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令和元年8月30日知事記者会見

令和元年度9月補正予算の概要について

令和元年度9月補正予算の概要について説明いたします。

 

予算編成の基本方針

昨今の世界経済の動向や10月に予定されている消費税率の引上げ等、経済をめぐる環境が変化している中、地域活性化も念頭に置きながら、経済情勢に的確に対応するための補正予算を編成させていただきました。

併せて、子育て環境日本一推進戦略の展開、府民生活の安心・安全の向上など、緊急に対処する必要がある課題にも対応しています。

 

1.経済対策・地域活性化

1つ目の柱は経済対策・地域活性化です。

 

(1)経済環境の変化への対策

経済対策・地域活性化には3つの柱があります。1つ目は、経済対策・地域活性化の経済環境の変化への対策で、何といっても消費税率引上げへの追加対策です。9月9日(月曜日)には、京都経済センターに関係団体が集まり、意見交換を行う予定であり、オール京都で対応したいと思います。

 

中小企業消費税率引上げ対策支援事業費(0.3億円規模)

まずは、中小企業消費税率引上げ対策支援事業費です。これは、当初予算で計上し生産性向上につながる自動化装置の導入等に対して助成を行うこととしておりますが、非常に多くの需要が寄せられていることから、それらの要望に応えるために増額補正を行います。

 

商店街等緊急販売促進事業費(0.1億円規模)

次に、新たに商店街等緊急販売促進事業費を計上します。これは、消費税率引き上げに合わせて実施されるキャッシュレスのポイント還元の開始により、商店街から大手のチェーン店等へ顧客が流出するのを防ぐため、商店街が行う大売り出し等の取組に対し、経費の半分を支援するものです。

 

中小企業海外進出支援事業費(4百万円)

次に、中小企業海外進出支援事業費です。企業の海外販路拡大への緊急支援として、新規に海外見本市等に出展する中小企業に対し助成を行います。

 

京都産業立地促進事業費(5.0億円規模)

次に、京都産業立地促進事業費です。当初予算で16億円強の予算を計上していますが、積極的な投資意欲に応えるため5億円を追加計上し、約21億円の予算で企業の立地を促進します。

 

京の「KOUGEI」グローバル市場展開事業費(7百万円)

次に、京もの製品の海外販路開拓緊急支援です。本年5月の京都府と复星(フーシン)国際有限公司との京都産品の販売促進等に係る協定締結を契機に、本年12月、上海に「KYOTO HOUSE」がオープンすることになりました。外灘(バンド)の金融街に京ものの工芸品を展示販売できるという好機を活かし、オープニングイベントの実施や、現地ニーズに合った商品提供体制の構築などにより新たな販路と市場の拡大を図ります。

 

宇治茶価格向上・普及促進事業費(0.2億円規模)

次に、宇治茶価格向上・販路開拓緊急対策です。2月の定例会で京都府宇治茶普及促進条例が制定されたところですが、中級品から上位品の価格は安定的に推移する一方、普通品は全国的な供給量急増により価格が下落しています。そこで、普通品に分類されるてん茶の高品質化・高価格化に必要な経費を計上しています。例えば、茶園ごとに適切な摘採時期や霜害発生の予測を行うシステムの開発、宇治種への改植や被覆棚整備への支援など、高品質・安定生産に向けた条件整備を行います。併せて、宇治茶ブランドを活かした消費拡大、宇治茶文化の魅力発信として「きょうと食いく先生」による宇治茶の食育活動の支援も行います。

 

就職氷河期世代正規雇用化促進事業費(0.1億円規模)

次の就職氷河期世代の正規雇用化促進は、国の政策課題としてもクローズアップされ、「経済財政運営と改革の基本方針2019」においても3年間の集中支援が明記されています。府内の中小企業でも人手不足が深刻化する中で、正規雇用への意欲を持つ方に対し、集中的なスキルアップ研修と企業とのマッチングを11月から3月まで毎月実施します。

 

(2)府域周遊の拡大

経済対策・地域活性化の2つ目は府域周遊の拡大です。

 

「もうひとつの京都」・「とっておきの京都」周遊事業費(5百万円)

今月28日の「京都府知事と京都市長の懇談会」で海・森・お茶の京都DMOと京都市観光協会との連携をさらに深化させるという話がありました。「とっておきの京都」とは京都市の伏見、大原、高雄、山科、西京、京北にスポットを当てた観光事業であり、京都市の周辺ということは、本府の「もうひとつの京都」と接しているところでもあります。本事業において「もうひとつの京都」と「とっておきの京都」とを周遊する新たなコンテンツの開発やモデルルートづくりを進めます。

