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更新日:2016年11月7日

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防災・危機管理対策特別委員会管外調査(平成28年8月3日~8月5日)

道の駅花ロードえにわ(北海道恵庭市)

道の駅の防災拠点化について

道の駅には、様々な機能がありますが、まず第一には、道路利用者に休憩場所やドライブに必要な道路情報を提供し交通安全に寄与していることです。また、観光拠点の情報提供や地域の特産品等の紹介・販売などにより、観光を振興するとともに、農産品の販売拡大につながる出荷・販売場所の提供や、レストラン等での地元雇用など、地域の振興に寄与する機能もあります。

平成16年新潟中越地震や平成23年の東日本大震災において、道の駅が震災復旧拠点、情報提供施設等として貢献したことから、道の駅の防災拠点化が注目されはじめました。

道の駅を防災拠点化する場合、自治体の防災計画における避難場所としての位置付けや協定締結が必要となります。

北海道には、防災拠点化された道の駅が27箇所ありますが、「道の駅花ロードえにわ」は、災害発生時の避難場所であるほか、道路の規制情報・被災情報の提供や非常用電源・照明、災害時用トイレの確保など、防災拠点としての機能を持っています。

その他には、道路情報提供モニター、情報提供装置、非常用電話、災害対応自動販売機などの施設を備えているとのことです。また、備蓄倉庫には、非常用照明、非常用電源、ジェットヒーター、災害時用簡易トイレが複数配置されています。

情報発信では、道路情報、市内観光・飲食・宿泊情報、近隣市町村の行政情報、観光情報、河川防災情報、河川水位情報、流域河川情報など幅広い情報が提供されています。

 

主な質疑

  • 備蓄資材を用意する主体、年間の備蓄量の推移について
  • 非常時のシミュレーションについて
  • 道の駅以外の防災拠点について など

道の駅花ロードえにわ説明聴取

道の駅ロードえにわ視察

概要説明を聴取した後、備蓄倉庫を視察

 

千歳市防災学習交流センター「そなえーる」(北海道千歳市)

千歳市防災学習交流センターの概要について

千歳市は、自衛隊が市街地の三方を取り囲むような形状で位置しており、市街地の縁周部には、装軌車両、主に戦車が頻繁に通行する、延長約10kmの公道、通称「C経路」が通っています。このC経路は、一部住宅地を通ることから、沿線住民から騒音振動による被害が寄せられていたところ、市は騒音などの課題解決を図るため、道路や緩衝地帯の整備など、沿線地域の生活環境の改善に努めてきました。

このような状況の中で、平成14年度に防衛施設周辺地域の発展に貢献しようという新たな国の高額補助制度「まちづくり構想策定支援事業」が創設されたことから、C経路沿道の課題解決を図るとともに、総合的な防災対策の推進や自主防災組織の充実などの観点から、住民要望等を踏まえて、防災学習交流施設の整備を行うこととし、平成17年度に補助事業として採択され「千歳市防災学習センター」を含む防災学習交流施設が整備されました。

防災学習交流施設は、総面積約8.4haで、A・B・Cの3つのゾーンで構成され、Aゾーンは広さ4.3haで、3階建て延べ面積2,000平方メートルの防災学習交流センター「そなえーる」が位置し、広さ約2.4haの防災訓練広場には、ロープ訓練塔、防災備蓄倉庫を兼ねた副訓練塔、常設ヘリポート、駐車場などを配置しています。「そなえーる」には、災害を「学ぶ」「体験する」「備える」をテーマに、災害の疑似体験や防災学習を通じて、防災に対する意識を高めてもらうことを目的とした、起震装置、煙避難装置、予防実験装置、避難器具などを備えた施設になっています。中でも起震装置は、過去の大地震の震度だけでなく揺れ方などを詳細に再現した装置でした。

