ここから本文です。

平成30年7月12日知事記者会見

平成30年度6月補正(追加)予算案の概要等について

 平成30年7月豪雨の被害の発生に伴い、平成30年度6月第2次補正予算案を緊急に取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げたいと思います。

今回の大雨では、尊い人命が失われるなど人的被害、住家被害も多数発生しております。この災害でお亡くなりになった方に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方に対しましても、衷心よりお見舞いを申し上げます。

この間、災害対応に当たっていただきました警察、消防、自衛隊などの関係者、それから地元の消防団、またボランティア、NPOの方々の奮闘に対しましても、心からお礼を申し上げます。

 

予算編成の基本方針

まず、予算全体の編成の基本方針についてですが、平成30年7月豪雨で被災された方々の生活を一日も早く取り戻すために、復旧・復興に向けて緊急に対応すべき課題に絞り補正予算を編成しました。体系としては、1番目に被災者の生活再建支援、2番目が中小企業・農業者の復興支援、3番目が社会基盤・府民利用施設等の災害復旧等です。全体の規模は、一般会計で106億円台となっております。

参考までに、昨年の補正予算は、台風21号関連が38億円台、18号関連が44億円台でした。

 

被災者の生活再建支援

被災者の生活再建支援については、できるだけ被災者に寄り添う形できめ細かく対応するための予算を編成しております。

始めに被災住宅関係について、地域再建被災者住宅助成費が1.8億円規模です。今回の災害につきましては、被災者生活再建支援法を綾部市に適用しましたが、さらに全国トップレベルである京都府独自制度を上乗せします。例えば、適用地域については、全壊の場合は合わせて450万円。適用外地域についても、全国制度並みということで300万円。また全国制度では半壊や床上浸水等についての支援はありませんが、府の独自制度により、適用地域、適用外地域に関わらず同じ水準で支援をしていきたいと思っております。

地域再建被災者住宅融資対策費としては、被災住宅の建替・補修が必要な方に対しての利子補給ということで5年間、実質無利子にします。建替等については1,650万円、補修については730万円が融資の限度額となっております。

次に、緊急救助活動費として、0.4億円規模を計上しております。今回の災害では災害救助法が福知山市など6市3町において適用されましたので、避難所の設置から仮設住宅、食品、飲料水、被服などの経費について支援します。また、季節柄、被災地域における消毒活動や住民の健康相談にもきめ細かく対応するために、緊急健康相談等支援費として100万円を計上しております。

なお、ボランティアの派遣を既に始めておりますが、必要なものについては予備費で対応します。また、被災者の方の府税や各種手数料等を減免するとともに、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で生活再建支援に対する寄附の受け付けを始めております。

 

中小企業・農業者の復興支援

 中小企業等復興支援事業についてですが、ボイラーや冷蔵庫など、大規模な設備の更新等に対する支援として最大100万円、連年で被災された方には、補助率、限度額ともに引き上げております。また、事務機器や什器備品類等の小規模な機器への修繕等に対する支援は補助限度額10万円です。これらに加えて、当初予算で既に計上している災害対策緊急資金融資も活用しながら支援していきます。

農業者等復興支援事業については、0.1億円規模を計上しております。トラクターやコンバインなど農業用機械の更新等に対する支援は最大100万円です。これも中小企業と同様に連年で被災された場合は、補助率、限度額とも引き上げております。土砂除去や農機具の修繕等に対する支援は限度額10万円です。経営再建に要する資金借入に対する利子補給支援は貸付限度額が個人で1,800万円であり、これを5年間無利子とします。

農作物生産確保緊急対策事業についてですが、茶園や被災作物の病害防除に要する農薬や肥料等の購入を対象とします。また、冠水等による種子不足に対応するため、種子の購入支援も行います。

それから、近年、災害が続いておりますので、重複して災害に遭われた新規就農者に農業を続けていただくために、資金貸付を行います。無利子で貸付限度額240万円です。借り入れ後、5年間継続して営農された方には償還額の3分の2を助成します。

