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更新日:2016年11月7日

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関西広域連合に関する特別委員会管外調査(平成28年8月3日~8月4日)

 

社会福祉法人恩賜財団済生会滋賀県病院(滋賀県栗東市)

京滋ドクターヘリの運用状況について

関西広域連合の京滋ドクターヘリ(愛称はKANSAIゆりかもめ)は、平成27年4月から済生会滋賀県病院を基地病院として、運航を開始しました。関西広域連合内の6機目、全国では45機目にあたるドクターヘリで、滋賀県全域と京都府南部、中部の一部の範囲で運航しています。運航時間はヘリコプターが運航可能な時間、原則として午前8時30分から日没までです。

同病院でドクターヘリに搭乗するスタッフは、救急専門の医師、看護師で、運航管理室には3名が常駐し、出動要請を受けてから5分以内に離陸できる体制を整えています。

ドクターヘリの目的は、ヘリコプターでの患者の搬送だと思われがちですが、本来の基本的な目的は「ドクターデリバリーシステム」で、つまり、いち早く初期治療ができる医師を患者のもとへ送り込めることです。ドクターヘリには、最新のモニターや人工呼吸器、点滴類ほか、治療や手術に必要な資機材が積み込まれており、現場での治療開始時間が早まることで、命を救える可能性が高まり、後遺症も少なくなるとのことです。

ドクターヘリが着陸可能な場所、ランデブーポイントは、現在、滋賀県全域で295箇所、京都府南部に269箇所、北部に187箇所に設定されています。駐車場やグラウンドなどに設定されており、学校のグラウンドなどに着陸する場合は、砂ぼこりが舞い上がらないよう、着陸前に消防機関が水を撒くなどの作業が必要とのことですが、命を助けるためにさまざまな御協力をしていただいているとのことでした。

運航開始から1年、利用は滋賀県が多く、京都府の実績としては乙訓地域や京田辺市などでの事例がありますが、まだまだ利用が少ない状態です。けがや病状が分からない早い段階でも、119番で救急車を呼ぶタイミングで同時に要請(覚知要請)をしてほしいとのことでした。

課題としては、ランデブーポイントの設定、地域の基幹病院との連携、京都からの要請を増やすことなどが挙げられ、引き続き消防署等にヘリの有効活用について呼びかけるなどして、救命率を上げていきたいとのことでした。

 

主な質疑

  • ランデブーポイントの数について
  • 京都からの出動要請が少ない理由について
  • ドクターヘリの認知不足や覚知時点での要請について
  • 運航費用とキャンセルとの関係について
  • 派遣されるドクターの専門分野の有無や勤務体制について
  • 運航時間外の要請への対応について
  • 学校などのランデブーポイントでの対応状況について
  • 基地の決定方法について など

京滋ドクターヘリ概要説明

京滋ドクターヘリ資機材の確認

京滋ドクターヘリについて概要説明を聴取した後、ドクターヘリの資機材等を確認

 

和歌山県工業技術センター(和歌山県和歌山市)

和歌山県工業技術センターの取組について

関西広域連合域内の工業系の公設試験研究機関では、共通の情報ポータルサイト「関西ラボねっと」を立ち上げての情報発信や、人材交流や研究会の開催のほか、受託試験(依頼試験)に係る手数料の割増料金撤廃によるフラット化などの取組を実施しています。その公設試験研究機関の一つである和歌山県工業技術センターを訪問し、同センターの取組等について調査しました。

同センターは、和歌山県内の中小企業等の技術力・研究開発力の向上に向けた総合的な支援を実施し、県内産業の振興に貢献することを役割としています。

県内中小企業等の直面する課題を解決するための技術的支援として、技術相談や指導、受託試験などを行い、将来の発展に結びつく新たな技術開発の実施とその成果の普及に取り組んでいます。

現在、地域振興に向けた取組として、オープンラボ構想を進めています。企業支援ツールを集約し、基礎技術から応用技術まで連続した技術支援と企業の人材育成を図る構想です。実証棟に4つのラボを整備する計画で、センター職員と企業研究員とが一緒になってできる環境を作り、地域の底上げを図っていければとのことです。中でも、「スマートものづくりラボ」には、3Dプリンターや三次元のCAD、CAEシステム、産業用X線CT等を機能的に配置し、コンピューターを駆使したものづくりに取り組めるようになっています。

また、今後、5年、10年先の成長を実現するための競争力の維持・強化に必要なコア技術の開発にも力を入れているとのことでした。

同センターは、平成28年4月、創立百周年を迎え、この機にリニューアルがなされたところです。

新たに設置された技術展示室では、技術展示の強化に取り組み、企業の課題解決から生まれた製品の展示コーナーや企業と共同で開発した製品の展示コーナーなどを設け、それにセンターがどう関わったか、どう使ってもらえるかを分かりやすく展示することを心掛けたとのことです。

開かれた工業技術センターを目指し、センターをもっと使ってもらえるよう、日々取り組んでいるとのことでした。

 

主な質疑

  • センターの今後の課題について
  • センターの活動の県内での認知度や普及について
  • 工業系の大学との連携等について
  • 最近の検査の依頼状況について
  • 中小企業の利用状況について など

和歌山県工業技術センター3Dプリンターによるものづくり

3Dプリンターによるものづくりを視察

和歌山県工業技術センター技術展示室

技術展示室で開発した製品についての説明を聴取

 

高野町役場(和歌山県伊都郡高野町)

