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令和5年6月2日定例知事記者会見

令和5年度6月補正予算案の概要等について

令和5年度の6月補正予算案が概ね取りまとめられましたので、その概要を御説明申し上げます。

予算編成の基本方針

まず予算の編成方針についてです。これは、大きく二つの柱に分けていまして、一つ目は「事業活動や府民生活を守る施策の推進」、二つ目は「あたたかい京都づくりに向けた施策の推進」です。

まだ物価高騰等が府民の生活とか事業活動に影響を与えているという現状に鑑みまして、施策を推進するとともに、コロナの5類移行後も府民の安心・安全を守るために必要な施策の実施、それから、子どもたちの笑顔につながる取組への支援等、「あたたかい京都づくりに向けた施策の推進」して参りたいと考えています。

補正予算の施策体系

補正予算の柱建ては、資料の2ページに記載のとおりですので、中身について順次御説明をして参ります。

1.事業活動や府民生活を守る施策の推進

1(1)事業者の経営改善や省エネにつながる取組

まず「事業者の経営改善や省エネにつながる取組」ということで、一つは「金融・経営一体型支援体制強化事業費」で、2.4億円規模です。引き続き厳しい経営環境にあります中小企業等の事業継続、事業再構築を後押ししたいと考えていまして、当初予算と合わせますと、4.7億円規模ということになります。

(この取組は)当初予算で計上していますが、それを上回る要望が出てきていますので、それを踏まえまして予算をほぼ倍増させているということです。仕組みとしては、チャレンジ枠とステップアップ枠、それぞれにつきまして、取組を支援するものです。

下段は新規事業でございます「LPガス・特別高圧電力利用事業者経営改善支援事業費」9億円規模です。LPガスとか特別高圧電力を利用する中小企業等を支援するもので、中身は、省エネ機器やシステムの導入等を支援するものです。

それから次が、「農林水産業経営改善支援事業費」3.5億円規模です。これも内容が2つございまして、省エネ機器の導入ということで、これは物価高騰が長期化していますので、生産コストを削減する取組を支援していこうということで、遠赤外線の乾燥機や省エネ型のエアコン導入への支援。それから収益力そのものを強化したいということで、生産コストの削減、高付加価値化に繋がるような取組を支援したいと考えています。

下段は、「医療機関・社会福祉施設等経営改善支援事業費」7億円規模です。利用者への価格転嫁がなかなか困難な医療機関・社会福祉施設等の経営改善を支援するということで、経営コンサルタントへの委託とか、省エネ対策のための機器導入等を含めまして、医療機関等の持続的な経営を支援するものです。

それから次が「貨物自動車運送事業者等経営改善支援事業費」3.9億円規模です。これも燃料費高騰が続いておりまして、その影響を大きく受けていますトラック運送業、物流業の経営効率化を支援するものでして、荷物の積み下ろし作業の短縮のためのシステム導入等と、経営効率化に向けた取組を支援するものです。

真ん中は、「公衆浴場経営改善支援事業費」5000万円規模です。公衆浴場もエネルギー価格の高騰によりまして非常に厳しい経営環境にあります。公衆浴場の魅力の向上や集客力アップのためのリノベーション、また、専門家を活用した経営改善の取組など、そうした取組を支援するものです。

下段は、「伝統産業事業継続支援事業費」3000万円規模です。燃料費高騰が産地組合に大きな影響を与えています。ここが崩れますと、生産工程全体の存続が非常に危ぶまれるということで、ここは燃料高騰分を支援することにしています。

1(2)府民生活を守る取組

それから次は「府民生活を守る取組」ということで、「LPガス価格高騰対策費」9.5億円規模です。LPガスにつきましては国のエネルギー高騰対策の対象となっていないということで、LPガスを利用する消費者の方の負担を軽減するものです。販売事業者を通じて、1契約当たり3000円を上限に支援するものです。24万世帯程度を想定していますが、事業者を通じて、最終的には消費者の負担を軽減するためのものです。

それから下が、「地域商業活性化支援事業費」2億円規模です。これは商店街等のプレミアム付き商品券の発行を支援するものです。

次が、「地域公共交通支援事業費」3000万円規模です。地域の足を守るために地域公共交通事業者を支援するもので、府内の広域路線の運行を維持していただいております乗り合いバス事業者に対して、これは燃料費の高騰分を支援するものです。

