閉じる

更新日:2017年8月3日

ここから本文です。

高齢社会の安心・安全対策特別委員会管外調査(平成29年8月2日から3日)

相鉄不動産株式会社(神奈川県横浜市)

よこはま多世代・地域交流住宅について

横浜市では民有地を活用し、民間事業者が整備・運営する住宅のうち、バリアフリーの高齢者向け住宅、交流スペース、日常生活を支えるサービスなどの基準を満たしたものを認定する、「よこはま多世代・地域交流型住宅制度」を平成28年に創設しました。今回視察しました「南万騎が原駅周辺リノベーションプロジェクト」は、その第1号認定となったもので、相鉄不動産が、相鉄いずみの線南万騎が原駅前商業施設の再整備に併せ、高齢者から子育て世代までの幅広い世代が安心して居住できる次世代型郊外住宅地のモデル事業として整備したものです。

新たに整備された施設には、1.子育て支援施設として、保育園、学童保育、病児医療保育、小児科が、2.高齢者支援施設として、デイサービス、訪問介護事業所が、3.地域交流施設として、みなまきみんなのひろば、みなまきラボが、4.医療・健康増進施設として、眼科、調剤薬局が、5.生活利便施設として、スーパー、カフェ、ドラッグストアなどが、6.住宅施設として、賃貸マンション、サービス付き高齢者向け住宅があり、多様な年齢、世帯構成の住民がそれぞれのニーズにあった住宅に住み、元気に暮らせる施設となっております。こうした住まいの形態は、国土交通省の「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」にも採択されるなど、新たな集合住宅の形として注目されています。

制度を運用している横浜市としても、少子高齢化がますます進む社会にあって、この認定制度を通じ、このような多世代が暮らす住宅を広げ、相鉄不動産などの民間事業者の協力を得ながら、多様な住まいに関する住民の要望に応えていきたいとのことでした。

主な質疑

  • 横浜市の人口動態と住宅数との関係・計画について
  • サービス付き高齢者住宅の入居状況について
  • サービス付き高齢者住宅の10年後の状況見込みについて
  • 高齢者の活動内容について
  • 高齢者と地域住民の交流について など

概要説明を聴取した後、みなまきラボ等の施設を視察

銀座セカンドライフ株式会社(東京都中央区)

シニア起業支援の取組について

同社は、シニア層による起業を支援するため、2008年に創業され、起業及び起業後の法律・会計を中心とした支援のほか、レンタルオフィスの運営やセミナーの開催、また、神奈川県や横浜市、東京都などの地方自治体と連携してシニア起業支援業務を実施されています。

中小企業白書(2014年版)によると、起業した年齢のうち、もっとも多い層が60歳以上となるなど、近年シニア層の起業が注目されています。さらに2016年版の厚生労働白書では、少子・高齢化が進展する中、持続的な成長を実現させていくために、起業による高齢者の雇用機会の創出が重要との記述があり、同年4月から中高年齢者の起業を支援する「生涯現役起業支援助成金」がスタートしました。また、同年の「高齢者等の雇用の安定等に関する法」の改正により、地方自治体が中心となって、地域の実情を踏まえた高齢者雇用のあり方を議論し、推進するための協議会の設置が可能になるなど、シニア層への支援も広がっています。

シニア層の起業の特徴として、1.ソーシャルビジネスやサービス業が多い(設備投資が少なく、個人だけでも起業出来るタイプのもの)、2.資金は、200万~500万円、または50万円以下が多い、といったことがあげられるとのことです。また、リスクを冒すことなく、これまでの自分の経験を生かすことができ、身の丈に合ったいわゆる「ゆる起業(商標登録済)」を勧めておられます。起業といえば、利益をあげ、人を雇用し、会社を大きくするといったイメージがありますが、シニア層にそのような高い目標を求めるのではないということでした。

起業の事例には、家事の代行や、見守りサービス、営業代行といった身近なところで探してみるといろいろあり、こうした起業のアイデアの見つけ方セミナーや事業計画の立て方などについて学べるスクールも運営されています。またレンタルオフィス・アントレサロンは首都圏で11店舗運営されており、利用は4,300社に上るとのことでした。

こうしたシニア層の起業は、地方自治体でも雇用の創出につながることから注目されており、同社は青森県や神奈川県、仙台市、横浜市等と連携しています。

今後もこうしたシニア層が起業できる機会の創出に取り組んでいかれるとのことでした。

主な質疑

  • 起業におけるモチベーションの保ち方について
  • 経営支援団体との連携について
  • シニア起業の成功率について
  • セミナー参加者の参加意図について
  • シニア起業の具体的事例について
  • シニア起業のタイプ(地域貢献型やビジネス型など)について
  • 他府県のシニア起業支援について など

世田谷区議会(東京都世田谷区)