世界遺産における広域観光の取組について

関西広域連合では、世界文化遺産等発信事業を推進しているほか、関西観光・文化振興計画の中で、関西への訪日外国人旅行者数を2020年には1,800万人とする目標を掲げているところです。このような中で、近年、多くの外国人旅行客が訪れている世界遺産の高野山を調査しました。

高野山は、約1200年前に弘法大師によって開かれた真言密教の修行道場であり、標高およそ900メートルの山の盆地に総本山金剛峯寺をはじめ、数々のお堂や塔が立ち並び、国宝や重要文化財を多く収蔵する霊宝館などがあります。

高野山は2004年7月に「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界遺産に登録され、高野山の参詣道「高野山町石道」も世界遺産に登録されています。

高野町では、高野山開創1200年記念大法会のあった平成27年、観光客数が過去最多の199万人となりました。

また、外国人旅行者は、トラベル誌の特集記事をきっかけに増加し、フランスをはじめとするヨーロッパからの観光客が多いという状況です。外国人旅行者が感じている高野山の魅力は、宿坊での宿泊とそこで体験する精進料理、写経、朝の勤行、阿字観など、密教の聖地の高野山ならではの体験とのことでした。

情報発信の方法について、ホームページ・スマートフォンアプリ(高野町観光ナビ)による情報提供を充実させたとのことでした。

同町では、昭和の頃に進んだ建て替えで悪くなっていた景観について、商店の建て替え時に、元の状態を取り戻すための改修に補助金を出して、作る景観でなく、戻す景観に取り組んでいます。また、電線の地中化を進め、昨年90%以上が終わったとのことでした。景観に配慮した公衆トイレの整備と清掃管理、案内標識・案内地図を統一することなども実施しているとのことです。

課題は、地元経済へのリターンで、ピークの波を減らして、通年での客数維持確保が必要とのことでした。

また、多くの人が来れば良いのか、静寂な信仰の地「高野山」の本来の魅力を守り続け、持続可能な観光地となりうるか、観光だけでなく農・林・商・工など広く利益が得られる仕組みづくりなどの課題に今後、取り組んでいくとのことでした。

 

主な質疑

  • 町の人口の増減について
  • 町並みや景観維持のために必要な改修に係る支援について
  • 駐車場が無料であることなどについて
  • 訪問客の動きやリピーターの状況について
  • 宿坊での宿泊について
  • 外国人も使えるアプリ等のガイド状況について など

平成27年に再建された壇上伽藍中門を視察

宿坊において調査に係る質疑応答を実施

 

関西国際空港(大阪府泉佐野市)

関西国際空港の概要について

関西国際空港は、関西と日本における西のゲートウェイで、国内有数の国際線・国内線ネットワークを提供する完全24時間運用可能な国際拠点空港です。

急増するインバウンド旅客を迎え入れ、関西からの情報発信地ともなる同空港の取組の調査を行いました。

同空港の運営は、関西国際空港(KIX)及び大阪国際空港(ITM)の運営を新関西国際空港株式会社から引き継いだ関西エアポート株式会社が、2016年4月1日から事業を開始しています。

2015年に訪れたインバウンド客の90%がアジア国籍の方で、中国、韓国、台湾、香港の4箇国からの入国については、全国1位を占めているとのことです。

第1ターミナルビルの1階中央には、JTB西日本が運営にあたる「関西ツーリストインフォメーションセンター」が設置され、関西及び全国の広域観光案内、ホテルの予約、外国人向け鉄道パスや娯楽施設入場券の販売などを年中無休で行っています。対応言語は、日本語、英語、中国語、韓国語です。センター前では、関西15府県市の連携のもと、各地のパンフレットや地図など観光資料を無料提供しており、空港内の全館で実施されている無料Wi-Fiサービスと合わせて、次の行き先を探す方もおられるとのことでした。

また、国際線の到着口には、到着した方への歓迎メッセージを大画面モニターに表示する「ウェルカムボード」を設置し、到着時刻に合わせ、サプライズメッセージを表示するサービスを実施しています。

2年前からムスリム対応を始め、お祈りされる方のための24時間使用可能な部屋を設置し、レストランでもハラルメニューを用意しています。ムスリムの方にもやさしい、観光しやすい関西エリアをプランニングした活動とのことでした。

また、関西2府8県の魅力を発信する最適なスペースを創設し、観光・物産のPRや日本文化の紹介など、数々の催しを行っているとのことでした。

同空港では、かねてより同空港を活用した日本食の輸出促進に、国、地元自治体、経済界と連携して推進しています。

この度、国際貨物地区に、航空集配サービス株式会社が、日本の食材輸出に特化した施設を日本の空港で初めて整備することになり、約1,500平方メートルの定温庫を備えた大規模食輸出施設のKIX-Coolexp(キックス・クーレックス)を整備しました。

同空港では、今後とも航空輸送ネットワークの拡大、貨物量の増大と共に、食輸出ビジネスの拡大に寄与していきたいとのことでした。

主な質疑

  • 外国人のインフォメーションセンターの利用状況について
  • 訪日客の観光ルートについて
  • 滑走路の保守点検について
  • 貨物便及び荷物量について
  • 空港の駐車料金について など

関西国際空港概要説明聴取

関西の自治体パンフレット等が設置されたコーナー

概要説明を聴取した後、関西国際空港内にある関西の地方自治体のパンフレット等が設置されたコーナー等を視察

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398