Bゾーン「学びの広場」は広さ1.1haで、造成に伴う雨水調整池と消火体験や救出体験を通し、自助・共助を学ぶことを目的に設置した広場となっています。

Cゾーン「防災の森」は広さ3haで、約150人がキャンプ利用できる「野営生活訓練」、調整池を兼ねた「多目的広場」、湧き水を利用した「河川災害訓練広場」、「土のう訓練広場」、アスレチック遊具などを設置した「サバイバル訓練広場」のほか管理棟、駐車場を配置し、共同作業が体験できる広場となっています。

今回の調査では、起震装置、煙避難装置を体験するとともに、予防実験装置の見学や避難器具の説明を受けるなど、防災について総合的な知見を得ることができました。

主な質疑

  • 運営経費について
  • 防衛施設との連携について
  • 防衛省所管事業補助金について
  • 施設の利用状況について
  • 自主防災組織の取り組みについて など

千歳市防災学習交流センター説明聴取

千歳市防災学習交流センター起震装置の体験

概要説明聴取の後、起震装置の体験

 

北海道立衛生研究所(北海道札幌市)

感染症情報の収集・分析と感染症対策について

北海道では、14の総合振興局に26箇所の保健所が設置されており、その保健所と道庁(本庁)と衛生研究所が連携し、感染症発生動向調査を行っています。また、感染症対策予算は総額3億3,260万円で、その内訳は感染症予防が48%、結核予防が33%、エイズ予防が15%、肝炎対策、エキノコックス対策が各2%となっています。

同衛生研究所では、全国共通の検査以外に特別な研究活動を行っています。例えば、エキノコックス症は、平成11年4月に施行された「感染症の予防及び感染症の患者の医療に関する法律」で四類感染症に指定され、国内では、ほとんどが北海道において発生しています。感染したキツネや犬から排泄される虫卵を人が摂取した場合に感染するもので、感染してから自覚症状が出るまでに数年から10数年かかり、重い肝機能障害を引き起こすことがあり、早期に発見することが重要です。北海道では、健康診断対策として、第一次検診の結果、疑いのある人を対象として第二次検診の実施、媒介動物対策として、流行状況調査を実施するとともに、効果的な媒介動物対策を推進するために専門委員会を設置し、また、効果的な駆虫薬散布方法の検討など、症例等データの集積・分析、効果的な対策に対する調査研究を行っています。さらに、学識経験者及び市町村関係者等で構成する対策協議会を設置して諸施策を推進するとともに、正しい知識の普及、予防啓発等のために、リーフレットを作成し、配付するなどの衛生指導を実施しているとのことでした。

同衛生研究所は、感染症法に基づく特定病原体等の所持機関であり、中でも二種病原体等の所持を厚生労働省に申請し、その所持を許可されている施設です。所内には、バイオセーフティレベル(BSL)1から3までの病原体を取り扱い、病原体等の安全管理が特に必要な区域として、病原体等安全管理区域が設定されており、この区域は、取り扱う病原体等の種類により「基準実験区域」、「指定実験区域」、「指定実験区域の空調・排水に係る設備区域」に分けられ、これらの区域に立ち入る場合は「北海道立衛生研究所病原体等安全管理規程」に従い、バイオセーフティ講習を受講する必要があります。

このような厳重な環境の元で、研究所の感染症部は細菌グループ、ウィルスグループ、医動物グループに分かれ、様々な試験検査や調査研究を行っています。

主な質疑

  • 北海道独自の検査方法や培養方法について
  • 新型インフルエンザへの対応について
  • 防疫活動との連携について
  • 札幌市との連携について
  • 災害発生時の特別なミッションについて
  • 多面的な研究と研究成果の活用について など

北海道立衛生研究所概要説明

北海道立衛生研究所動物実験研究棟を視察

概要説明を聴取した後、動物実験研究棟を視察

 

札幌市議会(北海道札幌市)