1(3)5類移行後の府民の安心・安全を確保する取組

それから下がコロナの関係で「5類移行後の府民の安心・安全を確保する取組」ということで、「新型コロナウイルス感染症対策関連事業費」2.4億円規模です。これも新たに外来診療や入院受入を行う医療機関が施設整備をする費用と、それから、9月末まで移行期間がありますので、そこまで必要な予算を足す分と、入院待機ステーションや、宿泊療養施設の運営については、廃止しているものがありますので、それについては、当初予算に計上したものから減額をしておりまして、合わせて2.4億円規模ということです。

 

2.あたたかい京都づくりに向けた施策の推進

2(1)子どもたちの笑顔につながる取組

二つ目の大きな柱が「あたたかい京都づくりに向けた施策の推進」ということで、まず「子どもたちの笑顔につながる取組」です。これは先日の記者会見で御紹介いたしましたが、ビル・ゲイツ氏から書籍の寄贈がありました「人生で読んだ最高の本5冊」について、寄贈の趣旨を踏まえまして、高校生などがその思いに触れて、読書によって豊かな感性を育む機会を創出したいということで、全体500万円規模です。5冊を高校等に配布して、なぜ、氏がその5冊を選んだかということの探求や、読書そのものが人生を豊かにするということについても考察していただければありがたいということで、配布するだけではなく、ポイントを解説動画で配信したり、解説付き授業コンテンツを配信したり、読んでいただいた後に、英語によるスピーチ動画を公募し、優秀作品を配信するなど、せっかく本を贈っていただきましたので、その思いを出来る限りその趣旨に沿って、高校生たちに感じてもらえる取組として、最終的にはそういう取組について、ビル・ゲイツ財団やビル・ゲイツ氏に伝えたいと考えています。

次が、読書の関係ですけれども、「子どもの読書活動応援事業費」6,000万円規模です。府内全ての小中高生の豊かな学びの環境を創造することとして、タブレットが普及したということもあり、電子書籍サービスを充実したいと考えています。利用を希望する児童・生徒等に対してIDを付与して、各自のタブレット端末で興味ある図書を閲覧出来るようにするものです。購入予定図書の例を記載していますが、これらを配信していきたいと考えています。

次が、「きょうとこどもの城等特別支援事業費」1,000万円規模です。子ども食堂やこどもの居場所等のイベント開催や食事提供の経費を支援するものです。今回(新型コロナの)5類移行後初めての夏休みを迎えるということになるので、子ども達が笑顔になるようなバーベキューとか遠足などのイベント開催や、食材費の高騰分に対する支援をしようと考えています。

それから(資料12ページ)下段は、「子ども給食臨時支援事業費」2.3億円規模です。これは物価高騰が続いていることから、食材費の高騰分を支援して、保護者負担をできる限り軽減するものです。

2(2)京都の活力を向上させる取組

それから、「京都の活力を向上させる取組」ということで、一つ目が「京都リカレント教育推進プラットフォーム強化事業費」2,000万円規模ということです。リカレント教育推進機構を作っていますが、その体制を更に強化するということで、参加団体を増やしたり、新たな研修プログラムの開発等もしたいと考えています。

真ん中が、「府内産農林水産物加工食品等販売促進事業費」1,000万円規模です。首都圏での販促イベントや商談会への出展を支援して参りたいと考えています。

一番下が、「地域公共交通利用・府域周遊促進モデル事業費」1,000万円規模です。公共交通機関を利用した府域の周遊観光を促進するということで、イベントや、抽選での府内産品のプレゼント等を行うものです。