 

京都舞鶴港ブランド強化事業費(2百万円)

次に、京都舞鶴港ブランド強化事業費です。京都舞鶴港のクルーズ船乗客数は徐々に増えてきているのですが、まだまだ近隣他港と比較すると少ない状況です。京都舞鶴港から乗船できる日本の顧客を対象としたクルーズも多く、無料駐車場を利用できる「ドライブ&クルーズ」という強みもありますので、旅行会社や船社と連携してPRセミナーを開催し、地域周遊観光やクルーズ船寄港回数の拡大を図ります。

 

ミニMICE誘致促進事業費(4百万円)

次に、ミニMICE誘致促進事業です。もともと京都府観光総合戦略の重点施策にMICEを掲げていますが、府域での開催件数は必ずしも増えていないという背景があります。その一方で、舞鶴市や宮津市で小規模なMICEが開催された実績もあるため、本府としては、府域で受け入れ可能な小規模MICE誘致を促進するため、視察可能な企業や「ユニークベニュー」と言われる歴史的な建造物、文化施設など地域特性を感じさせる会場などの情報をとりまとめ、来年度以降の誘致活動に用いることのできる営業ツールを開発します。

 

(3)地域の振興・活性化

経済対策・地域活性化の3つ目は地域の振興・活性化です。

 

相楽東部地域公共交通再編事業費(0.1億円規模)

相楽東部地域公共交通再編事業費は、新たなモビリティサービスの実証事業として、国のモデル事業に選定されたことから予算を計上しています。人口減少、少子高齢化で公共交通の利用者が大幅に減り、事業者が撤退する中、自家用車がなければ生活できない過疎地域で、運転することも困難な高齢者が増えています。そこで、このような課題を解決するための過疎地型MaaSのアプリやシステムの実証実験を行います。また、同じモデル事業として、京都丹後鉄道沿線地域ではWILLERを中心にQRコードを活用した一括予約・一括決済等の実証実験を、けいはんな学研都市地域ではシェアサイクル等の実証実験を進めていますので、これらの地域のモデル事業とも連携し、相楽東部公共交通の再編等の課題の解決を行っていきます。

 

京都スタジアム管理費(0.3億円規模・債務負担行為7億円)

次に、京都スタジアム管理費です。当初予算においては、スタジアム整備経費と、にぎわいづくりや周辺の周遊を促すための予算を計上しました。本年12月にスタジアムが完成する予定であり、スタジアム管理に必要となる本年度の指定管理料を計上するとともに、来年度以降の分の債務負担行為を設定しています。

 

中小建設事業者の受注機会の確保(債務負担行為25億円)

次に、中小建設事業者の受注機会の確保のため、債務負担行為25億円を設定し、工事量の平準化対策を実施します。併せて従来12月定例会で実施していた繰越明許費の設定を今回は9月に前倒して設定します。

 

2.子育て環境日本一推進戦略の展開

2つ目の柱は、子育て環境日本一推進戦略の展開です。

 

子育てにやさしい風土づくり推進事業費(0.1億円規模)

はじめに、子育てにやさしい風土づくり推進事業費です。

京都府子育て環境日本一推進戦略の策定に合わせ、子育てを社会全体で支えていくために、まずは経済団体、労働団体、保育・教育関係、女性活躍関係、行政関係のトップの方に集まっていただき、オール京都で「きょうと子育て環境日本一サミット(仮称)」を開催することで意識を統一し、府内外へ「共同声明」を発信します。

これに加えて、子育て環境日本一推進戦略の効果的な周知・啓発を行うとともに、子育てと仕事の両立を図る職場環境の推進としてモデル事業を実施します。これは子育て企業サポートチームがさまざまな企業を訪問し、その中で把握した企業や働く人のニーズに基づき「子連れ出勤の導入」や「子連れコワーキングスペースの設置」を促進するものです。

 

保育所等副食費支援事業費(0.1億円規模)

次に、多子世帯に対する副食費の支援です。従来は、年収360万円以上~640万円未満世帯の3人目に対しては、府の第3子以降保育料無償化事業により保育料に含まれていた副食費相当分も無償としていましたが、本年10月に予定される国の幼児教育・保育無償化制度の開始に伴い、実費が徴収されることとなります。そこで、副食費への支援を行う市町村に対する助成制度を創設し、新たな負担が生じることのないような措置を講じます。

 

3.府民生活の安心・安全の向上

3つ目の柱は、府民生活の安心・安全です。

 

豚コレラ予防対策強化事業費(0.1億円規模)