浸水対策事業「アクアレインボー計画」について

札幌市では、昭和40年以降、都市化の進展や局所的な集中豪雨により浸水被害が多発したため、雨に強い都市の実現に向けて、昭和53年に「アクアレインボー計画」を策定しました。事業の2本柱は、「下水道施設の拡充」と「浸透式下水道の整備」です。

下水道施設の拡充については、当初、5年確率降雨(5年に1回程度の大雨)を目標として整備してきた下水道の能力を10年確率降雨(10年に1回程度の大雨、札幌市35mm/h、京都市62mm/h)へレベルアップしたことです。具体的には、下水道の排水能力を増強するため、昭和53年より、雨水拡充管や雨水ポンプ場などを整備しました。既設管と雨水拡充管が交差するところで、雨水の一部が遮流板にあたって既設管から雨水拡充管へ落ちるようにしてあるのが雨水拡充管の仕組みです。平成27年度現在での整備状況は、雨水拡充管198km、雨水ポンプ場は6箇所です。

浸透式下水道の整備については、下水道へ流入する雨を抑制するため、昭和60年より、札幌市内で浸透の効果の高い地区において、浸透ますや浸透トレンチ(管)などを整備しました。浸透ますは877個、浸透トレンチは14kmを整備し、平成19年度で完了したとのことでした。

近年の主な事業では、平成25~29年度(30年度供用開始予定)に東雁来地区において、東雁来雨水ポンプ場と雨水拡充管の建設があります。雨水拡充管は管径1,000mm~2,600mmのものを延長3.4kmに渡ってシールド工法で建設中とのことです。

また、平成21~27年度(27年度供用開始)に北郷・平和通地区において、豊平川水再生プラザと豊平川中継ポンプ場を結ぶ豊平川雨水貯留管を建設しました。管径4,250mmが延長

1.9kmに渡り、貯留容量は24,000立方メートルとのことです。この地区ではこのような浸水対策とともに、合流式下水道の改善を行いました。雨水貯留管整備前は、分流式下水道を採用し、雨水管と汚水管の2本を使い、雨が降った時、汚水は水再生プラザへ、雨水は河川へ放流していたため、汚れた雨水が河川を汚していました。貯留管整備後は、汚水と雨水を同じ管で排除し、汚水と雨水が水再生プラザへ運ばれ、きれいにしてから、河川へ放流されるようになったとのことです。そして、処理できない汚れた水は貯留管へ流すため、汚れた水を河川に放流することがなくなったとのことでした。

主な質疑

  • 下水道施設の老朽化対策について
  • 協働による雨水流出抑制の予算、補助金制度について
  • 事業効果の検証方法について
  • 都市計画との調整について
  • 対策の地域格差について
  • 市民・企業・行政の協働の事例について

札幌市議会説明聴取

 

国土交通省北海道開発局札幌開発建設部札幌河川事務所(於:豊平川札幌地区河川防災ステーション(北海道札幌市))

「まちづくりと連携した治水対策」(豊平川堤防強化事業)について

豊平川は、その源を札幌市と千歳市の境界にある小漁山に発しており、豊平峡や定山渓を経由して、札幌市の中心市街地を南北に流れています。豊平川は富山市の常願寺川や静岡市の安倍川に次ぐ日本でも有数の急勾配の川で、洪水時には三角波が発生するなど高速の乱れた流れが生じます。このような流水の持つ強いエネルギーによって堤防等の安全性が損なわれ、ひとたび豊平川が破堤氾濫すると、流れの速い氾濫流が短時間で中心市街地に到達します。もし、破堤氾濫した場合に予想される被害の状況は、浸水面積13,600ha、浸水家屋約22万世帯、被災人口約49万人、被害額は約2兆円にもなるそうです。さらに、豊平川は降雨と洪水流出のピークが極めて短い時間差で発生するため、迅速な危機管理の対応が必要であるとともに、洪水に対する安全性をできるだけ早期に確保することが必要でした。