2(3)市町村と連携した新たなふるさと納税の取組

それから、「市町村と連携した新たなふるさと納税の取組」ということで、3.6億円規模です。

ふるさと納税制度を活用して「あたたかい京都づくり」を全般的に推進したいということで、返礼品を市町村と連携して提供し、寄付金を市町村に還元をしたいと考えています。(資料14ページの)下の括弧に書いていますが、寄せられた寄付につきましては、必要な経費を除いて、市町村と京都府でそれを折半しまして、市町村に対する支援と、我々の総合計画の中の、8つのビジョン等に沿った、府の事業に活用していきたいと考えています。府としては、これまでも文化財の保護等、様々な形で寄付はいただいていましたが、返礼品の提供による寄付の募集を本格的に実施したいと考えています。府域の均衡ある発展ということで、市町村によって、今もふるさと納税の活用状況にはかなりばらつきがありますので、その辺りにも着目しながら、市町村に対する支援も強化をしていきたいと考えています。ふるさと納税は元々、それによって地域の魅力の磨き上げや、地域と寄付者との交流も促進されるということで、そうしたものを目指していきたいと考えています。

2(4)あたたかい京都づくりを支える基盤整備の加速

それから「あたたかい京都づくりを支える基盤整備の加速」ということで、「道路整備等の公共事業」39.3億円規模です。

例示として、道路を中心に書いていますが、この事業によって供用時期が早くなったり、施工の促進が図られるというものです。

予算案の規模

(予算案)全体の規模は、令和5年度の現計予算が1兆303億円で、今回の6月補正予算が95億円台ということで、補正後予算額が1兆398億円でして、令和4年度の6月補正後予算と、令和5年度の今回の補正後予算を比べますと、変動幅が非常に大きい営業時間短縮に対する協力金を除くと97.7%です。

その他の案件

その他の提出予定議案

予算に関する説明は以上ですが、その他に1件、新型コロナウイルス感染症に関しまして御報告申し上げます。

なお事案の詳細につきましてはこの後、担当部長から御説明させていただきますので、私からは概略について申し上げさせていただきます。

令和3年5月に、京都府が運営する宿泊療養施設で療養中の患者の方が亡くなられた出来事がございました。この間、検証委員会を立ち上げまして、医師などの専門家による検証を進めて参りましたが、その中で、遅くとも患者の酸素飽和濃度が88%に下がった時点で、入院させるための措置をとるべきであったにも関わらず、これを怠った過失があり、当該過失と死亡との間には因果関係が認められ、京都府には本療養者に生じた損害を賠償する責任があるという医学的な鑑定などの結論をいただいたところです。

改めまして、亡くなられました方の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、御遺族の方に対し、衷心よりお悔やみを申し上げます。

本件につきましては、御遺族にお詫びを申し上げますとともに、経過と結論をお伝えし、賠償責任についても話し合いを続けてきたところですが、この度、御遺族との話し合いがまとまりましたので、損害賠償の額を定める議案を6月定例会に提案することといたしました。

事件発生当時、京都府では、このような出来事を二度と起こさないように、直ちに居室への緊急立入基準の策定や、パルスオキシメーターの機種統一と操作手順の徹底、看護師長や看護師の増員など体制の強化、酸素飽和度の24時間遠隔モニターの導入といった対策に取り組み、以後、宿泊療養施設の運営終了に至るまで、同様の事例が発生することはございませんでした。

これまでの未知の感染症との戦いの中で、様々な対策を講じて参りましたが、今回の出来事は今後も起こりうる新興感染症対策などにも活かして参りたいと考えています。

最後に

最後に資料はお配りしていませんが、大雨について一言申し上げます。

台風2号の影響を受けた非常に活発な梅雨前線の影響により、現在府内全域で大雨警報が発表されているほか、南部では洪水警報や土砂災害警戒情報が発表されているところです。

既に「高齢者等避難」や「避難指示」が発表されている地域がありますが、今後も降水量が増える見込みです。引き続き、気象情報や市町村が発表する避難情報に御留意いただき、御自身の命を守る行動をとっていただきますようよろしくお願いします。

私からは以上です。よろしくお願いいたします。

質疑応答

記者

補正予算について、物価高騰対策が中心ということだが、物価高騰の影響は幅広く、これまで団体などから様々な要望もあったのではないかと思うが、どういった考えで今回の補正予算を編成したのか。

知事

物価高騰対策については、当初予算や4月補正予算の中でも緊急支援を実施したところですが、4月の消費者物価指数が前年同月比で3.0%増と中長期的に上昇が続いていますので、引き続き府民生活や事業活動に影響が生じているというのがベースの認識です。

