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令和6年4月26日定例知事記者会見

「京都省エネ家電購入キャンペーン」の開始について

1点目は「京都省エネ家電購入キャンペーン」の開始についてです。

京都府では、京都議定書誕生の地として、国に先駆けて、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを宣言し、気候変動対策を進めているところです。

その一環として、府内の温室効果ガス排出量の約4分の1を占める家庭部門の排出量削減を進めるため、一定以上の省エネ性能を有する家電を購入した府民の方に最大2万円相 当の特典を還元するキャンペーンを、明日4月27日(土曜日)から開始します。

別紙に記載している対象店舗で対象製品を購入いただくと、5千円から2万円相当の申請チケットを進呈いたします。

この申請チケットは、専用サイトにおいて、府内店舗でのみ利用できる地域電子マネー「京都省エネポイント」や、府内産農産物等に交換していただけます。

なお、特典への交換申請は5月10日(金曜日)から開始します。

今回の取組を通じて、脱炭素型ライフスタイルへの転換のきっかけとしていただくとともに、地域限定電子マネーの利用等による地域活性化にも繋げていきたいと考えていますので、周知についてよろしくお願いします。

「京都省エネ家電購入キャンペーン」の開始について(PDF:5,807KB)

京都アリーナ(仮称)に係る公募型プロポーザルの実施について

2点目は、屋内スポーツ施設・アリーナの整備についてです。

京都府では、屋内競技と自転車競技を合わせた府内スポーツ振興の拠点として、向日町競輪場敷地において検討しているアリーナの機能とその規模の概要を決定しましたので、発表させていただきます。

アリーナに求める機能として、国際大会やプロリーグなどの観戦機会を提供できる施設として8千人以上の収容を想定し、インターハイの府予選決勝、日常的に府民の方がスポーツに親しめる施設として整備します。スポーツ以外にも、音楽やイベント、ビジネスマッチングなど、多用途利用に対応し、競輪事業との相乗効果を図ることを目指します。

オープンの時期は令和10年度を想定しており、令和11年度に競輪場全体のリニューアルオープンを予定しています。

また、アリーナの整備・運営に当たっては、民間事業者のノウハウや創意工夫を最大限に引き出すために、事業手法等も含めた幅広い提案を受け付ける公募型プロポーザルを近日開始いたします。府民負担の軽減や利用者満足度の向上が重要であると考えており、設計施工から維持管理運営までの一括提案を求めることにより、維持管理運営を見据えた効率的かつ効果的な事業実施を期待しています。

より良い提案を受け付けた上で、整備・運営に係る詳細を決定してまいりますので、周知についてよろしくお願いいたします。

私からは以上です。

京都アリーナ(仮称)に係る公募型プロポーザルの実施について(PDF:193KB)

質疑応答

記者

省エネ家電について、これまでにも省エネ家電の利用促進キャンペーンをされていたと思うが、実際に温室効果ガスの削減にどの程度繋がるのかについて、過去の事業で検証をされた上で実施されるのか。

知事

過去の事業はLEDや冷蔵庫等を対象に行いましたが、予算規模が小さくて抽選の応募で2020年度は約300件、2021年度も約100件という実績で効果測定をできるほどのレベルではありませんでした。

今回は全体で2万3,000件、エアコン1万件、冷蔵庫は1万3,000件を想定しています。過去のことは分かりませんが、今回のキャンペーンの温室効果ガス排出量の削減効果は家庭部門で約0.06%、全体で約0.02%と試算しています。一つ一つのエアコンではかなりの削減効果がありますし、家庭部門全体でもかなりの効果があると見込んでいます。

記者

対象店舗数が約160店舗あり、その内訳を見ると全国展開の店舗も多い。先ほど知事は「地域活性化にも繋げたい」と仰られたが、東京資本の店舗も多いと思う。地域経済という意味ではどこまで活性化に繋がるか疑問があるがどうか。

