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更新日:2017年8月4日

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スポーツ振興特別委員会管外調査(平成29年8月2日から4日)

一般社団法人A-bank北海道(北海道札幌市)

産官学連動のモデル事業「アスリート先生」について

一般社団法人A-bankでは、アスリートが培ったフィジカルとスキルを北海道の学校教育や地域の力に活用することを目的に、授業や部活動、スポーツ教室などの指導者としてアスリートを派遣されています。

そうした取組の一つである「アスリート先生」という事業は、札幌市教育委員会の協力を得て、札幌市内の小中学校、特別支援学校の体育の授業にアスリートを無料で定期的に派遣するというものです。

この事業には、陸上、サッカー、バレーボール、野球などさまざまな分野のアスリート約30名が協力者として参加されています。

また、運営資金はこの事業に賛同する協賛企業の協賛金で賄われており、協賛企業は札幌市教育委員会の許可を得て、授業後に自社製品のサンプリングや、チラシの配布依頼をすることができる仕組みになっています。

アスリート先生は1種目の年間授業時間数(約5時間から12時間)のうち、3分の1を指導します。例えば、サッカーであれば年間授業数8時間のうち3時間をアスリート先生が指導します。

また、アスリート先生の指導方法は、学校側で選択することができます。アスリートが授業内容の構成、指導をメインで行い、教員は補助的に指導にあたるフルコーディネーター(全部指導)と、教員が授業内容の構成、指導をメインで行いアスリートは得意とする部分を指導するパートサポート(部分指導)を選択できるようになっていますが、現在は、フルコーディネーターを依頼する学校が多いとのことです。

平成28年度は、サッカーや陸上など8種目で計24校、155コマの授業にアスリート先生を派遣されました。平成29年度は30校への派遣が予定されています。

平成26年度からこの事業を実施されていますが、次年度もアスリートの派遣を受けたいと希望する学校が多いとのことです。

さらに、平成28年度からは札幌市の委託事業として札幌市内の中学校運動部活動にもアスリートを派遣されています。今年度は、7種目で計16の部活動(各校月2回)にアスリートを派遣される予定です。

主な質疑

  • ウィンタースポーツの講師の全国派遣について
  • 北海道や札幌市からの支援状況について
  • 各事業の成果について
  • スポーツ団体との関係について
  • スポーツ指導を行う際の資格について など

概要説明を聴取した後、フィールドなどの施設を視察

札幌市議会(北海道札幌市)

さっぽろグローバルスポーツコミッションの取組について

同スポーツコミッションは、それまで道や札幌市、競技団体、観光団体がそれぞれで取り組んでいた国際大会や事前合宿、スポーツイベントの誘致活動に一体となって強力に取り組むことなどを目的に、平成28年3月に設立されました。

平成28年度は、主に国際・国内プロモーション、国際大会・合宿等の誘致、スポーツツーリズムの促進、道内市町村や競技連盟などとのネットワーク構築に取り組まれました。

プロモーション活動として、昨年度は札幌で開催された冬季アジア大会に来場した海外メディア向けに、札幌のウィンタービジネスや観光についてプロモーションをされました。また、「スポーツアコード」などスポーツ関連会議に出展し、訪れた競技連盟関係者等との商談を実施されました。

合宿誘致については、競技連盟などへの働きかけや、各国のオリンピック委員会に誘致提案書などを送付された結果、フィンランドのバイアスロン代表コーチ等による視察があったとのことでした。また、車いすカーリングの韓国チームや、カーリングのロシア女子チームの合宿を受け入れられました。

また、冬の閑散期に観光客を呼びむために、スキーやスノーボードを中心としたスポーツツーリズムの調査研究にも取り組まれたとのことです。具体的には、札幌で開催された冬季アジア大会やIPCノルディックスキーワールドカップの観戦者を対象にアンケート調査をされました。その結果、観戦者の7割が初めての冬場の観戦だったということが判明し、大きい大会を誘致すると多くの人に関心をもってもらえることが分かったとのことです。

平成29年3月9日から10日にかけては、全国のスポーツツーリズム関係者を集めたスポーツツーリズムコンベンションを開催されました。延べ340名の参加があり、スポーツツーリズムについての情報交換を行われたとのことです。

今後は、2026年や2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの誘致に向けて、いろいろな実績を積み重ねていきたいとのことでした。

主な質疑

  • スポーツ大会誘致に関する札幌市のPRポイントについて
  • さっぽろグローバルスポーツコミッションを設置してからの成果について
  • 札幌へ合宿で来る人たちへの宿泊施設について
  • 合宿施設のバリアフリー化について
  • 東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとしての取組状況について など

