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令和2年3月17日知事記者会見

令和元年度2月補正予算案

~新型コロナウイルス感染症対策(追加)~

新型コロナウイルス感染症対策関連経費の追加補正を緊急に取りまとめましたので、その概要を説明いたします。
新型コロナウイルス感染症は中国を発端とし、ヨーロッパ、イラン等海外だけでなく、国内でも感染が拡大しております。3月10日に、国において「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」が決定されました。その対応策に呼応し、府民の生命と健康を守るための対策の展開と併せて、中小企業等に対する緊急支援を府独自の施策として実施します。補正予算の規模は、合計7億円台で、既決の新型コロナウイルス感染症対策経費20億円強と合わせると28億円台となります。

1.感染拡大防止策と医療提供体制の整備
PCR検査自己負担の支援(2百万円)
PCR検査が保険適用されたことに伴い、医療機関が検査を民間検査機関等に委託して実施した場合の患者の自己負担相当分を公費で負担します。

府域における病床の確保(9百万円)
大幅に患者数が増加する等の緊急時に備え、府域における患者受け入れ体制を整備するため、府立医科大学附属病院における空床確保及び消毒等に要する経費を助成します。

高齢者施設等における消毒の徹底等(1.0億円規模)
需給がひっ迫し、高齢者施設等が自力で確保することが難しい消毒液等を府が一括購入し、施設へ配布します。介護施設、障害者支援施設、児童養護施設、幼稚園等を対象としています。

2.学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応
放課後等デイサービス利用に係る利用者負担の軽減(0.6億円規模)
特別支援学校等の臨時休業に伴い、放課後等デイサービスの利用が増加しています。それに伴い追加的に生じたサービス部分に係る利用者負担について、学校休業に伴い新たに支給決定を受けた児童のサービス利用に係る報酬や、サービス利用の増が生じ、増加した報酬等について支援します。

個人向け緊急小口資金等の特例貸付(4.1億円規模)
新型コロナウイルス感染症による経済への影響に伴う休業等により、一時的な資金が必要な方への緊急の貸付を実施します。また、これに加え、失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に対しては、生活の立て直しのための安定的な資金を貸付します。

3.中小企業等に対する緊急支援
中小企業への支援体制の構築(0.5億円規模)
新型コロナウイルス感染症の影響が業種・規模・地域を問わずに広がっていますので、きめ細やかに中小企業を支援するため、京都経済センター内にオール京都で「中小企業新型コロナウイルス対策緊急支援本部(仮称)」を設置し、中小企業応援隊等による企業の経営状況把握や課題の共有・分析、各種支援施策の紹介、国補助金の採択に向けたサポート等、総合的に中小企業への支援を実施するための体制を整備します。

中小企業・農林水産業者に対する緊急経営支援(1.0億円規模)
「中小企業等新型コロナウイルス対策緊急支援補助金」を創設し、実情に応じたきめ細やかな支援を速やかに実施します。例えば、従業者の感染予防としてテレワークを実施するための費用や、飲食店で新たにケータリング等を開始する場合に必要となる費用、売上減の花き業者が代替販路先へ納入する場合の輸送経費等が対象になります。小規模事業者・農林水産業者は、上限20万円で補助率3分の2、中小企業者は上限30万円で補助率2分の1の助成を行い、国の中小企業支援を補完する独自の緊急支援として実施します。

補正予算の内容は以上ですが、新型コロナウイルス感染症対策を含めて、今の状況を申し上げたいと思います。

京都府では24時間体制の相談窓口の設置、検査体制の強化、帰国者・接触者外来の設置に取り組んでまいりました。府内でも大阪の複数のライブハウスに関連する感染等が連続して発生し、現時点で17例となり、引き続き予断を許さない状況にあります。
複数の医療機関でも感染が確認されておりまして、福知山市民病院では3名の感染者が確認され、接触者も200名に上りました。このため、本庁から保健所に保健師を派遣し、疫学調査の態勢を拡大し、検体の検査を京都府と京都市が連携して対応し、全員の検査を終え、残りの方全員の陰性が確認されました。地域の中核病院ですので、医療体制の週末の正常化に向け、福知山市と連携して取り組んでおります。
長岡京市の済生会京都府病院でも院内店舗経営者の陽性が確認されましたが、接触者十数人の陰性を確認し、昨日から診察等が再開されました。感染の状況は以上です。