この豊平川沿川地域の防災力を高めるため、札幌市が進める東雁来土地区画整理事業と連携し、国土交通省が豊平川の堤防強化事業を推進しています。石狩川の河道掘削・浚渫により発生した土砂を有効活用し、土地区画整理事業区域と河川区域を一連で緩やかな勾配で盛土を行います。堤防を緩やかな勾配とすることによって、洪水による堤防の漏水や浸食に対して安全性を高め、地域の防災力を向上させます。区画整理の事業名は「札幌圏都市計画事業東雁来第2土地区画整理事業」で、施工者は札幌市、施工面積は約210.8ha、施工期間は平成8~29年度の22カ年、総事業費は約487億円となっています。計画人口は8,000人ですが、当初は450人、526戸で、平成28年4月現在で5,829人、2,382戸となっており、事業費レベルでの事業進捗率は93.3%となっています。

調査を行った豊平川札幌地区河川防災ステーションは、豊平川流域の河川災害・復旧活動に必要な緊急用資機材を備えるほか、円滑な水防活動や緊急復旧活動に資するため、河川水位や気象情報の集配信、消防団の活動拠点としての役割を担っているとのことでした。

主な質疑

  • 住民との連携、トラブル対応について
  • 災害教育について
  • 流域のポイント、治水対策の効果について
  • 豊平川と鴨川、桂川等との比較について
  • ポンプ場の能力について など

札幌河川事務所説明聴取

札幌河川事務所説明聴取2

 

北海道議会(北海道札幌市)

北海道における地域防災力の強化について

北海道では、いつでもどこでも直面する可能性がある様々な災害に際して、子どもたちからお年寄りまで、あらゆる世代の道民による防災活動の輪が、日常の暮らしの中に広がっていくことが大切だと考えています。

防災教育の実践にあたっては、様々な手法やメニューがあります。例えば、地域の自然や環境の特性を学び防災を考える「災害・防災学習会」、災害を想像し「災害を知る」「まちを知る」「人を知る」ことができる「災害図上訓練」(DIG)、避難所運営をみんなで考える「避難所運営ゲーム(HUG)」、災害時のジレンマをゲームで体験する「災害対応ゲーム・クロスロード」、防災運動会などです。

地域防災力を高めるためには、地域の一人ひとりが防災意識を持ち、災害に対応する力を身に付けていく必要があります。また、防災活動を活発に進めるために、家庭、学校、企業、行政など地域を構成する各主体が相互に連携して、防災教育の輪を地域全体に広げていくことが重要です。

そのために、北海道では、自主防災組織の立ち上げと地域の防災リーダーの養成・活用を、2つの大きな柱として取り組んでいるとのことでした。

2つの柱のうちのひとつ、地域の防災リーダーである「北海道地域防災マスター」は、防災経験のある警察や消防、自衛隊、道や市町村など行政職員のOBをはじめ、地域で防災活動に取り組んでいる方々に、その中心となり、平常時の取り組み促進や災害時の声かけなどのキーマンとなっていただくことを目的として、道が認定する制度です。道が実施する「地域防災マスター認定研修」を受講することにより認定され、平成25年末現在では、1,300人を超えるマスターが各地に誕生しています。活動はボランティアになりますが、自治体や町内会などと連携しながら、研修の講師や避難訓練のお手伝いなど様々な活動をしていただいています。例えば、「とかち防災マスターネットワーク」では、帯広市地域防災訓練及び冬期防災訓練での防災グッズ展示・説明、災害図上訓練(DIG)の進行役、避難所運営ゲーム(HUG)の進行役・読み上げ役、オビヒロホコテンでの炊き出し実演・防災クイズ、研修会講師など様々な活動をしているとのことでした。

 

主な質疑

  • 地域防災マスターの研修内容について
  • 地域防災マスターの人材について
  • 原子力関係への対応について
  • 海岸防災の対応について
  • 消防団の機能強化について
  • 自主防災活動への道の支援について

北海道議会説明聴取

北海道議会危機管理センター視察

概要説明を聴取した後、危機管理センターを視察

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398