今回、大きく二つの視点から編成したと申し上げましたけれども、長引く物価高騰が事業活動や府民生活に深刻な影響を与えているということで取り組むものです。

特に力を注いだのは、エネルギー価格の高騰に対して効果が発揮できるように、省エネ設備等の導入について、ある程度期間を長く設定して、導入による経営改善の効果が出るようにしているということが一つです。

もう一つは国のエネルギー対策の対象となっていないLPガス利用者への支援を講じるということです。これは事業者側にも行いますけれども、利用者の方への支援も行うということで、両方合わせるとかなりの額をつぎ込んでいます。

それから、コロナ対策についても、5類に移行しましたけれども、9月末までは移行期間ということですので、その間の対策を万全するために措置するものということです。

2点目の項目では、子どもたちが笑顔になるようにということで、これは従来からの子育て環境日本一の実現に向けた取組の一環です。今回、ビル・ゲイツさんからの書籍の寄贈の話もありましたし、そういう意味では子どもたちの笑顔につながるような施策を出させいただいたということです。

併せて、社会人教育の充実の取組もありますし、最後のふるさと納税の話は、これも全体の話になりますが、できる限り財源を確保して事業を推進していくためにも、財源を独自に確保する努力をしていく必要があるということから、初めての試みですが、やらせていただくということです。

記者

今、各都道府県から補正予算の発表が相次いでいるが、京都府ではLPガス利用者への支援は別として、消費者への直接給付よりも事業者や業界への間接的な支援が多いと思うが、その辺りの考え方を伺いたい。

知事

国が全体として物価高騰対策についての考えを示していて、我々の財源として配布されている交付金の使い道についても推奨する事業が示されています。物価高騰対策のべースの部分は、国の対策において講じるというのが大前提です。その上で、地域特性に合わせてきめ細かく対策を講じるようにという思いで交付金が交付されていると考えていますので、できる限りその考え方に沿ったということです。

財源に限りがありますので、かなり大きな額が必要となる給付に使うとなると、きめ細かな対策は出来ません。唯一、LPガスについては、国の対策の対象になっていなかったのと、全国的にもLPガス利用者への対策の必要性が語られていましたので、非常に厳しい財源事情ではありましたが、何とか財源の範囲の中で、都市ガス等の利用者への支援とほぼ同じレベルの額ということで、3,000円を支援することとさせていただきました。

記者

ふるさと納税について、このタイミングで返礼品を充実させて京都府としてもふるさと納税に力を入れていく理由は。また、市町村と連携して取り組むことになると思うが、一方で京都市など多額の寄付を集めているところと競合する可能性はないのか。

知事

ふるさと納税については以前から財源確保の一つのツールとして活用できないかという思いもありましたが、返礼品を導入するということで、都道府県の取組としてはあまり全国的にも例がなかったところです。

京都府としては、当然ふるさと納税の制度の趣旨を守りながら、どうやって活用しようかという検討をずっと重ねてきましたが、やはり財政は非常に厳しいので、新しい総合計画に基づく事業をやっていく上では、このタイミングで新たな財源を模索する必要があるのではないかと考えたということです。

また、府域の均衡ある発展という観点に立てば、市町村への支援も強化したいし、一方で、市町村によってかなりふるさと納税による税収にばらつきが多いということで、その辺りについて、是正というよりも、それに対する手当てをして欲しいというような希望もございましたので、新しい仕組みを作ろうというふうに決めた訳です。

競合という点では、元々財源を取り合うつもりは全くなく、京都府とそれぞれの市町村を合わせた全体として財源が充実するようにということを考えています。

そういう意味では、京都市なんかは全国的に見てもふるさと納税を最も活用されてるところですし、そういう観点に立てば、京都市に対して我々が何か支援を行うという必要性は少ないと思いますし、かといって、京都市と取り合うというようなつもりもありません。

返礼品をどうするかといったことについては、これから制度設計していく中で決めていきますけれども、どちらにしても市町村との連携に当たっては、市町村ときちんとお話をした上で、事柄は進めていきたいし、できればウィンウィンと言いますか、市町村にとっても京都府にとっても財源の確保に繋がるような取組につなげていくつもりです。具体的な細かい制度設計はこれからなのですが、基本的な考え方はそういうことです。