知事

私が「地域活性化」と言ったのは、対象製品を購入する店舗もさることながら、還元するポイントを利用できる店舗についてはそういう効果もあるのではないかということです。省エネ効果を得るためにやるので、(エアコン、冷蔵庫を)買い換えてもらうためには使いやすい店舗の方がいいですし、地域活性化という観点に立てば、還元についてははできる限り地元地域で使ってもらっていただけるようにしたいという意味で申し上げました。

 

記者

アリーナの予算規模は大体どのぐらいを想定しているのか。

知事

今回のアリーナ整備の予算額につきましては、この公募が終わった後、最終的に提案を受けてから、議会への提案など必要な手続きして決めていきますが、求められる機能や規模を満たした施設を公共工事で整備した場合として、他の事例等を参考にして積み上げたところ、概算で約340億円となりましたので、公募する際には、この約340億円という数値を参考として示したいと考えています。

あらかじめ事業スキームや府の負担上限額などを設定せずに、民間事業者の自由な提案を求めていきますので、公募を通じて、できる限り府民負担の軽減を図っていきたいと考えています。

記者

向日町競輪場の基本構想では、事業費は70億円から80億円だが、これとは別に340億円かかるということか。

知事

競輪場の整備とは別です。

記者

もともと、向日町競輪場(敷地全体)のリニューアルオープンは、令和11年度となっているが、アリーナがその1年前倒しでオープンするというのは、何か急いでいる理由があるのか。

知事

別に急いでいるわけではないです。工事の施工のスケジューリングをしていかなければいけないので(競輪場とアリーナの)工事が重ならないように、できれば前倒しでしたいと考えたのと、工事の規模を考えても、アリーナの方が前倒しできると考えたということです。

ただ、その目途で提案を受け付けるということなので、具体に工事や工程、事業の概要の詳細が決まれば、もう少しきちっとしたスケジューリングをしていきたいと考えています。

記者

全国的にアリーナができている中で、知事としてどのようなアリーナにしたいと考えているのか、また、どのような経済効果を得たいと考えているか。

知事

競輪場と一緒にアリーナを整備するということですし、今も競輪場ではサイクルスポーツ等のイベントもやっており、子どもから、年齢層の高い方まで利用していただいておりますので、そういったスポーツ施設としての拠点性を持たせることによって、相乗効果を出して、人が集うような所にもしたいと考えています。それからアリーナにつきましては当然、バレーボールとかバスケットボールなどの室内競技もありますけれども、それ以外にも、コンサートのような文化関係のイベントですとか、先ほど説明しましたビジネスマッチングとか、そういうその他の機能も持たせたいと考えています。

また、交通アクセスが非常にいい場所ですので、現地もさることながら、京都市南西部から乙訓地域にかけての全体の地域活性化、さらには、アクセス機能を使ってできる限り広い範囲に、地域活性化の効果が波及するような施設として整備したいと考えています。

記者

(アリーナに求める機能として)屋内スポーツのチームがホームアリーナとして使用とあるが、沖縄県でもアリーナができて世界大会が開かれたりしている。府内に拠点を置くチームがホームアリーナとして使用する考えはあるのか。

知事

プロリーグに参加している府内のプロスポーツチームにより活用していただくことは前提としていますが、それは最終的に利用の形を決める時に決まってくると思います。

8千人規模と言ったのは、国際大会等の開催における必要最小限の規模要件となっていますので、そうしたものが開催できることで、特に若い世代の方にトッププレーヤーのプレーを間近に見ていただくことで、将来の夢や憧れの地になればいいなと考えています。

記者

具体的に考えられているチームはどこか。

知事

おそらくハンナリーズのことを仰っていると思うのですが、屋内スポーツ競技のプロチームとして存在がある訳ですから、この間、意見を聞いてきましたが、最終的にどうされるかは整備側として管理・運用をどうしていくかということと、利用する側としてチーム側がどう判断されるかということです。当然、その(ハンナリーズのホームアリーナとしての)利用については念頭に置いた施設整備だと考えていただいていいです。