府民の皆様には、学校の臨時休校やイベントの自粛等で大きな負担をおかけしております。こうした取組みに対して、ご理解・ご協力を賜っていることに改めて感謝申し上げたいと思います。引き続き、手洗いや咳エチケットの徹底、人ごみを避けるなどの予防策を講じていただきたいと思いますし、健康に不安のある方は京都府や京都市、国の専用窓口がありますので、お問い合わせをお願いいたします。引き続き、国、市町村と連携し、感染症対策に万全を期すと共に、京都経済の影響の軽減等を進めてまいりたいと思います。

 

令和元年度2月補正予算案(PDF:403KB)

 

主な質疑応答

記者

補正について、府独自の施策はあるか。

 

知事

中小企業や農林水産業者に対する経営支援、また、中小企業への支援体制の構築については、今回の国の第2弾関連とは別に府が独自に講じる施策です。

 

記者

国の補正に関連して、個人向けの特例貸付の時期としては議決が通り次第となるか。

 

知事

なるべく早くなので、議決をいただいたらすぐにやりたいと思います。

 

記者

それは年度内か。

 

知事

早くからできるものはできると思います。議決が前提ですが、準備は整えております。

 

記者

先日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行された。すでに学校の休校やイベントの自粛等が始まっており、ほとんど緊急事態並みの要請を既に受けてやっている状況で改正インフルエンザ等対策特別措置法ができたが、政府は緊急事態ではないと言っており矛盾を感じる。知事はどう感じるか。

 

知事

現時点で緊急事態に該当しないというのは私も同じ判断ですが、最悪の事態に備えて法改正をして、準備をしておくというのは妥当な措置だと思います。全国知事会から、私も総務常任委員会委員長の立場で取りまとめて国に要望しておりますが、法改正の必要性を国民に知らせると共に、緊急事態宣言を出す場合の要件や区域設定の考え方は予め示していただきたい。今の政府の行動計画では、現在の「新型インフルエンザ等」が対象となっていますが、全国知事会の要望では、今回の新型コロナウイルス感染症に合わせて、既存の施策の再構築についても早急に行ってほしいということと、緊急事態宣言が出ると重い私権制限がかかり、適切な措置を講じないといけないので、慎重な対応をとることをお願いしたいと思います。

ただ、緊急事態宣言とはまた別の次元の話だと思いますが、法律が改正されることで、我々が今行っている要請などの措置に後ろ盾ができたという意味では、要請に対する支えになっていると感じています。

 

記者

「今回の新型コロナウイルス感染症に合わせて、既存の施策の再構築についても早急に行ってほしい」ということだが、知事としてここは変えるべきという点はあるか。

 

知事

そこはありません。全国知事会の要望は政府の行動計画についてお願いしたものですが、今回の事態もある程度並行して現に取っている措置もあります。新型コロナウイルス感染症については解明されていない部分も多いので、終息を見ながらになりますが、足下で検討を進めないといけないということです。都道府県でもそれぞれ行動計画を持っておりますので、国全体の行動計画に準拠しながら変える部分とそうでない部分の両方あると思いますが、直ちに見直していただきたい、という部分はありません。

 

記者

先日の関西広域連合の会議で、緊急事態宣言が仮に発令された場合、都道府県ごとに例えば大阪はやっても京都はやっていない、というように対応の齟齬も出てくる可能性があるが、関西広域を考えたときの緊急事態宣言の出し方について知事同士の議論はあったか。