関係者から概要等について説明を受けました。

北海道議会(北海道札幌市)

北海道タレント・アスリート発掘・育成プロジェクトについて

タレント発掘・育成プログラムとは、競技経験の有無に関わらず、素質ある有望な選手を発掘し、組織的で計画的に育成するプログラムです。平成28年2月時点で、京都府や北海道を含む14の都道府県や地域が独立行政法人日本スポーツ振興センターとの連携のもと、こうしたプログラムを進めています。

平成26年度から開始された北海道のタレント発掘・育成プロジェクトでは、競技種目をカーリング、スケルトン、バイアスロンの3種目に特化する種目特化型の育成事業です。育成期間を10年間と定め、有能な選手を発掘・育成し日本代表入りさせることを目指されています。

平成29年度はカーリング7名、スケルトン2名、バイアスロン10名の計19名のタレント生を育成されています。

指導体制については、事業の最終目標であるオリンピック出場を見据え、事業全体のコーディネートを行う専門コーディネーターおよび全ての競技にオリンピアンが配置されています。そうすることで、オリンピアンの有する経験を踏まえた高品質なプログラムの提供や、オリンピアンの有するネットワークを活用し強豪国コーチの指導による海外キャンプが実施されています。また、指導者の多くが県競技団体と中央競技団体の両方を兼ねていることから、タレント生を北海道タレント発掘・育成事業から中央競技団体へ引き上げることが可能な体制になっています。

事業スタートから4年目となる今年度は、日本で初となる日本バイアスロン連盟の強化指定選手が北海道タレントアスリート発掘・育成事業のタレント生の中から誕生するという成果が出ました。

今後は、タレント生の進学に伴う育成環境の変化などに対応するため、進学希望先の学校との調整や、拠点地が変更になる場合に、新たな指導者の配置をする必要があるとのことです。また、団体競技であるカーリングはチームメイトとの調整も必要となるため、より慎重な対応が求められるとのことでした。

主な質疑

  • オーディションへの応募状況について
  • 競技種目(スケルトン・バイアスロン・カーリング)の選定理由について
  • 成果があがらない場合の取扱について
  • オリンピック選手が指導に当たっている理由について など

関係者から概要等について説明聴取

北海道議会(北海道札幌市)

北海道「東京オリンピック・パラリンピック」プロジェクトについて

同プロジェクトは、「スポーツ王国北海道」の実現や障がい者に優しい「共生社会」の構築、北海道ブランドの向上、アイヌ文化など多様な地域文化、資源の魅力発信といった2020年の東京オリンピック後も見据えた長期的な展望に立ち、庁内部局連携のもと関連施策を総合的に推進する取り組みです。

今回の視察では、その中でも「スポーツ王国北海道」の実現に向けた取り組みについて説明を受けました。

これまで、事前合宿誘致に向けて、国際交流セミナーや、ワークショップなどを開催し、市町村の担当者と海外の担当者のマッチングを図る取り組みをされてきました。しかし、2020年東京オリンピックの開催地である東京と北海道の気候の違いから、合宿誘致には苦慮しており、事前合宿地に選ばれた地元市町村は現在のところないとのことでした。

また、有望選手の発掘・育成に向けて、「北海道タレント・アスリート発掘・育成事業」をはじめ様々な事業にも取り組んでおられます。特に今年度からは、将来有望なパラリンピック選手を発掘するため「北海道パラスリート発掘プロジェクト」が開始されました。これは、ボッチャ、車椅子フェンシング、車椅子バスケットボール、ウィルチェアラグビー、5人制サッカーの計5競技を対象に、2020年の東京オリンピック大会などに向けたパラスリートの発掘や道内関係者のネットワーク構築によってアスリートが育成される道筋を確立させることを目的に始められました。

具体的には、まずパラスポーツ体験会などイベント色を持たせた内容により、より多くの対象者へ参加を呼びかけ、かつ広く道民の参加を促すことで障害者スポーツの普及・啓発を図られます。そして、平成30年1~2月に選抜した候補生に対し、競技ごとに計4回のセミナーを実施し、競技体験及び適性テストを通じて検証を行い、育成を開始される予定とのことでした。

その他、国の委託を受けてノルディック競技・バイアスロン競技で2026年冬季五輪を目指す、北海道・東北地域の中高生を年代別指定強化選手へ引き上げる育成事業にも秋田県、岩手県などと連携して取り組んでおられるとのことでした。

主な質疑

  • 「スポーツチャレンジ教室」の概要について
  • 東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う北海道の来訪者について
  • ラグビーW杯開催に係るプロジェクトの連携について
  • 自治体担当者の研修の実施状況について など