記者

ハンナリーズからの要望はあったのか。

知事

元々アリーナ整備については、府内の屋内スポーツ競技団体から施設整備の要望は出ていましたので、その傘下におられる方にとっては、その要望に沿った形での整備をさせていただきたいと考えています。

記者

もともとある向日町競輪場の基本構想の中にアリーナを追加で盛り込んでいくのか、その構想とは別にアリーナの基本構想を作っていくのか。

知事

競輪場の施設整備そのものは今回のプロポーザルには入っていませんが、競輪場を含めた敷地全体のコンセプトについては併せて提案いただこうと考えています。

競輪場施設にはかなり特殊なノウハウが必要なので別にしていますが、(競輪場を含めた)全体の施設配置や使い方や、敷地全体のコンセプトについても併せて提案いただきたいと考えています。競輪場の整備についてもその提案を活かしていきたいと考えています。

記者

アリーナについて、今回公募型プロポーザルで提案を募集されるということだが、知事としてはどういった提案を求めたいのか。

知事

まずアリーナというのは、いろいろな所で整備途上のものもありますし、既に完成したものもあり、そういう中で一番新しいものとしてできるのであれば、亀岡のサンガスタジアムがそうでしたが、そうした最近のアリーナの建設を前提としたものであり、かつ最新のものを提案してもらいたいということが一つです。

もう一つは設計施工から維持管理、どういう風に使うかというところまで募集しますので、そこは非常に工夫をしていただいて、できる限り府民負担の軽減に繋がるような提案をいただきたいと考えています。屋内スポーツでの利用もありますが、イベントでの利用も前提としていますので、そうしたことも含めてできる限り府民負担が軽減するような、すなわち多くの方に利用いただける施設になるような提案を望みたいです。

記者

最新のものというのは技術的なことか。先進的なものにしたいということか。

知事

最近ですと、映像とか音響のような設備も入っていますし、観客席からの見え方など、ノウハウがどんどん蓄積されて進化しています。

もちろん敷地や構造的な制約はありますが、そうした最新の知見を活かしたような提案を、当然そうした提案が出てくるとは思っていますが、期待しています。

記者

今日、向日市の市民団体が、アリーナの建設に関する説明を求める要望書を府に提出した。知事が先月に建設地を表明してからこれまでに、向日市の住民への説明会など説明の機会はあったのか。今後、府として地域の住民にどう説明していくのか。

知事

今御質問があったような、いわゆる組織としての府民への説明会は今まで行っていません。これはできる限り早急に行っていきたいと考えています。今まで説明する材料があまりなかったということもありますが、本日概要を発表して、公募の時にはより詳細な形になりますので、それに基づいて説明会についてはぜひ開催したいと考えています。

総論で申し上げれば、これはどんな施設もそうですけれども、施設を作るということについては、いろいろな意味で地域への影響が非常に大きいですし、地域の方の関心も高いので、当然ながらその地域の皆様の声をお聴きします。施設の本体の整備についての意見も当然あると思いますし、交通事情も含めた周辺環境への御意見もあるので、府民の皆さんの意見をできる限り反映したいと考えています。

記者

京都アリーナ(仮称)について、先ほど知事は「交通アクセスが良い」と発言されたが、個人的に交通アクセスが良いと思えない。阪急で京都河原町・烏丸から東向日あるいは西向日駅で降りることになるが、特急が停まるわけでもない。駅からも遠い、周辺道路も広いとは言えない。そこに8千人が集中したらどうなるのかという懸念もあるが、知事の考えはどうか。

知事

アクセスという意味では、JR京都駅や、阪急西京極駅からの駅の数、それから高速道路からの近接性ということで申し上げました。

ただし、仰るように、元々向日市内は道路が狭いし、乙訓地域は全体的に住宅が密集している地域でもあります。それこそまさにこれから地元の皆さんと、どうやって行催事の際の交通アクセスを良くしようかということを議論する必要があります。

