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5 快適な環境の創造【環境基本計画】

(1)身近な緑空間の確保

ア 公園等の整備と緑地の保全

 緑豊かな環境の形成、増大するレクリエーション需要の充足、災害時における避難地の確保などを図るため、野生動植物の生息・生育環境に配慮しつつ、自然とのふれあいの場や憩いとやすらぎの場を提供する公園、スポーツ施設や防災施設を配置した公園など、都市公園等の整備を推進していきます。
  緑空間の確保に当たっては、緑地面積や密度の確保、拡大のみならず、周囲の自然環境と調和した、緑の「質」に配慮するとともに、緑化に際しては、地域の潜在植生や野生動植物の生息生育空間に配慮して整備を進めていきます。
  また、風致地区、緑地保全地区、生産緑地地区、自然風景保全地区の指定等既存の諸制度の活用により市街地の緑地やその周辺の緑地を適切に保全するとともに、市街地周辺の里山や市街地内の樹林地、鎮守の森や名木など親しみのある身近な緑の保全を推進します。

施策体系

公園等の整備と緑地の保全 (1)都市公園等の整備
(2)緑地の保全

イ 緑化の推進

身近な緑を創出するため、学校、公営住宅、庁舎等の公共施設の建物周辺、道路、河川、公園等の公共空間の緑化を推進するとともに、大規模な公共施設の整備に当たっては、地域の景観や野生動植物の生息・生育環境に配慮した、まとまりのある緑地の確保を推進していきます。
 道路空間の緑化については、京都府道路緑化計画「花と緑の回廊1000キロ構想」を推進するなど公共空間の積極的な緑化を図っていきます。
  また、事業所、住宅等における緑化を促進するとともに、府民・事業者等による緑化活動の促進や緑の保全等に関する団体の育成の支援を推進していきます。
  さらに、鎮守の森や市街地内樹林地など、ある程度まとまりのある緑地を保存するためには、緑地の孤立化を防ぎ、自然生態系を維持することが必要です。このため、それらを河川や道路の緑地など緑の回廊で結ぶとともに、里山などの森林につなぐことによって、地域の緑のネットワーク化を推進していきます。
 また、21世紀を展望した緑とアメニティ豊かな京都づくりを目ざすため、「京都府緑の構想」を推進し、各種イベント等を通 じて、緑の創造、保全、緑とのふれあいを図ります。

施策体系

緑化の推進 (1)道路、河川、公園、公営住宅等の公共施設の緑化
(2)事業所、住宅等の緑化促進及び支援
(3)緑のネットワークの形成

現状

  • 都市部における豊かな緑空間は、良好な風致、景観を備えた地域環境を形成するとともに自然とのふれあいを通 じて心身ともに豊かな人間形成に寄与したり、スポーツ・レクリエーションの場や災害時における避難場所を提供するほか、公害・災害の発生の緩和、水源かん養、二酸化炭素の吸収などの多様な機能を有しています。また、野生動植物の生息・生育空間としても貴重なものです。
  • しかし、都市部において緑空間は減少の傾向にあることから、周辺の里山や鎮守の森などの身近な緑空間は人々のうるおいの場となっていると同時に自然環境教育・学習の場としてもますます重要になっています

(2)水辺環境及び水循環の保全・確保

ア 水辺環境の保全・確保

  河川や、海岸、ため池・農業用水路等の水辺空間を府民の身近な親水空間として整備するに当たっては、多様な小動物や植物の生息・生育環境、周辺の景観や地域の現況に配慮する必要があります。このため、現在進めている「京の川づくり」事業など、市町村のシンボル的な河川の整備や淀川河川公園(国営公園)の上流域への延伸などを今後とも積極的に進めていきます。
  また、人口集中の著しい都市河川では、河川敷を散策や魚釣り、スポーツなど水に親しむためのオープンスペースとして利用する機会が増えており、廃棄物の投棄、耕作等の不法行為の防止に努めるなど、河川環境対策を積極的に推進します。
  さらに、「京都府ため池整備総合基本構想」に基づき、ため池の安全性と農業用水の安定的な確保を図りながら、ため池の多面 的役割を活用し、渇水・災害時の生活用水や消防用水の確保など地域防災並びに農村と都市の交流促進など地域の活性化にも役立つ、多様なため池整備を推進します。