記者

寄付額の目標はあるのか。

知事

今のところないのですが、3.6億円規模のうち、いただいた寄付額を基金に積み立てる分として2.4億円としています。この金額は令和3年度の都道府県実績の平均額です。

記者

他の都道府県において、市町村と連携したふるさと納税を実施している例はあるのか。

知事

つぶさに把握している訳ではありませんが、以前に鹿児島県で実施されていたものの、今実施している都道府県は無いと聞いています。逆に言えば市町村の協力なしに実施することが出来ないものであり、なかなかチャレンジングな制度だと私自身は考えています。

ただ、今の制度の仕組み上は、市町村と連携したふるさと納税を実施することに別段の制約はありません。最終的には、予算化された後に総務省に申し入れて、了承いただかなければならないという過程もありますので、その中で様々なチェックが働くと考えています。

記者

総務省もいろいろ考えを示していると思うが、その考えに反するものではないということか。

知事

はい、そうです。

記者

市町村と連携したふるさと納税について、市町村にある程度説明していると思うが、今どれくらい理解が得られているのか。参加する市町村はどれくらいあるのか。

知事

全ての市町村を回って説明した上で、今日こうした形で補正予算案として発表しており、京都府がこういった制度の構築に向けて進めるということについては、市町村から理解を得ています。特に、ふるさと納税がなかなか積み上がっていない市町村からは、この施策に対する期待が大きいと考えています。もちろん、(府と市町村で)返礼品が完全にバッティングして邪魔し合うようなことはあってはなりません。市町村からはそういった配慮をして欲しいことは、当然お伺いしています。一方で、市町村と京都府が一緒になって、京都全体でふるさと納税が増えればいいとも言われており、そこは制度設計の工夫次第だと考えています。

最終的にどれだけの市町村が参加し、どうなるのかはこれからの事ですが、私の思いとしては、できる限り幅広く参加していただくよう努力すべきだと考えています。ただし、スタート時点からすぐに市町村が揃うかについては課題があると考えています。

記者

ふるさと納税制度自体について、自治体間でのアンバランスが生じているが、知事はどう評価しているのか。

知事

元々は、まさにこの名前が示しているように、今は住んでいないが、昔お世話になったり育てられた地域に対して、感謝の気持ちから、その地域の施策に使っていただくために納税するというのが大前提です。その中で、ただ納税するよりも若干のインセンティブがあった方がいいのではないかということで返礼品制度が出来ました。ただ、当初は産地がその地域かどうか分からない返礼品もあったりして、一旦加熱したものが、その後、過度な返礼品が段々と制限され、適正な制度として運用されていると考えており、今の制度自体にそれほど大きな問題があるとは考えていません。

ただ、京都の立場に立てば、京都に納められるべき税金が明らかに他に納められている方が多いので、やはり行政の立場としては、もう少し我々の方でも財源確保の努力をしなければならないと考えています。努力する道が閉ざされている訳ではないので、今回そういう措置につながったということです。

ふるさと納税の本来の趣旨は、お世話になった地域に対して何らかの貢献をするとか感謝の気持ちを表すというのがまず根っこの部分だと思います。それが色々と変形していて、公益目的や災害時の支援、我々は文化財という趣旨を加えた形でやっていますが、そこに住んでいないが貢献したいという思いを納税という形で表すことについては、私は一定程度理解しています。ただ、あまりに過度な返礼品の競争はあってはならないと考えています。

記者

京都府と市町村が連携して行う場合でも、結局、良い返礼品を出せる市町村に税収が入ってきて、良い返礼品を用意できない市町村が税収を得ることは難しいということになるのではないか。

知事

今回の制度は、京都府が乗り出すことで、返礼品をより魅力的なものにするお手伝いをするものであり、単独では税収を稼げない市町村を支援するという形になっているので、逆にそういう所こそ支援の対象と考えています。

記者

府のコロナ感染症患者の宿泊療養施設で患者が亡くなられたことに対する損害賠償の件について確認ですが、この患者の死亡とパルスオキシメーターの読み間違いとの因果関係を認められるということか。

