京都府立植物園 植物園よもやま話
京都由来の植物その18(平成22年3月12日)
早春に開花する花木の多くが黄色い花であるのは、緑が少なく昆虫の少ない時期に花を目立たせ呼び寄せる戦略と思われます。
京都府の丹波、丹後地方の春を呼ぶ植物のひとつがヒュウガミズキ(Corylopsis pauciflora Sieb.et Zucc.マンサク科、別名イヨミズキ)です。
本種は、本州(石川県から兵庫県)日本海側の山地に生える樹木で、京都では大江山を中心とする蛇紋岩地域でよく見ることができます。
日向(宮崎県)、伊予(愛媛県)地方には自生していないため、なぜこの名前がついているかは不明ですが、トサミズキより全体的に小さくやさしいため、ヒメミズキがなまったとする説(牧野富太郎博士)、戦国時代に丹波地方を治めた明智日向守光秀にちなむ(麓次郎元京都府立植物園長)など諸説あるようです。
学名のSieb.et Zucc.は命名者がドイツ人のシーボルトとツッカリーニを意味しますが、シーボルトとその日本人弟子の二宮啓作が宮津市の杉山でこの植物を発見したといわれています。
当園のボランティア(開花調査チーム)のデータのよれば、ヒュウガミズキ(しゃくやく園西側植栽分)の開花は2009年は3月17日から4月16日ですが、今年は3月8日開花と10日ほど早い開花となっています。
参考図書:シーボルトと日本の植物 木村陽二朗 恒和選書
四季の花辞典 麓次郎 八坂書房
ヤブツバキとユキツバキ(平成22年3月5日)
2月下旬の高温と3月に入ってすぐの連続降雨により、ウメ、アンズなどの花木が一気に咲いてきました。これからモモ、サクラなども順に開花していくと思われます。ツバキも3月に入ったとたんに開花する品種と花数が増えてきました。
日本のツバキの園芸品種は大まかには本州(青森県)以南に自生するヤブツバキと本州(秋田県から滋賀県北部)日本海側の積雪地帯に自生するユキツバキとが母種となった系統があります。両種の特徴を下の表にまとめましたので、ツバキ鑑賞の際はぜひ参考にしていただきたいと思います。
| ヤブツバキ | ユキツバキ | |
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花 |
筒咲き、雄しべの花糸は白色で途中で合着している |
平開咲き、雄しべの花糸は黄色で1本1本が離れている |
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葉 |
葉脈は不明瞭で、鋸歯はやや鋭い |
葉脈は明瞭で、鋸歯は鋭い |
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樹の形 |
高木、分枝すくない |
低木、分枝多い |
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分布 |
北海道を除く日本全土 |
秋田県から滋賀県北部の日本海側積雪山地 |
ヤブツバキ(左)とユキツバキ(右)の花
ヤブツバキ(左)とユキツバキ(右)の葉表
ヤブツバキ(左)とユキツバキ(右)の葉裏
ヤブツバキ(左)とユキツバキ(右)の花の形状
ユキツバキの原種は、植物生態園の北側入り口付近(梅林から入ったところ)に、植栽しています。このツバキは、2009年4月に京都府向日市に在住の日本ツバキ協会名誉会員、ツバキ研究家故渡邊武氏から分譲いただいた大変貴重な個体です。 移植して間もないですが、若干の花を付けてくれました。
第50回ツバキ展
平成22年3月20日(土曜)から3月21日(日曜)まで
シモバシラ・霜柱(平成22年1月16日)
シモバシラ(Keiskea japonica)はシソ科の宿根性植物ですが、名前の由来は厳寒期に枯れた茎に氷の結晶ができることからついた名前です(植物園よもやま話「シモバシラに霜柱が立った(平成17年12月16日)」を参照)。
今冬は、最低気温が氷点下になる日が多く12月18日から大小10回ほどの霜柱を観察することができました。1月15日、16日には2年ぶりに大きな霜柱ができ、朝からたくさんの方が観察に来られました(みなさんよく知っておられます)。
本日のように池の水も凍てつく朝には、本家のシモバシラ以外にも霜柱ができる植物がありますのでその一部をご紹介します。
カシワバハクマ(Pertya robusta キク科、植物生態園)
ヒキオコシ(Rabdosia japonica シソ科、植物生態園)
オルトシフォン ラビアツス(Orthosiphon labiatus シソ科、宿根草・薬用植物園。写真は2009年12月22日撮影)
上の写真はどれも冬枯れの姿で寂しそうに見えますが、春に向けて地中では根が生きている証拠です。
シリンジ作業(平成22年1月1日)
新年あけましておめでとうございます。
2010年の京都府立植物園は小雪が舞う寒い1日から始まりました。正門から北方向に見える北山連峰は真っ白に雪化粧をしています。
水やりは、植物を育てる上で、もっとも基本的作業になるため、年末年始の休園日にも必ず行います。生き物を扱っているため、休むわけにはいきません。動物園などで飼育作業に休みがないのも同じだと思います。
観覧温室内のシリンジ作業
とくに観覧温室は、閉め切った環境下にあるため、シリンジ(葉に水をかける作業)は毎日必要となります。温室(熱帯植物)担当の職員が連日出勤とはいかないので、植物の栽培を担当する技術職員が当番制で水やりに当たります。ただし、水をやってよい植物、いけない植物、シリンジだけの植物、根元だけ灌水する植物、2日おきに水やりする植物など、植物の性格によって水やりの方法も違うので、普段、接していない植物が相手となると結構なプレッシャーになります(この日だけは自分が担当するエリア以外の植物を相手にできることになります。)。
そのため、仕事納めまでに、当番に当たっている職員を集め、水やり方法などの確認作業を事前におこない、ミスが起こらないようにしています。自動灌水で一律に灌水できない理由がここにあります。(写真上(左)はバックヤードの栽培温室内の水やり。写真上(右)は、念のため張られた「灌水不要」の看板)
本年も京都府立植物園をよろしくお願いいたします。
植物園よもやま話(過去分)