施策体系

水辺環境の保全・確保 (1)河川環境の整備及び河川敷等の適正管理
(2)海岸における環境の整備
(3)ため池、農業用水路等の整備

イ 水循環の保全・確保

 水資源を確保するため、植林と管理・保全施設等の整備により森林の保水機能の向上を図るとともに、優良農地の保全など適正な土地利用を行うことによって農地の保水機能の維持に努めます。
  また、公共用水域、地下水等の水量の確保に努めるとともに、雨水浸透ますの設置、道路、公共施設などの公共空間の透水性舗装等の整備などを図り、雨水の地下浸透及び地下水流動の改善を促進し、湧水等の保全・確保に努めます。また、水量 が減少した河川においては、水質の浄化、生物の生息、景観等に配慮しながら、湧水の保全、環境用水の導入等により、水の流れの回復に努めます。
  さらに、水の有効利用等の促進を図るため、家庭用水などの節水を進めるとともに、工場・事業所等における雨水利用、下水処理水の有効利用の促進、工業用水の回収率の向上等に努めます。

施策体系

水循環の保全・確保 (1)水源地域となる森林の保全・整備
(2)かんがい用水の循環的利用の促進
(3)公共用水域、地下水等の水量の確保
(4)湧水等の保全・回復
(5)水の流れの回復
(6)雨水、下水処理水等の有効利用の促進

現状

  • 京都府の河川は、南部の宇治川、桂川、木津川等の淀川水系の河川と、北部の由良川水系の河川に大きく分かれ、さらに、竹野川、野田川等の山陰海岸や宮津湾などに注ぐ河川があります。これらの河川水は、水道用水、農業用水等に広く活用され、その水源となっているのは丹波高地や丹後山地の森林などです。また、京都市においては、明治時代に建設された疏水による琵琶湖の水が今も人々の生活を支えています。
  • 府民のゆとりと豊かさへの志向や、自然環境への関心が高まる中、河川などの身近な水辺空間は、府民の親水空間として重要な役割を果 たしています。鴨川や桂川、木津川、宇治川など都市部を流れる河川は、歴史のおもむき深い京都にふさわしい水辺空間を、北・中部地域の由良川などの河川では、それに迫る山々と調和した空間を形成し、親水空間としてだけでなく、景観的な側面 からも人間生活にうるおいを与えるものとなっています。 降水、蒸発、河川表流、地下浸透等によって水循環が形成され、その水循環が健全に保たれることによって、水環境が保全(水量 の維持、水質の維持、水生生物の生息・生育環境の確保、水辺環境の確保等)されています。また、健全な水環境の確保は、ヒートアイランド現象を緩和するなどの効果 が期待されています。
  • しかし、近年、都市化の拡大に伴って、地表面を覆うアスファルトやコンクリートなどの増加によって雨水が地下に浸透しにくくなったり、地下構造物の増加によって地下水の流れが阻害され、都市部の土壌の保水力が低下しつつあります。また、河川上流部においては農地、森林等の管理水準の低下などによって水源かん養能力の低下が指摘されています。 このようなことから、河川流域総体としての土壌の保水機能が減退した結果 、健全な水環境が維持しにくくなるとともに、多雨季には河川流出量が急増し、市街地内河川の溢水被害、内水被害、さらには洪水に伴う土砂災害の増大等が懸念されています。また、一部地域における地下水からの過剰揚水による地下水位 の低下、地盤沈下などが懸念されています。
  • また、都市部では中小河川、池、沼などへの水の供給源となってきた身近な湧水の枯渇や量 が低下する事例が発生しており、湧水を水源とする中小河川や水路の流量 が著しく減少、降雨時以外は水源が消滅したものもあることから、水質の浄化、生物の生息環境、景観に配慮しながら、湧水の保全、環境用水の導入を図り、水の流れを確保していく必要があります。