知事

そうではありません。5月23日の時点で酸素飽和度が88パーセントに低下したことが確認されており、そこで入院措置が取られていれば死亡は回避できたのではないかということです。パルスオキシメーターの誤認はその後に起きたことです。パルスオキシメーターの誤認が起きる前の段階で、入院措置をとるべきであったので、パルスオキシメーターの誤認に対する法的責任は無いというのが、検証委員会で検証いただいた結果です。酸素飽和度が88パーセントになったことを確認した時点で入院措置を講じるべきであったということが死亡との因果関係として、医学的な鑑定で明らかになったということです。パルスオキシメーターを誤認した段階では既に、その前の段階での措置を怠っていたということです。

記者

なぜそういったことが起こったのかの分析はどうか。

知事

その時に担当されていた医師や看護師の方の中で、そうした判断が出来なかったということです。報告の中では、若干不慣れな業務であったことや、非常に感染者が多く、かなり多忙であったことなど幾つかの要因が指摘されています。総体的な管理体制、医療体制の問題についての責任だということで、医学的な鑑定を受けています。

記者

京都府としての一番の課題はどこにあったと考えているのか。

知事

連絡体制や宿泊療養施設の中で読み取った酸素飽和度の数値の担当者間での共有が一番かもしれません。酸素飽和度が93パーセント以下であれば入院を検討すべきだったところであり、88パーセントであれば即入院調整しなければいけなかったはずでしたが、その88パーセントという数値が施設の中で共有出来なかったことで、入院コントロールセンターに情報が届いていませんでした。そうした情報の共有の部分が一番大きいと考えています。

記者

コロナ患者への損害賠償については、議会に諮らず、専決としてもよいのではないか。そうしない理由があるのか。

知事

損害賠償の額を定めるのは、地方自治法上、議会の議決を要するので、議会に提案するものです。また、議会側の意識としても、できる限り専決によらないという意識を持って運営されています。

記者

議会には初日に提案し、議決を求めるのか。

事務方

今のところは、慌ててこれを議決いただく必要はなく、むしろ内容を審議いただいた上で議決いただく通常の手続きに則る案件だと考えています。

記者

昨日、国の子ども未来戦略会議が子ども未来戦略方針素案を作ったが、それに対する評価や期待することを教えてほしい。

知事

昨日示されたものは当然まだ最終案ではないと考えています。全体のスケジュール感として、元々は骨太の方針が最終ゴールかと思っていましたが、年末の予算編成を経て戦略を決めると言われているので、今示された戦略の方針素案について、すぐに評価するべきではないと考えています。

(方針素案には)元々言われていた様々な負担軽減策も盛り込まれていますので、一定少子化対策の施策が前に進むという意味においては評価できると思いますが、全体像について評価する段階ではないと考えています。

記者

財源についても色々と議論されているが、その辺りについてはどう考えているか。

知事

子どもに関する施策だけでなく、どのような施策であろうと、財政出動が伴うものをやろうと思えば必ずその財源が必要になってきます。行政の役割としては、まずは徹底した歳出改革により財源を生み出して、新しい施策に振り向けていくというのが基本です。その上で不足した分を、例えば税やその他の保険など色々な財源がありますけれども、誰かが負担しなければならないということで、負担を分かち合うことが必要になってきます。

ただ、重要なのは、その財源を活用して実施する施策が、国民にとって納得できるものであることです。やはり施策とセットで、財源についても議論すべきではないかと考えています。今この段階で少子化対策が必要で、その手法がこういうものだということについて、幅広く国民の理解を得るということが、政府としては必要なのではないかと思います。

もう少しだけ突っ込んだ話をすると、私が総合計画の中で、社会で子どもを育てる京都を作りたいとした意味は、別に負担を意識して言った訳ではありませんが、子育て世帯に関する施策を子育て世帯だけで負担するのではなく、皆で幅広く負担していくというものです。それが我が国にとっても重要だということを理解してもらう努力を、施策を推進する側の方で怠ってはいけないというふうに考えています。

記者

本日厚生労働省から、人口動態統計の概数が公表され、全国の合計特殊出生率は1.26で過去最低であり、京都も1.18で過去最低レベルであった。一方で、京都では婚姻数が前年より増えていた。そういったことを踏まえて知事の受け止めと、今後の取組について教えていただきたい。

知事

京都府の数字は1.18ということで、令和3年が1.22だったので0.04下がっているということです。全国順位は41位から40位に上がったということですが、あまり大差はないと考えています。全国も令和3年の1.30から1.26になったということなので、0.04下がっており、全国も同様の傾向だということで、厳しい状況が続いているという認識は全く変わらないです。

ただ御指摘がありましたように、婚姻率が微増になっているということですが、ここはもう少し詳細に分析しないと、婚姻率の上昇が、(出生率に)どう影響するのかは分からないと考えています。

ただ、私どもは子育て環境日本一推進戦略の中で、2040年に京都の合計特殊出生率が全国平均並みとなることを目指すという目標を既に掲げており、そこはもちろん変えるつもりはありません。また、子育て施策について、よりウエイトを高めていくという思いは全く変わリません。国が次元の異なる少子化対策を打ち出したということも、我々と同じ問題意識だと考えています。我々としては、国の施策も活かしながら、この秋までに、子育て環境日本一推進戦略の改定をすると言っていますので、今、国の動向も見ながら、様々な分析をしたり、有識者の方の意見を伺ったりしています。私も直接出向いて、子ども家庭庁の長官とも意見交換をさせていただきました。もちろん、京都は京都ならではの施策もしないといけないし、それが国全体の施策を動かすような力になれば、もっと良いことであり、まずは秋に向けた戦略の改定に全力を挙げていきたいと考えています。

記者

ビル・ゲイツ氏からの書籍寄贈に対して、前回の定例会見後に知事からの御礼の手紙をホームページにアップしたが、その後、ゲイツ氏側から反応はあったか。

知事

少なくとも私のところには反応はありません。

記者

寄贈された書籍を府立植物園で展示しているが、府民の方からの反響をどのように感じているか。

知事

府民の方にはそれなりに興味を持っていただけていると考えていて、府立植物園での展示期限を当初より延ばすことにしました。ただ、まだまだゲイツ氏から寄贈があったことを御存知でない方も多く、私の話を聞いてびっくりされることも多いので、ビル・ゲイツ氏の思いをまだまだPRしなければならないと考えています。

書籍寄贈の話を知った方は、「どうして府立植物園を選ばれたのか」や「なぜこの5冊なのか」と聞かれますので、今回の予算の中でビル・ゲイツ氏の思いを伝えることや、高校生向けに論点の解説をしたいと考えています。ただ本が5冊寄贈されたというだけでは、特に青少年のレベルでは理解の進まない可能性もあるので、まずそこから着手します。

今回の取組である程度いい感触が得られれば、単なる私の謝意だけではなく、「京都の若者がこう受け止めました」といった、寄贈いただいた趣旨に応える材料も含めて、財団に返答するのがいいのではないかと考え、6月補正で予算化をしました。

まだまだ発展途上の取組ですが、もう少し取組を広げていきたいと考えています。

記者

本日、京都出身の上岡龍太郎氏が亡くなられたことが発表されたが、何かコメントはあるか。

知事

上岡龍太郎氏は京都府ゆかりの方で、私も子どもの頃から京都におりましたので、当然小さい時から知っています。私はあの語り口が好きで、まだまだ御活躍をされると思っておりましたので、非常に残念な思いです。心から御冥福をお祈りいたします。

記者

各種会議の情報公開のあり方についてお聞きしたい。先日の「未来京都・人づくり懇話会」は、せっかくの前向きな話であるものの、冒頭のみ公開で、その後は非公開だった。また万博の基本構想に向けた会議(「大阪・関西万博きょうと基本構想検討会」)も同じ形式であった。取材している側は中身を見て記事を書きたいと考えている。非公開とする理由を聞いてもよく分からない部分があったが、どういう基準で公開、非公開を決めているのか。

知事

出席者の方の意向や個人情報が扱われる時は別にしても、原則公開するべきだと考えています。

「未来京都・人づくり懇話会」については、どんな話になるかも分からない状態で、とりあえずの顔合わせとして一回やってみるということでシナリオもないということで、冒頭以外は非公開としました。出席者の方も「こういう議論でこういうことをやってもらう」ということであれば公開の判断もしやすくなります。この会議について言えば、1回やりましたので、今後は公開を検討する余地はあると考えています。

また、公開することによって議論がしにくくなったり、発言がしにくいというメンバーの意向があれば、そこは調整が必要だと考えていますが、基本は公開すべきと考えています。

 

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