 

知事

先日の第1回関西広域連合新型コロナウイルス感染症対策本部会議では、緊急事態宣言の出し方や区域の設定について特段の議論はしておりません。それよりも、今必要な医療用の資機材の相互融通やPCR検査のキャパシティがあるので協力していこうということと、場合によっては感染症指定病院の病床に限度があるので、協力しあえるかどうか。この場合は搬送しないといけないので大変です。こうした議論はありましたが、緊急事態宣言の議論は特にありませんでした。

情報発信やPRについては、関西は公共交通機関も府県境をまたいで移動している人数が多いこと、働いているところと住むところが違うこと、また今回の陽性の方もある程度幅広い範囲で動いていらっしゃるので、そうしたことの協力体制が必要だという話になりました。本当に緊急事態宣言が出たら、広域的な医療の観点も出てくると思います。

 

記者

今後、関西広域連合でそうした議論が必要になると思うか

 

知事

本当にそうした事態になれば、関西広域連合の枠組みでやるかどうかは別としても、府県の連携や府県境の話は出てくると思います。

 

記者

病床の確保について、クラスターとなれば爆発的に患者が増える恐れがあるが、38床からどれくらい確保しようという目標はあるか

 

知事

感染症指定医療機関の病床数は38床です。今回は府立医科大学附属病院での空床確保としていますが、その前に感染症指定医療機関の入院者数が概ね30床を超えたら、結核病床が89床ありますので、入院されている方もいるので全て使えるわけではありませんが、結核病床を使っていこうということになります。今は患者の病態で区別無く感染症指定医療機関に入院していますが、結核病床のうち利用可能が7割くらいになれば、分けていくこともしなければならないと思います。

 

記者

感染症指定医療機関の入院者数が30床埋まり、結核病床も含め89床埋まった場合に備えて府立医科大学附属病院を確保するということか。

 

知事

はい。結核病床と府立医科大学附属病院の空床でどのように対応していくかは発生地域や病状によって変わると思います。

 

記者

中小企業支援について、採用活動の縮小や内定者の扱いをどうするか。会社だけでなくこれから社会に出て行く若い人に影響が出てきていると思うが、知事の思いは。

 

知事

企業活動にとっては業種や規模や地域に関わらず影響も出ていますし、採用や雇用に対する影響も非常に大きいです。企業側はもともと人手不足の状況にあるので、一時的なものかもしれませんが、この局面をどう考えているのか。また、新規採用であれば大学や学校にも相談があると思いますので幅広く聞かなければいけません。

当面は非正規の方の就労機会の縮小や学校休校に伴ってパートにいけないという声が圧倒的ですが、おっしゃる視点も重要なので実態把握をしたいと思います。

 

記者

府が備蓄していたマスクを配布する件に関連し、今後政府で増産があるということだが、見通しが立たない中、府として今後の確保や備蓄態勢をどうするか。

 

知事

元々保健所等に保管していたマスクを感染症指定医療機関を中心に配布し、その他東日本大震災の支援用に保管していたマスクを市町村や社会福祉施設や救急指定の病院に配布しました。当然ですが、最低限我々が使う分を考慮しています。当面は増産を含めて需給がひっ迫しているところを、政府になんとかしてほしいのが本音です。それぞれの市町村や医療機関でも備蓄がありますので、そこは凸凹がないように府の配布分を考えます。国も一括購入して撒くと言っていますが、都道府県を通じて撒くことになるので、備蓄状況を見て本当に足りないところ、必要なところに配布するのが我々の仕事となります。

 

記者

流行がいつまで続くのか見通せない状況で、社会活動を抑制することと悪影響をおさえることとのバランスが難しいと思うがどう考えるか。これから重点的にどのような施策を打つか。

 