しかも、自家用車なのか、公共交通なのか、その辺りはまさにこれから分析しなければならないと考えています。ご指摘の問題点は当然だと思います。

ただ一方で、歩く距離については、サンガスタジアム整備の際、駅に同時期に人が集中してしまうので、駅からの距離が近すぎるという話もあって、本来どこのスタジアムでも駅から一定の距離があって、その道中に様々な魅力的な空間があれば良いなど、様々な観点があると考えています。

私が発言した趣旨としては、鉄道路線が比較的近接していて交通アクセスが良いということで、仰るようにアリーナ周辺における人の動き等については、地元の向日市の意見が重要だと考えていますので、地元とよく話し合って、きちんと捌けるようにしたいと考えています。

記者

アリーナについて、2028年度の完成予定ということだが、バスケットボールBリーグの「Bプレミア」という新しいカテゴリが誕生する中で、初年度(2026~2027年シーズン)の参入には、今年9月末までの事業者の選定と、2028年秋までの完成確約が要件となっている。もちろん、ハンナリーズだけのために整備する訳ではないと理解しているが、この辺りのスケジュールは意識されているのか。

知事

「Bプレミア」のスケジュールは当然、意識しており、それもスケジュールを決める一つの判断要素です。ただ、それだけかと言われると、そうではありません。作るからにはいい試合をたくさんやっていただくとか、観客動員という面で、府民負担の軽減を図ることを考えれば、より利用者が多い施設として機能すべきだと考えていますので、公募の中できちんと審査していきたいと考えています。

記者

アリーナの整備事業費について、参考値として340億円ということだが、この数字は「少なくとも」ということか。

知事

少なくともということではなく、公共工事として作ればそれくらいかかるということで、参考にはしていただきますが、それよりも上や下でなければいけないということではなく、いわゆるリミットとしての機能を果たすつもりはありません。

記者

京都府が建設するかどうかも含めて未定ということなのか。

知事

事業手法は様々なものがありますので、それも含めて提案していただこうということです。

記者

340億円は府の財政負担を伴うものということか。

知事

そういうことではなくて、公共工事として同じ機能のあるものを作ればそれくらい掛かるだろうというものです。公共工事として発注して作ったら、それくらいになるのではないかと計算したもので、その額に縛るつもりはありません。

記者

必ずしもその額を府が負担するわけではないということか。

知事

はい。

記者

8,000人以上という収容規模だが、島津アリーナは固定の座席数としては5,016席で最大収容人数は約8,000人だが、京都アリーナ(仮称)は府内最大規模のアリーナになるということか。最大級で並ぶということか。

知事

最大規模になると思いますが、島津アリーナの座席数のカウント方法にもよりますが、新しいアリーナも、客の入れ方や詰め方、平面に座席を置いたらどうなるのかということもあるので、島津アリーナでいう5,016席に当たるのが今回のアリーナの8,000席だと考えていただければいいと考えています。

ただ、敷地との兼ね合いや、公募に応募しこられる事業者の方がどういう設計をされるかによっても違いますが、8,000席は入れて欲しいということを言うということです。

記者

大阪・関西万博について、人件費の上昇や建設費用の高騰で全体の費用が膨らんでいるが、京都府として公費負担のあり方をどのように考えているか。

知事

基本的には万博は国の事業ですので、もちろん地元の大阪を含めた関西としての関わりは様々ありますが、物価高騰等に伴う建設資材の高騰等の中でも、国は今のところスケジュール通り進めると仰っていますので、課題はたくさんあると思いますが、そうした課題を乗り越えて、いい万博にするように、私としては政府や万博協会に努力をしてもらいたいと考えています。

