じて、大学医病院も含めて病院の組み合せを選ぶことができ、地域性や機能性が異なる様々な医療シーンを見ることができるので、将来の自分のキャリアを考える上で有意義な経験になるでしょう。
太田教授
KMCCは「オール京都」での取組です。救急科専門医コースはローテーション研修を前提としており、京都府内の救命救急センター、および2つの大学の救急科スタッフが中心となり、後期研修医にとって成長が見込めるプログラムを組んでいます。特に本学と京都大学が積極的に連携して研修機会を提供するシステムはKMCCならではなので、ぜひ積極的に活用してほしいですね。
この制度は、これまでの医師育成機能だけでは果たせなかった部分を埋める新しい取組です。今後、過疎地でも都市部でも必要とされるだろう総合医や救急医を育てる仕組みを、行政や大学、医療機関でバックアップしながら支えていくことがコンセプトになっています。これからの時代の新しい人材育成方法だと思います。
私たちは、今後もいっそうの教育機能の充実を計画しています。研修医の皆さんが、知識・技術はもとより、世界中のどこでも役に立つ姿勢を持った臨床医に成長していただくこと、これが私たちの喜びであり使命だと考えています。
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京都府立医科大学附属病院卒後臨床研修センター |
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