(3)良好な景観の保全・創造

ア 自然景観の保全・創造

  国立・国定公園、府立自然公園などの優れた風景地を保全し、自然とのふれあいの場として活用する取組を推進します。また、府内にみられる、原生的な自然環境や、歴史的遺産が一体となって歴史的風土を形成し、文化的にも学術的にも高い価値を有する自然環境などの優れた自然環境を活かし、調和のある美しい地域づくりを推進します。

施策体系

自然景観の保全・創造 (1)優れた風景地の保全
(2)自然環境と調和した地域づくり

イ 農山漁村景観の保全・創造

  農山漁村は特有の緑豊かな美しい景観を保持しています。特に、北山スギに代表される林業地や、北部地域の棚田や舟屋などでは、京都特有の農山漁村景観がみられます。
  このような地域固有の自然環境あるいは社会的特性に配慮し、田園風景や渓流、樹林などの自然景観が一体となった地域づくりを推進します。
 また、森林・農地・海岸等の適切な管理を行うとともに、自然環境や景観の維持・保全に配慮した施設整備を行うほか、地域の植生を活かした特色ある里山の整備を行い、自然と調和した農山漁村景観づくりを推進します。
  なお、ふるさと塾や「京都府中山間ふるさと保全基金」などを活用するとともに、日本型のグランドワークの導入を検討しつつ、農村景観や農地をはじめとする様々な地域資源を守り育てる地域の住民活動を支援する取組を推進します。

施策体系

農山漁村景観の保全・創造 (1)京都特有の農山漁村景観の保全
(2)森林や農地の適切な管理
(3)地域の植生を活かした特色ある里山の整備

ウ 都市景観の保全・創造

各都市が貴重な歴史的遺産や自然景観と調和した歴史的景観を保全活用し、京都ならではの都市空間の形成を推進します。 また、都市整備を進めるに当たっては、都市計画等の諸制度により、歴史や伝統を伝える建造物等の文化遺産や個性ある街並みなどと調和した計画的な都市整備を行います。
 さらに、快適な都市景観を創出していくため、緑や水辺空間などの確保に努めるとともに、行政、事業者、府民あげての取組によりアメニティを創出できるような都市景観の維持、創造を推進していきます。
 特に、府民の景観への関心もますます高まるなか、美しい景観づくりを総合的に進めるためには、まず、行政が、道路、河川、公共建築物などの整備やそのデザインにおいて、地域の特性に配慮しつつ、先導的な役割を担う一方、府民・事業者などとも共に手を携えて取り組みます。

施策体系

都市景観の保全・創造 (1)各種制度の運用による計画的な都市整備の推進
(2)地域の個性を活かした都市空間の形成
(3)行政、事業者、府民が一体となった取組の強化

現状

  • 京都府の地形は、南北に細長く、リアス式海岸、山地、盆地や河川などの変化に富んだ自然に恵まれ、そこに生活する人々の営みによって多様な景観を育んできました。 また、長い歴史をしのばせる建築物や社寺等、あるいは、京都市内に残る町家など、特色ある街並みが数多く残されています。
  • その一方で、急速に進む都市化の中、特に都市部の景観は急激に様相を変え、街の景観の骨格となる道路や建物、河川整備などでは景観に配慮したものが徐々に増加しつつあるものの、まだ十分とはいえません。また、農山漁村においても、過疎化や高齢化の進行、社会経済情勢の変化などにより、かつて農林漁業などの生産や生活と一体となって維持されてきた、落ち着きのある美しい景観を維持していくことが困難となってきています。
  • 景観は、山並み、海、河川、農地や市街地をはじめ、道路や建物、看板や標識といった身の回りを取り巻く様々なもので構成されていますが、そこに住む人々が居心地良く感じることができる景観を築いていかなければなりません。

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