記者

地元負担が増えた分について、関西パビリオンを構成する京都府に求めてきた場合はどのように対応するのか。

知事

関西パビリオンや各パビリオンについては、万博全体の費用が上がっていることとは別の話で、万博全体の赤字について、京都府に負担を求められることは全く想定していません。一方で、関西パビリオンは、関西広域連合の構成府県と、一部連携県の福井県と三重県も入っておりますが、これはまさに面積も含めた負担割合に基づいて整備をしていますので、その部分について、想定の事業費より増えた分については、当然それぞれの構成府県の負担がその分増えるということは想定しています。

記者

大阪・関西万博の運営費が上がった場合、赤字額を誰が負担するのかという議論で、関経連の会長や吉村大阪府知事が見解を述べておられる。先ほど赤字が増えることについて京都府が負担を求められることは想定していないと仰られたが、負担のあるべき姿をどのように考えているか。

知事

どういった赤字かにもよりますが、掛かった費用について、誰かが負担しなければいけないのは間違いないので、国や協会も含めた関係者が相談されるということに尽きると思います。赤字が出ていることについては、誰も負担しないということはなくて、お金は払わなければいけません。

ただ、最終的には、いかに赤字が出ないように運営に工夫するかに尽きると考えています。

記者

花折断層帯による地震の被害想定を今週発表したが、その受け止めと対応を聞きたい。

知事

今回見直しをさせていただきまして、まず建物などの被害総数については、前回の想定よりも減少しています。おそらく、一つは耐震化がより進んでいるということと、もう一つは人的被害については人口減少の影響等をある程度想定されたということだと考えています。

火災については、国の見込みでも、倒壊した建物による火災の発生によって増えるというような想定が全体的な傾向としてありましたので、今回見直した想定でも、やはり火災については若干増えているということです。

見直しで減ったか増えたかということもありますが、どちらにしても花折断層帯地震による被害は非常に規模が大きいですから、改めて地震対策の重要性や緊急性について確認したということなので、この被害想定に基づいて様々な対策を見直していきたいです。その際には当然、直近の能登半島地震の被害によって得られた教訓も活かしていきます。

記者

今発言された火災について、被害想定では1.8倍ほどに増えるということだが、この点についてはどう考えているか。

知事

これはあくまで想定なので、その点について価値判断を入れないで結果として受け止めると、やはり火災を防ぐということが必要です。火災の発生について、一つは、倒壊した建物による火災ということなので、できる限り建物の耐震化をしっかりして建物の倒壊を防ぐということ。それから、感震ブレーカーという地震が発生した際に自動的にブレーカーが落ちるものがあり、元々その普及をお願いしていますので、それを引き続き行うこと。もう一つは、自宅から避難される時にブレーカーを落としていただくだけでも、火災が防げるという話もありますので、啓発等を通じて火災を減らしていくために府民の防災意識を高めることも重要です。やはり倒壊建物からの出火が主だと聞いていますので、今申し上げたようなことを総合的にやっていく必要があると考えています。

記者

今後新たな取組を行うことは考えているか。

知事

その辺りは指針やプランの見直しの中で考えていきますが、対策の初めとしてはやはり倒れないようにすること、それから感震ブレーカーのような機器の整備、ブレーカーを落とす啓発、この3つの観点だと考えています。

記者

花折断層の想定の見直しの中で、見直し結果を踏まえて府民の方にも災害の備えを呼びかけられると思うが、一方で、地域別の被害想定は、京都市と4つの広域振興局単位でしか公表されていない。自治体別、行政区別単位で出した方が危機感を持って共有してもらえると思うがどうか。

知事

個別市町村別の数字はあるようなのですが、算定の中であまり細かくすると、被害想定で地域が特定できるような場合もあります。どのレベルで公表するのがいいのかは考えますが、広域振興局レベルでは、危機感が少ないというのは仰るとおりですので、そこは検討させてください。直感的にはきめ細かく公表した方が、特に防災意識の向上・啓発には意味があると考えています。

講じていく対策は変わらないですし、避難所運営や生活支援、健康観察など能登半島地震で問題になったことへの対応は、まずは市町村がやっていかなければいけないことなので、市町村にどうやって問題意識を持ってもらうのかという観点に立って検討したいと考えています。