株式会社コンサドーレ(北海道札幌市)

プロスポーツチームによる地域スポーツ振興の取組について

Jリーグのクラブであるコンサドーレ札幌は、平成28年1月にチーム名を北海道コンサドーレ札幌に変更し、ホームタウンもこれまでの「札幌市」から「札幌市を中心とする北海道全域」へと拡大しました。また、広域化によりこれまで以上に北海道全域での活動を行うとともに、スポーツ振興や地域の活性化に取り組んでいます。

同クラブでは、平成26年に設立した総合型地域スポーツクラブ「一般社団法人コンサドーレ北海道スポーツクラブ」を運営母体に、トップチームの下部組織であるアカデミー組織やジュニアスクール、女子チームの北海道リラ・コンサドーレを運営されています。昨年にはホームタウンの広域化に伴い、釧路と東川にもアカデミー組織とジュニアスクールの拠点を新設されました。今後の新規拠点として函館市や帯広市、北見市、稚内市も候補に挙げているとのことです。今年度からは、北海道コンサドーレバドミントンチーム(社会人)を発足されました。サッカー以外の競技チームをクラブが保有するのは初めてとのことです。

また、北海道コンサドーレ札幌の選手が年間約20校の小・中学校に訪問し、生徒と交流を行うC-Smileプロジェクトや、チームのマスコット「ドーレくん」による道内の幼稚園や保育園への訪問、選手による福祉、環境活動、JAグループ北海道と協働で実施されている「サッカー&食育教室」など様々なホームタウン活動を実施されています。

その他、同クラブが持つノウハウを活用し地域と連動したスポーツ振興にも取り組んでおられます。例えば、洞爺湖町ではスポーツ施設建設の監修や地元指導者の育成に携わり、紋別市では紋別高校に常勤指導者1名を派遣し、スポーツ講演や食育活動等を通じて地元チーム全体の底上げや地域スポーツの普及に貢献されています。

今後は、総合型地域スポーツクラブとして、北国のスポーツでもあるウィンター競技や高齢者の運動教室等幅広い分野での活動を目指しているとのことでした。

主な質疑

  • チームの経営状況について
  • 協賛企業について
  • ホームタウン契約の締結状況について
  • バドミントンチーム創設に対する競技団体の反応について

関係者から概要等について説明聴取後、施設を視察

一般社団法人大阪陸上競技会(大阪府大阪市)

OSAKA夢プログラムについて

OSAKA夢プログラムは、一般社団法人大阪陸上競技会が2020年東京オリンピックに向けて、代表選手育成を目指して平成27年度から実施されているプログラムです。

OSAKA夢プログラムは選手育成に特化するため、大阪陸上競技会内の組織ではありますが、財政的に独立しており、体制においても独立した専門の人的配置がされています。そうすることで、自由に様々な企画を実施することができるとのことです。

運営資金は企業の協賛金や個人の寄付で賄われており、年間予算は約5,000万円となっています。

強化指定競技者は大阪陸上競技会登録者から日本陸上選手権の順位などを参考に選考されます。指定競技者は毎年6月の日本陸上競技選手権での結果によって入れ替えられる仕組みになっています。1期生である平成27年度の指定競技者には短距離や長距離、やり投げなどの選手22名が選ばれました。その後、2期生は16名、3期生は9名にまで絞られています。

対象に選ばれた選手には、国内や海外での合宿費が支給されるほか、身体育成・基礎体力の強化や精神的強化のための講習、メディカル支援が実施されます。昨年度は、国内のトップコーチを招聘したナショナルトレーニングセンターや沖縄での合宿練習、さらにドイツやアメリカ、オーストラリアでの合宿練習が実施されました。

こうした取り組みの成果として、同プログラムの登録選手である、多田修平選手(関西学院大学)が、平成29年6月10日の日本学生個人選手権の男子100メートルで、追い風参考記録ながら9.94秒をマークするという急成長をみせられました。また、今年の世界陸上競技選手権大会(イギリス・ロンドン)にも同プログラムの登録選手である多田修平選手(男子100メートル)、松田瑞生選手(女子1,000メートル)、宮下梨沙選手(やり投げ)が代表選手として選出されました。

今後については、指定競技者の人数をより絞りながら、効果的な練習や環境を確保し、海外での合宿練習の期間についても可能な限り延ばしていきたいとのことでした。

主な質疑

  • 行政による支援について
  • 低年齢競技者のレベルアップについて など

関係者から概要等について説明を聴取

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398