パイプハウス、宇治茶の生産施設、鳥獣の侵入防止施設等の農林水産業共同利用施設の復旧を支援します。

 

社会基盤・府民利用施設等の災害復旧等

道路・河川等の災害復旧に要する経費としては75億円を計上しております。大津南郷宇治線や綾部大江宮津線など道路の崩壊等の復旧と共に、私も鴨川の視察をいたしましたが、鴨川、竹野川などの河川の護岸等の復旧、由良海岸など海岸の漂着流木等の除去も行います。

北近畿タンゴ鉄道施設の災害復旧は1億円規模を計上しました。宮福線、宮舞線、宮豊線、全部合わせて27か所の被災箇所の復旧を行います。

ほ場・林道等の災害復旧は7億円規模で、宮津市の栗田や京丹後市の女布など水田や茶園等の復旧、於与岐ナル線など林道の復旧、治山施設の復旧等を行います。

緊急災害防止対策については16億円規模を計上しております。谷河川等の災害関連緊急砂防事業と共に、災害に強い森づくりのため堆積土砂の除去や治山ダム山腹工等を行います。

府民利用施設関連では、まず文化財等の災害復旧が0.1億円規模です。石清水八幡宮や成相寺といった指定文化財等の復旧と共に、信号機について、浸水した制御機と歩行者用信号灯器の復旧を行います。また、自然公園等の災害復旧1億円規模については、丹後海と星の見える丘公園をはじめ10施設を復旧します。府民利用施設の災害復旧1億円規模については、府民の森ひよし、府立青少年海洋センター等の復旧を行います。

 

予算の概要説明は以上です。非常に時間のない中で緊急的に作業をさせていただきました。できるだけ被災者の方に寄り添う姿勢で、一日も早く通常の生活に戻れるようにという思いできめ細かく編成しました。

 

平成30年度6月補正(追加)予算案の概要等について(PDF:536KB)

 

 

 

主な質疑応答

記者 

知事も現地に視察に行かれた上での補正予算だが、この中で重点的に取り組むべき、あるいはスピードアップして取り組まなければいけないのは何か。

 

知事

 現地では皆さんライフラインの話をいろいろされていて、住宅の再建も生産活動も全て含めて、やはり一日も早く日常生活を取り戻すという観点で措置しなければいけないと考えます。

また、これから台風シーズンも含めて出水期が続きますので、それに備えて応急的に対応しないといけない箇所をまずきちんとすること、壊れているところの復旧も同様です。例えば、京都丹後鉄道はバス代行輸送を始めていただいていますが、住民の足として、なるべく早く復旧させたいと思います。

既に総合的な治水対策の計画ができていて、事業に着手している箇所もあったのに、それが効果を発揮する前に再び被害に遭ってしまいました。そういうところもなるべく計画的に整備するというメッセージを出して、住民の方に安心していただければと思っております。

ソフト対策についても、いろいろ検証しなければいけないことはたくさんあると思っています。

 

記者

警報、特別警報、避難に関する情報伝達、あるいは京都府庁としての情報収集、あるいは市町村への支援ということで課題を残した点、改善すべき点について。

 

知事

 今回は被害が非常に広範囲で、短時間で雨の降り方や雨域が変わっていった中で、それぞれの市町も大変だったと思いますが、やはり情報をいかに早く伝達するかは最も重要なことなので、その点を検証しなければいけないと思います。

一方で、例えば垂直避難については、夜中に大量の雨量がある時に外に避難することはほぼできないと思います。道路には濁流が流れ、しかも暗い。そうなると、家の中で最も安全なところに行くしかない。そういう防災意識を日頃から地域や行政レベルで浸透させていくことも重要だと思います。被災する時間帯によって対策がかなり違うということは前から言われているとおりですが、そういう日常の備えが大切ではないかと。

