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<平成24年第31週>平成24年7月30日〜平成24年8月5日

今週のコメント

 第31週、パラチフスが1件、風しんが2件報告されました。
 風しん患者の報告は第1〜30週で917件あり、昨年1年間累積年間報告数371件の2.5倍近くに達しています。報告数には地域的な差が大きく、関東地方(特に東京都)、関西地方(特に兵庫県、大阪府)での報告が多くなっており、最近では関東での報告が目立つようになってきています。
 報告は、男性に多く女性に少なく(第1~30週で男性:703、女性:214件)、男性では30歳代、女性では20歳代が最も多くなっています。
 妊娠初期における風しんの罹患は、先天性風疹症候群の原因となることが知られています。女性だけではなく、妊娠可能な女性が身近にいる男性もワクチン接種を検討してください。
 またパラチフスはパラチフスA菌が原因の感染症で、チフス菌が原因の腸チフスと同様の症状を呈します。いずれもサルモネラの仲間でヒトにのみ感染します。他のサルモネラ菌による食中毒とは異なる臨床像を呈し、発熱(高熱が出ます)、比較的徐脈(熱のわりに脈が速くならない)、バラ疹(ピンク〜紅色の小さい発疹で発熱時に出現する)、脾臓の腫大がみられます。
 汚染された水や食べ物を食べることで腸管に感染しますが、下痢症状は必発ではありません。まず腸管のリンパ組織に入り込み増殖し、血液の中に菌が入り込みます(菌血症)。リンパ組織が壊死し腸に潰瘍が形成されると出血したり腸穿孔を来す場合もあります。菌血症をきたすため、時に菌が腸管以外の部位に感染し細菌性動脈瘤や心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎などを生じる場合があります。
 不明熱のように、熱以外の症状がはっきりしないこともあり、診断は血液培養や、便培養などにより原因となるパラチフスA菌を検出します。治療にはキノロン系が使われますが、耐性菌が増えてきており、感受性の確認のためにも細菌培養は重要です。
 報告例の多くは国外での感染であり、世界中でみられる感染症ですが、主な推定感染国は南アジアや東南アジアです。海外旅行の際には、生水や氷、生野菜などは避け、充分加熱した料理を摂るようにしましょう。

全数報告の感染症

分 類 報 告
1類感染症 報告がありません
2類感染症 結核が5件報告されました
3類感染症 細菌性赤痢が2件、腸管出血性大腸菌感染症とパラチフスが各1件報告されました
4類感染症 報告がありません
5類感染症 後天性免疫不全症候群が1件、風しんが2件報告されました

定点把握の対象となる5類感染症

■京都府及び全国での定点当りの報告数が多い上位5疾患

感染症名 定点当たりの報告数
京都府 全国
1 感染性胃腸炎 2.61 3.21
2 ヘルパンギーナ 1.75 3.48
3 マイコプラズマ肺炎 0.86 0.94
4 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 0.79 0.92
5 流行性角結膜炎 0.61 0.63

■基幹定点

マイコプラズマ肺炎が6件報告されました

■眼科定点

流行性角結膜炎が11件報告されました

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■京都府での定点当りの報告数が多い上位5疾患の推移

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今週のヘルパンギーナ地図(京都府版)

地図
罹患数 定点当たり
丹後 - -
中丹西 - -
中丹東 14 2.80
南丹 17 3.40
乙訓 2 0.67
山城北 15 1.88
山城南 4 1.33
京都市 74 1.87
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