記者

花折断層について、2008年にも被害想定を公表されていて、当時は花折断層を含めて22の断層について被害想定を公表されている。今回は花折断層のみ公表されたが、今後、他の断層について見直す予定はあるか。

知事

今回の被害想定の見直しは、(2008年から)かなり社会経済状況が変わってきている中で、花折断層帯が一番被害が大きいということで見直しをしました。

この見直しをすることで一定の傾向が分かるので、他の断層帯の地震についても、地震対策の見直しについては今回の花折断層の被害想定の見直しが十分に活かされると考えています。ただ、そうは言いながらも、他の断層帯を放っておけばいいのかというと、それぞれ地元からも「うちの地域はどうなのか」というお気持ちもあると思います。ただ、見直しには相当な手間と時間も掛かりますので、全部やるかやらないかも含めて、どういう見直しをするのかも地震対策の見直しと併せて検討したいと考えています。

ただ、対策について、例えば耐震化は地震防災対策指針を見直さなくても先行的にやっていますし、かなり共通する施策もありますので、断層帯の被害想定を見直さなければ、(地震対策を)見直せないという訳ではないので、先行的にどんどんやっていきたいと考えています。

記者

先日、人口戦略会議が「消滅可能性自治体」を発表し、京都府は9市町村がそれに当たるということだが、その受け止めと対策があればお聞きしたい。

知事

今月24日に人口戦略会議が地方自治体の持続可能性レポートを出されて、京都府では消滅可能性のある自治体が9市町村になりました。

「消滅可能性自治体」と定義していますが、これは20~39歳の女性の人口が2020年から2050年にかけて半分以上減少する自治体を称しています。こうした一定の客観的な基準に該当している都市を「消滅可能性都市」と定義されています。これは必ず消滅すると言っている訳でもなく、定義に合わせていますので、じゃあ40%の減少だったら大丈夫なのかというとそうではありません。

一方で、2014年の日本創成会議の時にも「消滅可能性」という言葉を使われて、皆さんを含めたマスコミも取り上げたので、人口減少問題が非常に深刻だと言うことを行政も政治も全ての皆さんに感じてもらったという意味では、私自身は定義づけには意味があると思います。

ただ、よく分析するとそういう定義だということで、色んな人が「自治体の問題ではない」等、見解を述べていますが、人口減少問題は非常に大変だという意識を共有するという意味ではこのレポートには意義があると考えています。

ただ、色んな観点があって、自然減もありますし、社会減もあります。自然減は個別の自治体ではできないこともありまして、まさに京都府の子育て環境日本一推進戦略の中では、社会全体の意識や価値観を変えることをしないといけないとしています。一方で、社会増減については人口を取り合うことに意味があるのかという議論がありますし、若い人がそこに住みたいと移住することで、子育て環境が整備されていけば全体として子育て環境が上昇するので、その意味では人口を取り合うということではなく、若者が住みたい、働きたい、子育てがしたい地域になっていく契機になると考えています。

もう一つは、2014年の日本創成会議の発表と比べて消滅可能性都市が減ったと言われていますが、減少率で減ったと言っているだけで、人口は全体としてすごく減っているので、その意味では人口減少問題は2014年よりもこの10年でずっと深刻になっていると考えています。

その傾向がしばらく続くとすれば、人口減少社会でも社会経済システムをどう維持していくのか。これは、なかなか政府でも本格的に取り組んでいないですし、私自身も体系だった検討はしていないのですが、おそらく50%以上減る自治体にとってみれば、どうやって社会経済システムを維持していくのかは大きな課題になると考えています。

記者

一方で「自立可能性自治体」ということで、府内では木津川市と大山崎町は、持続可能性が高いとされている。また、京都市は「ブラックホール型自治体」ということで、出生率が低く、他地域からの人口流入に頼っているなどの定義もあるが所見はどうか。