在宅療養支援(医療と福祉の連携)の推進について

世田谷区では高齢者が住み慣れた地域で暮らせるよう、早くから地域包括ケアシステムを構築し、国の制度のほかに医療、介護、介護予防、住まい、生活支援の分野で国の施策のほか、独自の取り組みを進めています。

世田谷区の人口規模は23区中最大の約90万人で、65歳以上の高齢化率は約20%、京都府の高齢化率(27.7%(H28.3))と比較すると、比較的高齢化が進んでいない地方自治体と言えますが、区独自の全高齢者実態把握調査によると、一人暮らし高齢者や高齢者のみの世帯の合計が約半数を超えるなど、抱えている課題は全国共通といえます。

同区では、在宅医療・介護連携推進事業を進めるため、国が示した8つの項目1.地域の医療・介護の資源の把握、2.在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討、3.切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築、4.在宅医療・介護関係者の情報共有、5.在宅医療・介護関係者に関する相談支援、6.在宅医療・介護関係者の研修7.地域住民への普及啓発、8.在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携、についてそれぞれ独自の取組を進めています。例えば、3.の医療の提供体制の構築のために、昨年から「地区連携医事業」を開始され、医療・介護が必要となった高齢者等が在宅で適切な療養生活を送れるよう、区内27カ所にある安心すこやかセンターにそれぞれ担当の地区連携医を置いています。また、本年度からは、1.の地域の医療・介護支援の把握のため、「在宅療養のための医療資源リスト(仮称)」づくりを進めており、在宅療養支援の診療所や薬局などが記載されたリストマップの配付、HPへの掲載を進めておられます。ほかにも住民を対象にした在宅療養に関するシンポジウムや医療職・介護職のネットワークづくりなどにも取り組まれているとのことでした。

比較的高齢化が進んでいない同区においても、在宅医療の相談やニーズに応えられていない、看護師の人材が不足しているなど課題があり、今後、区民からの相談に対応できる医療コーディネーターの育成や連携医とのネットワークづくり、福祉人材の育成に、引き続き取り組んで行かれるとのことでした。

主な質疑

  • まちづくりセンター、包括支援センター、社会福祉協議会の3者連携方法について
  • 在宅医療相談事業について
  • まちづくりセンターでの事業内容について
  • 連携医(地区連携医事業)の確保について
  • 看護師就労支援事業について など

高齢4

NPO法人ドリームタウン(東京都板橋区)

高島平団地でのコミュニティ再生事業について

広大な敷地に約1万戸の住宅があり「東洋一のマンモス団地」として知られる高島平団地(板橋区)は、高度経済成長期に建設され、1972年(昭和47年)から入居が始まりました。それから40年以上が経過し、65歳以上の高齢者の割合は約48%を超え、55歳以上の住民のうち、半数以上が一人暮らしとなるなど、急速に高齢化が進んでいます。現在の空室は数百戸あるとみられ、団地を管理する都市再生機構では、空室をバリアフリーのサービス付き高齢者住宅へリフォームした「ゆいま~る高島平」の運営や、無印用品を展開する良品計画と組み、内装のリノベーションなどにも取り組んでいます。また、団地内にはコミュニティカフェが数軒あり、高齢者の居場所づくりが進んでいるほか、介護・看護サービス、商店、サークル団体などが数多く存在し、高島平新聞も発行されるなど、シニアにとって暮らしやすい環境となっています。

「地域リビングプラスワン」は、この団地内において、地域住民が交代でご飯をつくったり、音楽会や英会話教室、ママ会などを開いたり、意見交換をしたりする場を設け、高齢者から子どもまでが日常をシェアしながら団地内での人と人のつながりを創出する取組を実施しているほか、地域活動に取り組む他のさまざまな団体とも連携し、住民の交流を促進することにより孤立しがちな高齢者問題の解決に取り組んでいます。同団体では、60代~70代のボランティアが中心となって活動しておられ、主な取組である食事を通じた多世代の居場所づくり「おうちごはん」には、高齢者や子どもたち延べ3,600名の参加者があるとのことでした(年間約240日開催)。

今後の展望として、さらに生活支援サービスを充実させ、半径800メートル以内に居住する多様な人たちの孤立や、困ったことを解決する小さな共生型地域包括ケアを推進すること、まち全体がサービス付き高齢者住宅になること、また企業や行政との連携を深め、持続可能な居場所づくりをすること、子どもだけでもいつでも安心して帰って来られる居場所づくりをすること、を目指していかれるとのことでした。

主な質疑

  • サービス付き高齢者住宅整備への補助金について
  • サービス付き高齢者住宅での生活支援サービスについて
  • 地域リビングプラスワンの対象者について
  • UR都市機構との契約関係について
  • NPOの運営費について
  • NPOのスタッフについて
  • 学童保育との関係について など

概要説明を聴取した後、団地内を視察

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398