1つは、豚コレラ予防対策強化事業費です。皆さんご承知のように、岐阜県、愛知県等で豚コレラが多発し、滋賀県、大阪府、三重県、それから北陸地方でも、野生いのししの豚コレラ感染が確認されるなど隣接する府県まで迫って来ております。緊急消毒や注意喚起など緊急的な対応は既に行ってきましたが、今回の補正予算では、豚コレラウイルス拡大を助長するおそれのある野生いのししを予防的に捕獲するため、捕獲を強化する市町村への助成を行います。また、万が一、ウイルス感染が確認された野生いのししが、府域から10km内に侵入した場合、国の防疫指針に基づいて野生いのししの捕獲、輸送、検査、消毒等を行います。

 

交番等安全対策強化費(0.5億円規模)

次に、交番等安全対策強化費です。本年5月に大津市で園児が巻き込まれた交通事故や川崎市の殺傷事件等があり、6月補正予算においては全交番と駐在所に設置されている府民協働防犯ステーションを核とした見守り活動等に対する支援を強化する予算を計上しました。府民協働防犯ステーションは地域の安心・安全を守るための拠点として機能していますが、今年の6月には大阪の千里山交番で襲撃事件が起き、犯人の逃走により、近隣の学校が休みになる、公共施設が休館するなど、住民生活にも大きな影響が生じました。交番等でボランティア活動を行う府民の方の安全対策と同時に、府民の方々の平穏な日常生活を守るために、従来から少しずつ進めておりました施設管理カメラの設置を加速し、年度内に府内全ての交番等にカメラを設置します。

 

中高年ひきこもり支援対応強化費(1百万円)

次に、中高年ひきこもり支援対応強化費です。中高年のひきこもりが社会的な問題としてクローズアップされる中、当事者やその家族には専門的な支援機関が必ずしも認知されていないことから、専門支援機関以外の民間支援団体等にも相談が寄せられてきているという事実があります。そうした場合に、適切な初動対応が必要であることから、専門支援機関以外で、中高年のひきこもりに関する相談の窓口になり得る施設で働いている方に研修を受けてもらい、中高年のひきこもりへの理解を深めるとともに、専門支援機関へのつなぎなどが円滑にできるようにしていこうというものです。国が来年度以降、福祉事務所へのアウトリーチ支援員の配置等ひきこもり支援を強化する方向であることを踏まえ、必要に応じ新しい体制に円滑に移行できるよう、準備を進めてまいります。

 

以上、9月補正予算の規模は7億円台で、現計予算と合わせると、合計8,991億円台。一般会計ベースで対前年9月補正後と比較すると101.3%となります。

私からは以上です。よろしくお願いいたします。

 

令和元年度9月補正予算の概要について(PDF:1,232KB)

 

主な質疑応答

記者

子育て環境日本一サミットの構成メンバーは京都府内から選ぶのか。

 

知事

基本的には府内の関係者を想定しています。トップの人に出てきてもらうという意味で「サミット」としていますが、大々的に報道してもらえれば、子育て環境日本一の機運醸成にもなる。団体それぞれの傘下にいる人たちにも動いてもらうために、トップの方々に意思を表明してもらい、そこに我々の意思が統一されていることを示してもらう。そんな期待を込めてやっていければと思っています。

 

記者

サミットで何を目指したいのか。

 

知事

昔なら経済団体などは子育てとあまり関係ないと思われていましたが、今では子育てが産業活動や経済活動と密接につながっていることがわかってきました。ですから、京都府が「子育て環境日本一」に取り組んでいることをまず関係団体のトップの方々に理解をしてもらい、傘下の方に広めてもらう。どちらかというと、心合わせと今後の推進力になってもらえる人に集まってもらうことが目的で、具体的にそこで何かを詰めることではないと思います。ただ、経済界の方から「いや、もっとここまでできますよ」という話も聞きますので、そういうご提案や話し合いもできればと思います。それから、報道の皆さんに全国放送でもしていただければ非常にありがたいです。要するに、「子育てにやさしい京都府」を宣言することを一番の目的と考えています。もしその場で合意できることがあればもちろんいいのですが、まずは集まっていただくことだと思います。

 

記者

開催の目途は。

 

知事

これから、予算をまず議会で審議して、通していただいてから、人選などがありますので、年明けになるかなと思います。

 

記者

副食費助成の補助率は。

 

知事

市町村それぞれの財政事情があると思いますが、今のところ補助率4分の1程度を考えています。子育て支援については、市町村で深掘りしている制度もいろいろありますので、我々は今まで府費で支援した分について、今回の制度改正に伴って支援をするということで、すべての市町村に支援していただく前提で助成制度を組んでいます。