知事

これも人口問題研究所の推計だけで定義されているので、例えば自立可能性といっても、ベッドタウンとして若い人は確かに流入しているが、産業や教育がどうか(評価されていません)。街づくりは総合的なものなので、人口動態としての定義は分離した方がインパクトがあるのでされているのだと思いますが、それだけではないと考えています。

京都市がブラックホール型と言われているのは分からないところがありまして、(京都市は)人口が減少しているので、社会流入は多いけれどもそれ以上に社会流出しているから人口が減っているということなので、ネーミングとしてどうかということはあります。

人口戦略会議の増田寛也さんとも議論したことがありますが、大都市部の合計特殊出生率が低いものですから、そこに人口が集まると、ひょっとするとオールジャパンで見れば全体の合計特殊出生率が減っていくのではないかと思いますし、国土構造の話は避けて通れないですし、東京一極集中の是正の観点も入れないと、人口問題の解は出てこないと考えています。

記者

消滅可能性自治体について、先ほど「課題意識を共有することに意味がある」と仰られたが、府内の消滅可能性自治体が13市町村から9市町村に減ったことについてはどのように受け止めているのか。

知事

先ほど言いましたが(消滅可能性自治体は、20~39歳の女性の)半分以上が減少する自治体を指していて、(全体の)人口は減っているのでそれほど改善された感じを持っていません。13市町村も人口が減っていて、半分以上が減少することがなくなったと言っているだけなので、人口減少が止まっている、改善されているということは全くないと考えていますので、人口減少という意味では引き続き厳しい状況にあるということを申し上げました。50%ではないけど、40%台の後半なのかもしれませんし、この数を比べるのは全体の傾向を把握するには意味が無いと考えています。

記者

府の対応としては、子育て環境日本一推進戦略を推進することに変わりはないか。

知事

自然減については、これは国を挙げての問題ですが、子育て環境日本一推進戦略を着実に実施します。それから、社会減については、若い人が住みたい・働きたい・子育てをしたい地域にすることが重要ですから、京都府総合計画をいかに着実に実施するかということです。人口減少下でも今のシステムを維持しようという話については国も含めて定まった考え方がないので、これはいずれ女性の人口が増えるといいのですが、このレポートが示している20~39歳の女性の人口減少が続くことを前提にすれば、人口減少下での社会のあり方についても考えなければいけない時に来ているということです。

記者

府内の消滅可能性自治体を見ると、北部や山城南部と、地域の偏在があると思うが、府としてこうした地域に特化して支援する施策ができる余地はあるのか。

知事

全国的に見ると、消滅可能性都市の割合が、北海道は7割で東北は8割とも言われていますが、今回の人口戦略会議の発表があったからということではなく、当然、例えば相楽東部では、元々市町村別人口推計を見ると、人口減少するのは分かっているので、それを前提に総合計画の改定に臨み、子育て戦略も改定しているので、今回の発表をもって新しいことをすぐにやることはありません。ただ、人口減少下における社会経済システムの維持については、もう少し新しい取組ができる予感はあるのですが、今回の発表をもってすぐに何かに着手することは考えていません。

記者

持続可能性自治体の取組を、消滅可能性自治体に施策に活かすといった横展開する予定はあるか。

知事

それぞれの地域にフィットする施策は、その地域の実情に合わせているので、持続可能性があるところはどちらかというと都市部や都市部に近いベッドタウンだと思うのですが、これは必ずしも大都市部ではありません。大都市部はまた違う定義になっています。

子育て施策や若者定着施策については、先進的なところは積極的にやっておられるので、この定義によらずとも参考になる施策はいっぱいあります。この定義に頼って施策を参考にするのは、私は違うと考えています。

もう一つは人口を取り合っても、例えばお金を給付するということで(自治体間で)競争になっても、結局は全体の子どもの数が増えずに、移動するだけになってもいけないですし、裕福な自治体に集まるという話にもなりますので、もう少し冷静に施策は検討すべきだと考えています。

記者

政府は新型インフルエンザ等対策政府行動計画を先日とりまとめたが、知事の受け止めと、府として対応することがあれば教えて欲しい。

知事

一昨日、有識者会議で大筋合意と報道されていたので、今後(内容が)あまり変わらないと思うのですが、最終的に行動計画は6月に閣議決定される予定だと聞いています。

平時からの準備の充実や、柔軟かつ機動的な対策の切り替えを見直しのポイントとして、抜本的な改定を図るということで、4年を超える新型コロナウイルス感染症への対応を通して得られた教訓を踏まえたものだと考えています。

感染症発生時の京都府の行動計画がありますので、国の行動計画が改定されれば、今後、感染症発生時にどれだけ速やかに医療提供体制を構築できるかや、マスク等の医療資材の確保に苦労したので、平時からどうしておくのか等については、府の行動計画の中身に国の改定の中身を反映させていきたいと考えています。

国で決定されれば、京都府においても改定の検討の体制を立ち上げて、見直しに着手したいと考えています。

記者

国で電気代とガス代の補助金が5月使用料分をもって終了することになるが、今円安も進んでいるがこれについてどのように考えているか。

知事

電気と都市ガス料金の激変緩和措置については、LNGや石炭の輸入価格がウクライナ侵攻前の水準まで低下している状況を踏まえ、3月下旬に斉藤経産大臣が、5月に支援内容を縮小して5月末で措置を打ち切ると発表されたと伺っています。

国の措置の判断はその時々の状況を勘案して行われたものだと考えています。ただ我々は従来から国に申し上げていますが、打ち切り後もきちんと状況を注視して、今後も迅速かつ機動的に対応していただくことを要望していきたいと考えています。

ちなみに、京都府のLPガスの負担軽減措置は、準備や業者との調整もした上で、6~7月にかけて2カ月間で合計1,500円までの利用料金の割引措置を実施します。これは国が(電気と都市ガスについて)やっている部分に見合った分で今までやっていなかった分です。その分の消費者対策はしたいと考えています。

記者

3月末に新型コロナへの対応の振り返りを議会の常任委員会に報告された。令和5年3月の知事会見でも検証を行いたいと仰られていて、1年かけて検証されてきたと思うが、中身として「検証」と言えないレベルで、果たして次期新興感染症に備えられるかという疑問があるがどうか。

知事

振り返りは公表したものに尽きるのですが、新しい行動計画や、次の備えにどう活かすかなので、振り返りだけで見直すという訳ではなく、様々な施策等、例えばパルスオキシメーターの話など、その都度検証して改善したものもかなりありますので、4年間全体の集大成を新しい計画の見直しに活かしていくことに努力すべきだと考えています。

記者

今回、議会の報告に留まっていて、広報発表はされていませんし、打ち出し方も含めてどうかなと思うのですが。

知事

広報発表は同じものをしてもよかったと思います。

記者

行動制限など当時として正しかったけれども、今振り返ったらどうかという観点で見るのは必要だと思うのですが。

知事

難しい問題で、答えがないものもあります。ある程度、合理的な範囲で我々は振り返ったつもりです。

記者

先日、府の市長会で、国民健康保険に対する府の対応について、厳しい意見が出ていたが、何か対応があれば。

知事

市長会で市長さんが言われていることはごもっともだと思います。国保の問題は、我々も国に言っていますが、高齢化が進んで医療費は上がり、一方で国保財政は非常に厳しいです。個別の都道府県・市町村では解決できない問題を構造的に抱えているので、国に抜本的な財政措置をお願いしています。

一方で、市長さんが仰っているのは(国保料)決定のプロセスにおいて、できるだけ早い段階から「こういうことを考えている」などの情報を出してほしい、話し合いを丁寧にしてほしいというのは当然のことだと考えます。

そういった意味のご指摘だと思いますので、真摯に受け止めて、来年度に向けては市町村との協議・話し合いについてはできる限り前広にやるべきだと考えています。

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