それから、これは京都だけの話ではないのですが、介護を受けている方、体の不自由な方は、「2階に行ってください」と言っても、実際に独力で本当に行けるかどうか。そういうことを地域や行政の小さな単位できちんと把握しておく必要があると思います。まずは復旧・復興で、今はこれらの課題の検証に時間をかけられる段階ではないのですが、いずれはきちんと検証しなければいけないと思います。

 

記者

補正予算106億円は、近年の大雨、台風被害と比べた場合にどれぐらいの規模なのか。今後さらに追加で補正をする必要が出てくるかどうか。

 

知事

 今回の補正予算は過去最短で編成しておりますので、本当に幾らかかるのか、きめ細かく査定ができていないところもあります。今の被害状況と、過去の実績等を勘案して予算計上をしているため、今後、土砂崩れや道路などはきちんと測量等を行って災害査定しないと金額が出てこない部分があります。

比較については、台風第21号が29年度の9月補正予算で38億円台、台風第18号が44億円台、このあと、12月補正で増額をしまして、大体100億円ぐらいになっているので、今回も同規模だということです。ただ、もし今回の補正予算の執行の過程でさらに必要があれば、それは補正予算等で対応しなければいけないと考えております。

限られた時間の中でできるだけ的確に編成させていただきましたが、不確定要素がかなりあるということをご理解いただきたいと思います。

 

記者

京都丹後鉄道の復旧の見通しは。

 

知事

 それはちょっとまだ聞いていないですね。そんなに長くかけてはいけないと思いますけれども。

 

記者

地域再建被災者住宅助成費について。今回の大雨では、床上浸水や床下浸水の被害がかなり多く、床下浸水は昨日の時点で約2,000件に迫っているが、床下浸水に対する助成はあるのか。

 

知事

 この再建支援の仕組みの中では、床下浸水に対する助成はないですね。一部破損も含め床上浸水までにしか対応していません。

 

記者

先週の金曜日、南丹市にある病院では医師の約6割が出勤できなかったという報道があった。それに関して今後の対策は考えているか。

 

知事

 南丹市の特定のケースについての報告は受けておりません。ただ、北部の市役所や町の役場や府の出先機関でも、道路に土が落ちてきて車が通れない、冠水している等の状況があって、支援体制等の行き来も大変だったと聞いています。ですから、道路交通が確保されないと出勤が困難であったと思います。このような状況で急を要する時にどう対応するか。病院における医師だけではなくて、災害対応要員も含めてやはりこれは一つの課題だと思いますね。

先日の大阪府北部を震源とする地震では都市部における交通の弱さが問題になりましたが、地方部ではやはり道路の寸断による孤立化が大変な問題だと思います。解決策がどこまであるかは別にしても、医療従事者がどのタイミングで出勤でき、災害現場に到着できたかについて検証が必要だと思っています。

 

 

記者

地球温暖化を背景に、これから毎年のように豪雨災害があっても全然おかしくない状況だと思う。防災を効果的に進めていく上で、知事自身は何が一番大きな課題だと感じているか。また、100億円規模で毎年補正予算を組んでいくのは、行政としては厳しい財源の中で重い課題を突きつけられていると思う。今後この防災をどのように進めていこうと考えられるか。

 

知事

 おおまかに言うと、ハードとソフトの組み合わせしかないと考えています。

ハードに関しては、大河川に繋がる中小河川の内水被害は、短時間の雨でも時間雨量のピークが高いと支川の流下能力がないことから本川に水がはけない。けれども、治水の対策が終わっているところは以前に比べて、浸水被害がほとんどなくなったということです。そういう意味では、やはりそういう整備もきちんとしなければいけないなと思います。ただ、全部一気にやれるのかと言われると難しい。それから、土砂災害については土砂災害警戒区域を指定しますが、そこには皆さんが住んでおられるわけです。ですから、全部ハードで防げるかといったら、個別の対応になるのですね。