知事

3月6日の京都経済対策トップ会議で業種別に様々な声はあったのですが、一番の対策は早く終息させることだという声でした。感染拡大防止は、府民の皆様の命と健康を守る公衆衛生の観点から必須です。今回自粛しているのも感染拡大の防止のためです。府立高校も休業は春休みまで伸ばしましたが、試験や伝達事項もあり登校日を学年別にして集中しないようにするなど、感染リスクを避けて通常の社会経済活動をしていくことが必要になると思います。私も医療的な知見があるわけではないので、政府に対しても専門家の意見に基づく目途を出していただきたいと思います。

海外でも広がっていますし国内でもまだ拡大しているので、その段階がどこにあるのか私にもわかりませんが、注意すべき点が明らかになってきているので、感染拡大防止の線を決めていただいて日常に戻ることが大事だと思います。

 

記者

専門家の意見というのは。

 

知事

専門家会議が3月19日にあるので、ひとつの重要なメッセージになると思います。

 

記者

大阪で花見について「こういうところならしてもいい」というものを出したそうだが、知事として京都の花見はどうしたらいいか。

 

知事

市内では門川市長はお考えがあるようで、関西広域連合の記者会見でも話をされていました。二条城の桜のライトアップは、ただ見て通り抜けるという形でされるようなことでした。

屋外で距離が離れていれば花を見るだけではリスクは低いですが、「花見」の中に大勢が集まって飲食や近距離で語らう、コミュニケーションを前提とすると、感染者がいる場合、感染のリスクは高くなります。普通に花を見ることは止めてはいないです。やり方、形次第だと思います。

 

記者

府としてリーダーシップを取ってガイドラインは示すか。

 

知事

ガイドラインというよりも、感染症拡大防止の観点からそれぞれイベントとして必要性とやり方を検討してくださいと言っています。その一環として、花見についても、関係するものがあれば、感染拡大防止の観点で考えるしかないと思います。

 

記者

これから観光シーズンとなる。京都の観光業も終息後の影響が長引くことが考えられるが、情報発信や個人など小さな規模の観光業に対する対策はどのように考えるか。

 

知事

観光に対する影響が非常に大きいというのは認識していますし、現場からも非常にたくさんの声が届いています。京都の産業構造において、観光は大きな割合を占めており、産業全体に与える影響も大きいことから、全力で対応したいと思います。今日申し上げた中小企業対策は観光業支援にも関係しております。

今後の見通しについて言えば、国の緊急対応策の第二弾にもありますが、終息後すぐに、府もキャンペーンを張るためには、需要回復ができるような「助走期間」は必要だと思います。ただ、今の段階で「来てください」と言うのは難しいと思います。

総理も必要かつ十分な経済・財政対策が必要と述べられているので、そうした中で観光についても何からのメッセージを出していただければいいですし、我々もそれに呼応する形でなんらかのメッセージが出せたらいいと思います。先の方までキャンセルが入っていて見通しが立ちにくいところがありますが、終息すればいろんな手立てはあると思いますので、終息に向けて準備をしておく必要があると思います。

 

記者

観光業以外で知事が問題意識を持っている部分はどこか。

 

知事

京都はものづくり産業が多いですが、中国での部品供給や一部の製品を中国で作り、組み合わせているものもあり、中国のサプライチェーンの回復の問題があります。ものづくり産業については状況を把握しないといけないと思います。

経済全体が縮小していますので、そうした影響がかなりいろいろなところに出ています。人や物の往来が減っていますし、物流に影響が出ています。農林水産業も米は比較的長期保存ができるのですぐに影響があるわけではないですが、給食の問題や飲食店の外食が減っている影響が牛乳や野菜に、また、イベントが減っていることで花にも影響が出ています。かなり幅広く影響が出ています。ただ、観光はもともと占めているシェアが高く、海外だけでなく国内も減っているということなので、影響は大きいと思います。影響はすべての業種に及んでいると考えていいと思います。

 

 

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