 

記者

今、カメラが設置されている交番の数は。

 

知事

交番と駐在所と派出所の総数295のうち66が整備済みです。これから未設置の229にカメラを設置します。

 

記者

国の補助なしに、単費で実施するのか。

 

知事

はい、基本的には単費です。全国の都道府県の設置状況を見ると、ばらつきはあるのですが、100パーセントのところも結構あります。近隣で言うと大阪府と滋賀県が100パーセント設置されています。やはり千里山交番の事件がありましたし、交番自体が、地域の方がそこに集まるなど、非常に重要な安心・安全拠点だと思っています。

 

記者

中高年ひきこもり支援対応強化は、京アニの事件なども踏まえての対応か。

 

知事

もちろん大きな背景には京アニ事件もあるとは思いますが、やはり相談に来られた時に、「何も知りませんよ」ではなく、ある程度お話を聞いて専門機関につないでいくためには一定の知識がないと困るということからの研修実施と考えていただければと思います。

 

記者

中小企業の消費税率引上げ対策支援に関するニーズについて、知事の感触は。

 

知事

商工会連合会や商工会議所を通じての話ですが、消費税率引上げに対する対応は若干ばらつきがあると聞いています。例えば軽減税率対応にしても、関連機器の営業が入っているところは問題意識があるけど、それがないところでは軽減税率のこともよくわかってなく、まだ準備が進んでいない。そこを私は心配しています。ですから、9月9日に意見交換会を実施し、まずはなるべく多くの方に問題意識を持っていただければと思います。それから、今回は国の補助金の方が多いので、国にも補助金の対応について要件の緩和をお願いしています。もともとは9月までに準備を完了しないと補助金の対象にならなかったのですが、契約だけしておき、具体的な整備を行うのはあとからでも可能ということにしていただけないかと。まずは特に中小企業、とくに小売の企業に10月以降どうなるかを認識してもらうために努力していかなければならないと思います。

 

記者

補正予算の中で産業立地促進事業費がかなりの率を占めている意義は。

 

知事

産業的な助成策は、事業者側のニーズがなければ援助することができないので、大きな実需があるところに応えていかなければいけません。しかも、今ようやく京都でいろいろなインフラ整備が進みつつあって、その整備効果を地域の活性化や府民生活の向上につなげていく好機でもあります。そういう機会を捉えるという意味においては、企業の側に施設・設備整備の旺盛な意欲がある時に、その需要をきちんとつかまえるためにぜひとも必要だと思っています。

これはもともと16億円強のお金が付いています。施策は別にお金の多寡のバランスではなく、それぞれの経費の持っている性格なのですが、逆に言えばそれだけ来ていただくということはありがたいことで、そのニーズに応えたいということですね。

 

記者

現下の経済状況がネガティブに捉えられているが、知事の認識は。

 

知事

ネガティブに捉えているわけではありません。ただ、G7でも海外経済におけるリスクが取り上げられ、10月に消費税が引上げられることで、特に中小企業をめぐる経済状況が変化することは確実だと思っているので、そういう意味で申し上げています。

現状で言うと、日銀京都支店の府内企業の7月の経済状況は、生産は弱めになっているけれども、全体としては緩やかに拡大しているという話です。政府全体の月例経済報告もそれほど変化がありません。

ただ、個別のメーカーや個別企業については、もちろん個別の状況もあるかもしれませんが、やはり生産拠点の変更や、情勢の変化に合わせて販路の拡大や変更をするといった動きもあるので、海外の経済が非常に流動的だということは間違いないと思います。それで悲観的になるのではなく、その変化には柔軟に対応したいということで、私の認識では、今、足元で景気が後退局面に入っているというものではありません。そこは専門家の方に聞いていただければと思います。

 

記者

今回新たに就職氷河期世代の支援に取り組む理由は。

 

知事

就職氷河期世代は、不本意ながら非正規で働いていて、正規社員になりたいという希望があるのですが、新たに人材を求めている企業側のニーズを本当に把握した上で、必要なスキルを身につけてもらい、正規雇用につなげたいと思っています。もちろんご本人の希望もあると思いますが、就職氷河期世代はたまたま最初の就職の時に経済情勢の影響を受けて、不本意な形でこれまで過ごした方もおられると思うので、改めて「こういうスキルがあれば正規雇用につながりますよ」というスキルアップ研修を集中的にやろうと思ったのです。これをやってみて、成果が上がれば、より恒常的な支援事業ができればいいと思います。それと、人手不足という企業側の人手不足のニーズもあります。

 

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