そうなるとソフト対策も重要になってきますが、私自身はやはり命を守るのが一番の基本だと思いますので、まずは命をどうやって守るのかと。今回、垂直避難で2階にいたから助かったという方も結構おられます。そういうことからも命を守る行動をどうとっていくのか、繰り返し啓発を行っていきたいと思います。東日本大震災の津波の時に小中学生が、防災訓練と同じように逃げたので全員助かったという、「釜石の奇跡」と言われている事例があります。少し時間がかかるかもしれませんが、平常時の教育の中で、短時間の豪雨でもこういうことが起こるのだということも含めて、きちんと防災教育をしていくことから始めなければいけないと思います。

 

記者

今回の補正の基本方針には豪雨を主に書いてあるが、地震の被害に対しては何か措置できることはあるか。

 

知事

 大阪府北部を震源とする地震の被害については、前にも発表させていただいた予備費対応ということで、基本的にはその中でやっております。今のところ、それで不足はなく、その中できっちりと対応させていただきたいので、この補正予算で重複適用するところは、おそらくないと思います。ただ、地震によって地盤が緩んだとか、そういう因果関係があれば別ですが、今のところは、あくまで豪雨被害に対する補正予算と考えています。

 

記者

農林水産業関連についても豪雨災害のみか。

 

知事

 そうですね。農業関係は地震のときに若干被害があり、それも予備費等で対応できていますので。

 

記者

特別警報が突然出てきたという印象がある。事前の気象庁とのやりとりの中で、市町村のホットラインを強化したいという話もあったが、国に対して具体的に改善を求めていくことはあるか。

 

知事

 特別警報だけではなく、その前の大雨警報からの話になりますが、情報の伝達についての検証はまだしていないものの、私自身は、警報と連絡のタイミングは京都府域において特に遅れたという印象は持っていません。

たまたま私は国土交通省にいたので、よくわかっているところがあるのですけれども、気象庁では天気予報のいろいろなバージョンを出して、なるべく行政の防災と連携を強めていこうという一つの流れとして、大雨警報や短時間雨量の情報を出していました。昔は気象庁と直接の連絡ツールはなく、気象庁が都道府県に連絡して、都道府県が市町村に連絡するという流れでしたが、今はそんないとまもないし、現場で対応しているのは市町村だから直接連絡するようになり、特別警報もまさにそういう観点から出てきたのです。私自身、今の制度が完璧だとは思っていません。予報というのは難しくて、「空振りを恐れずに」という前提があるのですが、ではどこまでの空振りが許されるのかは誰もわからないので、やはり過去のデータを基本にするしかないのです。その中で今の制度ができているので、改善する余地はもともとあります。ただ、我々がどう改善したらいいのかはあまりよくわからない。我々としては、逆に気象庁が危険だと判断したときに、いかにそれが的確に伝達されていくのかという部分をきちんと磨き上げないといけないなと思っています。

 

記者

日吉ダムに関して前例のない放流があり、結果的に大きな決壊や漏水等はなかったが、どういうタイミングで、どう放流するかについての調整の中でよかった点、あるいは課題点はあるか。

 

知事

 私も直接、近畿地方整備局から放流するという連絡を受けました。一番避けなければならないのはダムの決壊です。ダムには上流から水がどんどん入ってきますから、それを流さなければいけない。それしかできないという状況なので、それについてどうこうということはありません。それよりも、そうなることをいかに早く、関係する自治体や沿川の方に周知できるかということだと思います。

たしか近畿地方整備局が夕方6時に記者会見で放流を発表したと思います。私も生まれて初めて聞いたので、「その話、発表するんですか」と聞いたら、あくまで避難のために、あらゆる機会を通じて周知したいという思いから発表するという説明でした。実際、それ以外に道がないわけで、「放流せずさらに貯めてくれ」という話にはならないということです。

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp